人文社会系研究

世界有数の写真コレクションに見る<19世紀写真史>

2020.08.25

世界有数の図書館、公文書館等が所蔵する19世紀の貴重な資料から史料的価値の高いものをデジタル化して提供するデータベース、Nineteenth Century Collections Online (NCCO)。今回は、その中からPhotographyをご紹介します。

写真:文字資料を保管する資料

写真の発明により、人々は、歴史を動かした人物、場所、出来事を正確に写す手段を獲得し、これにより、19世紀の文化と視覚経験は大きく変容しました。家族と社会、科学と技術、都市と農村、労働と余暇など、19世紀に発生した現代社会の諸問題に対し、当時の人々が注いだ眼差しが写真を通じて見えてきます。

多彩な被写体

Photographyに収録されている写真は、写真発明直後の1840年代から20世紀初頭までの初期写真史の歩みを跡付けると共に、驚くほど多様な被写体を写しています。

イギリス国内だけでなく、ヨーロッパ各地からアフリカ、中東、インド、東南アジア、中国、日本、オーストラリア、カナダ、アメリカ、カリブ海地域まで、ほぼ世界の主要地域をカバーします。

イギリスが参戦した各地の戦争の実態を記録した写真もあれば、平和な日常生活を写し取った写真もあります。肖像写真も、政治家、芸術家、作家、科学者など著名人のものから無名の人々のものまで、多数収録されています。

世界有数の写真コレクション

本アーカイブには、世界中に散在する写真資料の中から、特に学術的に重要な写真集、写真アルバム、写真を挿画とする書籍、初期写真史に関するテキストが選ばれて収録されています。広く知られた有名な写真からこれまで門外不出だった写真まで、収録されている写真の知名度はまちまちです。

英国国立公文書館、英国図書館、科学産業博物館(マンチェスター)、ヴィクトリア・アルバート博物館(ロンドン)、国立メディア博物館(ブラッドフォード)、科学博物館(ロンドン)、ウェルカム医学史研究所、ナショナル・ポートレート・ギャラリーなど、イギリスの機関をはじめ、ジョージ・イーストマン・ハウス附属国際写真博物館、イーストマン・コダック社附属研究図書館、ニューヨーク公共図書館の米国の諸機関、さらには国立国会図書館(東京)、長崎大学からも提供されています。

収録コレクション

History of Photography(写真の歴史)

  • 年代:1839年-1925年
  • 言語:英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語
  • 原本所蔵機関:
    • ジョージ・イーストマン・ハウス附属国際写真博物館
    • イーストマン・コダック社附属研究図書館
    • コロンビア大学所蔵エプスティーンコレクション(Epstean Collection)
    • ニューヨーク公共図書館 他合計28機関
  • 収録内容:書籍:約2,200タイトル、雑誌:約80誌
    ※1980年から1982年にかけて”History of Photography”のタイトルでマイクロフィルムとして刊行されたものをもとにしています(刊行元:Research Publications)。マイクロフィルム版の解題は、写真史家ボーモント・ニューホール(Beaumont Newhall)が執筆しています。

写真史屈指のコレクションです。写真に関する最初期の著作としては、以下のような著作が収められています。

  • サー・ジョン・ハーシェル(Sir John Frederick William Herschel)、サー・デイヴィッド・ブリュースター(Sir David Brewster)、シャルル・ルイ・シュバリエ(Charles Louis Chevalier)らによる著作
  • フランソワ・アラゴ(François Arago)の声明(Announcement)とダゲレオタイプ論とそのドイツ語訳
  • ルイ・ダゲール(Louis Jacques Mandé Daguerre)の『ダゲレオタイプとジオラマの歴史と操作法』とその英訳
  • ウィリアム・タルボット(William Henry Fox Talbot)のフォトジェニック・ドローイング論
  • ノエル=マリー=ペマル・ルルブール(N.M.P. Lerebours)の”Excursions daguerriennes, 1840–1843”
  • アルマン・イッポリート・ルイ・フィゾー(A.H.L. Fizeau)の臭化物論
  • その他、初期の実験に関する多数の論考

写真の発明から短期間で多くの実験が行われ、技法が進化したことは、1849年という早い時期にヘンリー・スネリング(Henry H. Snelling)が、写真の歴史に関する書籍を刊行したことにも表れています。

1850年代、化学者と写真家は写真の科学と技術の更なる発展をめざしましたが、そのプロセスを記録する出版物も収録されています。1851年のロンドン万国博覧会では世界初の国際写真展覧会が開かれ、6ヶ国から出展された770枚の写真が展示されました。写真展覧会の模様が博覧会の公式目録にも記録されているほか、博覧会自体も写真に撮影され、審査委員報告書に掲載されました。

この時代には、ミレー(Jean-François Millet)、エドゥアール・バルデュス(Édouard Baldus)、ギュスターヴ・ル・グレイ(Gustave le Gray)、フィリップ・ヘンリー・デラモッテ(Philip Henry Delamotte)、ポール・ドラローシュ(Paul Delaroche)ら画家が写真撮影を手がけました。

また、建築家ルイ=オーギュスト・ビソン(Louis Auguste Bisson)は、兄弟とともにアルプス地域を含むヨーロッパ各地を訪問し、多くの写真に収めました。

その他、写真家兼作家のマクシム・デュ・カン、火山の頂上から撮影した星の写真を掲載した”Teneriffe, an Astronomer’s Experiment”で知られる天文学者チャールズ・ピアッツィ・スミス(Charles Piazzi Smyth)など、様々な分野の人々が新しい技術に魅せられ、みずから撮影を行いました。

本コレクションは、世界各地の自然、景観、建築を撮影した写真を多数収録します。

作品を収録する写真家例:

フラテッリ・アリナーリ(Fratelli Alinari)、フランシス・ベッドフォード(Francis Bedford)、オーギュスト・べロック(Auguste Belloc)、マシュー・ブレイディー(Mathew Brady)、アドルフ・ブラウン(Adolphe Braun)、ルドルフ・アイクマイヤー(Rudolf Eickmeyer)、ピーター・ヘンリー・エマーソン(Peter Henry Emerson)、フランシス・フリス(Francis Frith)、エドワード・マイブリッジ(Eadweard Muybridge)、ジェイコブ・リース(Jacob August Riis)他

また、ニューヨークカメラクラブ、バッファロー美術協会など地域の写真関係の協会のカタログ、イーストマン・コダック社など企業の商業カタログも収録します。

フラテッリ・アリナーリが撮影した1870年頃のフィレンツェ

フラテッリ・アリナーリが撮影した1870年頃のフィレンツェ

ジェイコブ・リースが撮影した世紀転換期ニューヨークの貧民

ジェイコブ・リースが撮影した世紀転換期ニューヨークの貧民

British Admiralty Office Photographs(イギリス海軍本部所蔵写真コレクション)

  • 年代:1850年代-1950年代
  • 言語:英語
  • 収録内容:国内外の海軍戦略拠点における土木建築作業の写真
  • 原本所蔵機関:英国国立公文書館

イギリスが海外に伸長した19世紀後半、イギリス及び諸外国の海軍の戦略的拠点(マルタ島、ジブラルタル、ポーツマス海軍工廠、喜望峰)における活動状況を撮影した写真コレクションで、海軍本部建築・工学部門に所蔵されているものです。

British Colonial Office: Photographic Collection(イギリス植民地省写真コレクション)

  • 年代:1850年代-1920年代
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:英国国立公文書館

イギリスの植民地大臣が1869年「植民地の有名な建築物や景観や人物」の撮影を総督に要請、その結果蒐集された写真コレクションが起源です。以来1世紀に亘り、世界各地のイギリス植民地の著名な建築物や風景、人物の写真が撮影され、植民地省に送られました。これらの写真が本コレクションの中核となります。本コレクションには写真のほか、描画も含まれます。

1966年、植民地省はコモンウェルス関係省と統合、コモンウェルス省が成立、1968年には外務省と統合し、外務・コモンウェルス省になります。この結果、蒐集の対象は、コモンウェルスや諸外国にも拡大しました。

アフリカ、カナダ、カリブ海地域、中国、東南アジア、インド、オーストラリア、オセアニアなど、イギリス植民地を知る貴重な写真資料です。

オーストラリア、エチオピア

左:オーストラリア:メルボルンのフェデラル・コーヒー・パレス
右:エチオピア:ガラ族の女王と息子(1870年)

南アフリカ、スリランカ

左:南アフリカ:「ジェームソン蜂起に備えて」
右:スリランカ:ジェタワナラマ仏塔(1873年)

左:マレーシア:コーンウォール・ヨーク公巡行(1883年)
右:カナダ:レスブリッジのガルト病院(1890年)

British Journal of Photography and Annual, 1854-1914(イギリス写真誌、イギリス写真誌アルマナック)

  • 年代:1860年-1900年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:英国国立公文書館

「イギリス写真誌」(British Journal of Photography)は創刊以来、世界で最も影響力のある写真誌とみなされてきました。1854年、マンチェスター・リヴァプール写真協会の公式機関誌として「リヴァプール写真誌」(Liverpool Photographic Journal)の名で創刊されました。所有者が変わった1850年代後半、「マンチェスター・リヴァプール写真誌」(Liverpool and Manchester Photographic Journal)と名を変えますが、その内容は写真協会の枠に止まらず、反響が大きかったため、1859年には「写真誌」(The Photographic Journal)、1860年以降は、王立写真協会の機関誌と区別するため「イギリス写真誌」(The British Journal of Photography)の名前で流通しました。当初、18ページで隔週刊行されていましたが、1864年にオフィスがロンドンに移転した後は12ページの週刊誌になり、1901年には20ページに拡大しました。

本誌はイギリス国内のみならず、ヨーロッパやアメリカの動向を報道することにも力を入れ、外国特派員を多数採用しました。撮影技法、写真の焼増し、カメラの技術的進化、芸術写真、著作権、アマチュア写真家向け指南、各種写真協会の会合案内、国内外の通信などの記事を含み、当時の著名な写真家らが寄稿者に名を連ねています。

本誌はイギリス国外にも大きな影響力を及ぼしました。その影響力は、本誌掲載の記事を精選し、ダイジェスト版として季刊で発行された海外・植民地版(Colonial and Overseas edition)に因るところも大きかったと言われています。補遺(Supplement)として年報(Annual)、アルマナック(Almanac)も刊行されました。補遺は最初、折りたたみ式のカレンダーが1859年の最終号の付録として発行され、その後、カレンダー、協会の会合日、写真などに関する短報から構成された小型のポケットブックに変わり、 “Photographer’s Daily Companion”と副題が付きました。1866年以降、年報は別売となり、写真年鑑へと進化します。

Early Rare Photographic Books from the Northwestern Museum of Science and Industry Collection (科学産業博物館所蔵初期稀少写真アルバム集成)

  • 年代:1845年-1895年
  • 言語:英語
  • 収録数:61タイトル
  • 原本所蔵機関:科学産業博物館

1969年、マンチェスター、グロブナー通りにノースウェスタン科学産業博物館が開館しました。所蔵品の多くは、マンチェスター技術者学校の流れをくむマンチェスター大学科学技術研究所のコレクションがもとになっています。その後、同博物館はマンチェスター科学産業博物館と改名、2012年にロンドン自然科学博物館と合併しました。

初期の写真アルバムで構成される本コレクションは、もともと科学技術を学ぶ学生のために科学産業博物館が集めたものです。

Early Rare Photographs from the Victoria and Albert Museum, London (ヴィクトリア・アルバート博物館所蔵初期稀少写真集成)

  • 年代:1840年-1900年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:ヴィクトリア・アルバート博物館写真部

世界屈指の写真コレクションです。博物館の初代館長ヘンリー・コールは、初期写真と撮影技法に関するコレクション拡充に責任を担っていました。精力的にコレクションの拡充に努め、マクシム・デュ・カンの『エジプト、ヌビア、パレスチナ、シリア』を含む、美術品と建築を被写体とした写真コレクションの獲得、博物館コレクション用の写真の注文、同時代の重要な写真家からの肖像写真の調達、寄贈や購入による写真の受入を行いました。本コレクションには、写真のほか、撮影者の名前、タイトル、撮影日、主題、寄贈者、取引業者、購入価格など、コレクションの概要を伝える情報も収録されています。

1856年、博物館は写真部門の責任者として、写真家チャールズ・サーストン・トンプソンを採用、彼は収蔵品の撮影に従事しました。1858年、博物館は、ロンドン写真協会、フランス写真協会との共同事業として、最初の写真展を開催しました。

収録コンテンツ例

  • 1840年代のヒル(D.O. Hill)とアダムソン(R. Adamson)の2冊のアルバムと肖像写真コレクション
  • クリミア戦争を撮影したロジャー・フェントン(Roger Fenton)の131枚の写真からなるアルバム
  • フェリーチェ・ベアト(Felice Beato)のインド、中国、日本を題材としたアルバム
  • グラスゴーのスラム街を撮影したトマス・アナン(Thomas Annan)のアルバム
  • ジュリア・マーガレット・キャメロン(Julia Margaret Cameron)の写真コレクション
  • 肖像写真を撮影し、ルイス・キャロルにも絶賛されたレディ・クレメンティーナ・ハワーデン(Clementina, Lady Hawarden)のコレクション
  • 世紀転換期パリの建築と街並みを撮影したユージン・アジェ(Eugène Atget)の写真コレクション

クリミア戦争1

クリミア戦争2

ロジャー・フェントン撮影のクリミア戦争の写真集から:
右下はズワーヴ兵の服装をしたフェントン、左下「最初の従軍記者」タイムズ紙特派員ウィリアム・ハワード・ラッセル

 

アロー戦争

フェリーチェ・ベアトが撮影したアロー戦争の頃の中国

レディ・クレメンティーナ・ハワーデン

レディ・クレメンティーナ・ハワーデンの肖像写真

Photographs of Japan 1

Photographs of Japan 2

1880年に出版された2巻本の”Photographs of Japan”所収の写真。
キャプションから左上が栃木県、右上が山形県、左下が青森県、右下が福島県で撮影したものであることが分かる。
その他、岩手県、秋田県、北海道で撮影された写真が収録されている。

The Hill and Adamson Albums: photographs by David Octavius Hill and Robert Adamson, 1843-1848(ヒル&アダムソンの写真アルバム)

  • 年代:1843年-1848年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:ナショナル・ポートレート・ギャラリー

デイヴィッド・オクタヴィウス・ヒル(David Octavius Hill)とロバート・アダムソン(Robert Adamson)の協働作業は、写真史上最も重要な出来事の一つです。写真の技法が公表された1839年の4年後、アダムソンはエジンバラにスタジオを開設しました。アダムソンの写真技術習得を助けた兄のジョン・アダムズは科学者デヴィッド・ブリュースターの親友で、ブリュースターは、カロタイプの写真技術を開発したウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットの親友でした。したがって、アダムソンがカロタイプの写真技法を採用したのも自然の成り行きでした。

アダムソンとヒルの協働作業は1843年に始まります。アダムソンがエジンバラにスタジオを開設した頃、ヒルはスコットランド自由教会を立ち上げた人々を記念する絵画の制作に着手していました。人物を写実的に描くため、ヒルに写真の使用を勧め、アダムソンを紹介したのは、ブリュースターだったと言われています。

本コレクションは、1848年のアダムソンの死に際して、ヒルが1,500枚のネガから257枚を選定し、3巻のアルバムにしたものです。アルバムは、作家、政治家、科学者、学者、芸術家の肖像写真、家族の集合写真、自由教会の指導者トーマス・チャーマーズの肖像写真、「最初の総会(The First General Assembly)」と題した教会関係者の集合写真など、自由教会に関わる写真が多数収録されています。エジンバラ市街の景観、人々の日常生活、ニューヘヴンの漁民と女性などが写されています。

ヒル&アダムソンの写真アルバム1

ヒル&アダムソンの写真アルバム2

Nineteenth-Century Photographs from the Royal Archives, Windsor(ロイヤルアーカイブ所蔵19世紀写真集成)

  • 年代:1845年-1901年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:ロイヤルアーカイブ

1845年から1901年のあいだに撮影された7,000枚強の写真を収録した大規模なコレクションで、ヴィクトリア女王とその家族、とりわけアルバート公が写真に示した関心の高さを示しています。女王とアルバート公は1840年代から家族の写真の撮影を写真家に委託しましたが、思い出を記録するのみならず、王室を広く民衆に知らせる手段として写真の有用性を理解し、催事の記録から肖像画まで、多数の写真撮影を写真家に委嘱しました。1853年、女王夫妻は写真協会の後援者となり、写真という新しい技術は王室という後ろ盾を得ます。1861年にアルバート公が逝去するまでに、数千枚もの写真が蒐集されていたと言われています。

皇太子夫妻も写真愛好家でした。皇太子は多数のコレクションを持ち、皇太子妃アレクサンドラはかなりの腕前の持ち主でした。皇太子夫妻にコダックのカメラを寄贈したイーストマン・コダックの創業者ジョージ・イーストマンは、皇太子妃がそのカメラを使っていることを知り、その写真をコダックの写真展覧会で展示するよう取り計らいました。 コレクションの初期の写真は、ダゲレオタイプとカロタイプのもので、中には1845年に刊行されたタルボットの有名な『スコットランドの日光写真(Sun Pictures in Scotland)』も含まれます。

本コレクションの最大部分を占めるのは肖像写真です。イギリスおよび諸外国の王室や貴族、政治家、軍人、聖職者、芸術家、科学者など、多数の肖像写真のアルバムを収録します。

その他、女王在位50周年と在位60周年の行事や王室の歴訪を撮影したもの、1850年代のエジプトを撮影したフランシス・フリス(Francis Frith)のアルバム、1879年から1882年にかけてのバッカント号の航海を記録し、地中海、西インド諸島、バミューダ諸島、南アメリカ、ケープタウン、オーストラリア、フィジー、日本、中国、シンガポール、セイロン、エジプト、シリアの写真を収めたアルバムなど、イギリスと世界各地の地形と建築を写した写真、1875年から1876年にかけての皇太子のインド訪問時の6巻のアルバムと380枚の写真も収録されています。

陸軍や海軍を主題とする写真もあります。クリミア戦争の前線を撮影したロジャー・フェントン(Roger Fenton)とジェームズ・ロバートソン(James Robertson)の写真は、野営地、戦場、埠頭、病院の生々しい情景を写し、セヴァストーポリ、マラコフ砲台、レダン砲台を写した写真は、戦争が齎した惨状を伝えています。軍隊の生活を写した写真には、カイバル峠周辺地域の光景とともに、将校と兵士の肖像写真も含まれています。1879年の南アフリカの軍事作戦を写した写真には、トランスヴァール、ケープタウン、ダーバン、キンバリー、プレトリアなどの光景のほか、ダイヤモンド鉱山、金鉱山も撮影されています。

収録コンテンツ例

  • インド軍を撮影したフレッド・ブレムナー(Fred Bremner)のアルバム-“Types of the Indian Army”
  • 肖像写真-女王、アルバート公を含む王族、外国の王族、貴族、政治家、軍人、科学者など
  • 1850年代のエジプトを撮影したフランシス・フリス(Francis Frith)のアルバム- “Frith’s Photo Pictures-Egypt and the Nile, late 1850′s”, “Frith’s Photo Pictures-Thebes, late 1850’s”
  • クリミア戦争の前線を撮影したジェームズ・ロバートソン(James Robertson)のアルバム- “Crimean War Photographs”
  • 19世紀末のロンドン塔を撮影したジョン・ベンジャミン・ストーン(John Benjamin Stone)のアルバム- “The Tower of London, 1898”
  • 1857年マンチェスターで開催された美術至宝展の展示品を撮影したレオニーダ・カルデシ(Leonida Caldesi)のアルバム-“Photographs of the Gems of the Art Treasures Exhibition, Manchester, 1857”
  • アルバート公が収集したフランシス・ベドフォード(Francis Bedford)やベッカー(E. Becker)、ウィリアム・バムブリッジ(William Bambridge)のカロタイプの写真
  • ウィンザー城を撮影したアーネスト・エドワーズ(Ernest Edwards)のアルバム- “Windsor Castle, Picturesque and Descriptive by B. B. Woodward. B. A., F. S. A., 1870”
  • イギリス海軍提督ジョージ・ナレス(George Nares)率いる北極探検の記録写真のアルバム(撮影者不明)- “Her Majesty’s Ships Alert and Discovery. 1875-1876”

1850年代のナイル川河岸とエジプト遺跡群

フランシス・フリスのアルバム”Frith’s Photo-Pictures – Egypt and the Nile”所収の1850年代のナイル川河岸とエジプト遺跡群

19世紀末のロンドン塔

19世紀末のロンドン塔を撮影したジョン・ベンジャミン・ストーンのアルバム ”The Tower of London”より

宇治平等院、春日大社

興福寺南院、北野天神

“The Cruise of H. M. S. Bacchante, 1879-1882”所収の日本の名所の写真。撮影者はフェリーチェ・ベアト。
左上:宇治平等院、右上:春日大社、左下:興福寺南院、右下:北野天神。

The Photographic News, 1858-1908

  • 年代:1858年-1908年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:英国国立公文書館

Photographic News誌は1858年に創刊、職業写真家と写真愛好家を読者とし、”Amateur Photographer”誌に吸収される1908年まで刊行が続きました。写真の技術、技術進歩、各種助言のほか、写真に関する展覧会、書籍、団体の活動を告知する媒体としても機能していました。

歴代編集長

  • William Crookes, 1858-1860
  • Thomas Piper, 1860-1868
  • George Wharton Simpson, 1860-1880
  • H. Baden Pritchard, 1880-1884
  • Thomas Bolas, 1884-1891
  • T.C. Hepworth, 1891-1893
  • Percival Marshall, 1892-1897
  • E.J. Wall, 1897-1902
  • “Richard Penlake” pen name of P.R. Salmon, 1902-1906
  • F.J. Mortimer, 1906-1908

Photographs from the National Media Museum(国立メディア博物館所蔵写真コレクション)

  • 年代:1808年-1914年
  • 原本所蔵機関:国立メディア博物館

国立メディア博物館(旧国立写真・映画・テレビ博物館)所蔵の英国写真コレクションから、デイリー・ヘラルド・アーカイブ、王立写真協会コレクション、コダック博物館コレクションという三つの写真関係コレクションを中核として構成されています。近代の著名な写真家による作品、技法の進歩を伝える写真群など、初期から近代にいたる写真史の形成過程を克明に記録しています。

魚を選り分ける女性たち

左:「兵士の髭を剃る看護婦」(1910年)
右:「魚を選り分ける女性たち」(フランク・メドウ・サトクリフ、1905年)

Photographs from the India Collection at the British Library (英国図書館インドコレクション所蔵写真集)

  • 年代:1850年-1914年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:英国図書館

マンダレー宮殿、ストランドホテル(ラングーン)

左:マンダレー宮殿、右:ストランドホテル(ラングーン)

ジャマ・マスジッド(アーメダバード)、バンガロール市庁舎

左:ジャマ・マスジッド(アーメダバード)、右:バンガロール市庁舎

Photographs from the National Media Museum(国立メディア博物館所蔵写真コレクション)

  • 年代:1808年-1914年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:国立メディア博物館

主に王立写真協会会員の写真で構成される本コレクションには、写真の歴史と協会の歴史が記録されています。協会員の多くは19世紀を代表する写真家であり、本コレクションは世界屈指のコレクションとされています。

会員の写真コレクションを作る構想は、最初、カメラメーカー、ホートンの創始者アントワーヌ・クローデ(Antoine Claudet)が抱き、その後アルバート公も1854年に同じ構想を提案したと言われています。当初、会員の寄贈に基づいていたコレクションはその後拡大し、1923年までには約100点の額装写真(年次展覧会の受賞者のもの)、ヒルとアダムズのカロタイプのアルバム、クリミア戦争を撮影したクリミア戦争の写真、ニコラス・ヘネマンとトーマス・マローンのタルボタイプの写真、ウィリアム・タルボットのソルトプリントによるアルバムなどが加わりました。コレクションの最初の展覧会は1903年、協会創立100周年記念行事の一環として開催されました。

本コレクション形成に最も貢献したのが、ジョン・ダドリー・ジョンストン(John Dudley Johnston)。協会の会長を2回務めたほか、31年に亘りコレクションの学芸員を務めた人物です。ジョンストンは会員やその子孫を訪ね、主要な写真やネガを複製する許諾を得、1955年までにコレクション収蔵点数を3,000点以上に増やすことに成功しました。

収録写真

  • アルヴィン・ラングダン・コバーン(Alvin Langdon Coburn)(116作品)
  • ベンジャミン・ブレックネル・ターナー(Benjamin Brecknell Turner) (12作品)
  • チャールズ・ヘンリー・デイヴィス(Charles Henry Davis) (16作品)
  • チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン(Charles Lutwidge Dodgson) [ルイス・キャロル(Lewis Carroll)] (24作品)
  • クラレンス・ハドソン・ホワイト(Clarence Hudson White) (24 作品)
  • E.R. ウッド大佐(Colonel E.R. Wood) (27 作品)
  • フェリーチェ・ベアト(Felice Beato) (34 作品)
  • フレッド・ホランド・デイ(Fred Holland Day) (54 作品)
  • フレデリック・ヘンリー・エバンス(Frederick Henry Evans) (28 作品)
  • フレデリック・ホリーアー(Frederick Hollyer)(24 作品)
  • ヘンリー・ピーチ・ロビンソン(Henry Peach Robinson) (48 作品)
  • ホレイス・ニコールズ(Horace W. Nicholls)(30 作品)
  • ジョン・サイモン・ウォーバーグ(John Cimon Warburg) (32 作品)
  • ジョゼフ・ゲール(Joseph Gale) (18 作品)
  • ジュリア・マーガレット・カメロン(Julia Margaret Cameron) (77 作品)
  • オスカー・ギュスターヴ・レイランダー(Oscar Gustav Rejlander) (61 作品)
  • ピーター・ヘンリー・エマーソン(Peter Henry Emerson) (191 作品)
  • ロジャー・フェントン(Roger Fenton) (153 作品)
  • サミュエル・ボーン(Samuel Bourne) (18 作品)

ヴィクトリア朝、エドワード朝の人々1

ヴィクトリア朝、エドワード朝の人々2

ヴィクトリア朝、エドワード朝の人々3

ヴィクトリア朝、エドワード朝の 有名、無名の人々の肖像写真を多数収録

Photographs from the Science Museum(科学博物館所蔵写真コレクション)

  • 年代:1646年-1920年
  • 言語:英語
  • 収録内容:カメラ・オブスキュラから写真まで
  • 原本所蔵機関:科学博物館

ロンドン科学博物館は、1851年の万国博覧会終了後、アルバート公の奨励により創設されたサウス・ケンジントン博物館の一部を起源とします。徐々に独立機関としての性格を強め、1893年には独自の館長を持ち、1909年に完全に独立します。博物館は、科学、医学、工学、工業の諸分野における著名で影響力のある人物や企業のアーカイブ資料、具体的には個人文書、写真、ガラス板のネガ、企業の記録資料、製図などを収録します。収録資料の中にある写真コレクションは、科学者を撮影した写真、天文学、工学、医学、工業、交通など様々な科学的証拠を記録する写真などで構成されています。

月食、キノーラ

左:1888年の月食、右:キノーラの映写機

Photographs from the Talbot Collection at the British Library(英国図書館タルボットコレクション写真集)

  • 年代:1840年-1848年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:英国図書館

1839-1940年のアルバムより

1839-1940年のアルバムより

Photographs from the Wellcome Library for the History of Medicine (ウェルカム医学史研究所図書館所蔵写真)

  • 年代:1850年-1912年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:ウェルカム医学史研究所

ヒトとゴリラの骨格標本

ヒトとゴリラの骨格標本

Portraits of Modern Japanese Historical Figures (国立国会図書館所蔵近代日本人肖像写真集成)

  • 年代:1860年-1914年
  • 言語:英語
  • 収録数:写真184枚
  • 原本所蔵機関:国立国会図書館

近代日本人肖像

The Meiji and Taisho Eras in Photographs(国立国会図書館所蔵明治大正期写真集成)

  • 年代:1868年-1926年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:国立国会図書館

Old Japanese Photographs in Bakumatsu-Meiji Period(長崎大学附属図書館所蔵幕末明治期日本古写真集成)

  • 年代:1858年-1897年
  • 言語:英語、日本語
  • 原本所蔵機関:長崎大学

The Bauduin Collection of Photographs(ボードイン写真コレクション)

  • 年代:1862年-1870年
  • 言語:英語、日本語
  • 収録内容:長崎大学医学部の前身の養生所の第二代教頭、 アントニウス・ボードインが長崎滞在中に撮影、収集した写真527枚
  • 原本所蔵機関:長崎大学

ボードインコレクションは、オランダ人医師アントニウス・フランシスカス・ボードイン(Anthonius Franciscus Bauduin)が撮影し、弟アルベルトゥスが収集した幕末日本の写真コレクションです。ボードインは長崎大学医学部の前身、長崎養生所の第二代教頭を務めた人物です。外国商人として交易に携わっていた弟アルベルトゥスは、駐日オランダ領事に任命されました。1862年から1870年まで日本に滞在したボードインは、大阪医学校(現在の大阪大学医学部)と大学東校(現在の東京大学医学部)で教鞭を取り、また東京の上野一帯の森林に公園を造営することを提言しました。写真にも関心を寄せ、長崎の景観や人々の姿を写真に収めると共に、専門の写真家が撮影した写真を蒐集し、製本しアルバムとして世に送り出しました。

ボードインコレクションは三つの大きなアルバムと一つの小さなアルバムで構成されています。大きなアルバムは、ボードイン兄弟、フェリーチェ・ベアト、上野彦馬、内田九一、中川信輔らの撮影した写真のほか、チャールズ・ワーグマンの描画をベアトが写真に撮影したものもあります。小さなアルバムには、明治初期の政府高官、皇族、軍人、政治家、外国人の肖像写真や名所や自然を撮影した写真が収められています。

日光東照宮 陽明門

日光東照宮 陽明門

Records of the Copyright Office of the Stationers’Company: Photographs (書籍出版業組合著作権局記録:写真)

  • 年代:1860年-1900年
  • 言語:英語
  • 原本所蔵機関:英国国立公文書館

写真登録台帳

写真登録台帳

歴史や文化やメディアなどの学問を研究するための手段として、Photographyは文字資料との相互補完的な役割を果たします。

(センゲージ ラーニング株式会社)

センゲージ ラーニング株式会社サイトはこちら
紀伊國屋書店サイトはこちら
お問い合わせはこちら