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マティルド夫人(初代イタリア公使夫人)の日本内地紀行

イザベラ・バードの『日本奥地紀行』の約10年前に日本の内地を旅したフランス人女性の記録ー英仏二か国語版にて公刊

関連ワード:外交史 幕末・明治維新 日伊関係史 日本紀行  更新日:2020.12.21

The Travel Journals of Mathilde, Contessa Sallier de La Tour into the Interior of Japan, 1867-1870 Including Letters, Notes and Sketches

編集・解説: Giulio Antonio BERTELLI(ベルテッリ ジュリオ アントニオ / 大阪大学言語文化研究科)

2020年12月刊行  ISBN:978-4-86166-223-2 クロス装B5判  610頁全2巻)図版多数(一部カラー)
(Eureka Press/ Edition Synapse)‐JP‐

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*編者からの言葉、価格等の詳細は弊社チラシをご覧ください。

Contessa Mathilde Sallier de La Tour (1838-1911)

初代駐日イタリア公使(ド・ラ・トゥール伯爵)夫人として慶應3年に来日、明治2年に西洋人女性として初めて日本内地を旅した、マティルド夫人の残した手稿の待望の公刊。旅の日誌に加え、スケッチブックや書簡、横浜・江戸での生活記など、6つの文書(ド・ラ・トゥール家に残るマティルド夫人の日本関連文書全点)のフランス語翻刻とその英訳に、二か国語の解説、解題、註を加えた図版豊富な学究版です。

イタリア養蚕視察団一行とマチルド夫人

戊辰戦争終結直後、いまだ大きな危険が伴う居留地外への初の外国視察団だったイタリア養蚕地視察団に同行し、数年後(明治5年)に富岡製糸場が設立される地域を含む関東北部養蚕業の中心地(上尾、前橋、渋川、大宮、八王子、町田等)を20日かけて旅した日誌には、各地の人々の生活、風俗の克明な記録と旅行中に描いたスケッチが含まれています。

大名行列のようだった明治2 年のイタリア視察団は、当時の錦絵にも残されています。日誌のなか でマティルド夫人はstaniero ! (下にいろ)の掛け声で人々が首を垂れることを面白く記述しています。(群馬県立文書館所蔵)

併録される居留地のノートは、イタリア公使館の整備に奔走する夫人の日常、英国公使パークス一家やフランス公使ロッシュをはじめとする横浜の要人との交流など、開国期の外交官の生活や幕末・維新史の裏側を語る貴重な情報源となっています。また、イタリアの家族、友人に宛てた、日本へ向かう船旅や日本・中国滞在中の本音を吐露する書簡や、明治2年~3年の大阪、神戸、瀬戸内海、長崎から上海、厦門、香港への旅を中心とした旅行記も収録します。

本資料がイタリアで発見された後、2017年には研究者間だけでなく日本の新聞紙上でも話題となりましたが、私文書の上、判読の非常に難しいフランス語手稿であったため、その詳細を知ることは困難でした。本書は長年にわたる編者の原資料の解読、調査、研究をまとめ公刊するもので、幕末・明治期の西洋と日本の研究に新たな一石を投じる画期的出版です。

フランス語日誌からの翻刻と注

日誌の英訳と注

CONTENTS

Volume 1: [手稿フランス語翻刻および解説、写真、スケッチ]

Transcriptions of Mathilde’s Manuscripts in French & Sketchbook
Images and Photographs & Manuscripts
Preface & General Introduction (in French)
Acknowledgements & Editorial Notes (in French)
Part I: Le cahier de croquis de Mathilde / Mathilde’s Sketchbook (1869)
Part II: Transcriptions of Mathilde’s Notes, Letters and Travel Journals
Chapitre 1: Le voyage jusqu’au Japon – Égypte et Asie (avril-juin 1867)
Chapitre 2: Notes à propos de Yokohama et Edo (1867)
Chapitre 3: Cinq lettres envoyées du Japon et de la Chine (1867-70)
Chapitre 4: Une expedition dans l’intérieur du Japon (8-28 juin 1869)
Chapitre 5: Le voyage dans la mer intérieure du Japon et en Chine (1869-70)

Volume 2: [手稿英訳および解説、参考文献、索引]

English Translations of Mathilde’s Writings
Preface & General Introduction (in English)
Acknowledgements & Editorial Notes (in English)
Part III: Translations of Mathilde’s Notes, Letters and Travel Journals
Chapter 1: The Journey to Japan – Egypt and Asia (April-June 1867)
Chapter 2: Notes about Yokohama and Edo (1867)
Chapter 3: Five Letters sent from Japan and China (1867-70)
Chapter 4: An Expedition into the Interior of Japan (June 8th-28th, 1869)
Chapter 5: A Journey in the Inland Sea of Japan and China (1869-70)

References & Index

音楽の素養もあった夫人は、宿泊した寺で耳にしたお経をグレゴリオ聖歌のようだと記し、日誌に記譜しています。

(学術洋書部)

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