これからの出版と読書

2023年バンコク国際ブックフェア現地レポート

2023.05.17

2023年3月30日から4月9日までバンコクのクイーン・シリキット・ナショナルコンベンションセンターにてバンコク国際ブックフェアが開催されました。現地の様子とタイでの書籍販売のトレンドをお伝えいたします。

1.会場はどんなところ?

昨年2022年にAPECも開催されたクイーン・シリキットコンベンションセンターはリノベーションされたばかりのとても広く綺麗な建物です。バンコクの中心部にありますが、広大な敷地と池を持つベンジャキティ森林公園に隣接しており、静かで自然豊かな環境です。建物内部にはタイの伝統美術を生かした装飾が各所にほどこされ、まるで美術館のようです。

↑4/2日曜の様子です。多くの若者がホールで休憩しながら戦利品を見分しています。なお、入場料やチケットは不要です。主催のタイ出版販売協会による公式発表によると、会期全体の来場者数はのべ115万人、総合売上は約3.5億バーツ超(約13億円)にものぼったそうです。

↓会場内はこのように多数の出展社がブースで販売を行っています。
今回の出展社数は合計331社、ブースの数は900ブース以上でした。

2.タイの「ブックフェア」の文化

今回のバンコク国際ブックフェアは、おもに出版流通にかかわる業者が一般のお客様に対して物販を行うイベントです。「ブックフェア」というとフランクフルトブックフェア、ロンドンブックフェアなど出版社と書店の商談であったり、版権や翻訳ビジネスに関わる商談の場というイメージが強いですが、タイにおけるブックフェアはおもにBtoCの物販イベントを指します。

特にAmarinbooks、SE-ED、Nanmee Booksといったタイの大手出版社は大型ブースを展開して臨んでいます。出版社が直接読者に本を売るというのがタイのブックフェアの特徴です。

タイでは、今回のような国際的な規模のものから、大学のオープンキャンパス、インターナショナルスクールでのアクティビティとしてのブックフェア等々、様々な規模と場所で一年中ブックフェアが行われています。保護者と生徒が一緒に本を選んだり、図書室に置くための選書の機会でもあります。

今回のバンコク国際ブックフェアはコロナ禍が終わり、タイの完全開国後初の超大型イベントでした。出版社は話題書の新刊発売記念イベントやサイン会を開催し、書店の多くはブースで15 %~25%の特別値引きで販売していました。

タイ紀伊國屋書店バンコク営業所チームもかつてない気合と品ぞろえで臨みました。

↓今回のKinokuniyaブースデザインは猫とJAPAN。

他社のブースもご紹介。どこも気合が入っています。

3.どんな商品が売れているの?

タイ紀伊國屋書店のブースでは日本語の書籍を全面に押し出して販売しました。

イラスト画集、アートブック、写真集、日本語学習教材、料理本や雑誌ふろく付のムックなどが人気です。マンガやアニメ関連の商品も勿論よく売れています。

客層の多くが10代~20代の若者や学生です。

輸入品ということで比較的高額な価格帯になりますが、普段よりお得に購入できる機会とあって手に取っていただけるお客様が多いです。

4.おわりに

タイ紀伊國屋書店はバンコク市内に3店舗ございます。幅広いラインナップで各種言語の書籍を取り揃えております。Bookshops in Thailand – Books Kinokuniya

また、バンコク営業所では大学や企業など法人のお客様とのお取引、インターナショナルスクールへの図書や教材をお取り扱いしております。タイ語、英語、日本語でのご対応が可能ですのでお気軽にお問合せください。
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(パシフィック・エイシアン地区営業本部 高野 未央)