ギリシア教父の一人で、マルクス・アウレリウス皇帝の治世に処刑された殉教者ユスティノスの著作を、出版社でもあり学者でもあったロベール・エティエンヌが1550年代にパリで出版した校訂版刊本です。注釈付きラテン語訳著作集も合本されています。
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—以下、「紀伊國屋書店 古書目録 2020」より—
ユスティノス《著作集》初版
IUSTINUS MARTYRUS. [Opera in Greek]. Ex Bibliotheca Regia. Lvtetiae, ex officina Roberti Stephani, 1551.
[Bound with:]
Opera omnia, qvae adhvc inveniri potvervnt, id est, qvae ex Regis Galliae Bibliotheca prodierunt. Ioachimo Perionio interprete. Parisiis, apud Iacobum Dupuys, 1554.
¥704,000 売却済
Folio, two works bound in one, the second work in six parts; pp. (8), 311, (4) variants, (1) blank; pp. (13), (3) blank, 127, (1) blank; 67, (1) blank; 35, (1) blank; 91, (1) blank; 80; 49, (1) privilege, (2) blank, (22) index, (1) errata, (1) blank; Robert Estienne’s woodcut basilisk device (Ph. Renouard 471; Schreiber B2) on title of the initial work; Du Puy’s woodcut device (Ph. Renouard 278) on title of each part of the second work; woodcut headpieces and initials; light soiling to the title-page and minor staining by damp to upper corner of the initial work, bound in late seventeenth-century brown calf, gilt oval centerpiece to the covers, gilt ornament to the spine compartment, manuscript title label to the spine, some scratches to the covers, lightly rubbed and worn (rebacked, original spine laid down, endleaves renewed). Adams J494 and J495; Renouard p. 79; Schreiber 107; Mortimer (Harvard French) 335.
殉教者ユスティノスはサマリアの人。生年は定かではありませんがローマで殉教したのは西暦165年前後と推測されます。プラトン哲学に傾倒したのちキリスト教徒となった彼は、ギリシャ哲学とキリスト教とに共通のロゴスを見出し、真の哲学としてキリスト教を称揚するとともに、教父哲学の基礎を形成すべき護教論を展開しています。ユスティノスの著書は多くが散逸し、二つの『弁明』と『トリュフォンとの対話』とを収録する唯一のギリシャ語古写本(パリ国立図書館蔵)は欠落などの問題点が少なくありません。
この1551年パリ版はギリシャ語原典初刊本。出版者は学匠印刷者として名高いロベール・エティエンヌであり、本文は王立図書館所蔵のギリシャ語写本に基づき校訂したもの。ロベールはすでにエウセビオスの教会史原典版(1544年)、多くの異読を採録したギリシャ語新約聖書(1550年)を上梓しており、ユスティノスはこれらに続く古代教会文献の公刊となるものでした。とはいえプロテスタントを奉じたロベールは、ソルボンヌとの軋轢などから1550年ジュネーヴへ逃れます。このユスティノスはパリの印刷工房を引き継いだ弟シャルルが完成、上梓に至らせたものでした。
合綴されているのは三年後に刊行されたラテン語訳ユスティノス著作集。アリストテレスなどの翻訳でも知られるペリオンの手になり、数多くの註釈が施されている点も重要です。
刊行年代が近いこともあり、これら二種のユスティノス刊本が併せて一冊に製本されている例は少なくありません。上掲本は十七世紀後半の牛革装(背に補修)。

(学術洋書部)