これからの学び

関西大学 enjoy ebook everyday ― 電子書籍試読でよく読まれている本は?(2018年4月)

2018.05.09

関西大学図書館では、今年4月より、「enjoy ebook everyday―いつでもどこでも電子ブック」と銘打った電子書籍の試読実験が大規模に展開されており、紀伊國屋書店は、新たにリリースした「紀伊國屋書店学術電子図書館 KinoDen(キノデン)」を、精選した300タイトル余りを搭載して提供している。

タイトル選定のコンセプトは、「今学生に読んでほしい、21世紀を生き抜くための“新しい教養書”300冊」。学術系出版社の定番書・入門書を中心に、学部学科の垣根を越えて広く興味を持って読まれそうな本を選んだ。

1ヶ月が経過し、どんな本がよく閲覧されているのかが判明したので、トップ10をご紹介する。

現在ベストセラーとなっているナイキ創業者の自伝『SHOE DOG』は別格として、2位から5位まで比較的歯応えのある“専門への入門書”が多い新曜社の本が並ぶのが目を引く。元となった紙の本がいつ刊行されたのかを見てみると、5,6年前のものでもよく読まれているのがわかる。就活に役立ちそうな本も、やはり強いようだ。

閲覧数(4月) タイトル 著者 出版社 出版年
1位 SHOE DOG ―靴にすべてを。 フィル・ナイト 東洋経済新報社 2017
2位 心理学で文学を読む ―困難を乗り越える力を育む 山岸明子 新曜社 2015
3位 性格を科学する心理学のはなし ―血液型性格判断に別れを告げよう 小塩真司 新曜社 2011
 4位 天才を生んだ孤独な少年期 ―ダ・ヴィンチからジョブズまで  熊谷高幸 新曜社  2015
 5位 ディープラーニング、ビッグデータ、機械学習 ―あるいはその心理学  浅川伸一 新曜社  2015
 6位 日本語の技法 ―読む・書く・話す・聞く―4つの力  齋藤孝 東洋経済新報社  2013
 7位 行動経済学入門  筒井義郎ほか 東洋経済新報社  2017
 8位 どうして就職活動はつらいのか  双木あかり 大月書店  2015
 9位 たった1分で会話が弾み、印象まで良くなる聞く力の教科書  魚住りえ 東洋経済新報社  2017
 10位 職業別パリ風俗  鹿島茂 白水社  2012

 

 

1ヶ月の閲覧数は、紀伊國屋書店のKinoDenだけで1,600件を超えており、大学図書館の告知活動が非常に奏功していると言えそうだ。

ランキングの2位から5位までを占めた新曜社の中山氏は、「関西大学図書館様での電子書籍試読にて、弊社書籍が上位10点のうち4点含まれていたと聞いて、担当者一同、喜んでおります。その一因として、どんな内容か見てみないと分からない「書名」があるのではないか、と思いました。同時に、これは紙の本の需要も喚起していくのではないか、という予想、願望も込めて、今後アイテム数を増やしていくよう努めてまいります。」とコメントしている。

日本の学術書・教養書の電子版が大学に本格的に普及していくのはまさにこれからであり、関西大学の「enjoy ebook everyday」の取り組みには今後も注目していきたい。

 

(紀伊國屋書店 電子書籍営業部 今井)