図書館をつくる

図書館様向け「選書ツアー」のご案内

2017.08.17

紀伊國屋書店では、全国の店舗を活用しての選書ツアーを行っています。

「選書ツアー」とは、グループでご来店頂き、売場の棚から書籍を選定して頂くことです。
「Book Hunting(ブック・ハンティング)」という呼び方をされることもあります。
ご利用は、大学図書館の企画する大学生によるツアーが中心ですが、公共図書館の職員の方による選定、企業の研究機関など、多岐に渡っています。最近では、中学校・高等学校まで拡がり、たくさんの生徒さんにも参加して頂いています。

選定の方法は、主に、2通りあります。
ひとつは、現品選定による方法です。公費選定専用のかごに、現物を入れて頂く単純な方法です。
基本的には、店頭在庫をそのまま納品するので、選定から納品までのスピードが速いというメリットがあります。
物理的に本そのものが並ぶので、棚のイメージが捉えやすいことも長所です。

もうひとつは、データ選定による方法です。これは、ハンディターミナルという光学式読み取り装置を使用して、書籍裏面の二段のバーコード(ISBN、本体価格の情報)をスキャンする作業となります。

選書が終了しましたら、ハンディターミナルを回収して、紀伊國屋書店の書誌データベースとISBNをキーに、マッチング処理し、選書リストを作成します。書名、著者名、出版社名、大きさ、ページ数等の書誌情報を編集して、どなたが選ばれた書籍か判るように最後にお名前を入力します。この選書リスト(通常は、Excelで作成)を基にして、現在の蔵書との重複チエックを行い、最終的に購入か否かを検討して頂いた後、正式に弊社営業部・所に発注連絡して頂く流れになります。
本を持ち歩くという物理的な制約が無いので、身軽な格好で選書に集中できるというメリットがあります。
大量に選書して頂く計画がある場合は、データ選定がお勧めです。複数人が同時に選定しても、選書リストを編集する段階で重複チエックが可能です。
もちろん、この2通りの方法を組み合わせることも対応しています。

選書ツアーの担当者として、学生さんの選書ツアーをアテンドする傍ら、いろいろな大学生の読書の相談や質問を受ける機会に恵まれています。選書ツアーの感想を伺ったところ、幸い概ね好評のようです。
自分の好きな書籍を数万円単位で、書店の棚を見ながら選べて、それらが図書館の蔵書として受け入れられるかも知れない。図書館司書のように選書出来る訳ですから、とても楽しいと言って下さる学生さんと多く出会いました。
ある大学では、一年生から四年生になるまで毎年参加して下さった学生さんがいらっしゃいました。確かに、リピーターが多いのも選書ツアーの特色です。印象に残っているのは、選書ツアー集合時間の数時間前から来店して棚を見てくれていた学生さんのことです。そのような大学生と話をしていると、若者の読書離れということがあまり現実味を帯びて感じられない日もあります。

学生の視点から見ると、自分の読みたい書籍と自分の学校図書館が購入される書籍は、少しずれがあるようです。選書ツアーでは、比較的柔らかめの書籍が選ばれる傾向はありますが、まずは、図書館に足を運ぶきっかけに役立っているようです。
実際に選書ツアーで購入して頂いた書籍は、図書館で受け入れられた後も、非常に貸し出し率が高いという話を図書館の方から度々伺います。
企画される大学職員や教員の方々も自分の大学の学生に、「様々な書籍に触れて欲しい。感性豊かな十代後半や二十代のうちに、たくさんの書籍を読んで糧にして欲しい。」という願いがあるのではないかと思います。

そのような方々を招く書店の方でも、その想いに応えるべく、書店に足を運んで頂ける様にさまざまな工夫をしています。新宿本店の例をあげると、東京オリンピックのあった1964年に竣工されたこの9階建てのビルには、120万冊の和書と4万冊近い洋書が揃えてあります。
そして、ジャンルごとに分かれたフロアのそれぞれの棚に専門の棚担当がついています。
フロアごとにいろいろなフェアが企画展示され、棚担当者はかなり自由な個人の裁量において棚の作りが任されています。紀伊國屋書店 新宿本店の魅力は、そのあたりにあるようです。
(紀伊國屋ビルディングは、昨年、東京都の選定歴史的建造物に認定されました)
また、昨年に洋書専門店としてリニューアルオープンした南店BKTでは、約10万件の洋書が揃えてあります。海外での受賞作やベストセラーの内容についての紹介などがあり、洋書の選書ツアーに対応しています。

ネットで書籍を検索して選んだりすることが多くなり、ネット注文した書籍だけを読むという方や、紙媒体でしばらく書籍を購入したことが無いという方も増えてきました。
しかし、目の前に現在話題となっている売れ筋の書籍が山積み、平積みされているという情景、次々に出版される新刊書籍が紹介されている棚を見渡せること、立ち止まってみれば、今までに見たこともなかったような珍しい書籍が棚に差してあること。
そして、実際に本の背に手を伸ばせること、装幀を確かめて、目次を開くこと、活字の組みを目で追うこと。
ネットで検索するのとは、全く違った魅力があるはずです。
いろいろな意味で、選書ツアーというのは、本そのものが主役の贅沢さに満ちています。

お陰様でこの一年間、新宿本店・南店(Books Kinokuniya Tokyo)では、200件以上の選書ツアーを実施することが出来ました。選書ツアーの参加人数や実施時間は、大小かなりの幅がありますが、10人くらいの規模で、約2時間の開催が平均的になるかと思います。
限られた時間とはいえ、参加された方が、売場の棚から自分だけの運命的な一冊の書籍に巡りあったり、書店の楽しさの再発見があったり、そんな状況が提供できる選書ツアーになれば良いなと思っています。
次回は、選書ツアーの新たな試みについてお話します。

(営業企画部・新宿本店 外商カウンター担当 舞田)