人文社会系研究

TLS Historical Archiveデータベース 検索のヒント

2021.02.12

センゲージ ラーニング社Galeが提供するThe Times Literary Supplement Historical Archiveは、英国の書評紙『Times Literary Supplement (TLS)』を創刊号から2019年まで収録するデータベースです。本データベースはTLSをページイメージで収録しており、全文検索も可能です。

TLSは書評紙の最高峰として世界の知識人の尊敬を集めてきました。TLSの書評は長く、一冊の書籍を取り上げる場合でも、その書籍に関する批評にとどまらず、他の書籍にも言及し、書評の場を借りた論文に近かったと言えます。

創刊当初から1974年まで、TLSは公正な議論を確保することを目的として書評を匿名で掲載してきましたが、データベース化に際し、匿名執筆者の情報が初めて公開がされました(詳しくは「書評記事の執筆者を指定した検索」参照)。

またTLSが取り上げるのは英国の文学作品に留まりません。世界各国の出版物や、展覧会や演劇といった文化イベントも取り上げており、文化史料としての価値を持ちます。

本データベースに搭載されている機能を使用すると、例えば以下のような調査が可能になります。

基本検索と詳細検索

  1. 基本検索:基本検索は、トップ画面左上の検索窓から行います。
  2. 詳細検索:検索窓の下部Advanced Searchから、詳細検索画面を開きます。

詳細検索

詳細検索画面は上部のSearch Terms(単語・フレーズを指定した検索)と下部Search Limiters(絞り込み検索)に分かれます。

Search Terms: 単語・フレーズを指定した検索

Search Termsでは、単語・フレーズを指定した検索を行うことが出来ます。

  • Keyword:書誌情報、主題、本文冒頭などから検索。指定した語の同意語も含めて検索します。
  • Entire Document:全文検索
  • Contributor:書評記事の執筆者
  • Author:批評対象の作品の作者
  • Book Title:批評対象の作品
  • Article Title:書評記事名

Search Limiters: 絞り込み検索

Search Limitersでは、条件を指定した検索を行うことが出来ます。

項目例

  • by publication date(s):発行日を指定した検索
  • by document type:記事の種類を指定した検索
    例:Advertisement(広告)、Article(記事)、Cover(表紙)、Death Notice(訃報)、Editorial(編集者側からの提供記事)
  • by illustrated works:掲載された図版を指定した検索
    例:Cartoon(漫画)、Chart(図表)、Drawing(絵画)、Map(地図)、Photograph(写真)

書評記事の執筆者を指定した検索

例としてT.Sエリオットが書いた書評記事を検索してみましょう。詳細検索画面からSearch TermsのFieldの項目をプルダウンしてContributorを選択します。検索窓に”ELIOT”と入力すると候補語として”T.S. ELIOT”が表示されます。

検索結果画面。Contributorの項目に”T.S. Eliot”の名前を確認することが出来ます。

出力画面。記事の中にはELIOTという名前の記載がありません。これは発行当時、匿名で書かれていたためです。

TLSでは、1974 年まで議論の公平さを保つために多くの有名作家や学者の手による書評が匿名記事として公開されていました。
本データベースを制作するにあたり、タイムズ資料室に保存されているTLS原本(歴代編集者により記事の著者や原稿料が記入されていた)、編集日誌、週報などを用い、匿名記事と著者を紐づけた上で、創刊号依頼すべての記事を著者から検索できるようになりました。

TLSの発行日を指定した検索

方法1:詳細検索機能を使う

詳細検索画面のSearch Limitersのby publication date(s)の項目で、TLSの発行日を指定することが出来ます。2015年から2019年に刊行された記事を探したい場合には、Between(期間の範囲指定)を選択し、プルダウンで年、月、日を指定します。


Before(より前)、On(年月日)、 After(より後)といった方法でも指定することが出来ます。

方法2:ブラウザ機能を使う

特定の号を閲覧したい場合にはブラウザ機能が便利です。
ブラウザ画面を開くには、トップ画面の左上部に用意されているBrowseをクリックします。

該当号を閲覧するには、サムネイル画像をクリックしてください。

分析機能

Topic Finder機能

Topic Finderは指定した単語の周辺のフレーズを視覚的に表示し、新たな検索に向けてのヒントを提供する機能です。トップ画面下部の「Go to Topic Finder」をクリックしてください。

階級(Classes)という言葉でトピックを探してみます。検索語を入力すると関連するトピックが表示されます。各記事を閲覧しているだけではなかなか気づかない、検索語とトピックの関係を視覚的に示します。

表示内の任意のタイルをクリックすると、該当資料が一覧表示されます。

イメージは、タイル状と環状の二種類で表示可能です。切り替えは上部のVisualizationで行います。

Term Frequency機能

Term Frequencyは指定した単語の出現頻度を年代毎にグラフ化します。
トップ画面下部の「Go to Term Frequency」をクリック、もしくは検索結果一覧画面右の「Term Frequency」をクリックしてください。

検索窓に検索語を入力します。複数の検索語を指定したい場合は、Add rowをクリックし、検索窓を追加表示してください。Year Rangeでは、表示させたい年代を指定することが出来ます。Search をクリックすると、グラフが表示されます。

以下はフェミニズム(Feminism)と参政権(Suffrage)を入力した画面です。二つの言葉の出現頻度の相関関係をグラフから見て取ることが可能です。

グラフのプロットをクリックすると、検索結果の一覧画面に移ります。

二種類のグラフを表示させることが出来ます。

  • Frequency:指定した語が含まれる文書の数。
  • Popularity:その年に発行された文書の中でその語を含む文書の割合。

表示させたグラフのデータを保存することも出来ます。

TLSの編集史について知る

Essaysのコーナーでは、本データベースを利用する上で有用な背景知識を提供します。各画面右上のResearch Toolsをクリックしてください。

Essaysでは記事を匿名で公開する方針を取っていた1902年から1974年までのTLSの特徴を、年代別に紹介しています。

The Times Literary Supplement in the Years of Anonymous Reviewing 1902-1974

  • The First 1,000 Issues, 1902-1921
  • The Red and the Black: Political Coverage in the 1920s and 1930s
  • 1939-1945
  • 1945-1947: The Age of Austerity
  • 1948-1959: The Times Literary Supplement under Alan Pryce-Jones
  • Swinging Sixties, Slipping Seventies

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The Times Literary Supplement Historical Archiveを通じて、書評紙の最高峰とも呼ばれるTLSの記事の数々をお楽しみください。

(書籍・データベース営業部 清水)