人文社会系研究

英国王立国際問題研究所 創立100周年記念キャンペーン

2019.08.20

国際政治学 生誕100周年

今からちょうど100年前の1919年に、イギリスのウェールズ大学アベリストゥイス校で、世界初の国際政治学講座が創設されました。新しい学問、国際政治学の誕生です。国際連盟の父、ウッドロー・ウィルソン大統領を記念するこの講座の歴代教授にはアルフレッド・ジマーン、チャールズ・ウェブスター、ジェローム・グリーン、E.H. カー、フィリップ・レイノルズら、気鋭の学者が就任しました。

翌1920年には、国際連盟が創設されます。国家間の関係は、従来の二国間関係を基軸とする外交から、各国が相互依存関係に置かれた国際政治へと変貌しつつありました。

第一次世界大戦後、戦争回避の構想から誕生したチャタムハウス

国際政治学が誕生した1919年、第一次世界大戦の講和会議がパリで開催された際、将来の戦争回避のために国際問題を研究する英米国際問題研究所を設立するという構想がイギリス代表団とアメリカ代表団から生まれました。

その構想は具体化するには至りませんでしたが、翌1920年にイギリス国際問題研究所がロンドンで創設され、1926年、勅許状を授与され王立国際問題研究所となります。アメリカ代表団は、姉妹機関としてニューヨークに外交問題評議会(Council on Foreign Relations)を設立します。

その後、20世紀を通して世界各国で国際問題の研究機関が創設されますが、王立国際問題研究所はこれらの研究機関のモデルとして機能してきました。その活動への評価は揺るぎなく、世界のシンクタンクをランキングした調査では、アメリカのブルッキングス研究所等と並んで世界最高クラスの評価を得ています。

イギリス政治外交史の基礎資料

チャタムハウスはイギリスにおいて、大学、官庁、ジャーナリズムと並ぶ知的世界の一角を占め、知識人はこれらの機関の間をしばしば行き来していました。

20世紀を代表する歴史家で、『歴史とは何か』の著者として知られるエドワード・ハレット・カー(E.H.Carr)はケンブリッジ大学卒業後、外務省に入省、外交官としてのキャリアを積んだ後、ウェールズ大学アベリストゥイス校の国際政治学教授に就任、『危機の二十年』に結実する国際政治研究に打ち込む一方で、『ザ・タイムズ』の論説委員として健筆を揮い、さらにBBCのラジオ番組にも出演するなど、各方面で活躍しましたが、その間、チャタムハウスの会員として講演や討議から雑誌への寄稿まで、その運営に深く関わりました。

E.H. カーのようにチャタムハウスの運営に関わっていた外交官、学者、ジャーナリストは多く、20世紀イギリス政治外交史の研究者にはお馴染みの人物が少なくありません。

20世紀の学問である国際政治学とともに歩んできたチャタムハウスのアーカイブには、国際政治学史の資料の宝庫であるとともに、イギリス政治外交史の基礎資料でもあります。

出版活動を精力的に展開

創設以来、チャタムハウスは同時代の国際政治の出来事を記録し、分析を加えることを重視しました。シンクタンクという言葉から連想される政策形成への直接的な関与から距離を置き、政策立案のための前提となる研究活動を活動の中心に据え、研究成果を公表するために精力的に出版活動を行ないました。

Survey of International Affairs

中でも『国際問題概観(Survey of International Affairs)』は、同時代の出来事を記録するためにチャタムハウス創設と同じ1920年に創刊された年次刊行物です。最も重要な刊行物と位置づけられ、戦間期は歴史家のアーノルド・トインビーがほとんどの巻の執筆に当たりました。

モノグラフ

モノグラフ(書籍)の刊行にも力を入れ、重大事件が発生するたびに関連書籍を刊行します。出版社としてのチャタムハウスはあまり知られていませんが、マーティン・ワイト『権力政治』、アンドリュー・ションフィールド『現代資本主義』など、その研究活動から生まれた古典的著作は少なくありません。

International Affairs

モノグラフに加え、学術雑誌『インターナショナル・アフェアーズ(International Affairs)』もチャタムハウスの看板出版物です。

太平洋問題調査会会議録、Review of Foreign Press

また、1920年代、太平洋沿岸地域の相互理解の促進を図るために創設された太平洋問題調査会(Institute of Pacific Relations)の国際会議の会議録、第二次大戦勃発後、諸外国の新聞報道を調査し、調査結果をイギリス政府省庁に提供する媒体として発行した『外国報道レビュー(Review of Foreign Press)』のような入手の困難な資料も収録しています。

英国王立国際問題研究所 創立100周年記念キャンペーン

チャタムハウスは、来る2020年に創立100周年を迎えます。これを記念し、センゲージ ラーニング社Galeでは同研究所の会議録・出版物等をデジタル化したデジタルアーカイブ”Chatham House Online Archive”を期間限定の特別価格でご提供することとなりました。

Chatham House Online Archive概要

Part構成:収録年代により、2パートで構成され、パート毎のご契約となります。

  • Part 1:1920~1979年
    • 文字資料39 万ページ、音声資料7 万分(1966 年以降)
    • 刊行物
      •  British Commonwealth Relations Conferences, 1933-1965
      • British Yearbook of International Law, 1920-1939, 1944-1973
      • Bulletin of International News, 1925-1945
      • Documents of International Affairs, 1928-1963
      • Documents and Speeches of Commonwealth Affairs, 1931-1962
      • Institute of Pacific Relations Conferences, 1927-1958
      • International Affairs, 1922-1979
      • Review of the Foreign Press, 1939-1945
      • Refugee Survey, 1938-1939
      • Survey of International Affairs, 1924-1963
      • Survey of British Commonwealth Affairs, 1918-1969
      • The World Today, 1945-1979
    • Chatham House の書籍、パンフレット、年報、ブリーフィング・
      ペーパー、会議議事録 1920-1979
    • 会議・講演記録・録音(逐語記録)
  • Part 2:1980~2008年
    • 文字資料7 万7 千ページ、音声資料28 万分
    • 刊行物
      • International Affairs, 1980-2008
      • The World Today, 1980-2008
      • Chatham House の書籍、パンフレット、年報、ブリーフィング・ペーパー、会議議事録 1980-2008
    • 会議・講演記録・録音(逐語記録)

キャンペーン概要

  • キャンペーン価格:買切契約が対象となります。年間購読契約はキャンペーン対象外です。
    • 1パートご購入:定価の4割引 / 2パートセットご購入:定価の5割引
    • 維持費を恒久免除
      ※在籍者数(常勤教員、院生、学部生の総数)により価格が設定されています。
      個別にお見積り申し上げますので、紀伊國屋書店までお申し付けください。
  • 申込期限:2021年3月30日まで

この機会にぜひご検討ください。

※Chatham House Online Archiveは、大学等教育機関向けにご提供する法人向けサービスです。

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