人文社会系研究

Gale Archives Unboundコレクション・ピックアップ ~マカートニー使節団 訪中記録~

2018.10.03

Archives Unboundは、センゲージ ラーニング社Galeが教育機関向けに提供する電子コレクションです。特定のトピックに焦点を当てた極めて専門性の高い一次資料コレクションを提供しており、そのすべてが初めて電子化されたものです。コレクション総数は約300種類(2018年8月現在)、その数は年々増えて続けています。

前回のコレクション・ピックアップでは、多くの文学、美術、音楽作品にひらめきを与えてきたドイツの民間伝承コレクションをご紹介しました。

German Folklore and Popular Culture: Das Kloster. Scheible
ドイツの民間伝承と大衆文化:「ダス・クロスター」(ヨハン・シャイブレ編纂民間伝承コレクション)

今回は以下のコレクションをピックアップしてご紹介します。

The Earl Geogrge Macartney Collection
マカートニー使節団 訪中記録

イギリスがみた清朝

初代マカートニー伯爵ジョージ・マカートニーの中国訪問(1792-1794年)に関する様々な記録をおさめたコレクションです。

マカートニーは、乾隆帝の80歳の誕生日を祝うために英王ジョージ3世の命を受け、英国初の訪中使節団の首席代表として中国を訪問しました。当時の英国は、喫茶の風習が急速に広まり、中国紅茶の大量輸入に伴う大幅な貿易赤字に苦しんでいました。マカートニー使節団の訪中は、英国王から乾隆帝への祝賀を名目としていたものの、実際には対中国貿易の抜本的改善をめざすことを目的としていました。

1792年9月に英国を出発したマカートニー使節団は、1973年9月に英国史上初めて中国皇帝への謁見を果たしますが、清国側はマカートニーを朝貢使節として扱い、清朝皇帝の前でとる臣下の礼である三跪九叩頭の礼を求めます。マカートニーはこれを拒絶、結局乾隆帝に対し、英国流に片膝を就いて親書を奉呈することで決着しました。しかし、英国側の本来の目的である自由貿易を保証する条約締結については一切交渉できずに終わりました。

当時、ヨーロッパにおける茶栽培の知識は乏しく、マカートニーの訪中目的には、中国における茶の栽培・製造に関する情報収集も含まれ、茶樹のカルカッタへの搬送も試みましたが失敗に終わりました。

マカートニーの訪中は外交的には失敗に終わったものの、マカートニー使節団には、王立協会(ロイヤルソサエティ)会長の博物学者ジョセフ・バンクス卿(Sir Joseph Banks)、画家W.アレクザンダー(William Alexander)の他、秘書、通訳、船長、指揮官、官僚、護衛、侍従等100名近くが参加し、書簡、日記、航海日誌、水彩画、版画、書籍(航海・訪問を描いた図版を含む)等の貴重な記録を残しました。

William Alexander Engravings (1796)

Watercolors For Lord Macartney’s Embassy, f1792-1794, Volume 4 (1792-1794)

西欧諸国の中国に関する情報源は、もっぱら明代より中国で布教を続けていたイエズス会士等からの書簡に依拠していた中で、帰国後団員達が記した訪中旅行記は大きな反響を呼び、英国における中国研究の出発点となりました。

China, In A Series Of Views, Displaying The Scenery, Architecture, And Social Habits, Of That Ancient Empire (1843)

マカートニー訪中関連の記録は世界各地に散在していますが、本コレクションが収録する米国コーネル大学図書館ウェイソン東アジア文庫は、その中でも最大のコレクションとされています。

Archives Unboundは、大学等の教育機関に対し、コレクション毎の買切契約で提供されています。
また、センゲージ ラーニング社Galeでは、Archives Unboundシリーズに搭載するコンテンツを探しています。主に欧米言語の資料で、研究価値が高く、教育市場での需要が見込めるものが対象となります。お心当たりがございましたら、センゲージ ラーニング社Galeもしくは株式会社紀伊國屋書店までご相談ください。

(紀伊國屋書店 データベース営業部 伊佐)
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