イスラームとヨーロッパの交流を甦らせる画期的データベース
Early Arabic Printed Books from the British Libraryは、宗教、法律、科学、歴史、地理、文学、言語等、イスラーム諸学の古典的著作のアラビア語刊本と欧米諸語訳刊本、ヨーロッパ諸語のキリスト教関係著作のアラビア語訳刊本を原本に忠実に再現し搭載する、この種のものとしては初めてのデータベースです。搭載されているのは、アレクサンダー・ジョージ・エリスにより編纂されたEarly Arabic Printed Books in the British Museum に基づく大英図書館のコレクションです。西はイギリスから東はシンガポールまで、アジア、中東、ヨーロッパの200以上の都市で、15世紀後半から19世紀末までの400年の間に出版された約5,100タイトル、約7,000冊を搭載します。
データベースの概要
- 収録タイトル数:約5,100タイトル、約7,000冊(書籍・パンフレット約4,800冊、定期刊行物約2,200冊)
- 収録期間:15世紀から19世紀
- 収録言語:アラビア語(*)、ラテン語(*)、イタリア語(*)、スペイン語(*)、ポルトガル語(*)、フランス語(*)、ドイツ語(*)、英語(*)、オランダ語(*)、ハンガリー語(*)、チェコ語(*)、デンマーク語(*)、スウェーデン語(*)、アイスランド語、ロシア語、ルーマニア語、古代ギリシア語、ギリシア語、ヘブライ語、ユダヤ・アラビア語、オスマン・トルコ語、トルコ語、シリア語、古典シリア語、公用アラム語、サマリア・アラム語、クルド語、コプト語、ゲエズ語、ソマリ語、ベルベル諸語(ガダミス語、トゥアレグ語、タマシェク語)、アルメニア語、ペルシア語、パシュトー語、パージャーブ語、シンド語、グジャラート語、サンスクリット語、ヒンディー語、ウルドゥー語、ベンガル語、ブラジュ・バーシャー語、マラヤーラム語、タミル語、標準マレー語、ブギス語、中国語、日本語(収録刊本の中で部分的にのみ使用されている言語も含む)
(*)フルテキスト検索可能
- 印刷地: ロンドン、パリ、ローマ、ベネチア、フィレンツェ、マドリード、マルタ、ライデン、ライプチヒ、ゲッチンゲン、ウィーン、ウプサラ、イスタンブール、ブーラーク、カイロ、アレクサンドリア、チュニス、ダマスカス、ベイルート、ケセルワン、エルサレム、バグダード、モスル、テヘラン、シーラーズ、タブリーズ、カザン、ラホール、ペシャワール、ラクナウ、カルカッタ、デリー、ムンバイ、ムラーダーバード、ボパール、カーンプル、タラセリー、シンガポールほか、計200 都市
ヨーロッパ、中東、アジアで刊行された初期アラビア語刊本を多数収録
イスラーム世界では写本への愛着が強く、ヨーロッパで刊本が大量に流通し始めた15世紀以降もしばらくは写本時代が続き、活版印刷本が普及するには時間がかかりました。本データベースにも15世紀から17世紀にかけての刊本が含まれますが、アラビア語刊本を含め、すべてベネチア、ローマ、リヨン、パリなど、ヨーロッパ諸都市で出版されたものです。18世紀になりイスラーム世界でも印刷所が設立されるようになりますが、社会各層に刊本が本格的に普及し始めるのは19世紀になってからです。これを牽引したのが、カイロ郊外のブーラークです。本データベースは 16世紀のメディチ家印刷所(ローマ)、ベネチア、19世紀のブーラーク(カイロ)、ラクナウ、イスタンブール、ベイルート、デリー、ムンバイなど、アラビア語刊本の歴史で重要な役割を担った各地の印刷センターの遺産を多数収録します。
アラビア文字の全文検索も可能
収録資料の言語は、アラビア語のみならず、英語、フランス語、ドイツ語、ギリシア語、ヒンディー語、オスマン・トルコ語、ラテン語、ペルシア語、シリア語など約30言語、書籍の中で部分的にも使用されているとエリスの目録で言及されている言語も含めれば約50言語に及びます。このうち、ラテン文字を使う欧語刊本に加え、アラビア語刊本についてもOCRで読み取り、全文検索を可能にしました。
※詳細検索(検索範囲の指定、掛け合わせ検索、ファジー検索)のほか、印刷、ダウンロード、メール送信、書誌生成とエクスポート、各種ビューワ機能(ページ送り、拡大・縮小、輝度・コントラスト調整)が実装されています。
パート構成
以下の4パートで構成されています。パート毎の分売でのご提供となります。
Religion and Law
『クルアーン』の原典やヨーロッパ語訳、預言者ムハンマドの言行録ハディースの古典で、9世紀から10世紀に成立したブハーリーらのスンナ派ハディース六書から、13世紀のイスラーム法学者バイダーウィーによるクルアーン解釈学タフスィールの古典『啓示の光と解釈の秘密』、イスラーム法学教育において長く教科書として活用された 11世紀のクドゥーリーや 12世紀のマルギナーニーらの法学者の著述、12世紀の宗教思想家ガザーリーの大著『宗教諸学の再興』らのイスラーム神学やスーフィズム思想の古典まで、イスラーム写本時代の古典的著作の刊本や 17世紀以降にヨーロッパ諸語訳された著作を収録します。
収録タイトル例
クルアーン原典・二ヶ国語クルアーン・欧語訳クルアーン
- クルアーン原典(アブラハム・ヒンケルマン校訂、1694年、ハンブルク)
- クルアーン原典(1830年、シーラーズ)
- クルアーン原典(1832年、カザン)
- クルアーン原典(グスタフ・フリューゲル校訂、1834年、ライプチヒ)
- クルアーン原典(ザマフシャリー注釈、1864年、ブーラーク)
- クルアーン原典(伝イブン・アラビー注釈、1867年、ブーラーク)
- アラビア語・ベンガル語二ヶ国語クルアーン(ベンガル注釈付、1891年、カラティア)
- アラビア語・グジャラート語二ヶ国語クルアーン(ムンバイ、1879年)
- 仏訳クルアーン(アンドレ・デュ・リエ訳)
- 英訳クルアーン(ジョージ・セイル訳)
- 独訳クルアーン(テオドール・アルノルト訳)
ハディース(預言者言行録)
- アブー・イーサー・ティルミズィー『真正集』
- ブハーリー『真正集』
- アブー・ダーウード『スナン』
- ナサーイー『スナン』
- ムスリム・イブン・ハッジャージュ『真正集』
- イブン・マージャ『スナン』
- クライニー『カーフィーの書』
- イブン・バーバワイヒ『法学者不在のとき』
- トゥースィー『異論伝承に関する考察』
- ナワウィー『義人の庭』
- バガヴィー『スンナの灯火』
- サーガーニー『預言者の光の夜明け』
タフスィール(クルアーン解釈学)
- バイダーウィー『啓示の光と解釈の秘密』
- イブン・カスィール『クルアーン注釈書』
- スユーティー『クルアーン学大全』
- ファフルッディーン・ラーズィー『不可視界の伴』
- ザマフシャリー『啓示の真理を開示するもの』
イスラーム法学
- クドゥーリー『提要』
- モッラー・ヒュスレヴ『賢人たちの真珠』
- アブー・ハニーファ『大フィクフ』
- シャーフィイー『ムスナド』
- マーリク・イブン・アナス『ムワッタア』
- ハレビー『海の交点』
- シャアラーニー『大いなる天秤』
- マルギナーニー『ヒダーヤ』
- ナワウィー『学生の道』
- シャイバーニー『論証』
- ムハキック・ヒッリー『イスラーム法規』
イスラーム神学
- ジュルジャーニー『神学教程注釈』
- クシャイリー『クシャイリーの論攷』
- イブン・アラビー『叡智の台座』
- アブー・ハフス・ナサフィー『信条』
- タフタザーニー『ナサフィーの信条注釈』
- ガザーリー『宗教諸学の再興』『誤謬よりの救済』
- シャアラーニー『宝石と宝玉』『恩寵の精妙さ』
- ラカーニー『宝玉』
- マルズーキー『大衆の信条』
- イブン・アラビー『マッカ啓示』
- アンサーリー『旅人たちの宿駅』
- シュルンブラーリー『解明の光』
- アブドゥルカーディル・ジーラーニー『玄妙の開示』]
Science, History and Geography
『医学典範』『治癒の書』など、中世イスラーム最大の学者イブン・スィーナーの一連の著作のラテン語訳刊本、14世紀の大旅行家イブン・バットゥータの『旅行記』や歴史家イブン・ハルドゥーンの『歴史序説』の 19世紀刊本から、アリストテレス、ユークリッド、ガレノス、プトレマイオスら、イスラーム世界経由でヨーロッパに導入された古代ギリシア・ローマ時代の科学者のラテン語訳刊本まで、近代ヨーロッパ科学の源流に位置付けられる中世アラビア科学全盛時代の歴史的名著を収録します。
収録タイトル例
医学
- イブン・スィーナー『医学典範』(アラビア語、1593年、ローマ、メディチ家印刷所)
- イブン・スィーナー『医学典範』(ラテン語訳、1486年、ベネチア)
- イブン・スィーナー『治癒の書』
- ラーズィー『天然痘と麻疹』『アル = マンスーリー』
- ガザーリー『哲学者の自己崩壊』
- ガレノス全集(アラビア語版からのラテン語訳、1609年、ベネチア)
- ヒポクラテス『真実の書』(ギリシア語からのアラビア語訳・フナイン・イブン・イスハーク訳、1594年、ローマ)
数学
- フワーリズミー『代数学抄録』(1866年ローマ版)
- ユークリッド『幾何学原論』(英語版からのアラビア語訳)
- ユークリッド『幾何学原論』(ラテン語版からのアラビア語訳・ナスィールッディーン・トゥースィー訳)
天文学・占星術
- イブン・ユーヌス『ハーキム大天文表』
- ウルグ・ベク『天文表』
- アブー・マアシャル『大序説』(ラテン語訳)
- ファルガーニー『天の運動について』(ラテン語訳)
- アリストテレス『天体論・宇宙論』(ギリシア語・アラビア語からのラテン語訳・マイケル・スコット訳)
- プトレマイオス『四部書』(アラビア語からのラテン語訳・ティボリのプラトーネ訳)
哲学
- ガザーリー『哲学者の意図』『哲学者の矛盾』
- イブン・マイムーン『迷える人々の導き』
- エルンスト・ルナン『アヴェロエスとアヴェロエス主義』
- アリストテレス『形而上学』(ギリシア語・アラビア語からのラテン語訳・クレモナのゲラルドゥス訳)
- ガザーリー『アルガゼルの論理学と哲学』(アラビア語からのラテン語訳・ドミンゴ・グンディサルボ訳)
地理
- イブン・バットゥータ『旅行記』
- ジャン・バティスト・デュラン『セネガル旅行記』
- レオ・アフリカヌス『アフリカ誌』
- カズウィーニー『被造物の驚異』
- ヤークート『諸国誌』
- タフターウィー『パリ要約のための黄金の精錬』
- フェルディナント・ビュステンフェルト『アラビア部族・家族系譜表』
歴史
- イブン・ハルドゥーン『歴史序説』
- スユーティー『エジプトとカイロの歴史』
- サイモン・オークリー『サラセン帝国史』
- イブン・アスィール『完史』
- スユーティー『カリフたちの歴史』
- ビールーニー『古代民族年代記』(アラビア語から英語訳)
- 左から
- ユークリッド『幾何学原論』(1594年、ローマ)
- イブン・ハルドゥーン『歴史序説』(1879年、ベイルート)
Literature, Grammar, Language, Catalogues, and Periodicals
『千夜一夜物語』の原典や各国語訳、アブー・ヌワース、ムタナッビーらの詩集、ヨーロッパの文学作品のアラビア語訳から、イブン・マンズールの『アラビア語辞典』、フィールーザーバーディーの『言海』らの著名なアラビア語辞典や文法書、さらには目録、定期刊行物まで、アラビア文学とアラビア語の豊穣な世界へ誘います。
収録タイトル例
文学
- 『千夜一夜物語』(原典)
- 欧語訳『千夜一夜物語』(英訳、仏訳、独訳、露訳、ハンガリー語訳)
- アフタル『詩集』
- アブー・ヌワース『詩集』
- ハリーリー『マカーマート』
- ムタナッビー『詩集』
- アブー・タンマーム『武勇詩集』
- ブフトゥリー『詩集』
- イブン・ファーリド『詩集』
- サアーリビー『知識の冗言』
- サアーリビー『時代の無比珠』
- カズウィーニー『伴の注釈』
- タフタザーニー『長編』『短編』
- シルヴェストル・ド・サスィ『アラビア語の作詞法と韻律提要』
- デフォー『ロビンソン・クルーソー』(アラビア語訳)
- デュマ『モンテ・クリスト伯』(アラビア語訳)
言語・文法
- スィーバワイヒ『キターブ』
- イブン・マンズール『アラビア語辞典』
- イブン・マーリク『アルフィーヤ』
- イブン・クタイバ『書記の作法』
- ジャウハリー『スィハーフ』
- フィールーザーバーディー『言海』
- ブスターニー『大海』
- ザマフシャリー『詳解』
- ザマフシャリー『修辞学の基礎』
- シドヤーク『アッサーク・アラッサーク』
- シドヤーク『スィッル・ラヤール』
- ヨハン・ルートヴィヒ・ブルクハルト『アラビア語の諺』(英訳)
- トマス・エルペニウス『アラビア語文法』(ラテン語)
- ギヨーム・ポステル『アラビア語文法』
目録
定期刊行物
- 左から
- ハリーリー『マカーマート』(1847年、ラクナウ)
- 『千夜一夜物語』(1862年、ブーラーク)
- アブー・ヌワース『詩集』(1884年、ベイルート)
- カズウィーニー『鍵の注釈』(1888年、デリー)
Christianity , Judaism and Other Faiths
古くは4世紀のヨハネス・クリュソストモス、5世紀のアウグスティヌス、12世紀のマイモニデス、15世紀のトマス・ア・ケンピス、16世紀のロベルト・ベラルミーノ、17世紀のジョン・バニヤン、18世紀のジョナサン・エドワーズ、19世紀のポール・ド・ラガルドら、キリスト教、ユダヤ教の神学者、聖職者、著述家の著作、キリスト教、ユダヤ教の聖典のアラビア語訳刊本を収録します。
収録著者の一部
- ロベルト・ベラルミーノ
- ウィリアム・ホーン
- ヨハネス・クリュソストモス
- ポール・ド・ラガルド
- アルフォンソ・デ・リゴリ
- モーゼス・マイモニデス
- トマス・ア・ケンピス
- アイザック・ウォッツ
- ヒッポのアウグスティヌス
- ジョン・バニヤン
- ジョナサン・エドワーズ
- フーゴー・グロチウス
- ミハイール・ミシャーカ
- リシュリュー
- ジョヴァンニ・バティスタ・ライモンディ
- 左から
- イブン・アラビー『叡智の台座』(1837年、ブーラーク)
- ヒポクラテス『真実の書』(1868年、ラクナウ)
- ブハーリー『真正集』第1巻(1870年、ブーラーク)
- クドゥーリー『提要』(1870年、ラホール)
- 左から
- スユーティ『カリフたちの歴史』(1870年、ラホール)
- フィールーザーバーディー『言海』(1872年、ブーラーク)
- ガザーリー『誤謬よりの救済』(1889年)
- マルギナーニー『ヒダーヤ』(1876年、ラクナウ)
中世以来のイスラーム文化圏とヨーロッパ文化圏の思想と学術の交流、19世紀におけるイスラーム書物文化の興隆を甦らせる画期的なデータベースです。
(センゲージ ラーニング株式会社)
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