The Times Digital Archive
イギリスの新聞、ザ・タイムズ(ロンドン・タイムズ)の創刊号以降の記事を発行時の紙面イメージに忠実に電子化、フルテキスト検索を可能にしたセンゲージ ラーニング社GaleのデータベースThe Times Digital Archiveより、1951年から2019年までに掲載された記事の一部をご紹介します。
ヒラリー、エベレスト初登頂
- ヒラリー、エベレスト初登頂(左:(June 2, 1953)、右:(January 12, 2008))
左:ヒラリーに同行したタイムズ記者ジェームズ・モリスは初登頂成功のニュースを暗号にして送信した。暗号はベースキャンプから48キロ下った警察署まで届けられ、そこからカトマンズの英国大使館を経てタイムズ本社まで無線で届けられた。ヒラリー登頂のスクープ記事は、エリザベス2世戴冠の日に掲載された 。
右:ヒラリー逝去の翌日、このエピソードを紹介する記事。
プロヒューモ事件
- プロヒューモ事件(June 11, 1963)
陸軍大臣による国家機密漏洩疑惑事件に関して、安全保障の問題とする大方の見立てに反してモラルの問題と指摘した論説。
ミック・ジャガー、麻薬所持容疑で逮捕
- ミック・ジャガー、麻薬所持容疑で逮捕(左:(July 1, 1967)、右:October 16, 2010))
左:懲役3ヶ月の刑が科されたことに対して、判決の背後に、ローリング・ストーンズの歌やパフォーマンス、若者への悪影響を好ましく思わない感情が存在することを示唆し、伝統の破壊を恐れる余り、寛容と公正というイギリスの良き伝統を忘れて、有名人であるという理由だけで重い刑を科すことがあってはならない、と説いた。論説は、条件付き釈放へと導いた。タイトルの “Who breaks a butterfly on a wheel ?” はアレクサンダー・ポープの詩の一節。蝶を轢くのに車輪を以ってするのは誰か、転じて、些細なことに大げさな手段を使うのは誰か、との意。
右:ミック・ジャガーとともに逮捕されたキース・リチャーズが自伝の中でタイムズの論説に助けられたと証言していることを伝える記事。
ダイアナ死去
- ダイアナ死去(September 1, 1997)
ダイアナの無言の帰国を伝える記事。
タイムズ、総選挙で初めて労働党を支持
- タイムズ、総選挙で初めて労働党を支持(June 5, 2001)
「小紙は史上初めて、本選挙において慎重に、だが明確に労働党を支持する」
ロンドンでイラク侵攻に抗議する100万人デモ
- ロンドンでイラク侵攻に抗議する100万人デモ(Feb 17, 2003)
英軍によるイラク侵攻が計画される中、ロンドンで侵攻に反対する100万人が抗議デモを行なった。しかし、1ヵ月後、英軍は米軍とともにイラクを侵攻した。
ロンドン同時爆破テロ
- ロンドン同時爆破テロ(July 8, 2005)
ロンドンの地下鉄と二階建てバスを標的にした爆破テロ事件が発生、50人以上が死亡、約700人が負傷する大惨事になった。
ロンドンで大学授業料値上げに対する学生デモ
- ロンドンで大学授業料値上げに対する学生デモ(November 11, 2010)
キャメロン政権の緊縮政策の一環としての大学授業料値上げに反対する学生がデモを行い、一部の学生が保守党本部の建物を襲撃した。
警官による黒人青年射殺事件
- ロンドン北部トッテナムで警官による黒人青年射殺事件(August 8, 2011)
警察による黒人青年射殺事件が引金となり、ロンドン、バーミンガム、マンチェスター等の大都市で暴動が発生。低所得者の若者が逮捕者の多くを占めたため、前年の授業料値上げ反対デモとともに、キャメロン政権の緊縮政策に対する若者の不満を浮彫にした。
ロンドン五輪
- ロンドン五輪(July 28, 2012)
1948年以来64年ぶりの開催となったロンドン五輪。開催式を伝える記事
イングランドとウェールズで同性婚合法化
- イングランドとウェールズで同性婚合法化(March 29, 2014)
前年の婚姻法の成立により同性婚が合法化した。記事は同法の施行に伴い、結婚式を挙げ晴れて正式なカップルとなった二人の男性。
イギリスEU離脱
- イギリス国民投票でEU離脱(June 18, 2016)
EU離脱の是非を問う国民投票の4日前に「EUの内部で改革を先導することが、イギリスの国益に適う」とEU残留を支持する社説を掲載した。しかし、国民投票で離脱派が勝利すると、健全な議論が罵り合いに堕してしまった、と苦々しく指摘した。
カズオ・イシグロ ノーベル文学賞受賞
- カズオ・イシグロ ノーベル文学賞受賞(October 6, 2017)
前年の受賞者ボブ・ディランをイシグロが敬愛し、「ディランがいなければ作家にはならなかっただろう」との言葉を紹介している。記事は19ページ目の下半分で受賞に対する扱いは非常に控えめ。
ボリス・ジョンソン 首相就任
- ボリス・ジョンソン 首相就任(July 25, 2019)
首相が交代しても閣僚は続投することの多いイギリスでは珍しく、ジョンソン新首相は17人の閣僚を入れ替え、離脱派を中心とする内閣を樹立した。記事では「辞任(QUIT)」「解任(SACKED」の文字を入れた閣僚の写真を掲載し、異例の対応であることを伝えている。
※参考記事:英新首相ボリス・ジョンソンと『デイリー・テレグラフ』
ディジタル人文学の時代のタイムズ
一部の専門家を読者とする他の学術情報と異なり、社会の多くの人々を読者とする新聞は、政治、経済から、社会、風俗、論説、投稿、訃報などの人物情報、文芸、芸術、広告まで、多種多様の情報を含むが故に、資料としての汎用性が高く、過去の人々の生の声を伝える貴重な歴史資料です。また、日次で発行される日刊紙は、過去の事象の変化を時系列で辿ることを可能にするという、他の歴史資料では代替できないメリットを持っています。
近年、歴史資料のディジタル化が進む中で、時系列の変化を辿りやすい日刊紙の価値が改めて見直されています。中でも、現存するイギリス最古の日刊紙タイムズは、その発行期間の長さと記事数の多さと汎用性と知名度の高さから、数ある新聞の中で、ディジタル資料として最も可能性を秘めた新聞です。
※The Times Digital Archiveの買切契約機関は、弊社の一次資料データベースをオンライン上で直感的にテキストマイニングを行うことができるプラットフォーム、Gale Digital Scholar Labを通じて、高度な分析がオンライン上で手軽にできるようになりました。研究はもちろん、デジタル人文学入門講座などでもご利用いただけます。詳しくは紀伊國屋書店までお問い合わせください。
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