RILM Music Encyclopediasは、音楽関連の著名なレファレンス・事典を一括調査・全文アクセスすることを可能にしたデータベースです。そのグローバルな収録内容は、教育から研究まであらゆる段階での調査の需要を満たします。2022年1月に新たに収録予定の3タイトルをご紹介します。
Dictionnaire de musique moderne
François Henry Joseph Blaze (Castil-Blaze). Dictionnaire de musique moderne (2nd ed.; Paris: Au magasin de musique de la Lyre moderne, 1825) 2 vols; xvi, 324 p. [25]; 389 p.
フランスの音楽学者、音楽評論家、作曲家、音楽出版編集者Castil-Blaze編纂、1821年に初版が刊行された”Dictionnaire de musique moderne”は、一見ジャン=ジャック・ルソーの”Dictionnaire de musique”(音楽辞典)を現代風にアレンジしたように見えますが、アプローチを大きく変え、独自の定義を提示しています。
項目の構成や内容についてはルソーを踏襲しているものの(転載の約80項目を除く)、より多くの読者を意識し、同時代の音楽に焦点を当てる形で項目を更新しました。自らも音楽辞書の編纂に携わった同時代の音楽学者François-Joseph Fétisが以下の通り断言しています:
“Containing nothing that is not known to educated musicians, the Dictionnaire de musique moderne contains developments that are a little too considerable for others: with this slight defect … the book of M. Castil-Blaze deserves praise for the clarity of the definitions and the rectitude of judgement which are distinguished in most of the artists”
(Dictionnaire de musique moderneには、教育を受けた音楽家が知らないことは何も含まれていないが、それ以外の人にとって少なからぬ進歩がみられます。わずかな欠陥はあるものの、M.Castil-Blazeの本は,大半の芸術家に対する明確な定義と正しい判断において称賛に値します。)
1825年に刊行された第2版では、対位法や音型関連の項目が改訂されました。音楽家Joseph Henri Mees編纂、1828年にブリュッセルで作られた要約版第3版は、低地諸国の理論家、作曲家、音楽家(故人のみ)目録と音楽教育学関連の短い説明が付け加えました。
Enciklopedia e muzikës shqiptare
Sokol Shupo. Enciklopedia e muzikës shqiptare (Tiranë: Asmus, 2002) 318 p.
”Enciklopedia e muzikës shqiptare”では、アルバニアの首都ティラーナにある芸術アカデミーで教鞭を執るアルバニアの音楽研究者・作曲家Sokol Shupoが、他の百科事典で取り上げられていないアルバニア音楽史における多くの主要人物を取り上げています。ティラーナ芸術アカデミー教員、指揮者Petrika Afezzoliから、アルバニアの新しい音楽の発展に大きく貢献をした作曲家Nikolla Zoraqiまで、アルバニアの音楽界で活躍した演奏家、作曲家、音楽学者他186項目が掲載されています。とりあげられている音楽家の多くが今もアルバニアで活躍しており、海外に移住した音楽家への言及は限られています。
アルバニア国内のアーカイブ・コレクションの状況、音楽不在の状況を考慮すれば、本書はアルバニア音楽史の最も完全で信頼のおける情報を提供しており、この種の包括的な単一書籍としては初めてのものです。
Vietnamese musical instruments: A monographic lexicon
Terry Moran. Vietnamese musical instruments: A monographic lexicon ([Singapore]: author, 2020) 384 p.
ベトナムの楽器に関する最も包括的な辞典の1つです。シンガポール在住オーストラリア人教師Terry Moranが、20年におよぶベトナムでの調査旅行を経て編纂しました。241項目を掲載、各項目にLuke Agatiの手描イラストが添えられています。1994年に発見された2000年前の石製ビューグルKèn đáのような気鳴楽器(Họ Hơi)や、少数民族の弦鳴楽器(Họ Dây)、体鳴楽器(Họ Tự Thân Vang)、演奏可能な楽器としては世界で6番目に古い石琴、膜鳴楽器(Họ Màng Rung)など、ベトナムのさまざまな民族の楽器を43ページに渡って紹介しています。また、2007年にアンサンブルメンバーKhắc Chí Tre Xanhによって作られた楽器のセクションもあります。楽器の他、ベトナム音楽史や楽器分類についても詳述されています。また、ベトナムの楽器を扱う有名店、ギャラリーの住所も掲載されています。
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(紀伊國屋書店 デジタル情報営業部 伊佐)