図書館をつくる

OCLC News 第68号

2023.07.04
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OCLC News 第68号
商品情報をはじめ、OCLCに関する様々な情報をご案内致します。

目次

The Big Ten Academic Allianceと新OCLC Resource Sharing for Groupsで提携

BTAAロゴ

OCLCは、イリノイ大学、インディアナ大学、オハイオ大学などが参加する研究型大学の同盟であるBig Ten Academic Alliance(BTAA)と提携し、図書館グループやコンソーシアムに焦点を当てたリソースシェアリングを再構築する新しいソリューション、OCLC Resource Sharing for Groupsの開発を進めています。

OCLCとBTAAは、OCLCのResource Sharing for Groupsの一環として、15の大学図書館とCenter for Research Libraries (CRL)のコレクションから9,000万冊以上の本への迅速なアクセスを提供するBTAAのUBorrowサービスの進化をサポートするために協力しています。

OCLC Resource Sharing for Groupsは、図書館利用者へのデジタルおよび紙媒体の資料の提供を迅速化する、最新のコンソーシアム型リソースシェアリングソリューションです。参加する図書館は、グループのメンバーからリソースを簡単に貸し借りするために必要なすべてのツールを備えています。リクエストがグループ内で満たされない場合、スタッフの介入なしに、地域のパートナーやOCLCのグローバルな図書館間貸借(ILL)ネットワークにシームレスにスケールアウトします。このソリューションはまた、自館のポリシー、グループのプロフィール、利用可能なリソース、図書館間の協力関係、ユーザーのニーズに基づいて、迅速かつ予測可能な資料提供を行うsmart fulfillment 機能を構築しており、最初の受付館の提供率は90-95%に達しています。

OCLCとBTAAは、2019年の報告書「Operationalizing the BIG Collective Collection: A Case Study of Consolidation vs Autonomy」のような研究プロジェクト、UBorrow、WorldShare ILL、ILLiadといったリソースシェアリングシステムで協力してきた長い歴史があります。

OCLCのグローバルプロダクトマネジメント担当副社長であるMary Sauer-Gamesは、「OCLC Resource Sharing for Groupsの開発パートナーとしてBTAAと協力できることを嬉しく思っています。BTAAは様々な州や地域にある大規模な学術機関で構成されており、多くのグループやコンソーシアムと連携しています。我々は、BTAAの野心的なBIG Collectionイニシアチブの目的と、より広い図書館コミュニティの進化するニーズの両方を満たすソリューションの開発で提携できることを嬉しく思っています。」と述べています。

BTAAのビッグコレクションへの取り組みは、ビッグテンの図書館の15の独立したコレクションを一つのコレクションに移行し、共有し、完全にネットワーク化するという図書館長のコミットメントによって推進されています。

OCLC Resource Sharing for Groupsは、合理化されたコンソーシアム型のリソースシェアリングを提供し、グループメンバー間での資料提供を加速させます。これにより、図書館利用者にはシームレスな体験を、図書館スタッフには簡素化されたワークフローを、印刷物だけでなく電子資料にももたらします。

また、このソリューションはプロバイダに依存せず、あらゆる標準ベースのディスカバリーサービスや図書館管理システムと統合されるため、グループメンバーにより多くの選択肢と柔軟性を提供します。

OCLC Resource Sharing for Groups の詳細は、こちらをご覧下さい。

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SCELCがシェアードプリントプログラムに関するプロジェクトでChoreo Insightsを採用

Statewide California Electronic Library Consortiumロゴ

 

OCLCは、カリフォルニア州の電子図書館コンソーシアムであるStatewide California Electronic Library Consortium (SCELC)と提携し、OCLCの新しい図書館分析ソリューションChoreo Insightsを使用して、シェアードプリントコレクションの多様性を強化する方法を探求し、価値のある資料の保存に貢献します。

SCELCは、”Community Strategies to Expand Diversity and Inclusivity in the Collective Collection of Shared Print“というプロジェクトの一環として、シェアードプリントプログラムのアメリカ国内ベストプラクティスの開発に役立つことを目的とした研究を行っています。その目的は、マイノリティに奉仕する機関のインクルージョンを拡大し、集合的かつ将来的なコレクションの多様性を評価することです。この作業には、マイノリティ研究者の割合やマイノリティコミュニティに関する書籍など、多様性の指標となるメタデータ分析が含まれます。

SCELCは、OCLCのChoreo Insightsを利用して、約30のマイノリティを支援する教育機関の図書館コレクションの多様性と独自性を評価します。SCELCは、Choreo Insightsにより、マイノリティ支援機関と非マイノリティ支援機関の他にない紙媒体の書籍コレクションと重複する紙媒体の書籍コレクションを比較することができます。また、Choreo Insightsは、マイノリティ支援機関のコレクションに注目し、彼らが代表する民族学研究分野の希少でユニークなコレクションに焦点を当てます。

SCELCのエグゼクティブディレクターであるTeri Oaks Gallaway博士は、「図書館コレクションに表現される多様性を理解することは、マイノリティ支援機関(MSI)がシェアードプリントプログラムに参加する際の障害を取り除くために重要です。Choreo Insightsを使用することで、マイノリティのコミュニティの文化遺産をコレクションとして保存することの重要性を理解し、説明することができます。これらのコレクションの多様性を評価することは、私たちの社会の多様な経験や視点を反映した、より包括的で代表的なコレクションを作るために必要なステップです。」と述べています。

Choreo Insightsは、アメリカ議会図書館分類表やFAST件名標目などを用いてコレクションを分析し、図書館のコレクションが多様性、公平性、包括性(DEI)の目標にどのように対応しているかを調査することができます。また、図書館はChoreo Insightsを使用して、CIP(Classification of Institutional Programs)マッピングを用いて、コレクションを直接学術プログラムにマッピングすることができます。

OCLCのグローバルプロダクトマネジメント担当副社長であるMary Sauer-Gamesは、「OCLCはSCELCと提携し、多様で包括的な共同コレクションの保存に貢献する方法でコレクションの多様性を評価できることをうれしく思います。この重要な作業は、共有プリントプログラムのベストプラクティスの開発に多大な影響を与えることでしょう。」と述べています。

この複数年にわたるプロジェクトでは、多様な機関がコレクションの多様性にどのように寄与しているかを引き続き検証していきます。

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―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―
図書館の長期的未来への投資

スキップ・プリチャード

変化のペースが加速すれば、進歩の評価も困難になります。あまりにも速い選択は、明日の変化で陳腐化するかもしれません。遅すぎれば、追い越され、自分の存在意義が薄れてしまうかもしれません。では、どうすれば正しい道を歩んでいるかどうかを判断できるのでしょうか。

OCLCでは、この質問に照らし合わせて私たちの現在地と進むべき道を判断しています。私たちOCLCは、利用者と彼らが必要とするリソースの橋渡しを図書館がうまく行うための手助けができているだろうか?と。

このようなやり方は、一年の成果を評価し、新たな目標を設定し、さらにその先の計画を立てるときにも役立ちます。

現在のポジティブな影響

私たちは、共同作業、学習、技術革新を大規模に促進する図書館のグローバルネットワークを接続し、充実させるためのインフラの構築と改善を続けています。これらのデータリソースと図書館の専門知識を組み合わせることで、すべての図書館が大きな成果を上げながら、大幅な効率化を達成することができます。

では、OCLCとそのメンバーである図書館は、今現在よい影響を及ぼしているのでしょうか?もちろんです。2021/2022年の年次報告書をざっとご覧いただければ、以下のような例があります。

  • WorldCatナレッジベースの完全再構築
  • 新しい効率的な所蔵情報更新サービスの開始
  • リソース共有のための洗練されたフルフィルメント機能の実装
  • メンバーシップと研究活動への参加者の増加

まだまだ多くのことを享受できるはずですし、私たちが行った投資は、今日の私たちの価値観そのものであると自負しています。一方で、将来への計画はどうなっているでしょうか?

オンラインで図書館を支援

私たちは、15年以上にわたって、オンラインで図書館の認知度を向上させる活動を支援してきました。なぜなら、図書館は特定の地域住民を代表する素晴らしい仕事をしていますが、その一方で巨大で資金力のある商業施設と競合しているため、認知度を向上させる支援が必要だと考えているからです。

WorldCatは、図書館のコレクションを世界最大規模で表現するものとして、この取り組みの中核をなすものです。このことがメンバーや図書館界全体にとってどのような意味を持つのか、Gina Winklerの考えを是非お読みください。私たちが、書誌レコードや 所蔵だけでなく、図書館のさまざまな活動に関する共通のデータソースに協力することは、建設的な共有の機会を多く提供することになるのです。

WorldCat.orgでの最近の取り組みや、その他のウェブ可視化プログラムも、そのことを証明するものです。このユニークで集合的なリソースに投資することで、参加するすべての図書館は、他のすべての図書館が、利用者に特定の、関連性のある、ユニークな資料と出会う手助けをすることができます。これは非常に重要なことです。どの図書館も地域の利用者のために正しいことをしなければなりませんが、協力することですべての図書館を引き上げ、すべての人が公平に利益を共有することができるようになるのです。

自分に問いかけてみてください: もしOCLCとそのメンバー図書館がこれを行わなければ、誰が行うでしょうか?このような規模で図書館のつながりを代表し、促進することができる組織は他にありません。私たちは共に、すべての図書館の可視性と関連性を向上させ、利用者を地元の図書館に呼び戻すようにしていきます。

図書館利用者の体験を向上させる

人々は図書館とそのリソースをオンラインで発見したら、提供やフルフィルメントでプラスの体験をすることを望んでいます。これは、図書館が最も関連性の高い資料を目録、編集、共有、維持できるようにするためのツールを改善することを意味します。WorldCatは、ここでも役立っています。図書館の所蔵資料と相互貸借の方針に関する共有レジストリを提供することで、私たちは図書館間の資料の流れを円滑にし、世界中の人々の手に届くようにします。また、この情報は、図書館が地域のニーズに最も適した資料を入手、管理、保存する上で、貴重な判断材料となります。

私たちは、グローバルに協力して高品質なデータを作成・共有することで、地域運営活動の効率化を図っています。この効率化と協力の好例が、「Express digital delivery」プログラムです。これは、スマート・フルフィルメント機能と連携することで、圧倒的なスピード感で利用者に資料を届けることができるプログラムです。話はシンプルです。何万人もの仲間に頼ることで、一人ひとりがより多くの仕事を行うことができるのです。

長期的な視点でコミットする

世界中の図書館の明るい未来のために、OCLCはWorldCatへの継続的な投資により以下の重要な優先事項に取り組んでいます。

  • 図書館と世界との関わりやと地域での効率性を示すデータの改善
  • データを取得し、改良し、活用するサービスの構築
  • 資料収集決定や、資料を説明するための用語について、DEIイニシアチブを支援するためのツール提供
  • 参加図書館で共有するコミットメント情報を活用したプログラムの実施

私たちは、協力することで、すべての図書館の国際的な存在感と、各図書館が地域で素晴らしいサービスを提供する能力の両方が向上すると信じています。これは、50年以上にわたって成功を収めてきた好循環です。私たちは、中核となるインフラとメンバーシップの活動に多額の投資を行ってきました。そして、この路線を堅持しています。同時に、より多くの図書館に参加する機会を提供し、図書館が提供する重要なリソースやプログラムを多くの人に知ってもらうための活動にも力を入れています

それは、あと50年、私たちの役に立ってくれるのでしょうか。私たちが大胆に計画を立て、お互いに責任を果たせば、そうなると信じています。多くの組織やテクノロジー企業が、「将来を見据えている」と言います。でもそれは通常、次の四半期の利益や来年の収益に関連する時間的な断片を指しているものです。しかし、私たちが目指す未来は、もっと長期にわたります。そしてそれは、図書館と協力し、図書館のために働くことによってのみ達成できるものです。このような最高の目標は、四半期や年単位ではなく、生涯や世代単位で測られるべきものだからです。

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(紀伊國屋書店 OCLC事業部)


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