人文社会系研究

アメリカ古書協会のアメリカ歴史雑誌コレクション 電子版

2020.01.29

アメリカ古書協会所蔵、アメリカの雑誌コレクション

2019年、アメリカ古書協会(American Antiquarian Society, AAS)が所蔵するアメリカの雑誌コレクションを搭載するデータベースAmerican Historical Periodicals from the American Antiquarian SocietyがGaleよりリリースされました。2018年まで他社が持っていた電子コレクションの全コンテンツと販売権をGaleが継承し、新たにスキャニングした雑誌を追加しました。これらを定評あるGaleプラットフォームで提供するものです。

植民地時代から19世紀後半までのアメリカ雑誌の歴史を一望

収録雑誌数は6,000誌以上、総ページ数は700万ページ以上に及びます。古くは18世紀の植民地時代にイギリスを真似て雑誌作りをしていた時代から、独立後にナショナリズムが高揚する中でアメリカ独自の文化を創出することを目指していた時代を経て、19世紀半ばから後半にかけて、出版活動の隆盛を背景に多くの作家や思想家が輩出した時代まで、アメリカの雑誌の歴史が一望できるコレクションです。

Galeはこれまで、16世紀から20世紀までの書籍約68,000冊を集成するSabin Americana、19世紀の新聞約400紙を集成するNineteenth Century U.S. Newspapersという形で、アメリカの書籍と新聞の電子コレクションを提供してきましたが、本雑誌コレクションはこれらと補完し合うものです。

データベースの概要

  • 収録資料:雑誌(約6,000誌以上、700万ページ以上)
  • 収録期間:17世紀後半~ 20世紀前半
  • 原本所蔵機関:アメリカ古書協会(AAS)
  • 言語: 英語、ドイツ語、ウェールズ語、フランス語、スペイン語、ダコタ語、ハワイ語、スウェーデン語ほか
  • 機能: ページ送り、画面拡大・縮小、全画面表示、輝度・コントラスト調整のビューワ機能の他、印刷、PDF ファイルのダウンロード、OCRテキストのダウンロード、書誌自動生成、書誌情報のエクスポート、メール送信、ブックマーク、タグ付与等

American Historical Periodicalsトップ画面

総合誌、文芸誌、女性誌、宗教誌から学術誌、業界誌、生活誌、趣味雑誌まで

収録雑誌を一瞥すると、総合雑誌、文芸誌、政論誌、女性誌、ファッション誌、児童誌、宗教誌、挿絵雑誌、科学誌、医学誌など、一般的なタイプの雑誌が見られますが、さらに詳しく見ると、美術、写真、建築、音楽、演劇、ミュージカル、民謡、哲学、歴史、系譜学、紋章学、古銭学、法律、政治、軍事、消防、警察、教育、経済、経営、簿記、会計、統計、広告、金融、労働、鉄道、馬車、郵便、船舶、保険、不動産、工業、電信、特許、時計、博覧会、鉱業、石炭、鉄鋼、食品、醸造、茶、農業、酪農、園芸、林業、製材、養蜂、養鶏、羊毛、繊維、数学、天文学、工学、地理学、植物学、昆虫学、博物誌、考古学、歯学、心理学、精神医学、スポーツ、チェス、野球、競馬、体操、登山、スケート、旅行、社交、切手収集、ライティング、ユーモア、図書館、印刷、出版、書店、家庭、家事、育児、家具、絨毯、帽子、裁縫、料理、結婚、健康、慈善、漫画等々、様々なテーマに特化した学術誌、機関誌、評論誌、業界誌、団体誌、地方誌、生活誌、啓蒙雑誌、趣味雑誌が刊行されていたことが分かります。

また、奴隷制廃止、奴隷制擁護、アフリカ植民、自由貿易、保護貿易、社会主義、無政府主義、無神論、女性参政権、女性参政権反対、労働者の地位向上、孤児支援、聾唖者教育、平和運動、死刑廃止、禁酒運動、反喫煙運動、反カトリック、キャンプ・ミーティング、動物愛護、監獄改革、綴り字改革、科学振興等、理念や思想を掲げて社会の制度や慣習を変える改革運動の旗印となった雑誌もあれば、骨相学、心霊術、催眠術、占星術、記憶術、速記術等、科学の発展という時代背景の中でブームを巻き起こした疑似科学や諸々の術に関する雑誌、さらにはフリーメーソン系や反フリーメーソン系の雑誌もあり、この時代のアメリカ人の関心の在り様を浮き彫りにします。

様々な集団、団体、機関の中でも特に雑誌出版に熱心だったのがキリスト教会です。19世紀のアメリカではキリスト教各宗派が社会の問題に積極的に関与しましたが、本コレクションには、メソジスト教会、バプテスト教会、会衆派教会、長老教会、米国聖公会、ユニテリアン教会、ルーテル教会、カトリック教会、クェーカー、キリスト再臨派(アドベンチスト)、ユニバーサリスト等、キリスト教各宗派が道徳的影響力を発揮すべく発行した夥しい数の雑誌が収録されています。

文芸誌では『ノース・アメリカン・レビュー』『ニッカーボッカー』『アトランティック・マンスリー』など、独自のアメリカ文学の形成を証言する雑誌から、マガジニスト、エドガー・アラン・ポーが編集に携わった幾多の雑誌、『ハーパーズ・マンスリー』『ハーパーズ・ウィークリー』『パトナムズ・マンスリー』『スクリブナーズ・マンスリー』など、アメリカ文学の隆盛を支えた名門出版社系の雑誌まで、作家や出版人らが織り成すアメリカ文壇史の貴重な事実と情報を提供します。

女性誌では、その後の女性誌、ファッション誌の原型となった『ゴーディズ・レディーズ・ブック』が、児童誌では、19世紀アメリカで最も人気を得た『ユース・コンパニオン』が見逃せません。

その他、アフリカ系アメリカ人や先住民の発行した稀少な雑誌もあれば、アイルランド系、スコットランド系、ウェールズ系、ドイツ系、フランス系、ノルウェー系、スウェーデン系、ポルトガル系など、民族的出自を同じくする人々が発行した雑誌が多いのも、移民の国アメリカならではの特徴です。雑誌というものが政治理念、社会思想、経済的利害、信仰、民族的出自、趣味を同じくする人々が集まって出来上がるものであるとすれば、この雑誌コレクションはアメリカ史における思想と利害と信仰と趣味の移り変わりを明らかにする格好の資料集です。

なお、本コレクションにはイギリス、カナダ、アジアなどアメリカ以外で発行された雑誌も収録されています。とりわけ、イギリスの雑誌は多く、『ジェントルマンズ・マガジン』『ロンドン・マガジン』等、18世紀のアメリカ人が仰ぎ見た雑誌から、『エジンバラ・レビュー』『ブラックウッズ・マガジン』『チェインバーズ・ジャーナル』『コーンヒル・マガジン』等の19世紀の雑誌まで著名な雑誌が目白押しです。

米国最大級の歴史雑誌所蔵機関、アメリカ古書協会

独立戦争期の愛国派で印刷業者のアイザイア・トマスにより1812年に創設されたアメリカ古書協会は、創設以来、書籍、パンフレット、ブロードサイド、新聞、雑誌、楽譜等の印刷物から手稿資料まで、精力的に収集してきました。

同協会はハンティントン図書館、フォルジャー・シェイクスピア図書館、モーガン図書館らと並ぶ米国屈指の研究図書館の一つとして、米国の学術機関や図書館業界において大きなプレゼンスを持ち、所蔵資料は膨大なものですが、中でも歴史雑誌・新聞の所蔵規模は米国最大級を誇ります。米国歴史雑誌に関する書誌刊行物は、その多くがアメリカ古書協会の所蔵情報を掲載しており、古書協会が米国歴史雑誌の書誌情報に関する最後の拠り所であることを示しています。

収録タイトル例

※以下とは異なる誌名で発行されていた時期もあります。
( )内は本コレクションの収録期間ですが、収録期間として示されている年代の中にも欠号のある場合があります。

18世紀発行誌

  • The American Magazine(1741)
    フィラデルフィアの出版人アンドリュー・ブラッドフォードが創刊した月刊誌。フランクリンがアメリカ初の雑誌を発行する構想を練っているのを知り、慌ててフランクリンの雑誌編集者に内定していたジョン・ウェブを編集者に引き抜き、急仕立てに発行。わずか3日の差でアメリカ初の雑誌発行人の名誉を得ることになったが、3号で休刊した。
  • The General Magazine and Historical Chronicle(1741)
    ベンジャミン・フランクリンがイギリスの『ジェントルマンズ・マガジン』や『ロンドン・マガジン』をモデルにフィラデルフィアで発起して発行した月刊誌。わずか6 号で終わったが、同じ年に発行されたブラッドフォードのAmerican Magazineと並ぶアメリカ史上初の雑誌。
  • American Magazine and Monthly Chronicle(1757-1758)
    教育者ウィリアム・スミスが創刊。スミスが創設した文芸サークル、スウェインズの機関誌として洗練された趣味の普及に努めた。
  • The Royal American Magazine(1774-1775)
    独立戦争前夜に急進的反英グループのメンバー、アイザイア・トマスによりボストンで創刊され、独立の大義を高らかに掲げた。ポール・リヴィアの銅版画を掲載した同誌は挿絵を掲載したパイオニア的雑誌。トマスは後にアメリカ古書協会を創設する。
  • The Pennsylvania Magazine(1775-1776)
    フィラデルフィアの出版人ロバート・エイトキンが独立革命勃発前夜に発行した月刊誌。独立革命期のベストセラー「コモン・センス」で有名なトマス・ペインも編集に携わった。時期が時期なだけに政治の話題が多いが、愛や結婚に関する記事も見られる。
  • Columbian Magazine, or Monthly Miscellany(1786-1790)
    亡命アイルランド人マシュー・ケアリーらがフィラデルフィアで発行した月刊誌。アメリカのシンボル「コロンビア」をタイトルに掲げていることに見られる通り、新生国家アメリカの文化的アイデンティティを模索した。
  • The American Museum(1787-1793)
    Columbian Magazine から退いたマシュー・ケアリーが発行した月刊誌。ペインの『コモン・センス』、ワシントンの『軍への回状』など、独立革命期の文書を復刻して掲載した他、オリジナルの文芸作品も多い。多くの予約購読者を獲得し、Columbian Magazineと並び、アメリカ史上初めて商業的に成功した雑誌。
  • The American Magazine(1787-1788)
    辞書編纂者ノア・ウェブスターが29歳の時にニューヨークで創刊した雑誌。
  • The Massachusetts Magazine(1789-1796)
    18世紀の雑誌の中では比較的長い期間発行された雑誌。アイザイア・トマスが創刊。女性読者を意識し、フェミニスト詩人ジュディス・サージェント・マリーの作品を掲載し、メアリー・ウルストンクラフトの『女性権利擁護論』を紹介した。
  • The New-York Magazine(1790-1797)
    18世紀の雑誌の中では比較的長い期間発行された雑誌。1794年から1796年にかけて掲載された劇評(The Theatrical Register)は演劇史の貴重な資料。
  • The Monthly Magazine, and American Review(1799-1802)
    アメリカ最初の職業作家チャールズ・ブロックデン・ブラウンが創刊した文芸誌。

総合誌

  • Niles’ Weekly Register(1814-1849)
    1811 年創刊の週刊ニュース雑誌。政治的に中立的な立場から政治の出来事を報じた。
  • The United States Magazine and Democratic Review(1837-1851)
    ジャーナリスト、ジョン・オサリバンが創刊した政論・文芸誌で、政治的には民主党系。領土拡張政策を正当化するイデオロギー「マニフェスト・デスティニー」はオサリバンが本誌で初めて使い人口に膾炙した。ナサニエル・ホーソーンの作品を多く掲載した。
  • Harper’s New Monthly Magazine(1850-1877)
    19世紀の大出版社で現在も続く老舗出版社ハーパー・アンド・ブラザーズの雑誌。自社が抱える作家の連載小説や刊行予定の作品の抜粋を掲載するなど、自社の宣伝媒体として創刊されたが、それに止まらず、週刊誌(Harper’s Weekly)とともにその後の総合雑誌に多大な影響を与えた。挿絵でも有名。
  • Putnam’s Monthly Magazine(1853-1870)
    出版社パトナム社の創業者ジョージ・パーマー・パトナムが創刊した高級誌。メルヴィル、ロングフェロー、ローウェル、ソロー、ブライアント、ジェイムズ・フェニモア・クーパーらが寄稿。
  • Harper’s Weekly(1857-1876)
    ハーパー社の週刊誌。南北戦争期に最も政治的影響力を発揮した。トマス・ナスト、ウィンスロー・ホーマー、リヴィングストン・ホプキンスら最良の挿絵画家を擁したことでも有名。とりわけ、ナストとの関係は20年に及び、南北戦争はその挿絵により銃後に伝えられ、ニューヨーク市政の政界汚職、ツウィード・リング事件はナストやホーマーの諷刺漫画によってメディア的事件としても記憶されることになった。
  • The Nation(1865-1877)
    現代も続く米国で最も古い週刊誌。初代編集長はアイルランド出身のエドウィン・ゴドキン。党派政治からは距離を置いてリベラルな論調を取り続けた。
  • Lippincott’s Magazine(1868-1876)
    Harper’s, Putnam’sと並ぶ出版社系の月刊誌。
  • Scribner’s Monthly(1870-1877)
    出版社チャールズ・スクリブナー社の月刊誌。第一級の執筆陣、洗練された図版で一世を風靡したクオリティ・マガジン。

文芸誌

  • The Port Folio(1801-1836)
    アメリカ初の文芸誌。創刊したジョゼフ・デニーは18世紀初頭のイギリス文芸誌『スペクテーター』のアディソンに因み「アメリカのアディソン」と呼ばれる。チャールズ・ブロックデン・ブラウンやジョン・クインシー・アダムズら当時の優れた作家や思想家が寄稿した。
  • The Monthly Anthology(1803-1811)
    ボストンで創刊された文芸誌。2代目編集長はラルフ・エマソンの父ウィリアム・エマソン。文芸サークル、アンソロジー・クラブを設立し、安定的な文芸出版を目指すも1811年に廃刊、その精神はThe North American Review に引き継がれた。
  • The North American Review(1815-1876)
    ボストンの高級文芸誌。19世紀から20世紀前半にかけてのアメリカの文芸、芸術、思想に大きな影響を与えた。Atlantic Monthly と並ぶボストンの二大文芸誌であり、アメリカのヨーロッパからの知的・文化的自立を証言するドキュメント。

女性誌

  • The Ladies’ Magazine(1792-1793)
    アメリカ初の女性誌。1年の短命に終わった。創刊号は“The Lady’s Magazine” だが、2号以降“The Ladies’ Magazine” になった。
  • Godey’s Lady’s Book(1830-1876)
    ルイス・ゴーディが創刊。当初は平凡な女性誌だったが、1837年にLadies Magazine を買収、同誌のサラ・ジョセファ・ヘイルを文芸担当編集長に起用し、エマソン、ロングフェロー、ポーらの有名作家、フランシス・オズグッド、キャサリン・マリア・セジウィック、リディア・シガニー、ハリエット・ビーチャー・ストウら女性作家を取り上げ、文芸誌としてのクオリティを押し上げ、南北戦争前には全雑誌の中で一二を争う雑誌に成長した。後の女性誌のモデル。最新モードを挿絵や版画で伝えるファッション・プレートを付録にした。
  • The Ladies’ Repository(1841-1876)
    Godey’s Lady’s Book の成功を見たメソジスト教会が女性のモラル教育のツールとして創刊した雑誌。娯楽色は弱いが30年以上続いた。
  • Ladies’ National Magazine(1843-1849)/ Peterson’s Magazine(1853-1876)
    Godey’s Lady’s Book のライヴァル誌。南北戦争後にはその人気はGodey’s Lady’s Book をも凌ぐほどになった。
  • Arthur’s Home Magazine(1844-1846, 1861-1874)
    19世紀アメリカの禁酒小説のベストセラー『酒場の十夜』のティモシー・シェイ・アーサーが創刊した女性誌。
  • Frank Leslie’s Gazette of Fashions & the Beau Monde(1854-1857)
    イギリスのIllustrated London News の版画部門の責任者だったフランク・レスリーが渡米後に創刊。大判の図版を掲載。本コレクションには、Frank Leslie の名前を冠した雑誌が10誌以上収録されている。
  • The Lowell Offering(1840-1845)
    マサチューセッツ州ローウェルの繊維工場で働く女工たちによって作られた雑誌。女工自ら物語や詩などの創作や回想録などを寄稿した。女工が発行する文芸誌の名声は米国内に止まらず、ディケンズら外国人旅行者を通じて外国にも広まった。
  • The Lily(1852-1859)
    アメリア・ブルマーが創刊。当初禁酒運動を掲げていたが、寄稿者のエリザベス・スタントンらに影響されて、次第に女性参政権を説くようになる。ブルマーは女性の服装改良にも熱心で、ブルマーの起源となった服装は本誌を通して広まった。
  • Demorest’s Monthly Magazine(1864-1868, 1873-1876)
    裁縫職人としてニューヨークで名を成していたエレン・カーティス・デモレストが夫のウィリアムと創刊したファッション誌。当初型紙(パターン)の雑誌として始まったが、小説、料理、育児等の記事も増やし、女性誌として人気を博した。
  • The Revolution(1868-1872)
    女性の権利拡張を掲げて、スーザン・アンソニーとエリザベス・スタントンが創刊。黒人男性の権利が注目を集める南北戦争後の状況にあって、参政権から離婚の権利、服装の改良、労働条件の改善、売春まで、女性の問題を広く世に問いかけた。

児童誌

  • The Children’s Magazine(1789)
    アメリカ初の児童誌。
  • The Juvenile Miscellany(1826-1835)
    初期児童誌の代表。初代編集長リディア・マリア・チャイルドの奴隷制廃止を主張した記事により失速し、廃刊。
  • The Youth’s Companion(1827-1865)
    19世紀アメリカを代表する児童誌。発行機関がボストン会衆派日曜学校だったため、当初は宗教的・教育的色彩が強かったが、次第に娯楽的性格を強め、販売部数を伸ばした。
  • Merry’s Museum(1841-1870)
    自然、歴史、伝記を題材に教育的読物を提供。読者の投稿欄「メリーの今月の友達とのおしゃべり」が有名。『若草物語』のルイーザ・メイ・オルコットが一時期編集に携わった。
  • Frank Leslie’s Boys and Girls Weekly(1868-1876)
    フランク・レスリーが得意の図版を生かして創刊した児童誌。

挿絵雑誌

  • Gleason’s Pictorial Drawing Room Companion(1851-1860)
    アメリカの挿絵雑誌のパイオニア。イギリスのIllustrated London News がモデル。1855年編集者のマチューリン・バルーが雑誌を買取り、Ballou’s Pictorial Drawing Room Companion に改名された。
  • Punchinello(1870)
    イギリスの『パンチ』をモデルに創刊された週刊諷刺画誌。わずか1年足らずの39号で廃刊された。

※ 19世紀アメリカを代表する挿絵誌Frank Leslie’s Illustrated Newspapers はNineteenth Century U.S. Newspapers に収録されています。

反奴隷制・奴隷制擁護誌

  • The Emancipator(1820)
    クェーカー教徒のエリウー・エンブリーによりテネシー州ジョーンズボローで発行された月刊誌。奴隷制廃止を掲げた雑誌としては、エンブリーのManumission Intelligencer に続く2番目。エンブリーの死により7 号で休刊になった。
  • Genius of Universal Emancipation(1828, 1831-1833)
    奴隷制廃止の活動家ベンジャミン・ランディにより創刊され、1820年代の各地の反奴隷制活動家を糾合した雑誌。
  • The Liberator(1831-1865)
    反奴隷制を掲げた多くの新聞・雑誌の中で最も有名なもの。一時期ランディとともにGenius of Universal Emancipation の編集に携わったこともあるウィリアム・ロイド・ギャリソンが創刊。奴隷制廃止論だけでなく奴隷制擁護論も掲載した同誌は奴隷制廃止論争の言説を知る上で最適な資料。
  • The Southern Quarterly Review(1843-1856)
    南部の作家ウィリアム・ギルモア・シムズが編集。ルイジアナ州ニューオーリンズで発行された。奴隷制を擁護した。
  • The Old Guard(1863-1870)
    ニューヨークで発行されながらも奴隷制擁護を掲げた雑誌。
  • The African Repository(1825-1887)
    解放奴隷のアフリカへの移住を目的として創設されたアメリカ植民協会の機関誌。

※ アメリカ反奴隷制協会の公式機関紙として1833年に奴隷制廃止を掲げてニューヨークで創刊された新聞The Emancipator はNineteenth Century U.S. Newspapers に収録されています。

マイノリティ発行誌(アフリカ系アメリカ人、先住民、ウェールズ語)

  • The Mirror of Liberty(1838-1840)
    初のアフリカ系アメリカ人系の雑誌。創刊者は奴隷制廃止の活動家デヴィッド・ラグルス。交通機関や教会での人種の隔離や解放奴隷の植民に強い反対の姿勢を示した。
  • L’Album Littéraire(1843)
    ルイジアナ州ニューオーリンズで発行されたアフリカ系アメリカ人系のフランス語文芸誌。
  • The Anglo-African Magazine(1859-1860)
    文学、政治から科学まで幅広い記事を提供し、アンテベラム期のアフリカ系アメリカ人系の雑誌の中では最も本格的な雑誌。アフリカ系アメリカ人の『アトランティック・マンスリー』と称されたこともある。寄稿者にはフレデリック・ダグラス、マーティン・ディレニー、フランシス・エレン・ワトキンス・ハーパー、ウィリアム・クーパー・ニールらがいる。
  • The Cherokee Messenger(1844-1846)
    先住民のチェロキー族によって発行された雑誌。大半はチェロキー語だが、一部英語の記事もある。
  • Iapi Oaye(1871-1877)
    サウスダコタで発行されたダコタ語の雑誌。
  • Y Cyfaill(1838-1876)
    ニューヨークで発行されたウェールズ語の雑誌。
  • Y Cenhadwr Americanaidd(1840-1875)
    ニューヨークで発行されたウェールズ語の雑誌。

米国外発行誌(イギリス)

  • The Gentleman’s Magazine(1731-1850)
    近代総合雑誌のパイオニアにして、後のマガジンのモデルとなったイギリスの月刊誌。1731年創刊で1907年まで続いた。本コレクションには1731年の創刊から1850年までの1,511号、約10万記事が収録されている。
  • The London Magazine(1732-1782)
    The Gentleman’s Magazineと並ぶ近代総合雑誌のパイオニア。創刊はThe Gentleman’s Magazine の翌年。本コレクションには1732年から1782年までの482号、約21,000記事が収録されている。
  • The Monthly Review(1753-1820)
    書評を専門とする評論誌のパイオニア。本コレクションには1753年から1820年までの756号、約29,000記事が収録されている。
  • The Scots Magazine(1756-1790)
    エジンバラで刊行されたスコットランド初の総合雑誌。現在も刊行が続いている。本コレクションには1756年から1790年までの450号、約16,000記事が収録されている。
  • The Critical Review(1756-1816)
    The Monthly Review に続く評論誌。本コレクションには1756年の創刊から1816年までの78号、約3,300記事が収録されている。
  • The Lady’s Magazine(1761-1808)
    The Gentleman’s Magazine をモデルにして18世紀イギリスではThe Lady’s Magazineというタイトルの女性誌が幾つか発行されたが、その一つ。
  • The Edinburgh Review, or Critical Journal(1803-1877)
    イギリスロマン派時代を代表する評論誌。本コレクションには創刊の翌年の1803年から1877 年までの285号、約4,600記事が収録されている。
  • Blackwood’s Edinburgh Magazine(1817-1836)
    ナポレオン戦争後の保守化の時代にThe Edinburgh Review に対抗して創刊された。保守派の牙城。
  • Bentley’s Miscellany(1837-1850)
    一時期ディケンズが編集長を務めた文芸誌。「オリバー・ツイスト」は本誌に掲載された。
  • Chambers’s Journal of Popular Literature, Science, and Arts(1844-1877)
    ウィリアムとロバートのチェインバース兄弟が発行し、19世紀半ばのイギリスで一時代を画した総合雑誌。1832年の創刊からしばらくChambers’s Edinburgh Journal のタイトルで刊行されていた。
  • Notes and Queries(1849-1877)
    文学、言語から民俗、歴史、古事までイギリスの言語文化を考究することを目的にして創刊された学術的傾向の強い雑誌。『英国伝記辞典』『オックスフォード英語辞典』等の国家的プロジェクトに多大な示唆を与えた。
  • The Anti-Slavery Advocate(1852-1863)
    ブリストルの医者ジョン・ビショップ・エストリンらが創刊。1833年法的に奴隷制が廃止された以後の時代を代表する反奴隷制雑誌。
  • The Cornhill Magazine(1860-1876)
    ヴィクトリア朝を代表する高級文芸誌。サッカレー、レスリー・スティーヴンらが編集に携わった。本コレクションには創刊の1860年から1876年までの114号、約5,200記事が収録されている。

米国外発行誌(カナダ)

  • The Nova Scotia Magazine(1790-1792)
    カナダにおける最初の英文誌。
  • Canadian Illustrated News(1870-1872)
    モントリオールの出版人ジョルジュ・エドゥアール・デスバラにより発行されたカナダ初の挿絵雑誌。
  • L’Opinion Publique: Journal Hebdomadaire Illustré(1872-1874)
    ジョルジュ・エドゥアール・デスバラにより発行されたフランス語の挿絵雑誌。

米国外発行誌(アジア)

  • The Chinese Repository(1832-1846)
    会衆派教会の牧師イライジャ・コールマン・ブリッジマンが広東で創刊した中国紹介誌。
  • The Orunudoi(1846-1859)
    インドアッサム地方シヴァサーガルで発行されたアッサム語の雑誌。日本でも宣教活動を行なったことがあるネイサン・ブラウンら、バプテスト教会アメリカ人宣教師により発行された。
  • The Siam Repository(1869-1874)
    サミュエル・J. スミスがバンコクで創刊した雑誌。

本データベースは、米国の歴史雑誌の電子コレクションを提供するに止まらず、信頼できる書誌情報をも提供するものです。

(センゲージ ラーニング株式会社)

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