図書館をつくる

OCLC News 第60・61合併号

2022.07.25
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OCLC News 第60・61合併号
商品情報をはじめ、OCLCに関する様々な情報をご案内致します。

 

目次

ALA Core会員、OCLCのWorldShare Management Servicesサンドボックスへの無料アクセスを開始

2022年6月25日、OCLCはALA Core会員にWorldShare Management Servicesサンドボックスへの無料アクセスを提供することを発表しました。

専門能力開発の機会を求めるALA Core会員に、クラウド型図書館管理システムを実際に使用する機会を提供するものです。

ALA Coreは、Association for Library Cataloging and Technical Services (ALCTS), Library Information Technology Association (LITA), およびthe Library Leadership and Management Association (LLAMA) の合併によって設立されたシステムライブラリアンのための代表的な組織です。

OCLCと提携し、会員に図書館システムへのアクセスを提供することは、キャリアの浅い職員や専門的な学びを求める職員に貴重な学習機会を提供することになります。

ALA Coreの会長であるLindsay Cronkは「OCLCとの戦略的パートナーシップを開始できることを嬉しく思います。図書館システムへのアクセスは、特にキャリアの浅い図書館職員にとって高いハードルです。CoreとOCLCは共に、アクセスだけでなくトレーニングも提供することで、このハードルを乗り越える術を提供します。これは、ALA Coreのメンバーだけでなく、システムライブラリアン全体にとって意義深いものになると信じています」とコメントしています。

WorldShare Management Services(WMS)は、WorldCatを基盤とするクラウドベースの図書館システムです。WMSの導入により、図書館職員はOCLCの共有データネットワークと技術を利用して、より効率的なワークフローを実現するとともに、図書館のコレクションへの効果的なアクセスを利用者に提供することを可能にします。

WorldShare Management Servicesの詳細については、OCLCのウェブサイトをご覧ください。

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―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―
協力の価値をどう測るか?
2022年5月11日  ジーナ・ウィンクラー

私はこれまでのキャリアで「情報に対する人間の基本的なニーズは変わらない」ということを学びました。「図書館資料へのアクセスを向上させる最善の方法」に対するOCLCのビジョンは、何十年もの間変わっていません。その間にテクノロジーは急激な変化を遂げましたが、私たちは常に図書館とその利用者の利益のために歩んできたのです。

今後、特にメタデータサービスの分野においては、OCLCのユニークなスチュワードシップの役割として「協働的な情報管理」の真の価値に焦点を当てることが必要になってきます。

■協力の価値を測る3つの方法

  • 品質

利用者それぞれがニーズに沿った図書館のコンテンツにアクセスするためには、資料に関するデータが可能な限り正確で最新である必要があります。WorldCat Quality Teamは、毎月約400万件のレコードをレビューし、マージし、エンリッチしています。また、データサイエンスモデルを使用することにより、最近では000万件以上の書誌レコードを強化し、350万件以上のナレッジベースレコードにOCLC管理番号を割り当てています。驚くべきは、これらの強化がOCLCスタッフとメンバーライブラリの貢献によって、毎日協力的かつ継続的に行われていることです。

この協働の結果が、すべての加盟館にとっての価値となり、私たちの情報共有プラットフォームを成功に導いています。実際、米国ではWorldCatのレコードの90%以上が、複数の図書館、出版社、そしてOCLCが協力して各レコードのメタデータを追加、改良した結果であることが分かっています。

  • 効率性

品質に対する協力的なコミットメントは効率も高めます。2020年にOCLC加盟館は95%の書誌データをWorldCatからコピーすることができ、1タイトルあたり平均10分の時間を節約することができました。一年で考えると、1700万以上のタイトル、約300万時間の節約につながったのです。

もう一つの例として、OCLCは個々の図書館では利用できないような最先端の技術へのアクセスを提供することができます。私たちが新しく提供を開始した「所蔵情報更新サービス」は、その好例です。2022年1月に期間限定で提供を開始しましたが、この4ヶ月間で1630万件の蔵書を追加し、6220万件の蔵書をリセットし、2570万件の非アクティブな蔵書を削除しています。この試験の統計は非常に印象的だったので、OCLCの目録サービスを契約している図書館には、追加料金なしでこのサービスを継続的に提供することにしました。

  • 可視性

品質と効率性は図書館の利用者に価値を提供しなければ意味がありません。蔵書データの更新は、利用者を最新資料に導くだけでなく、資料の共有を通じて発見を促す効果もあります。最近のデータでは、ILLリクエスト時に、「未所蔵」という回答が2番目に多いことがわかっています。一方でOCLCの新しい「所蔵情報更新サービス」のトライアルに参加した図書館では、「未所蔵」の回答が、過去に比べて最大99%減少したという結果もあります。これは、図書館員が未所蔵タイトルの検索やリクエスト対応に時間を費やす必要がなくなり、利用者が最新の情報にアクセスできるようになったことを意味します。

最後に、所蔵情報の更新は、最近発表された “Google検索からの直接リンク “のようなパートナーシッププログラムにおいて、参加図書館の資料がより正確に表示されることを意味します。これは、WorldCatで作られた協力的な書誌データが、図書館の存在感と可視性を高めることを示す多くの例の一つに過ぎません。

■将来への計画

OCLCは参加機関や利用者のニーズの変化に合わせて、今後も長期的に発展をつづけていきます。「将来の価値」という点において、WorldCat Entitiesプロジェクトの完了は控えめに言っても大きな意味を持ちます。これは図書館のリンクデータ構想におけるインフラ構築に向けたステップであり、我々は既に1億5千万以上のオープンなエンティティを追加しています。

今後は開発パートナーと協力し、これらのデータやツールを図書館のワークフローに統合する方法を検討していく予定です。私たちは数十年後を見据えて、リンクデータのような新しい技術を慎重に研究し、図書館が長期的、計画的かつ効率的にそれらの技術を利用できるように検討・開発を進めています。リンクデータは、ウェブ上における学術資料のディスカバビリティを向上させることがわかっており、私はメタデータ&デジタルサービス担当の新エグゼクティブディレクターとして、この技術を前進させる手助けができることを楽しみにしています。

■各機関のユニークな価値を提案

OCLCおよび加盟図書館は、数十年にわたる経験と能力を持ち、ネットワーク全体と各機関のユニークなアイデンティティをサポートするために協力し合ってきました。

私たちはともに、地理的な境界を越えて、あらゆる種類と規模の図書館を代表する存在です。

私たちはともに、業界全体や各国の公共団体と協力しながらメタデータの品質と管理基準を向上させています。

私たちはともに、非営利組織として図書館の利益を尊重した価値を創造します。

そして私たちはともに、世界で共有される学術的・文化的財産の未来を保証し、同時に「学生たちの宿題」の役に立つ資料に対する最も効率的なアクセスを提供するのです。

これは何千もの図書館がテクノロジーとデータを共有することで、それぞれの地域の目標をよりよく達成することができるという、他に類を見ない価値提案です。私はその一員であることを誇りに思っていますし、あなたの図書館に提供する価値を高める手助けができることを楽しみにしています。

 

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(紀伊國屋書店 OCLC事業部)

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