【新宿本店3F アカデミック・ラウンジ 講演】源氏物語も装束もうすっぺらではありません。
【場所】:紀伊國屋書店新宿本店3F アカデミック・ラウンジ
【日時】:2023年12月8日(金)18:10開場/18:30開演
【参加方法】無料でご観覧いただけるイベントです。
【定員】20~30名程度 *立ち見となる可能性もあります。
【講師】実践女子大学名誉教授 横井孝
■講師紹介
提供:横井孝
横井孝(よこいたかし)
1949年生まれ。実践女子大学名誉教授。専門は平安時代物語文学。
著書に『源氏物語の風景』(武蔵野書院、2013年)、『紫式部集からの挑発―私家集研究の方法を模索して』(共編著・笠間書院、2014年)、『紫式部日記・集の新研究』(共編著、武蔵野書院、2020年)などがある。
最新の著作:『紫式部集の世界』勉誠社 2023.7. ※廣田收との共同編集
講師の横井名誉教授から
『源氏物語』は、貴族の男や女の優雅な恋愛ドラマと思う人がすくなくありません。書かれ始めた当初は、たしかにエンターテインメントとして作られたのでしょう。ですが、長篇になってくると話は違います。まず大量の紙が必要になってきます。昔、紙は超貴重品でした。そんな紙を大量に消費するのが長編物語です。中の下クラスだった紫式部の家庭で、それほどの紙を用意できたのでしょうか。紙を提供してくれる人がいたとしたら、物語の内容はエンターテインメントのままでいられたのでしょうか。
作者の紫式部は、中年になってから宮仕えを始めます。彼女を取り巻く環境は、とたんに豪華絢爛たるものになります。宮仕え先の女性たち、そして紫式部自身も着ていたもの――「装束」といいましょう――これは絹ものです。これまた貴重なものです。
よく「十二単」と言いますが、それもドラマに登場する「王朝絵巻の女性たちの姿」も、紫式部たちが身に着けていたものとは異なります。ドラマの女優さんたちは衣裳を着ると、「重い」と言います。たしかにあの装束はうすっぺらではありませんが、紫式部たちの日常着がそんなに重かったのでしょうか。
装束を構成する絹布も紙ももともとはうすっぺらなものですが、真実はどうもうすっぺらではあり得ないようです。そんな話をしてみましょう。
(紀伊國屋書店 新宿本店・アカデミックラウンジ事務局)