関西大学図書館では、今年4月より、「enjoy ebook everyday―いつでもどこでも電子ブック」と銘打った電子書籍の試読実験が大規模に展開されており、紀伊國屋書店は、新たにリリースした「紀伊國屋書店学術電子図書館 KinoDen(キノデン)」を、精選した300タイトル余りを搭載して提供している。
タイトル選定のコンセプトは、「今学生に読んでほしい、21世紀を生き抜くための“新しい教養書”300冊」。学術系出版社の定番書・入門書を中心に、学部学科の垣根を越えて広く興味を持って読まれそうな本を選んだ。
1ヶ月が経過し、どんな本がよく閲覧されているのかが判明したので、トップ10をご紹介する。
現在ベストセラーとなっているナイキ創業者の自伝『SHOE DOG』は別格として、2位から5位まで比較的歯応えのある“専門への入門書”が多い新曜社の本が並ぶのが目を引く。元となった紙の本がいつ刊行されたのかを見てみると、5,6年前のものでもよく読まれているのがわかる。就活に役立ちそうな本も、やはり強いようだ。
1ヶ月の閲覧数は、紀伊國屋書店のKinoDenだけで1,600件を超えており、大学図書館の告知活動が非常に奏功していると言えそうだ。
ランキングの2位から5位までを占めた新曜社の中山氏は、「関西大学図書館様での電子書籍試読にて、弊社書籍が上位10点のうち4点含まれていたと聞いて、担当者一同、喜んでおります。その一因として、どんな内容か見てみないと分からない「書名」があるのではないか、と思いました。同時に、これは紙の本の需要も喚起していくのではないか、という予想、願望も込めて、今後アイテム数を増やしていくよう努めてまいります。」とコメントしている。
日本の学術書・教養書の電子版が大学に本格的に普及していくのはまさにこれからであり、関西大学の「enjoy ebook everyday」の取り組みには今後も注目していきたい。
(紀伊國屋書店 電子書籍営業部 今井)