世界有数の図書館、公文書館等が所蔵する19世紀の貴重な資料から史料的価値の高いものをデジタル化して提供するデータベース、Nineteenth Century Collections Online (NCCO)。今回は、その中からChildren’s Literature and Childhoodをご紹介します。
児童教育の担い手が民間領域から公的領域へ-19世紀のイギリス
児童教育の担い手が民間領域から公的領域へ移行し、現代の公教育をめぐる問題を学問的に検討する上で、19世紀のイギリスは原点として位置づけられます。
Children’s Literature and Childhoodでは、この時代のイギリスにおける教育問題に焦点を定め、教育への国家による政策的介入に関する様々な事例のなかから、上流階級やミドルクラスではなく、労働者階級を中心とする下層階級(民衆)の児童や救貧児童、孤児、障害児童、移民児童など社会的弱者の教育に関する書籍や行政資料を収録します。
また、フロリダ大学ボールドウィン図書館など世界有数の児童書コレクションを収録し、読み書き能力が向上し、貪るように読書を始めた19世紀のミドルクラスや庶民の読書事情に迫ります。
公教育の問題の原点-貧困児童、障害児童等の教育
20世紀における福祉国家の社会政策を先取りするように、19世紀イギリスでは救貧法や工場法、あるいは公衆衛生などの領域で国家による政策的介入が実施され、教育の領域でも改革が進められました。それ以前は、社会の多数を占める下層階級の教育は、主に宗教団体による慈善活動として提供され、これらの団体が運営する学校でキリスト教の教義に則った道徳教育を中心に据えつつ読み書き算術を教えるという、道徳・宗教教育の性格を帯びていました。
しかし、労働者階級の政治参加への要求が高まり、1867年の第二次選挙法改正によって都市労働者階級に選挙権が拡大されると、国家が教育を担う必要性が認識されるようになり、1870年に初等教育の義務化を骨子とする初等教育法が成立しました。また、都市化と工業化により貧富の格差が拡大する中、初等教育の義務化に先行して民間の教育施設への公的な助成もはじまりました。
19世紀末には障害を抱えた児童に対する初等教育を義務化する法制度も整備されます。児童教育の担い手が民間から公に移行した19世紀イギリスは、公教育をめぐる問題を学問的に検討する上での原点と位置付けることができます。
Children’s Literature and Childhoodは、イギリスのみならず広く欧米に目をむけ、19世紀における国家の教育政策に関する様々な事例のなかから、下層階級の児童や貧困児童、孤児、障害児童、移民児童など社会的弱者の教育に関する書籍や行政資料をとりあげます。
19世紀の欧米の児童書の世界
19世紀の欧米では人々の識字率が大きく向上しました。労働時間が短縮され、余暇を手に入れた人々は貪るように新聞、雑誌、小説を読みました。初等教育が義務化され、貧困家庭や地方の家庭の子どもにも教育の機会が提供されるようになると、児童向け出版物の市場が飛躍的に拡大し、学校教育で使われる教科書の他にも、童話、民話、戯曲、詩、小説、トイブックなど、子どもの想像力を養い、読んで面白い出版物が大量に刊行されました。
Children’s Literature and Childhoodは、児童書の世界的コレクションで有名なフロリダ大学ボールドウィン図書館、彩色図版の多用で一世を風靡したマクローリン兄弟社の児童書を多数収録するアメリカ稀覯書協会、大英図書館の児童書コレクションから精選された児童書を収録、19世紀の児童書の世界を今に甦らせます。
収録コレクション
The History of Education(教育の歴史)
- 年代:1800年~1920年
- 言語:英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語ほか
- 原本所蔵機関:英国公文書館:コロンビア大学教育学部ミルバンク記念図書館、ハーバード大学ワイドナー・アンド・ガットマン図書館
15世紀から20世紀までの教育学の古典(約12,000タイトル)を収録する、全26ユニットの「教育の歴史」コレクションです。これまでマイクロフィッシュで提供されてきた本コレクションは、主題別の精選コレクションとしても提供されてきました。
本アーカイブでは、このうち「教育と社会問題」「障害者教育」「心理学」の三つの精選コレクションを収録します。18世紀半ばから20世紀前半までを19世紀に連なる重要な期間ととらえるNCCOの収録方針の下、18世紀から20世紀までの著作を幅広く収録します。
Education and Social Issues(教育と社会問題)
貧困層の教育、教育と禁酒運動、マイノリティと移民の教育、女子教育、地方農村の教育、教育と犯罪、教育心理学、家庭教育など、広範囲にわたる主題をとりあげた著作約400タイトルを収録します。
収録文献例
- フリードリヒ・フリケ(Friedrich Fricke)-
『国民学校における公開講義の一般的方法(Allgemeine Methodik des Öffentlichen Unterrichtes in Bürger-Und Landschulen)』
- パトリック・コルクホーン(Patrick Colquhoun)-
『労働者階級のための新しく妥当な教育システム(A New and Appropriate System of Education for the Labouring People)』(1806)
- アンドリュー・ベル(Andrew Bell)-
『教育の実験の分析(An Analysis of the Experiment in Education)』(1807)
- ジョン・ランカスター(John Lancaster)-
『教育の改善(Improvements in Education)』(1807)
- ジョセフ・ランカスター(Joseph Lancaster)、アンドリュー・ベル(Andrew Bell)
『パリにおける教育の著しい達成に関する説明(An Account of a Remarkable Establishment of Education at Paris)』(1809)
- デウィット・クリントン(Dewitt Clinton)-
『ニューヨークフリースクール協会の後援者、校友への講話
(An Address to the Benefactors and Friencs of the Free School Society of New York)』(1810)
- ゴドフリー・フォーセット(Godfrey Faussett)-
『国教会の原理に基づく貧者の教育の必要性に関する説教
(A Sermon on the Necessity of Educating the Poor in the Principles of the Established Church)』(1811)
- トマス・バーナード(Thomas Bernard)-
『バリントン学校(The Barrington School)』(1812)
- 『ニューヨーク市女性協会年次報告(Annual Report of the Female Association in the City of New York)』(1815)
- ジョン・フォスター(John Foster)-
『民衆の無知という害悪に関する試論(An Essay on the Evils of Popular Ignorance)』
- サミュエル・ウィルダースピン(Samuel Wilderspin)-
『貧困家庭の幼児の教育の重要性(On the Importance of Educating the Infant Children of the Poor)』(1824)
- フランセス・ライト(Frances Wright)-
『現存する悪とその矯正に関する講義(A Lecture on Existing Evils and Their Remedy)』(1829)
- ヨハン・ガスパー・シュプルツハイム(Johann Gaspar Spurzheim)-
『人間の本性の研究に基づく教育の基本原則
(A View of the Elementary Principles of Education, Founded on the Study of the Nature of Man)』(1833)
- タウンゼント・スティス(Townshend Stith)-
『女性教育に関する考察(Thoughts on Female Education)』(1831)
- アルベルティン・ネッケル・ド・ソシュール(Albertine Necker de Saussure)-
『進歩教育(L’Éducation Progressive)(1836)
- 『イングランドとウェールズにおける貧困階級の教育に関する特別委員会報告
(Report from the Select Committee on Education of the Poorer Classes in England and Wales)』(1838)
- サミュエル・グリスウォルド・グッドリッチ(Samuel Griswold Goodrich)-
『炉辺の教育(Fireside Education)』(1839)
- ジャック・ブーシェ・ド・ペルテ(Jacques Boucher de Perthes)-
『貧困層の教育(De l’Éducation du Pauvre)』(1842)
- 第7代シャフツベリ伯アントニー・アシュリー=クーパー(Anthony Ashley-Cooper Shaftesbury)-
『労働者階級の道徳・宗教教育(Moral and Religious Education of the Working Classes)』(1843)
Education of the Handicapped(障害者教育)
障害児の処遇は時代と地域が異なれば大きく異なります。障害を抱えた子どもたちは教育を受けるために長い間、大きな困難に直面してきましたが、その一方で障害児教育に積極的に関わってきた個人、教育者、団体も存在します。本コレクションは、様々な障害を抱えた児童に関する文献約170点を収録します。
収録文献例
- 『聾唖児童の教育のための機関の報告(Report of the Institution for the Education of Deaf & Dumb Children)』(1818)
- トーマス・ホプキンズ・ギャローデット(Thomas Hopkins Gallaudet)- 『聾唖者に教育を行なう義務と便益に関する説教 (A Sermon, on the Duty and Advantages of Affording Instruction to the Deaf and Dumb)』(1824)
- 『グラスゴー盲学校における教育、雇用、校内処遇に関する声明 (Statements of the Education, Employment, and Internal Arrangements, Adopted at the Asylum for the Blind, Glasgow)』(1836)
- ダニエル・ゴットリープ・モーリッツ・シュレーバー(Daniel Gottlieb Moritz Schreber)- 『正常な身体育成の促進を通じての美の教育 (Erziehung zur Schönheit Durch Naturgetreue und Gleichmässige Förderung Normaler Körperbildung)』(1858)
- ホーレス・マン(Horace Mann)- 『アンチオーク大学における12の説教(Twelve Sermons: Delivered at Antioch College)』(1861)
- ハーヴェイ・バッカス・ウィルバー(Hervey Backus Wilbur)- 『初等教育の原理と方法に関する提言(Some Suggestions on the Principles and Methods of Elementary Instruction)』(1862)
- トマス・アーノルド(Thomas Arnold)- 『聾唖教育:フランスとドイツのシステムの解説と評価 (The Education of the Deaf and Dumb: An Exposition and a Review of the French and German Systems)』(1872)
- アレクサンダー・グラハム・ベル(Alexander Graham Bell)- 『吃音等発声障害の矯正のための発声生理学の確立 (Establishment for the Study of Vocal Physiology, for the Correction of Stammering, and Other Defects of Utterance)』(1872)
- エドワード・セガン(Edward Seguin)- 『教育の報告(Report on Education)』(1880)
- トマス・ローズ・アーミテージ(Thomas Rhodes Armitage)- 『盲人の教育と雇用(The Education and Employment of the Blind: What It Has Been, is, and Ought to Be)』(1886)
Psychology(心理学)
19世紀から20世紀にかけての世紀転換期、欧米諸国では心理学への関心と知識が飛躍的に高まり、教育分野に多大な影響を及ぼしました。本コレクションはこの時期の心理学関連の著作約300タイトルを収録、その中には英語の著作の他、19世紀のドイツ人の教育心理学への貢献を物語る100タイトル近いドイツ語の著作を含みます。
収録文献例
- ヨハン・フリードリヒ・ヘルバルト(Johann Friedrich Herbart)-
『ペスタロッチの観念: 直観のABC(Pestalozzi’s Idee Eines ABC der Anschauung)』(1802)
- エリザベス・ハミルトン(Elizabeth Hamilton)-
『教育の基本原理に関する書簡(Letters on the Elementary Principles of Education)』(1803)
- エイモス・イートン(Amos Eaton)-
『公立学校の改善のための教育システムの提案
(A System of Education Proposed for the Improvement of Common Schools)』(1829)
- ウィリアム・ヘンリー・ベインブリッジ(William Henry Bainbrigge)-
『早期教育(Early Education)』(1854)
- ジェイムズ・カリー(James Currie)-
『早期・幼児学校教育の原理と実践(The Principles and Practice of Early and Infant School-Education)』(1865)
- フリードリヒ・エドゥアルト・べネケ(Friedrich Eduard Beneke)-
『教育と教授の理論(Erziehungs-Und Unterrichtslehre)』(1876)
- ルートヴィッヒ・シュトルンペル(Lutwig Strümpell)-
『心理教育学(Psychologische Pädagogik)』(1880)
- ジェイムズ・サリー(James Sully)-
『心理学綱要と教育技法への応用(Elements of Psychology, with Special Applications to the Art of Teaching)』(1886)
- ベルンハルト・マース(Bernhard Maass)-
『心理学の学校への応用(Die Psychologie in Ihrer Anwendung auf die Schulpraxis)』(1887)
- アレクサンダー・べイン(Alexander Bain)-
『科学としての教育(Education as a Science)』(1887)
Childhood in the Nineteenth Century: Records from the Home Office(19世紀における児童期:英国内務省記録)
- 年代:1870年代~1910年代
- 言語:英語
- 原本所蔵機関:英国公文書館
19世紀、下層階級の貧困児童の教育を担っていた教会や慈善団体、個人が提供する民間の教育施設に対して公的な助成が行なわれるようになります。この中には、監獄に収容された児童の矯正を目的として設立された感化院(Reformatory School)も含まれます。1857年には貧困児童や浮浪児への教育のための勤労学校法が制定され、勤労学校(Industrial School)が設立されました。 本コレクションは、各学校の認定書、関係者の書簡、報告書を収録します。
収録資料に関係する教育施設
- Essex Industrial School for Boys
- Glamorganshire Reformatory School
- Castle Howard Reformatory School for Boys
- Northamptonshire Reformatory School
- North Eastern Reformatory School
- Farnworth Reformatory School
- Princess Mary Village Homes
- Herts Training School
- St. Joseph’s Boy’s School
Education in the Nineteenth Century: Records from the Department of Education and Science (19世紀における教育:教育科学省記録)
- 年代:1890年代~1920年代
- 言語:英語
- 原本所蔵機関:英国公文書館
1870年に初等教育法が施行されると、聾唖児童への初等教育の提供という課題があとに残りました。1886年に盲聾王立委員会(Royal Commission on the Blind and the Deaf)が発足、1889年の報告書で聾唖児童への義務教育が勧告されたことを受け、1893年の聾唖初等教育法が制定、1899年には精神障害児・てんかん児初等教育法が制定されました。
本コレクションは、これらの法律制定後にイギリス各地に設立された障害児学校に関し、教育委員会による視察報告書、各種行政規則に関する教育省の報告書など、障害児教育行政をめぐる19世紀末から1920年頃までの資料を収録します。
Growing Up in America: Children’s Literature of Immigrant and Native Communities (アメリカ移民・先住民社会児童書集成)
- 年代:1816年~1900年
- 言語:ドイツ語、英語、フランス語、ハワイ語、スペイン語、フィンランド語ほか
- 原本所蔵機関:アメリカ稀覯書協会
アメリカ稀覯書協会が所蔵する児童書コレクションのなかから、アメリカの移民児童向けの書籍209点を収録します。ドイツ語書籍が大多数を占めます。
Learning and Leisure: A Selection of Children’s Literature from the British Library
(学習と余暇:大英図書館所蔵児童文学精選)
- 年代:1789年~1922年
- 言語:英語、ロシア語、ドイツ語、フランス語
- 原本所蔵機関:大英図書館
識字率の向上、労働時間の短縮、初等教育の義務化という社会的変化は出版業界に恩恵をもたらしました。大衆読者層が出現し、教育目的の書籍の需要も高まりました。本コレクションの多くは、教育目的で書かれた英語の本です。
収録文献例
- 『若い女性の向上のための詩と散文による読本 (The Female Reader: Or Miscellaneous Pieces in Prose and Verse; Selected from the Best Writers, and Disposed under Proper Heads; for the Improvement of Young Women)』(1789)
- ヨアヒム・ハインリッヒ・カンペ(Joachim Heinrich Campe)- 『児童書選集(Sämmtliche Kinder-Und Jugendschriften)』(1807)
- ウィリアム・クラーク(William Clarke)- 『ボーイズ・オウン・ブック: 少年のための趣味・運動・科学・娯楽百科 (The Boy’s Own Book: A Complete Encyclopedia of All the Diversions, Athletic, Scientific, and Recreative, of Boyhood and Youth)』(1828)
少年の遊び全般をカバーする百科事典『ボーイズ・オウン・ブック: 少年のための趣味・運動・科学・娯楽百科』。
目次(マイナースポーツ、陸上スポーツ、水上スポーツ、鳥や動物と親しむ、科学、知能ゲーム、手話)からは、19世紀の少年の遊びの諸相が見えてくる。本文には挿絵も多い。
- リンドリー・マレー(Lindley Murray)- 『綴り方教本:練習問題付(An English Spelling-Book with Reading Lessons Adapted to the Capacities of Children)』(1834)
- デイヴィッド・ストウ(David Stow)- 『大都市人口に相応しい幼児・青少年向け道徳教育 (Moral Training, Infant and Juvenile: As Applicable to the Condition of the Population of the Large Towns)』(1834)
- チャールズ・トレヴェリアン(Charles E. Trevelyan)- 『インドの民の教育On the Education of the People of India』(1838)
- シャーロット・アダムズ(Charlotte Adams)- 『盗まれた子ども:ローラと巡回芸人とその家族の冒険(The Stolen Child: Or, Laura’s Adventures with the Travelling Showman and His Family: by Charlotte Adams)』(1838)
- ジェイムズ・シャトルワース(James Phillips Kay Shuttleworth)- 『イングランドにおける教育の促進のための最近の方策(Recent Measures for the Promotion of Education in England)』(1839)
- ウィリアム・ヒクソン(William Edward Hickson)- 『オランダとドイツの学校 (Dutch and German Schools: An Account of the Present State of Education in Holland, Belgium, and the German States)』(1840)
- ウィリアム・コニーベア(William John Conybeare)- 『少年を宗教と道徳の力で感化するための手段(On Some Means of Gaining Religious and Moral Influence over Boys)』(1844)
- デイヴィッド・ストウ(David Stow)- 『国民教育: 貧困層と労働者階級を道徳と知性の面で向上させることに関するイングランドの責務 (National Education: The Duty of England in Regard to the Moral and Intellectual Elevation of the Poor and Working Classes』(1847)
- 『少年のためのクリスタル・パレス読本(The Crystal Palace: A Little Book for Little Boys, for 1851)』(1851)
- ウィリアム・ライアン(William Burke Ryan)- 『幼児殺し: その法、流行、防止、歴史(Infanticide; Its Law, Prevalence, Prevention, and History)』(1862)
- ハリー・チェスター(Harry Chester)- 『労働者階級のための教育と進歩(Education and Advancement for the Working Classes)』(1863)
- スメドレー(Menella Bute Smedley)とハート(Elizabeth Anna Hart)- 『子どものための詩(Poems Written for a Child)』(1868)
- アレクサンドル・アファナーシェフ(Aleksandr Nikolaevich Afanas’ev)- 『子どものためのロシアの民話(Russian Folk Tales for Children)』(1870)
- 『アリス、あるいはペルシアにおけるイギリス人少女の冒険(Alice, or the Adventures of an English Girl in Persia)』(1885)
- トマス・チェイス(Thomas Chase)- 『教養教育:その目的と方法(Liberal Education: Its Objects and Methods)』(1886)
- 『家庭の教育と訓練百科事典(Encyclopedia of Family Education and Training)』
- 『公教育の問題についての会話(Conversations about the Problems of Public Education)』(1901-1902)
Juvenile Crime and Detention: Records from the Home Office and Prison Commission (少年犯罪と勾留:イギリス内務省刑務所委員会の記録)
- 年代:1871年~1873年
- 言語:英語
- 原本所蔵機関:英国国立公文書館
イギリス内務省刑務所委員会の刑務所記録から、収監された少年の氏名、職業、年齢、身体的特徴、罪状、刑を宣告された日と場所など写真入りで記載した一枚ものの記録シート170枚を収録します。
Juvenile Journalists: Selected Amateur Newspapers (児童新聞コレクション)
- 年代:1830年~1899年
- 言語:英語
- 原本所蔵機関:アメリカ稀覯書協会
アメリカ稀覯書協会が所蔵する約5,500タイトルのアマチュア新聞から児童が作成した新聞111紙を収録します。
収録紙
The Acorn |
The Amateur Globe |
The Amateur Guide |
The Amateur Press |
Amateur Times |
Amateur Tribune |
The Amateur World |
The Arbor |
The Argus |
The Ark |
The Bee |
The Boomerang |
The Boy’s Herald |
The Boys’ Ensign |
The Boys’ Folio |
The Boys’ |
GemThe Boys’ Herald |
Boys’ Herald |
The Boys’ Journal |
The Boys’ Own Weekly Excelsior |
Boys’ South |
Bric-A-Brac |
The Brilliant |
The Buckeye Boy |
The Bumble Bee |
The Cadets’ Trumpet |
Canada |
Canada First |
The Carrier Dove |
The Comet |
The Cricket |
The Detroiter |
The Dew Drop |
The Diamond |
Diamond State |
The Dynamite |
The Egyptian Star |
The Far West |
The Gatling Gun |
The Gazette |
The Girls’ Enterprise |
The Hornet |
Idyllic Hours |
The Illinois Amateur |
The Javelin |
The Jersey Amateur Journal |
The Jolly Queer |
The Junior Press |
Juvenile Key |
The Keystone Youth |
Le Bijou |
The Little Gem |
The Little Hero |
The Little Lunatic |
The Little Pioneer |
The Little Sioux |
The Mammoth |
The Meteo |
The Michigan Amateur |
The Monthly Gem |
Moonbeams |
North Carolina Amateur |
The Northern Star |
The Northern Star |
The Odd Trump |
The Olio |
The Oregon Boy |
Our Boys |
Our Enterprise |
Our Flag |
Our Girls |
Our Journal |
Our Western Youth |
Ours |
The Pearl |
Penfield Extra |
The Phœnix |
The Phunny Phellow |
The Pilot |
The Punching Judy |
Queen City Amateur |
The Rugby Monthly |
Scarifier |
Schoenfeld |
The Schoolmate |
The Scout |
The Snark |
The Snow-Flake |
The Southern Star |
Spunk |
The St. George Juvenile |
The Star |
Star of the West |
Storms’ Spunk |
The Terror |
The Thistle |
The Voice. A Quarterly Magazine |
The Wasp |
The Waverly |
Welcome News |
Welcome Visitor |
The Wolverine |
The Wolverine Amateur |
The Yankee Boy’s Repository |
Young America for Boys and Girls |
The Young American |
The Young Critic |
Young Nova Scotia |
The Youngster |
The Youth’s Pilot |
The Youthful Enterprise |
|
Selected Titles from the Children’s Collection at the American Antiquarian Society
(アメリカ稀覯書協会所蔵児童書コレクション選集)
- 年代:1820年~1940年
- 言語:英語
- 原本所蔵機関:アメリカ稀覯書協会
アメリカ稀覯書協会(American Antiquarian Society)が所蔵する児童書約440タイトルを収録、そのうち約350タイトルは1850年から20世紀初頭にかけてマクローリン兄弟社(McLoughlin Bros., Inc.)によって刊行されたものです。同社の児童書は彩色図版で知られています。
Selections from the Baldwin Library Collection of Historical Children’s Literature
(フロリダ大学ボールドウィン図書館所蔵歴史的児童書コレクション選集)
- 年代:1801年~1977年
- 言語:英語、ブルガリア語、デンマーク語ほか
フロリダ大学ボールドウィン図書館所蔵、世界的に有名な児童書コレクションを収録します。歴史的名著の異版や著名な児童向け定期刊行物など、近代以降に刊行された児童向け文献を広く収録している点が大きな特徴です。
18世紀に初版が刊行された『ロビンソン・クルーソー』。本コレクションでは異版や翻案した種々のロビンソン物語を収録します。他にも、『不思議の国のアリス』や『天路歴程』など17-18世紀に初版が刊行され、19世紀にも広く流通していた作品が多数収録されています。17-18世紀に刊行された児童書が19世紀においてどのような版で読まれ続けていたのか、本コレクションを精査することでその歴史的発展のプロセスを辿ることができます。
アイザック・ウォッツ(Isaac Watts)の『児童のために平易な言葉で書かれた賛美歌』(1715)は2世紀に亘り出版が続けられ、人々に親しまれました。アンナ・リティシア・バーボールド(Anna Laetitia Barbauld)は大きなフォントの活字と1音節と2音節の単語で書かれた本で有名です。マライア・エッジワース(Maria Edgeworth)の教育論 (『実践的教育(Practical Education)』)と児童向け物語(『親の手助け』)は、19世紀末まで様々な形態で刊行され続けました。”Mrs. Lovechild”や”Mrs. Teachwell”のペンネームで執筆したエレノア・フェン(Lady Ellenor Fenn)の最も有名な本『ハエを捕るクモの巣 (Cobwebs to Catch Flies)』は、対話式で書かれた児童向け教育書の初期の例です。
児童向け定期刊行物『セント・ニコラス・マガジン』は、”St. Nicholas League”欄に若い読者の作品を掲載、エドナ・ミレイ(Edna St Vincent Millay)やE. B. ホワイト(E. B. White)などの作家の若い頃の作品を掲載したことでも知られています。
19世紀に刊行された作品についても、詩、教科書、劇、童話、トイブック、祈禱書、小説など様々な形式のものが多数収録されています。19世紀の児童文学と言えばこの時代に流行した少年向けの冒険小説が有名ですが、フレデリック・マリアット船長(Captain Frederick Marryat)、ジョージ・アルフレッド・ヘンティ(George Alfred Henty)、『サンゴ島(The Coral Island)』の作家で本コレクションでも30タイトル以上の作品を収録するロバート・マイケル・バランタイン(Robert Michael Ballantyne)のような現代でも著名な作家、ウィリアム・ヘンリー・ジャイルズ・キングストン(William Henry Giles Kingston)、トマス・メイン・リード(Thomas Mayne Reid)のような忘れられた作家、アン・ボウマン(Anne Bowman)のように男性作家の分野と見なされた冒険小説で作品を残した女性作家の作品も、本コレクションには収録されています。
さらに、若きキップリングやイーディス・ネズビットに賞賛され、ガールスカウトの前身ガールガイドの年少部門に影響を与えた『ブラウニーズ』の作者、ジュリアナ・ユーイング(Juliana Horatia Ewing)、『サンビーム・シリーズ(Sunbeam Series)』の作者でヘンリー・マッカーラス夫人の名前で執筆したマチルダ・アン・マッカーネス(Matilda Anne Mackarness)、”A.L.O.E.”(「イングランドの淑女」)のペンネームで執筆したシャーロット・タッカー(Charlotte Tucker)の作品も収録されています。
本コレクションの中核となるのが19世紀のアメリカ人作家の作品です。ボールドウィン図書館児童書コレクションは、北米最大規模の初期アメリカ児童文学コレクションです。”Oliver Optic”のペンネームで執筆したウィリアム・テイラー・アダムズ(William Taylor Adams)はマサチューセッツ州選出の下院議員活動のかたわら、『リバーデイル物語(Riverdale Stories)』、『海外へ羽ばたく若きアメリカ(Young America Abroad)』、『上へ、前へ(Upward and Onward)』などの人気シリーズで一世を風靡しました。ハリエット・ベイカー(Harriette Newell Woods Baker)は多作で知られ、「マデリン・レスリー夫人(Mrs. Madeline Leslie)」、「ハティー叔母さん(Aunt Hattie)」など多数のペンネームを使い、世に送り出した作品は200作にも及びます。おそらく今日最も知られている作家、ジェイコブ・アボット(Jacob Abbott)はベイカーと同様多作で、ロロ(Rollo)シリーズは空前の人気を博しました。サミュエル・グッドリッチ(Samuel Griswold Goodrich)は、教訓話で構成されたピーター・パーレイ(Peter Parley)シリーズで成功しました。
19世紀の児童文学は福音主義の基調を強く帯びていたことでも知られています。その代表的な作家で『天国に向かって歩みつつ(Stepping Heavenward)』を書いたエリザベス・プレンティス(Elizabeth Prentiss)と『心地よい道(Pleasant Pathways)』のダニエル・ワイズ(Daniel Wise)は、宗教を主題とする小説や宗教の教えを説く著作を世に送り出しました。
ハリエット・ビーチャー・ストウ(Harriet Beecher Stowe)、リディア・マライア・チャイルド(Lydia Maria Child)、エライザ・フォールン(Eliza Lee Cabot Follen)ら、奴隷制廃止論者の作品も多数収録しています。
フィクションがコレクションの多数を占める一方で、児童教育のために書かれた書籍も収録されています。ファヴェル・リー・モーティマー(Favell Lee Mortimer)は、『遥か彼方の国々−アジアとオーストラリア(Far Off; or, Asia and Australia Described)』のような地理の分野から『夜明けに(The Peep of Day)』のような宗教的教え、『簡単にできる読み方(Reading Without Tears)』のような教科書まで、児童の教育を目的とした書籍を多く執筆しました。ジョン・ウッド(J.G. Wood)は、児童向けの博物学−特に動物の−の美しい図版本で有名です。19世紀前半の動物学者、植物学者サラ・リー(Sarah Bowdich Lee)は、子どもも大人も楽しめる科学読み物を出版しました。
児童文学の研究では図版も価値を持ちます。本コレクションの収録作品には19世紀を代表する挿絵画家の図版が多数掲載されています。
挿絵画家に贈られる賞にその名を残すランドルフ・コールデコット(Randolph Caldecott)、アーツ・アンド・クラフツ様式で19世紀後半の児童書の挿絵に決定的な影響を与えたウォルター・クレイン(Walter Crane)、伝説的ともいうべきグリム童話の挿絵で名高いジョージ・クルックシャンク(George Cruikshank)、18世紀の服装を身に纏う牧歌的でノスタルジーを誘う児童を描き、ウォルター・クレインやコールデコットと人気を分けたケイト・グリーナウェイ(Kate Greenaway)。彼らほど有名ではないものの、魅力的な挿絵を残した画家の作品も収録されています。ジュリアンナ・ユーイングの作品など児童書に挿絵を提供したリチャード・アンドレ(Richard André)、ジョージ・ヘンティ、アンドリュー・ラング、L.T. ミード、イーディ・ネズビットらの児童書に挿絵を提供したゴードン・フレデリック・ブラウン(Gordon Frederick Browne)、カナダの挿絵画家で、悪戯好きの妖精が登場する「ブラウニーズ(Brownies)・シリーズ」が商業的に成功を収めたパーマー・コックス(Palmer Cox)、猫など動物の挿絵が幾多の絵本や児童向け博物学の本を飾ったハリエット・ワイア(Harrison Weir)ら、です。
19世紀の本の挿絵には版画家の作品も使われました。ジョージ、エドワード、ジョン、トマスのダルジェル兄弟(Dalziel brothers)やエドマンド・エヴァンス(Edmund Evans)の作品が本コレクションに多数収録されています。
児童文学には、その時々の社会的、倫理的、経済的、政治的ジレンマが反映されています。Children’s Literature and Childhoodでは、ヨーロッパ、北米を中心に、19世紀の児童向け文学や定期刊行物を通じて、児童向け出版物の発展、法的・社会的の両面での幼少期の定義、教育システムや教育資料の発展、児童関連の法律の発展その他多くのトピックを取り上げます。
(センゲージ ラーニング株式会社)
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