人文社会系研究

Gale Archives Unboundコレクション・ピックアップ ~アーネスト・サトウ文書コレクション~

2018.11.05

Archives Unboundは、センゲージ ラーニング社Galeが教育機関向けに提供する電子コレクションです。特定のトピックに焦点を当てた極めて専門性の高い一次資料コレクションを提供しており、そのすべてが初めて電子化されたものです。コレクション総数は約300種類(2018年10月現在)、その数は年々増えて続けています。

前回までにご紹介したコレクション

German Folklore and Popular Culture: Das Kloster. Scheible
ドイツの民間伝承と大衆文化:「ダス・クロスター」(ヨハン・シャイブレ編纂民間伝承コレクション)

The Earl Geogrge Macartney Collection
マカートニー使節団 訪中記録

今回は以下のコレクションをピックアップしてご紹介します。

The Papers of Sir Ernest Mason Satow
アーネスト・サトウ文書コレクション

19-20世紀の英国とアジアの関係を伝えるユニークな情報源

英国の著名な外交官アーネスト・メイソン・サトウ(Sir Ernest Mason Satow、1843-1929)は、特に19世紀から20世紀初頭にかけて英中、日英関係における立役者でした。シャム(現在のタイ王国)、ウルグアイ、モロッコにも駐在、1907年に開催された第2回ハーグ平和会議には英国代表として参加しました。

英国国立公文書館所蔵資料を情報源とした本コレクションは、サトウの公私にわたる書簡、信書控え帳、日記、道中記等を収録し、1861年から1927年までの60年以上にわたる期間が記録されています。レイ卿(Lord Reay)にあてた一部の書簡の草稿を除き、収録されている書簡は全て、書簡の受取人の死後、サトウに返却された原本を情報源としています。

本コレクションは、19世紀から20世紀初頭におけるアジアと英国の関係、そして、英国の東アジア外交に関するユニークな情報源です。

ジャパン・タイムズに匿名寄稿した「英国策論」に言及したアーネスト・サトウの日記
(January 1, 1867 – December 31, 1867. 371pp.)

日本への愛着

アーネスト・サトウは、外交官だけではなく日本研究者としての一面も持っており、日本を愛し、長期にわたる外交キャリアの中で、日本に関する多くの論考を執筆しました。

日本滞在の際、サトウは武田兼と3人の子をもうけますが、後に植物学者となる次男の久吉とは晩年まで文通を続けます。

久吉から結婚を知らせる手紙を受け取る。アーネスト・サトウの日記
(January 1, 1921 – December 31, 1921. 276pp.)

千鳥ヶ淵の桜は、英国公使として日本に滞在していたアーネストサトウが、公使館前の空き地に植えた桜を起源としています。サトウが植えた桜は東京大空襲で失われましたが、戦後にサトウの愛したソメイヨシノが同じ場所に植えられ、今も千鳥ヶ淵の春の景観として親しまれています。

千鳥ヶ淵の桜について言及しているアーネスト・サトウの日記
(January 1, 1916 – December 31, 1916. 249pp.)

幕末期の外交交渉の場を通じて西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文、勝海舟、徳川慶喜等の要人と関わりを持った公人としてのサトウを記録するのみならず、日本文化に深い造詣をもち、個人的に多くの日本人と親交を深めたサトウの人間味あふれる一面を、本コレクションは余すところなく伝えます。

翻刻について

最後にこのコレクションの大きな特徴である翻刻について触れます。本コレクションに収録されている1861年から1927年にかけての日記と道中記に関しては、手稿の内容をテキストに起こした翻刻もあわせて収録しています。

Archives Unboundの電子コレクションに収録されているページイメージは、OCR処理による全文検索が可能となっていますが、もとの原稿が手稿の場合、全文検索は利用することができません。アーネスト・サトウ文書コレクションは手稿が収録コンテンツの大半を占めますが、日記と道中記はページイメージとあわせて翻刻を収録することにより、OCR処理による全文検索が可能となりました。

この翻刻は、北京語言大学 国際中国学研究所 客員研究員の宮澤眞一氏が数十年の歳月をかけて研究・翻刻したものです。サトウ自らの筆跡と、研究者が細心の注意をはらって作成した翻刻をあわせて収録している点において、本コレクションは、利便性と価値を併せ持つものとなっています。

大政奉還に言及しているアーネスト・サトウの日記
(January 1, 1868 – December 22, 1868. 286pp.)

Archives Unboundは、大学等の教育機関に対し、コレクション毎の買切契約で提供されています。
また、センゲージ ラーニング社Galeでは、Archives Unboundシリーズに搭載するコンテンツを探しています。主に欧米言語の資料で、研究価値が高く、教育市場での需要が見込めるものが対象となります。お心当たりがございましたら、センゲージ ラーニング社Galeもしくは株式会社紀伊國屋書店までご相談ください。

アーネスト・サトウが「英国策論」のもとになる英文を匿名寄稿したことで知られるジャパン・タイムズのデータベース「幕末期のジャパンタイムズ」に関する記事もあわせてご一読ください。

(紀伊國屋書店 データベース営業部 伊佐)
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