人文社会系研究

世界最大の博物館・研究機関群スミソニアン学術協会の膨大なアーカイブをデジタル化

2020.04.15

Smithsonian Collections Online – 世界最大の博物館・研究機関群の膨大なアーカイブをデジタル化

スミソニアン学術協会は、イギリス人ジェームズ・スミソンが人類の知識の増進と普及を目的とする機関をワシントンに創設するためにアメリカ合衆国に譲渡した55万ドルの遺産に基づき、1846年に設立されました。以来、文化遺物、芸術品、標本の蒐集を続け、現在では総所蔵点数1 億3,700万点、年間来館者総数3,000万人、18の博物館と9の研究機関を傘下に擁する世界最大の博物館・研究機関群にまで成長しました。センゲージラーニング株式会社傘下Galeは2013年、スミソニアン学術協会との間で、同協会が所蔵する膨大なアーカイブを学術・教育機関の利用に供するためにデジタル化するとの合意に達しました。

デジタル化される資料は、万国博覧会の資料のほか、アメリカ産業史、航空史関係の資料、スミソニアン学術協会の機関紙です。収録資料には、書籍、雑誌、新聞等の刊行物のほか、多くの未公刊資料が含まれています。これらの資料には写真等の図版が多数掲載されており、その多くは現存しない過去の物品や技術を視覚的に記録するものとして研究資料として貴重なものであるだけでなく、教育的な効用も有するものです。

Smithsonian Collections Onlineデータベース・シリーズは、これらの図版資料を効率的に検索、閲覧する機能も実装しています。18世紀後半以降の近代化、工業化プロセスが一巡し、歴史の転換期を迎える中で、過去200 年の近現代史を科学技術、産業技術の観点から学問的に検討する機運が高まっています。また、歴史研究においては、考古学や美術史や人類学との相互交流の中で、過去の物質文化(モノ)に着目しながら歴史の読み替え作業が積極的に行われています。過去のモノや技術を実際に使われた同時代の文脈の中で浮かび上がらせることにおいて、スミソニアン学術協会の所蔵資料に勝る資料はありません。

シリーズ構成

Smithsonian Collections Onlineは、以下の4アーカイブで構成されます。

  • World’s Fairs and Expositions: Visions of Tomorrow
  • Trade Literature and the Merchandizing of Industry
  • Evolution of Flight, 1784-1991
  • Air & Space and Smithsonian Magazine Archive

本稿では、その中からAir & Space and Smithsonian Magazine Archiveについてご紹介します。

Air & Space and Smithsonian Magazine

スミソニアン学術協会の機関誌Smithsonian(1970年創刊)とスミソニアン学術協会傘下、国立航空宇宙博物館の機関紙Air and Space Smithsonian(1986 年創刊)の創刊号以降の全号全ページを原誌のページイメージで提供します。

Smithsonian

SmithsonianNational Geographic以来の啓蒙誌として、科学、自然から芸術、歴史、文化、旅行、技術まで広範なテーマをカバーします。とりわけ、アメリカの歴史から地方都市、美術、科学まで、アメリカというテーマを創刊以来一貫して追求してきた同誌はアメリカ文化研究の必須資料ということができます。2004 年に開始された雑誌主催の写真コンテストの受賞作品も掲載します。

左:「リンカーン、ハリウッドへ行く」(2012)〜スピルバーグの『リンカーン』に寄せて〜
中:「タイタニック号の影」(2012)〜事故の生存者の物語〜
右:「アメリカ最高の小都市10 選」(2012)

左:「ためらう大統領」(2011)〜大統領就任時のワシントン〜
中:「実在したトム・ソーヤー」(2012)
右:「権力と大統領制」(2011)〜ケネディ大統領と大統領府〜

左:「古代のモダニズム」(2012)〜古代エジプト芸術〜
中:「ゴーギャンの最初の一手」(2011)〜ゴーギャンのセルフプロモーション〜
右:「変化を推進する者」(2011)〜デ・クーニングの実験精神〜

左:「生命の美」(2013)〜バイオデザインという芸術運動〜
中:「眼の饗宴」(2011)〜アルチンボルト〜
右:「運命の逆転」(2011)〜画家としてのモールス〜

左から:「南北戦争完全ガイド」(2012)
「スミソニアン保存版古代世界の神秘」(2009)
「今後40 年間について知っておきたい40 の事実」(2010)
「現代のイノベーター35 人」(2005)

Air & Space Smithsonian

Air & Space Smithsonian は航空機や宇宙開発の最先端を分かりやすく伝えます。アポロ計画やボーイング航空機の設計開発など、著名な宇宙開発と航空機設計に関する興味深いエピソードを多数紹介します。

左:「NASA の火星探査計画」(2000)
中:「アポロの息子」(2006)〜次世代の月面着陸船〜
右:「こんにちは、きぼう」(2008)〜国際宇宙船の日本実験棟〜

左から:「NASA の写真オールタイムベスト50」(2008)
「月を周回して」(2011)〜元乗組員のアポロ15 号秘話〜
「大陸横断初飛行」(2011)〜カル・ロジャース初飛行100 周年〜
「飛行の100 周年」(2003)〜ライト兄弟有人初飛行100 周年〜

左:「パールハーバーの謎」(2012)〜日本軍の攻撃を逃れた女性飛行士〜
中:「最後の戦死者」(2008)〜日本降伏後に戦死したアメリカ人〜
右:「原爆を巡る秘密」(2011)〜B29 乗組員による原爆投下訓練〜

スミソニアン学術協会の機関誌には、写真等の図版が多数搭載されます。現存しない過去の物品や技術を視覚的に記録する貴重な研究資料であるとともに、教育的な効用も有します。

(センゲージ ラーニング株式会社)

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