図書館をつくる

OCLC News 第21号

2018.01.09

OCLC News 第21号
商品情報をはじめ、OCLCに関する様々な情報をご案内致します。

●○イベント○●
Asia Pacific Regional Council Meeting 2017が早稲田大学にて開催されました。

OCLCは毎年、アジア・パシフィック、南北アメリカ、ヨーロッパ・中東アジア・アフリカの3つの地域で、図書館関係者を対象とする地域会議を開催しています。今年のアジア・パシフィック地域会議 (APRC)は7年ぶりに日本での開催となり、11月29日、30日の2日間に渡り、早稲田大学のリニューアルされたばかりの国際会議場を会場に行われました。

Day 1

受付開始の9時には、既にたくさんの会議参加者が集まり、記念撮影をしたり、お互いに挨拶を交わしたりする光景が見られました。

 

  

参加者に配られた名札とAPRCグッズバッグ

 

Day1午前のセッションは、会議議長の挨拶から始まり、続いて、建築家・伊東豊雄氏、早稲田大学ビジネススクール・川上智子教授による基調講演が行われました。

伊東豊雄氏は、自身が設計した多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)、せんだいメディアテークぎふメディアコスモスなどの図書館のコンセプトと、それらが利用者にとって魅力的な「場」を提供していることを紹介しました。そして、公共図書館での重要コミュニケーションは、単に面と向かった話し合いではなく「人が集まり混在すること」なのだと説明されていました。

 

川上智子教授は、マーケティングの観点から、「電子書籍の現状と未来」について説明されました。日本の電子書籍普及率が1割程度に止まっている中で、兵庫県伊丹市立図書館での利用者との関係性を重視したCo-creation活動を例に、「デジタル情報は実はフィルターがかかっていて、それを外すのにリアルの場(=図書館)が必要である」と語られました。

 

昼食や休憩の間も、参加者同士で活発な交流が行われました。

 

 

午後のセッションでは、最初にOCLCのヴァン・ルベック(Eric Van Lubeek) 副社長から、50周年を迎えたOCLCの現状報告が行われ、OCLCのクラウド型図書館総合管理システムWorldShare Management Services(WMS)の導入件数が合計で600機関となり、共同書誌目録WorldCatの書誌は4億400万件、所蔵は25億件に成長し、Unicode対応も完了するなど、OCLCサービスが成長を続けていることが報告されました。

 

続いて、アジア・パシフィックサービスのツァイ(Shu-En Tsai)部長からは、アジア・パシフィックのハイライトとして、中国のCALISと韓国のKERIS (Korea Education and Research Information Service)の2つの主要なOCLCコンソーシアムや、韓国国立図書館が書誌30万件をWorldCatに登録したこと、日本においては、早稲田大学が1987年からWorldCat書誌を使ったカタロギングを開始し、2006年からはOCLC ILLにも参加していること、また国立国会図書館が2010年からこれまで450万件以上の書誌をOCLCに提供していること等が紹介されました。

 

その後、会議は「Re-thinking the Library Space」、「Engaging Your Users」、「New Strategic Directions」、「Connecting Regions with Global Infrastructure」の4つの分科会に分かれ、それぞれのテーマで講演や参加者からプレゼンテーションが行われました。

 

分科会の一つ「Connecting Regions with Global Infrastructure」では、OCLC製品戦略部長カシュテ(Axel Kaschte)氏が、日本の図書館向けにOCLCが考える3つのキーワード、Aggregate(グローバルなユニオンカタログ・コレクション)、Operate(SaaSモデルでの運用)、Infrastructure(地域パートナーのためのメタデータ・ハブ)を紹介し、「グローバル化(Globalization)」とは“均質化(homogenization)“という意味ではなく、地域ごとのメタデータ管理の実践、典拠管理、メタデータ、ハブ機能の展開が必要だということが強調されました。
そして、地域の特徴を保ちながらグローバル(WorldCat)に繋ぐことを可能にするサービス「Syndeo」が世界で初めて紹介されました。サービスの中心となるCBS (Central Bibliographic System) は、2000年から2005年にPICAファンデーションと共同で構築され、既にフランスのABES(Agence Bibliographique de L’Enseignement Supérieur)、ドイツのGBV (Gemeinsamer Bibliotheksaverbund Verbundzentrale)BSZ (Bibliotheksservice-Zentrum Baden-Württemberg)HeBIS (Hessisches BibliotheksInformationsSystem)、オランダのGGC (Gemeenschappelijk Geautomatiseerde Catalogiseersysteem)などで稼働しています。CBSの具体的な事例として、ニュージーランドのTe Puna、英国のJisc(Joint Information Systems Committee)が詳しく紹介され、Jiscのリソース・ディスカバリー部長グリンドリー(Neil Grindley)氏からビデオメッセージが届けられました。JiscはCBSをベースとするメタデータマネジメントシステムを構築し、2019年にはデータの実装が完了する予定です。

 

1日目の夜には、夕食会が早稲田大学に隣接するリーガロイヤルホテルにて和やかな雰囲気の中で開かれました。

会場では、早稲田大学茶道研究会によるお点前、竹友会による琴と三味線の素晴らしいパフォーマンスが披露され、参加者にも大好評でした。特に、国外からの参加者にとっては、日本の文化に触れられる良い機会になったのではと思います。

  

 

Day 2

午前中には、OCLCによる2つのセッションが組まれました。

Day2午前のセッションは、OCLCプリチャード(Skip Prichard)社長の講演「A shared vision for a smarter future」から始まりました。
プリチャード社長は、フォードやトヨタの自動車産業の生産技術革新、YouTubeやInstagramなどの興隆、デジタル化が進むエクササイズ業界などを例に、変革のスピードがアップしていることが示しながら、世界のITの過去から未来を概観して見せました。そして、Jack Welchの言葉「If the rate of change on the outside exceeds the rate of change on the inside, the end is near.」が引用され、図書館も例外ではなく、視野を広げて状況を判断し、多様性を受け入れることが必要であることが語られました。

 

次に、OCLC Researchのストリームズ(Sharon Streams)部長からは「Scaling the Impact of Libraries Through Learning Networks」と題し、OCLCWebJunctionの話題として、「公共図書館における学び」について講演がありました。2015年から2020年にかけて必要なコア・スキルが35%も変わるため継続的な学習が必要になること、その学習のためのエコシステムは「ネットワーク化された学習」に変革し、情報過多になるため、図書館によるキュレーションが必要になること、そのツールとしてウィキペディアがあること等が語られ、OCLCのWebJunctionプラットフォームを利用した、数百の図書館員に対するWikipedia編集のトレーニングについて紹介されました。

 

午前のセッションの最後には、会議に参加した図書館が作成したライトニング・トーク・ビデオが紹介され会場でスマホアプリによる投票が行われた結果、香港理工大学の作品が優秀作として選ばれました。

午後のセッションでは、まずニュージーランド国立図書館のマクノート(Bill Macnaught)氏から、ダイバーシティ(多様性)の問題解決を図る「知」のシステムとして、OCLCと協力して目録・貸出管理システム「Te Puna」を構築したことが紹介され、続いて、OCLCのカシュテ部長から「4 Leveraging Data to Support Services and Outcomes」と題して、前日の分科会でも紹介した新サービス「Syndeo」の解説がありました。「Syndeo」はギリシア語で「つなげる」という意味があり、その国のニーズに合わせてテーラーメイドして提供されると説明されました。

  

 

次にタイの州立大学図書館ネットワークPULINET (Provincial University Library Network)のパッタナキアトポーン(Wararak Pattanakiatpong)委員長による事例紹介では、これまでの総合目録とコンピュータネットワーク、ILLとローカル情報、学術図書館の標準化とスタッフ研修を経て、今後の専門家養成、全国会議、全教育機関へのILLの拡張、研究主体の図書館標準化などの計画が語られました。

 

そして、会議の締めくくりには国立情報学研究所喜連川優所長から「National Institute of Informatics (NII) and its move from book-paper to data」と題した講演が行われました。NIIの様々な取組を紹介した上で、新産業構造「Society5.0」は3.0の産業革命、4.0のITの勃興に続く「超スマート社会」を指し、「毎年のように大きな自然災害のある日本では、重要なのはデータである」と指摘されました。

 

会議の最後には、「今回のテーマ「the smart library」という言葉から何を思い浮かべるか?」という問いかけに、会議参加者がアプリで入力した「collaborate」「creativity」「space」「evolve」「inspiration」「innovation」など様々な単語がスクリーンにタグクラウドの形で浮かび、来年の会議は、11月28日、29日にタイ・バンコクで開催されることが発表され、議長のアンダーソン氏の「図書館の価値を信じる」という言葉とともに、今年の会議は閉会しました。

  

 

Library Tour

会議の後には、早稲田大学中央図書館(11月30日)、国立国会図書館(12月1日)の見学ツアーが行われ、多くの参加者が、日本の2つの大きな図書館を見学しました。

 

今年の会議は、日本国内外から200名以上の図書館関係者が参加しました。会議参加者は、様々な講演発表を聞き、他の国々の機関の図書館員との交流を通じて、多くを学び、その成果をそれぞれの図書館に持ち帰っていただけたことでしょう。

 

●○メンバーストーリー○●

University of EssexにおけるArticle Exchange成功体験

使えるのに使っていない、有効に使えていない、そんなサービスは皆さんの周りにないでしょうか?契約しているサービス、利用できるサービスがあるにも関わらず、知らずに損をしていることがあるかもしれません。
OCLCメンバーストーリーでは、University of Essex Albert Sloman Libraryにおける、Article Exchange活用によって文献複写サービスが向上した例が紹介されています。

Photograph of the University of Essex

同図書館では、記事の複写依頼が増加しており、印刷や投函なしに、もっと効率的、安全、かつ環境に優しい記事の提供方法が求められていました。そんな中、契約中のWorldShare Interlibrary Loan (WSILL)にArticle Exchangeがあることに目を付けたのです。

Article Exchangeは、WSILLにある電子文書送付の機能です。リクエストごとに生成される固有のURLにアクセスするだけで簡単に記事をダウンロードし、安全にユーザーに届けることができます。

The Albert Sloman Libraryでは、まずパートナー機関と内輪でリクエストを作成することからArticle Exchangeを試し始め、ユーザーサービスチームのリーダーSandra DeRoy氏は、「Article Exchangeが非常に使い易く、全てのワークフロー、およびいかなる文書に対しても適用できる」と実感したそうです。

Article Exchangeを使うことによって、ペーパーワークが減り、経費が減少し、速さと使い易さが向上しました。またユーザー自身も、記事配達のスピードやダウンロードのし易さの変化に気付いているそうです。

同図書館では、ユーザーのリクエストに効率的かつ満足いくように応えるため、WSILLを他のILLサービスと並行して利用しています。「Article Exchangeをワークフローに組み込むのは簡単で、追加で必要なトレーニングは少ししかありませんでした。」「気付いていない解決策が既に周りあるかどうか、既存のサービスを全ての見地から見ることが大切です。私たちはArticle Exchangeを使ったサービス向上を目の当たりにし、もっと早く使い始めればよかったのに!と思っています。」とDeRoy氏は語っています。

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●○OCLC Researchより○●

The Realities of Research Data Managementが刊行されています。

レポートは4つのパートから成り、イギリス、アメリカ、オーストラリア、オランダの4つの機関、4つの違う国のケーススタディにもとに、研究のライフサイクルにおいて、研究データの管理という高等教育機関が直面している課題について研究大学がどのように取り組んでいるかを考察しています。是非ご覧ください。

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