OCLC News 第35号
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目次
- APRC2019 開催報告
- ―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―
2マイルの近さでも10,000マイル離れていても—ILLで図書館は1つになる(OCLC ILLの40周年に寄せて)
APRC2019 開催報告
OCLCがアジア太平洋地域各国の図書館向けに年一回開催する国際会議、OCLC アジア・パシフィック地域会議(APRC)が、11月20-21日にシンガポールのヴィレッジホテルセントーサにて開催されました。
今年は「Library Futures : Community Catalysis」、「コミュニティの触媒としての図書館」をテーマに200人を超えるコミュニティリーダー、後援者、OCLCスタッフがシンガポールに集まり、図書館員が利用者、関係機関、様々な資料との出会いの機会を作り、化学変化(=新しい変化)を生み出すための学習、洞察、革新の方法を共有しました。
以下は会議で行われた講演記録のPDFファイルです。是非ご一読いただき、職場の方々とご共有ください。
“Ezproxy Analytics, セルフサービスデータの視覚化ダッシュボードによる図書館業務実績指標の追跡”
ライマン・リー
Tracking Library Performance Indicators Through Self-Service Data Visualization Dashboards Laiman Li, Account Manager Australia and AND New Zealand OCLC
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“目録サービス紹介, グローバルカタログサービスを支えるメタデータサービス”
クリス・ネグレル
The Metadata Services That Underpin Global Cataloging Work Chris Négrel, Director, Library Solutions OCLC EMEA
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“図書館間協力ネットワークについて”
ヘレーネ・ブラウワーズ
Build Powerful Networks To Achieve More Together Helene Blowers, Executive Director, Member Relations, OCLC
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“テクノロジーでリードする”
チャード・ウォリス, アクセル・カシュテ
Leading with Technology Richard Wallis, Evangelist and Founder
Data Liberate and Axel Kaschte, Strategy Director, OCLC EMEA
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アクセル・カシュテのPDFをダウンロード
“違う方法でやってみると違う事をする時間ができる”
笹川茂樹, コンスタンス・ウィーブランズ
Do Things Differently So You Have Time To Do Different Things Shigeki Sasagawa, Library Consultat, EMEA & APAC and Constance Wiebrands, University Librarian
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“オープンアクセスへの転換”
アクセル・カシュテ, ヤオ・ピンピン
The Shift To Open Axel Kaschte, Strategy Director, OCLC EMEA and Pin Pin Yeo, Librarian, Singapore Management University Libraries
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“公共図書館、大学図書館、それぞれの分野で利用者のさらなる前進を
イワン・チャン, ホン・ヤオ
Going Further For The User In the Public and Academic Spheres Ivan Chan, Associate Librarian, The Hong Kong Polytechnic University and Hong Yao, Queens Public Library
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“EZproxy: 利用者が望むコンテンツへの接続”
フィオナ・レスリー
EZproxy: Connect Users To Content They Want Fiona Leslie, Digital and Content Marketing Director, OCLC
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“社会的交流を通じたネットワークの創造:図書館で最新のソーシャルメディアを利用するには”
カリオペ・スタフリダキ
Creating Networks Through Social Interaction: How Can You Apply The Latest Social Media Trends In Your Library? Kalliope Stavridaki, Marketing Specialist, OCLC
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“大学図書館コミュニティを強力なものにするには”
レメディアス・ハビアー
Strengthening Your Academic Library Community Remedios Janier, University of Science and Technology of Southern Philippines
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以下はディストリビューター会議での講演記録のPDFファイルです。こちらも是非ご覧下さい。
“OCLCの声: なぜ私達は唯一無二なのか”
ジェンマ・バーク
OCLC’s voice: why we are unique Gemma Burke, Marketing Specialist, OCLC
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“OCLCサービスを巡る旅”
クリス・ネグレル
A journey through OCLC services Chris Négrel, Director, Library Solutions, OCLC EMEA
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“EZproxy®と分析”
フィオナ・レスリー
EZproxy® and Analytics Fiona Leslie, Digital and Content Marketing Director, OCLC
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“WMS : 違う方法でやってみると違う事をする時間ができる”
笹川茂樹, イデル・スー
WMS : Do things differently so you have time to do different things Shigeki Sasagawa, Library Consultants, OCLC APAC and Yider Hsu, Library Consultants, OCLC APAC
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次回のOCLC アジア・パシフィック地域会議(APRC)は2020年11月18-19日、 ニュージーランドのオークランドで開催予定です。
今回の会議の詳細はこちらから≫
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―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―
2マイルの近さでも10,000マイル離れていても—ILLで図書館は1つになる(OCLC ILLの40周年に寄せて)
ジェニー・ローゼンフェルド (Jenny Rosenfeld), リソースシェアリング
先日、ロヨラノートルダム図書館(LOY)の図書館相互貸借(ILL)スタッフは資料の貸借を世界中のどこの場所と行ったのかを追跡調査しました。それは、スタッフのケイト・ストレイン、ザック・ガースブッケリのILLデモを見た1人の学生がこう尋ねた事がきっかけでした。「資料を借りた中で一番遠くの図書館はどこですか?」
判明した答はオーストラリアのメルボルン大学ダルトン・マカウリー図書館で、米国メリーランド州ボルティモアのLOYからは10,038マイル離れていました。
ILLによって図書館がいかに無限の書架を持つ巨大なものになるかの素晴らしい例ではないでしょうか。必要な資料を全て所蔵できる図書館は存在しません。そのため私達は自ら構築したリソースシェアリングコミュニティーに依存しています。実際、自分の地域内よりILLを通じて貸し出す事に重点を置いて資料を保管している図書館もあります。それが資料共有に対する彼らのコミットのしかたです。
積極的にコレクションを共有する
私がカリフォルニアのバーバンクにあるウッドベリー大学(OMB)で初めての仕事として相互貸借を担当しだした時、自館のコレクションを他館とシェアする事に興奮しました。AV資料のレンダーとして豊富なフィルムコレクションに対する多くの申し込みを当然のように受けました。ウッドベリー大学には大規模な建築コレクションがあり、学部や大学院のプログラムを支援しつつ、定期的にそれらの貸し出し希望も受け付けていました。しかし、ILLを通じて通俗的人気図書が少ないながらも常に一定量は貸し出されている事は予期していませんでした。そういった資料は、幸いにも公共図書館、大学図書館、刑務所図書館、地方の小図書館など国中の図書館へ貸し出されます。そして返却後再度配架され、また2-3週間以内にその資料への全く新しいILLリクエストが届くのです。
この状況に対して私が奇妙に感じたのは、それら全てが大学コミュニティの中ではほとんど貸し出しされないタイトルだったという事です。実際、それらの本はそういった事がなければ我々の物理的コレクションに残すほど重要ではないと見なされていたでしょう。進化する図書館での配架スペースは重要問題です。除籍により図書館に空間を生み出し、その他のプログラム―グループ学習エリア、ラーニングコモンズ、その他図書館に利用者をもっと呼び込むための仕掛けを進める事ができます。しかし、これらのILL人気資料の貸出統計を全体的に見ると明らかに所蔵する価値があると理解しました。
自己のコミュニティを超え、進んで手を差し伸べる
私がOCLCに来て図書館間相互貸借の商品に取り組み始めた時、私のILLライブラリアンとしての経験は他の人とは違っているのかが気になりました。他の図書館員もILLの依頼がなければその地域では興味がなくなったという理由で除籍するようなタイトルの貸し出し依頼を受けたのだろうか。これだけのためにコレクションの一部資料を所蔵しておく事に決めただろうか。私は活動的なメンバーコミュニティに連絡し、質問してみました。アイオワ州シーダーラピッズにあるマウントマーシー大学(UIW)のロビン・クラークブリッジスから、非常に素早い返事があり、それはきっぱりと「イエス」でした。
ロビンは彼女の図書館がコレクションの30パーセント削減を目標に、どのようにして大規模な物理的コレクション再編成に着手したのかを語りました。彼女はすぐに私の説明に合致する3つのタイトルを思い付きました。他の図書館からのILL貸し出しで非常に人気があるのに地元の利用者からは利用希望がないものです。
コレクションを見直す時期が来た際、彼女達はILLでの利用状況を意思決定に組み込み、ILLで人気のあるこれらのタイトルを自館で所蔵し続ける事にしました。学部の学問的目標を表していないと感じたことを理由に教員が除籍を主張したタイトルも1つありました。しかしながら、図書館はILLでの絶大な人気によりそのタイトルを残す事に決定しました。
何故私達はこのような決定をするのでしょうか?それは、すべての図書館が図書館間相互貸借によってほぼ無限の書架を備えた1つの巨大な図書館となるからです。自館の利用者が「The Entrepreneur’s Guide to Sewn Product Manufacturing (縫製品製造のための起業家ガイド)」(ほら、未だに正確なタイトルを覚えている!)を借りる気がなかったからと言ってリソースシェアリングコミュニティ内の他の図書館もその本を必要としないという訳ではないからです。そして、もし私の図書館で実際に「The Toxic Avenger (悪魔の毒々モンスター)」をロビンの図書館から借りたいなら、彼女が保管しているので安心して利用者の情報ニーズを満たす事ができるのです。
ILLコミュニティへの祝辞
相互貸借はいつも私にとって最も特別な位置を占めてきました。私達図書館員は、リソースシェアリングのおかげで地元図書館での奉仕を超えてコミュニティへ手を差し伸べる事ができます。私達は著作の締め切りに間に合わせたい教員にとって見つけ難い資料を探す手伝いをしたり、4年生の論文に最適の資料を探す手助けをしたりできます。しかし、それを可能にしているのはもっと大きなILLコミュニティへのつながりです。そのつながりの一部は我々の資料を共有する事であり―全国で―あるいは世界中で利用者の情報ニーズを満足させる事なのです!
過去3年間、LOYは海外の14カ国を代表する図書館から46回資料を借りました―近くはカナダから遠くは台湾、日本、香港、レバノンからです。これが1979年以来、私達の築いてきた世界的規模のリソースシェアリングコミュニティの証です。OCLC ILLの40周年をお祝いする時、この比類なきコミュニティによっていかに図書館の書架が町を超え、世界へと広がっているのかをみる事ができます。
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(紀伊國屋書店 OCLCセンター)