チューリヒ・ダダの最初の本で、マルセル・ジャンコの木版挿画七点を収めた限定10部の特装本をご案内いたします。チューリッヒ美術館はじめ、世界の数か所の美術館に所蔵されてますが、きわめて稀覯です。
もう1点は、ダダイストの集いとサン・ジュリアン・ル・ポーヴル教会訪問のチラシです。ダダの遠足に名を連ねる芸術家たちは以下の通り。
Tristan Tzara (1896-1963)、André Breton (1896-1966)、Benjamin Péret (1889-1959)、Francis Picabia (1879-1953)、Gabrielle Buffet-Picabia (1881-1985)、Georges Ribemont-Dessagines (1884-1974)、Jean Arp (1886-1966)、Louis Aragon (1897-1982)、Paul Eluard (1895-1952)
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—以下、「紀伊國屋書店 古書目録 2020」より—
ツァラ《アンチピリン氏の第一回天上冒険》初版1916年
TZARA, Tristan. La Première aventure céléste de Mr Antipyrine. Avec des bois gravés et coloriés par Marcel Janco. Zurich, Jean Heuberger, 1916.
¥2,420,000
8vo, 8 unnumbered leaves, with six full-page woodcuts in blue and black and one woodblock tailpiece in black by Janco; stapled as issued with the original printed drab wrappers; covers slightly frayed and discoloured, but a fine copy. Harwood (Tzara) 1; Dada in Zürich 81; Karpel 414. (Collection Dada)
ツァラの最初の単行書であると同時に、チューリッヒ・ダダの最初の本。パリのメゾン・ド・ルーヴル、1920年三月二十七日で上演された際の配役はブリュブリュ氏(スーポー)、クリクリ氏(アラゴン)、アンチピリン氏(ブルトン)、ブムブム氏(リブモン=デセーニュ)、妊婦(セリーヌ・アルノー)、ンパラ・ガルー(フレンケル)、ピピ(エリュアール)、ツァラは自演。
マルセル・ジャンコの木版挿画七点(うち六点は青・黒の二色刷り)。なお本文がオランダ紙、挿画に手彩色の入った特装本が限定十部のみ上梓されていますが、ツァラ自身の蔵書も普通紙本でした。表紙の価格は空欄のまま印刷され、チューリッヒ美術館所蔵の一本では、「1」フランと書き込まれていますが、上掲本ではその部分にいったん書かれた「2」を消した上に改めて「3」と書かれています。なおツァラ自家本にはこの部分にスイスの郵便切手が貼られています。
極めて稀覯。保存状態良好の優れた美本。
印刷地、部数、紙などの記述
《ダダの遠足》1921年
Excursions & visites Dada. 1ère visite: Saint Julien le Pauvre. Jeudi 14 avril a 3 h. Paris, s.n., [1921].
¥275,000
4to, single sheet (277 x 220 mm); printed in black and blue on green tinted paper, verso blank; slightly faded, some trace of folds, a few short clean tears. Dada global 235.
上掲は緑色の用紙に印刷されています(Dada global 収載本も同様)が、無着色の用紙に印刷されたものも現存します (cf. Emmanuelle de L’Ecotais, L’Esprit dada, 1998) 。
(学術洋書部)