人文社会系研究

SIPRI Yearbook 2021 世界の核兵器削減は停滞、武力紛争による死者は大幅減

2021.10.25
SIPRI Yearbook 2021

ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute、略称SIPRI)により1969年に創刊されたシプリ年鑑(SIPRI Yearbook)は、軍備・軍縮・国際安全保障についての権威ある客観的データを提供するレファレンスとして、世界的な評価を受けています。

世界の核兵器削減が停滞の兆し

核保有国9か国による2021年初頭の核兵器数は13080と推測され、昨年の13400に比べ減少。一方、核兵器の配備数は昨年の3720から3825へと増加し、核兵器削減が停滞している兆しとみなされます。世界の核兵器の9割を保有しているロシアと米国では、核弾頭と搭載兵器および製造設備の近代化と入れ替えを進めていることからも、安全保障における核兵器をより重視する傾向にあると分析。

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国際安全保障についての明暗入り混じる展望

SIPRIによると、紛争の勃発、軍事費の増加、壊滅的なパンデミックの年にもかかわらず、2020年は世界の人間の安全保障が全体として悪化し続けることはなかったと考えられています。世界中の武力紛争で死亡した人の数が大幅に減少したこと、例年とは異なり、国際的な武器取引は拡大しなかったことが指摘されています。また、気候に関する目標に向けて注目すべき進展があったとも述べられています。

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Covid-19に見舞われた2020年の軍事情勢

第52版となる2021年版の序章では、各国の軍事費は増加しているものの、国際武器移転はおよそのところ横這い、地政学的には有害(toxic)な状態が続いたが、ほとんどの地政学上のホットスポットではエスカレーションと抑止のバランスがほぼ保たれたと分析しています。また、Covid-19パンデミックの現在と将来への影響、米国大統領選、パンデミックや気候変動といった地球規模の危機に際して各国相互の協力強化の重要性を述べています。

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シプリ年鑑の各版は、それぞれ直近の1年の国際情勢や軍事・安全保障上の主な出来事・問題関心を反映しています。最新版と過去の版とを併せて参照すれば、年を追っての変化をより明らかに把握することが可能です。

シプリ年鑑が提供するデータの客観性・信頼性は、世界中の軍縮問題研究者から、高い評価を得ています。毎年最新版を欠かさずご購入されますよう、お薦めいたします。

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