人文社会系研究

State Papers Online:近世イギリスの国務文書 電子版

2018.01.24

センゲージ ラーニング株式会社Galeが提供するState Papers Onlneは、16世紀から18世紀後半までのイギリスのstate papers(国務文書)をご提供するデータベースです。Calendarと呼ばれる国務文書の要綱(目録)の情報と国務文書311万ページ分のぺージイメージを関連づけ、検索できるようにした画期的なオンライン・リソースです。

state papers(国務文書)とは

state papersとは、イギリスの内務大臣や国務大臣が日々の業務の中で扱ってきた業務文書で、裁判記録、反乱に関する現地報告から教会財産査定記録、外国の国情報告まで、国政に関わるあらゆる事柄が取り上げられてきました。国債の内情を伝える機密情報も数多く含まれており、いわば当時のWikiLeaks的な存在ということもできそうです。

state papersは手書で作られ、大多数が英語で書かれています。文書の種類も書簡、報告、請願、覚え書、令状、メモ、証書など多種多様です。

state papersの大半は、英国公文書館に所蔵されてきましたが、中には大臣が持ち帰りその後もその家で相続されたものや、競売にかけられたもの、大臣の失脚により没収され、その後ウェストミンスター寺院参事会堂に保管されたものなどもあり、複数の機関に分散していました。

Calendarとは

19世紀、複数の機関に分散保管されてきた国務文書を体系的に収集する意識が高まります。歴史家や文書家の手により資料の所在確認と調査が行われ、19世紀から20世紀にかけて製作された時系列の目録がCalendarと呼ばれる要綱(目録)です。Calendarの各項目には、タイトル、発信者、受信者、発信地、日付の他、要約が掲載されています。要約の詳しさの度合は文書毎に差がありますが、中には文書を逐語的に筆記したものや、外国語を英訳した詳細なものも含まれます。

state papers(左)とCalendarの例(Mary I)

Calendarの登場により、分散保存され、手書であるが故に利用が難しかったstate papersへのアクセスの道がひらかれ、イギリス政治史の研究に大きな役割を果たしてきました。

State Papers Onlineとは

State Papers Onlineは、ヘンリー8世が即位した1509年から、行政機構の再編により内務省と外務省が設立される1782年までのstate papersをページイメージで収録するデータベースです。英国国立公文書館、大英図書館、ハットフィールド・ハウス、ウィンザー城の王室文書館所蔵のstate papersが本データベースに収録されています。

データベースには、複数回の手入力により正確性を期したCalendarの項目が取り込まれています。
Calendarの項目とstate papersのページイメージをリンクさせることで、本データベースはstate papersへのアクセスの利便性を飛躍的に高めています。

構成パート

2018年1月現在、下記のパートがリリースされています。

  • State Papers Online
    • Part I: The Tudors: Henry VIII to Elizabeth I, 1509-1603: State Papers Domestic
    • Part II: The Tudors: Henry VIII to Elizabeth I, 1509-1603: State Papers Foreign, Ireland, Scotland, Borders and Registers of the Privy Council
    • Part III: The Stuarts: James I to Anne, 1603-1714: State Papers Domestic
    • Part IV: The Stuarts: James I to Anne, 1603-1714: State Papers Foreign, Ireland and Registers of the Privy Council
  • Eighteenth Century, 1714-1782
    • Part I: State Papers Domestic, Military, Naval and Registers of the Privy Council
    • Part II: State Papers Foreign, Low Countries and Germany
    • Part III: State Papers Foreign, Western Europe

2018年3月には下記パートのリリースを予定しています。

  • Eighteenth Century
    • Part IV:State Papers Foreign, Scandinavia, Eastern Europe and TurkeyStuart and Cumberland Papers from the Royal Archives

補助調査ツール

さらに、背景情報を説明した小論文、イメージ・ギャラリー、主要な文書のご紹介、省略形一覧、用語集、ウェブサイトへのリンクなどの補助調査ツールもご提供します。

レファレンス・ツール

イメージ・ギャラリー

State Papers Onlineは、ヨーロッパ辺境の一国にすぎなかったイギリスが派遣国家としての地位を確立するまでの約300年の歴史を記録する一大史料コレクションです。

※State Papers Onlineは、大学等教育機関向けにパート毎の買切契約でご提供する法人向けサービスです。

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(紀伊國屋書店 データベース営業部 伊佐)
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