提供元
Brill
概要
キューバの首都ハバナにあるCasa de las Américasは、ラテンアメリカ、カリブ海地域で最も有名な文化施設の1つです。
1959年創設以来、地域内の何千人もの作家、芸術家を受け入れ、数多くの書籍・雑誌を出版、会合、コンサート、展覧会、演劇、文化的なコンテストを開催してきました。キューバ革命が1959年に終わった3カ月後に設立され、ラテンアメリカとカリブ海地域の文化的先駆者と、外交的に孤立したキューバをつなぎました。
60年にわたって蓄積された膨大な情報から、文化の中心地であるCasa de las Américasと、注目すべき時代の歴史と、主役を演じた人々の歩みを辿ることができます。
Casa de las Américas所蔵資料コレクション
The Vertical Archive of the Casa de las Américas, Part 1: “Casa y Cultura”
革命期キューバと海外との文化的関係の約60年間を網羅する45,000点の文書群
ラテンアメリカ・カリブ海地域で最も有名な文化施設Casa de las Américasの図書館が所蔵する資料の1セクション、“Casa y Cultura”(通称Archivo Vertical)は、1959年以降に収集された記事、新聞の切り抜き、電信、インタビュー他、545フォルダーに分類された約45,000点の多彩な文書で構成されます。キューバ内外の同施設の活動を記録し、激動の時代の葛藤と情熱を今に伝えます。会合と議論、声明書と公開状をあわせてご提供することで、活気に満ちた文化の歴史に新たな、そして思いがけない角度から光を当てます。
文書収集開始の経緯
もともとは、Casa de las Américasの多岐にわたる活動を記録する目的で、外部に委託して新聞の切り抜きを収集したことが始まりです。その後次第に、諸外国から関連資料が送られてくるようになり、さらには施設内の職員や研究者からの資料も含め、コレクションが充実していきました。
資料の多くが目録化されていない新聞の切り抜きや未刊の特報など、入手困難なものです。これらの資料はCasa de las Américasで活用、回覧されたのち、施設内の図書館に回付され、保管されました。余白への書き込みも見られる点でも興味深い資料群です。
作家と芸術家
Casa de las Américasで毎月開催されるイベントプログラム(Programa del Mes)は特筆すべき資料であり、同施設の公的活動の記録です。また、研究所のさまざまな部門についての情報や、同施設が授与する著名な文学賞カサ・デ・ラス・アメリカス賞(Premio Casa de las Américas)関連の広範なファイルも重要な資料です。また、キューバ革命の契機となるモンカダ兵営の襲撃事件に参加した女性であり、1980年に亡くなるまでCasa de las Américasの会長を務めたHaydee Santamaríaに関する情報も含みます。
本コレクションで取り上げられている人物例
- Miguel Angel Asturias(グアテマラの小説家)
- Alejo Carpentier(キューバのジャーナリスト、小説家、音楽評論家)
- Fernando Benitez(メキシコの文筆家)
- Carlos Fuentes(メキシコの作家・評論家)
- Miguel Otero Silva(ベネズエラの作家、ジャーナリスト、政治家)
- Simone de Beauvoir(フランスの哲学者、作家、批評家、活動家)
- Jean-Paul Sartre(フランスの哲学者、小説家、劇作家)
- Dario Fo(イタリアの劇作家、演出家、俳優、舞台美術家)
- Mercedes Sosa(アルゼンチンのフォルクローレ歌手)
The Vertical Archive of the Casa de las Américas, Part 2: Writers
革命期キューバ以降の文化の担い手1,000名以上の記録
キューバ革命からわずか数か月後に設立されたCasa de las Américasは、またたくまにラテンアメリカ、カリブ海地域における最も権威ある文化拠点の1つとなりました。その成功と存続は、ビジョンを共有する卓越した知的ネットワークを構築したためです。
革命初期に、多くの外国大使館が扉を閉ざす中、Casa de las Américasは、進歩的な考え方をする人たちに情報交換と革新的なアイデアを議論する場を提供しました。ラテンアメリカ、カリブ海諸国をはじめ、世界各地から集まった作家や芸術家たちは、講演会、コンサート、展覧会を開催し、演劇を上演し、研究し、成果を発表する場を得ました。施設内に保存されてきたCasa de las Américasの資料は、これらの文化の担い手の記録であり、電子版として公開されるのは初めてです。
Casa de las Américasは、ラテンアメリカ・カリブ海地域の人文・社会科学専門の大規模な図書館を擁しています。同図書館は、60年の歴史を記録した比類なき価値を持つVertical Archiveを所蔵しています。その中の一部、Writersコレクションは、施設を訪れた1,000人以上の作家や芸術家たちの活動に独自の視点を提供します。
20世紀の著名な作家関連の資料がコレクションの中核です。一部19世紀の作家も含みます。
- Jorge Amado(20世紀ブラジル文学を代表する作家)
- Mario Benedetti(ウルグアイのジャーナリスト、小説家、詩人)
- Roberto Bolaño(チリの小説家、詩人)
- María Luisa Bombal(チリの小説家、詩人)
- Jorge Luis Borges(アルゼンチン出身の作家、詩人)
- Alejo Carpentier(キューバのジャーナリスト、小説家、音楽評論家)
- Aimé Césaire(フランスの詩人、評論家、劇作家、政治家)
- Julio Cortázar(アルゼンチンの作家・小説家)
- Roque Dalton(エルサルバドルの詩人、文筆家、ジャーナリスト、活動家)
- Gabriel García Márquez(コロンビアの作家ノーベル文学賞受賞)
- José Martí(キューバの著作家、キューバ独立運動の指導者)
- José Julián Martí Pérez(ブラジルの小説家、詩人)
作家の他、以下のような人物に関する資料も含まれます。
- Roberto Matta、David Alfaro Siqueirosasなどの画家
- Santiago Álvarez、Glauber Rochaなどの映画監督
- チリのシンガーソングライターで活動家でもあったVíctor Jara
Casa de las Américasと、その拠点地ハバナが持つ知的風土は、世界中の思想家や芸術家を魅了しました。Vertical Archiveには、国際的な知的・文化アヴァンギャルドを担った人物に関する未知の情報が含まれます。
- Rafael Alberti(スペインの詩人・劇作家)
- Vicente Aleixandre(スペイン・セビリア出身の詩人。ノーベル文学賞受賞)
- Max Aub(スペインの小説家)
- Luis Buñuel(スペイン系メキシコ人の映画監督)
- Italo Calvino(イタリアの小説家、評論家)
- Allen Ginsberg(米国の詩人、活動家)
- Jean-Paul Sartre(フランスの哲学者、小説家、劇作家)
The Vertical Archive of the Casa de las Américas, Part 3: Theater
70年におよぶラテンアメリカ、カリブ海地域の演劇史を記録
Casa de las Américasの演劇コレクションは、細心の注意を払って60年以上にわたって収集、保管、目録されてきた貴重な資料群であり、研究、教育はもとより、ジャーナリズム、文芸評論、文化経営の点でも計り知れない価値を持ちます。キューバをはじめ、ラテンアメリカ、カリブ海諸国、さらにそれ以外の地域をもカバーします。
新聞や雑誌の切り抜き(発表から批評まで)、電信、写真、デザインスケッチ、パンフレット、カタログなどの資料が混在しています。また、劇団やショーに関する資料も含み、演出家、出演者、グループや芸術の流行などの歩みを辿ることができます。貴重な初演のプログラム数千点や、著名なアーティストが手がけた作品も多数含まれ、その時代の傾向や発展の経緯を知ることができます。
国別に分類され、それぞれ劇団、関係者(俳優、演出家、劇作家、デザイナー、音楽家他)、人形劇、児童劇、サーカス、フェスティバルと、多彩なテーマが展開されています。古いところでは1951年から、新しい部分は2018年まで含まれます。35カ国をカバーし、国立劇場、Casa de las Américasでの演劇活動を含むキューバをはじめ、1960年代のLatin American and Caribbean Meetings of Theater Makers、Carifesta Festival、International Theater School of Latin America and the Caribbean (EITALC)関連の資料も含まれます。アルゼンチンからベネズエラまで、この地域のすべての国をカバーします。1966年にSantiago García設立したコロンビアの有名なラ・カンデラリア劇場関連の資料はその一例です。さらにはラテン系やチカーノ系の演劇に焦点をあてた米国の資料や、カナダの資料、ヨーロッパ諸国、旧ソビエト連邦、アフリカ演劇関連を扱った資料も収録します。
Cuban Periodicals: Cultural Magazines Published by Casa de las Américas, 1960–2009
カサ・デ・ラス・アメリカス刊行の文化誌
Casa de las Américasが刊行した著名な文化雑誌4タイトル計526号分を収録します。ラテンアメリカ、カリブ海地域の文化や文化の歴史を取り上げ、文学者の文章、楽譜、書籍、公演、展覧会の批評、論説などを掲載してきました。思想や革新を世に問う場となったこれらの雑誌の全バックファイルを初めて電子化して提供します。
- Casa de las Américas
1060年6-7月に創刊されたCasa de las Américasの公式機関誌。スペイン語で書かれた文化誌として最も有名です。創刊後まもなくラテンアメリカの文学、文化、思想の主要な情報誌となり、著名な作家、思想家をはじめ、ラテンアメリカ地域内外の政治家、政策策定者にも議論の場を提供しました。非常に複雑な議論が、他の出版物との対話や反論の形で行われました。
- Conjunto
1964年創刊、ラテンアメリカ、カリブ海地域の演劇研究・普及を目的としています。地域の演劇の発展と大陸全土、さらには世界的な影響力の拡大により、その動向や成果を調査することが求められた同誌は、舞台上で展開される歴史や社会への批評を分析するようになりました。毎号、1点以上の演劇テキストと、エッセイ、インタビュー、公演やフェスティバルのレビューを掲載し、その価値は、芸術家、研究者の両方に高く評価されています。
- Boletín de Música
1970創刊、ラテンアメリカ。カリブ海地域の音楽、音楽学の専門誌です。音楽に関する研究論文のほか、楽譜、ニュース、地域の音楽に関する案内を掲載しています。1991年から1998年までは一時休刊となりました。
- Anales del Caribe
1981年創刊、カリブ海地域と島々の豊かな芸術と文学に光を当てることを目的に、各国間の交流やラテンアメリカ文化への影響などをテーマにしています。カリブ海地域内外の専門家の論文を、スペイン語、フランス語、英語で掲載しています。2000年から2002年までは休刊となりました。
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