世界有数の図書館、公文書館等が所蔵する19世紀の貴重な資料から史料的価値の高いものをデジタル化して提供するデータベース、Nineteenth Century Collections Online (NCCO)。今回は、“Religion, Reform, and Society“をご紹介します。
19世紀英米におけるキリスト教会諸派の自己改革の試み
19世紀イギリスの宗教界は、産業革命による都市への人口流入とそれに伴う貧困層の増加、フランス革命を発端とする急進主義運動の高まり、審査律の廃止やカトリック解放等の自由主義改革、進化論に代表される科学的発見など、社会的、知的挑戦に対する対応を迫られる中で、大きな改革のうねりに飲み込まれます。
慈善活動に積極的に関わった福音主義者のように、奴隷制廃止、参政権拡大、禁酒運動、労働状態の改善、ユートピア共同体の実験、貧困層への伝道と支援など、実践的な社会改革の志向を強く帯びた宗派の中からは、キリスト教社会主義や社会福音運動も生まれました。
その一方で、伝統的支配層は自然科学と信仰を調停したペイリーの自然神学の旗の下に、懐疑主義や無神論の普及の阻止を試みました。国教会内部ではオックスフォード運動のように宗派的にはカトリック教会に近い傾向も生まれました。
Religion, Reform, and Societyは、大英図書館とアメリカ会衆派教会図書館が所蔵する書籍、定期刊行物、手稿を通して、社会的、知的挑戦にさらされる中で行われた19世紀英米におけるキリスト教会諸派による自己改革の試みを鳥瞰します。
19世紀アメリカにおける国内外への伝道機運の高まりと社会改革への志向
独立革命後のアメリカでは、国教制度を否定し、信教の自由を保障する憲法の下で、伝統的教会組織が解体し、英国国教会の権威は失墜しました。既成秩序の解体は寛容に基づく新しい宗教的自由をもたらし、民主的な組織や宗派を超えた改革組織の形成を促しましたが、これらの新組織の形成には俗人の自発的な行動が大きく貢献しました。
この俗人の自発性が、国内外への伝道活動や奴隷制廃止運動、禁酒運動、参政権拡大運動、日曜学校建設などの各種改革運動を支えた精神であると言われています。これらの改革運動の中心になったのが、ボストンを中心としたニューイングランドです。ニューイングランドでは、ハーバードやアンドーヴァーの神学校を拠点に神学が発展し、参加型任意団体が国内外への伝道だけでなく、福祉や教育機会の提供において大きな役割を果たしました。
Religion, Reform, and Societyは、会衆派図書館・文書館が所蔵するアメリカ国内伝道協会、アメリカ教育協会、ボストン市伝道協会、ボストン船友協会、会衆派国内伝道協会、コーバン協会、グラハム協会等の団体が所蔵する資料を通して、19世紀のニューイングランドの地で澎湃として起こった宣教の機運の高まりに迫るほか、マサチューセッツ歴史協会などが所蔵する社会改革家の個人文書を通して、19世紀の信仰が社会改革への志向を同時に帯びていた様相に光を当てます。
プロテスタント教会諸派による日本を含む各地の宣教活動を報じる定期刊行物
19世紀、プロテスタント教会諸派は、日本を含む国外への伝道に積極的に携わりました。明治期には多数の宣教師が来日、宣教活動の一環として、教育機関の設立や文化交流を通して社会貢献を行ないました。
Religion, Reform, and Societyが収録する定期刊行物は、会衆派教会、長老派協会、メソジスト監督教会、フレンド派教会等、各派の宣教活動を伝える記事を多数収録します。
収録コレクション
書籍・パンレフレットコレクション
- Philosophy and Religion: Selected Periodicals from the British Library(哲学と宗教: 大英図書館所蔵書籍・雑誌選集)
- 年代:1780年-1923年
- 収録資料:書籍36点、雑誌
- 原本所蔵機関:大英図書館
- Religion, Philosophy, and Politics: Selected Monographs from the British Library(宗教、哲学、政治: 大英図書館所蔵書籍選集)
- 年代:1780-1920
- 収録資料:書籍238点
- 原本所蔵機関: 大英図書館
収録文献の一部
- ウィリアム・ペイリー(William Paley)『道徳・政治哲学原理(The Principles of Moral and Political Philosophy)』(1786)
- エラズマス・ダーウィン『寄宿学校における女子教育運営の計画(A Plan for the Conduct of Female Education in Boarding Schools)』(1797)
- トマス・コーガン(Thomas Cogan)『情念に関する哲学的論考(A Philosophical Treatise on the Passions)』(1802)
- トマス・ヤング(Thomas Young)『自然哲学と機械技芸に関する講義(A Course of Lectures on Natural Philosophy and the Mechanical Arts)』(1807)ハナ・モア(Hannah More)『国内外で流行する意見と習慣に関する道徳的素描(Moral Sketches of Prevailing Opinions and Manners, Foreign and Domestic)』(1819)
- リチャード・カーライル(Richard Carlile)『オリンサス・グレゴリー著『キリスト教の証拠、教義、義務に関する友への手紙』に関する考察(Observations on “Letters to a Friend on the Evidences, Doctrines, and Duties of the Christian Religion: by Olinthus Gregory)』(1821)
- ロバート・オーウェン(Robert Owen)『ニュー・ラナーク教育制度概観(An Outline of the System of Education at New Lanark)』(1824)リチャード・ホエートリー(Richard Whately)『キリスト教の若干の特質に関する試論(Essays on Some of the Peculiarities of the Christian Religion)』(1825)
- ヘンリー・ブルーム(Henry Peter Brougham)『人民の教育に関する実践的考察(Practical Observations upon the Education of the People)』(1825)
- ヒュー・ジェームズ・ローズ(Hugh James Rose)『ドイツにおけるプロテスタント宗教の状態(The State of the Protestant Religion in Germany)』(1825)
- レン・ディクソン・ハンプデン(Renn Dickson Hampden)『キリスト教の哲学的証拠に関する試論(An Essay on the Philosophical Evidence of Christianity)』(1827)
- 有用知識普及協会(Society for the Diffusion of Useful Knowledge)編『有用知識叢書:自然哲学(Library of Useful Knowledge Natural Philosophy)』(1829-1832)
- リチャード・カーライル(Richard Carlile)『教会改革(Church Reform)』(1835)
- ゴドフリー・フォーセット(Godfrey Faussett)、ジョン・ヘンリー・ニューマン(John Henry Newman)『カトリック復興—説教(The Revival of Popery: A Sermon)』(1838)
- チャールズ・サウスウェル(Charles Southwell)『自由思想家の告白(The Confessions of a Free-Thinker)』(1845)
- アンドリュー・ジャクソン・デイヴィス(Andrew Jackson Davis)『自然の原理、自然の摂理、人類へのお告げ(The Principles of Nature, Her Divine Revelations, and a Voice to Mankind)』(1847)
- ジェームズ・ロング(James Long)『1714年から1847年までのベンガルキリスト教知識普及協会の歴史(History of the Society for Promoting Christian Knowledge in Bengal, from 1714 to 1847)』(1848)
- ジョン・タリス(John Tallis)『タリスの図説聖書の歴史(Tallis’s Illustrated Scripture History for the Improvement of Youth)』(1850)
- ヘンリー・ロングヴィル・マンセル(Henry Longueville Mansel)『オックスフォード大学での8つの講義で検証された宗教思想の限界(The Limits of Religious Thought Examined in Eight Lectures Preached before the University of Oxford)』(1858)
- 『アイザック・バロウ神学著作集(The Theological Works of Isaac Barrow)』(1859)
- フランシス・シットウェル(Francis Sitwell)『催眠術とは何か(What Is Mesmerism? And What Its Concomitants Clairvoyance and Necromancy?)』(1862)
- ジョージ・ラムゼイ(George Ramsay)『モラリストと政治家(The Moralist and Politician: or Many Things in Few Words)』(1865)
- ジョン・ハント(John Hunt)『宗教改革から前世紀末までのイングランド宗教思想(Religious Thought in England from the Reformation to the End of Last Century)』(1870-1873)
- ウィリアム・ライアン(William Lyon)『ヒト対ダーウィン(Homo Versus Darwin: A Judicial Examination of Statements Recently Published by Mr. Darwin regarding “The Descent of Man”)』(1872)
- エルンスト・ヘッケル『自然創造史(The History of Creation: Or the Development of the Earth and Its Inhabitants by the Action of Natural Causes)』(1876)
- ヘンリー・シジウィック(Henry Sidgwick)『倫理学の方法(The Methods of Ethics)』(1877)
- ジョン・ウィリアム・ドーソン(John William Dawson)『地質学の時間の中での生命の連鎖:動物と植物の起源と継承に関する素描(The Chain of Life in Geological Time: A Sketch of the Origin and Succession of Animals and Plants)』(1880)
- ジェームズ・ミッチェル・ウィン(James Michell Winn)『科学的無神論の崩壊(The Collapse of Scientific Atheism)』(1880)
- 『道徳改革連合年次報告(Moral Reform Union Annual Reports)』(1882-1890)
- 100 Years of Fabian Publications, 1887-1983(フェビアン協会出版物の100年)
100年に亘るフェビアン協会の出版物の著者とタイトルを索引としてまとめたものです。協会刊行のパンフレットだけでなく、多くの雑誌に寄稿された論文も索引化されています。収録シリーズは、伝記シリーズ、植民地論争シリーズ、フェビアン解説シリーズ、リサーチシリーズ、科学と社会問題シリーズ、若いフェビアン主義者のパンフレット、スタディガイドに分類されています。
- Selections from Literature of Theology and Church History: British Theology(19世紀イギリスの神学と教会関係文献コレクション)
- 年代:1800年-1916年
- 収録資料:書籍1,112点
左から:トマス・チャーマーズ『市民による政府の社会にとっての重要性とそれに関するキリスト教徒の義務』
ロバート・サウジー『ウェズレーの生涯とメソジスムの勃興と進歩』
ベンサム『パウロではなく、イエスを』
ウィリアム・ジョンソン・フォックス『ユニテリアン教会の精神』
ロバート・アイザック・ウィルバーフォース『ウィリアム・ウィルバーフォースの生涯』
左から:『ウィリアム・ウィルバーフォース書簡集』
ヘンリー・リドン、ジョン・ジョンストン『エドワード・ピュージーの生涯』
エドワード・ピュージン『1859年から1872年までにオックスフォード大学で行われた説教集』
ジョン・ヘンリー・ニューマン『義認に関する講義』
ジェームズ・マーティノー『聖書と児童』
- Selections from Literature of Theology and Church History in the United States and Canada(19世紀アメリカとカナダにおける神学と教会関係文献コレクション)
- 年代:1800年-1915年
- 収録資料:書籍 894点
本コレクションに収録された文献は、説教、教義をめぐる論争、教会の歴史、個人の精神的遍歴を通じて、英国国教会、会衆派教会、長老教会、監督教会からメソジスト教会、バプテスト教会、クウェーカー教会、ユニテリアン教会、普遍教会、カトリック教会、ユダヤ教会まで、19世紀アメリカで影響力を持った宗派の言説を鳥瞰します。この時代のアメリカでは、ニューイングランドを拠点に神学が大きく変化し、ハーバード、イェール、プリンストン、アンドーヴァーの神学校で活発な神学論争が起こりました。
本コレクション収録のモノグラフには、国教制の廃止、洗礼、三位一体論等の神学的問題をめぐる論争、聖書の歴史、地質学、進化論等の同時代の科学との格闘、婚姻、離婚、自殺、禁酒を巡る道徳改革の議論が、随所に見られます。アメリカ国内伝道協会(American Home Mission Society)、アメリカトラクト協会(American Tract Society)などの参加型任意団体の刊行物も収録されています。
Joseph CookのOrient (1886年)に付された付録「新生日本に関する24の質問」。著者によって出された質問に対して、「宣教師の会議の場で、横浜のヘボン、東京のフルベッキ、神戸のギューリックにより口頭で回答がなされた」とある。
左は新島襄が学んだアンドーバー神学校。右は同志社。
(Albert E. Dunning, Congregationalists in America: A Popular History of Their Origin, Belief, Polity, Growth and Work (1894) 所収)
1893年シカゴ万国博覧会に併せて開催された世界宗教会議。東西の宗教の指導者が一堂に会し、対話を行った。
日本からは、臨済宗の釈宗演、真言宗の土宜法竜、浄土真宗の八淵蟠龍、天台宗の芦津実全らが参加した。
- Selected Religion Titles from Nineteenth Century American Literature and History: Ohio Valley and the South
アメリカ宗教史の中で19世紀前半は、1800年にケンタッキーで行なわれたキャンプ・ミーティングを発端とする宗教リバイバルの時代です。この宗教リバイバルを契機として、メソジスト教会とバプテスト教会は西部で大きな躍進を遂げました。長老教会は、これら両教会ほどの躍進を果たすことはなかったものの、アレゲーニー山脈(アパラチア山脈の支脈)を越えてフロンティアでの伝道を果たした最初の教会です。アメリカ国内伝道教会のような、このリバイバルの時期に新たに生まれた参加型任意団体は、ニューイングランドの宗教を西部フロンティアに移入するのに大きく貢献しました。
本コレクションは、19世紀アメリカ西部におけるメソジスト教会やシェーカー教徒の実情、イリノイ州ペオリア初のローマカトリック教の司祭ジョン・ランカスター・スポルディング(John Lancaster Spalding)の宗教論、教育論、芸術論、中西部を伝道した盲人説教師ウィリアム・ヘンリー・ミルバーン(William Henry Milburn)の回想録、アレン・カーデン(Allen D. Carden)とウィリアム・ダウンズ(William Downs)の讃美歌集、奴隷制廃止論者ジェームズ・ギリスピー・バーニー(James Gillespie Birney)の奴隷制や教会や道徳の改革をめぐる論争を記録する一次資料など、19世紀西部フロンティアの宗教の実情を様々な視点から伝えます。
- Selected Monographs from the American Congregational Library(アメリカ会衆派教会図書館所蔵モノグラフ選集)
- 年代:1802年-1925年
- 収録資料:モノグラフ160点
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館(Congregational Library & Archives
収録資料の一部
- アメリカ日曜学校連合『ジョン・フレデリック・オーバリンの生涯(The Life of John Frederic Oberlin, Pastor of Waldbach, in the Ban de la Roche)』(1830)
- ライマン・ビーチャー(Lyman Beecher)『懐疑主義講義(Lectures on Scepticism)』(1835)
- ジョージ・リプリー(George Ripley)『宗教哲学論考(Discourses on the Philosophy of Religion)』(1836)
- アイザック・テーラー(Isaac Taylor)『古代キリスト教とオックスフォード・トラクトの教義(Ancient Christianity, and the Doctrines of the Oxford Tracts)』(1840)
- セオドア・パーカー(Theodore Parker)『A Discourse on the Transient and Permanent in Christianity(キリスト教における無常と永遠に関する論考)』(1841)
- トマス・マッジ(Thomas Madge)『一般にピュージー主義と称される高教会主義に関する講義(Lectures on Certain High-Church Principles Commonly Designated by the Term Puseyism)』(1844)
- ウィリアム・ヘンリー・チャニング(William Henry Channing)『キリスト教会と社会改革(The Christian Church and Social Reform)』(1848)
- セオドア・パーカー(Theodore Parker)『近年における宗教の教師の役割に関する論考(A Discourse on the Function of a Teacher of Religion in These Times)』(1855)
- アメリカユニテリアン教会『ユニテリアニズム:その起源と歴史、ボストンチャニングホール連続講演(Unitarianism: Its Origin and History: A Course of Sixteen Lectures Delivered in Channing Hall, Boston, 1888-89)』(1890)
- 『ウィリアム・ロー師著作集(The Works of the Reverend William Law)』(1892-1893)
- ジョン・トマス・コッドマン(John Thomas Codman)『ブルック・ファーム:歴史的・個人的回想(Brook Farm: Historic and Personal Memoirs)』(1894)
ブルック・ファーム(John Thomas Codman, Brook Farm: Historic and Personal Memoirs (1894)所収
- ジョージ・ヤコブ・ホリョーク(George Jacob Holyoake)『イングランドの世俗主義:信仰の告白(English Secularism: A Confession of Belief)』(1896)
- リンゼイ・スウィフト(Lindsay Swift)『ブルック・ファーム:メンバー、教授、訪問者(Brook Farm: Its Members, Scholars, and Visitors)』(1900)
- ウィリアム・ラルフ・イング(William Ralph Inge)『個人的観念論と神秘主義(Personal Idealism and Mysticism)』(1907)
- ネイサン・マーシュ・ピュジー(Nathan Marsh Pusey)『エキュメニカル運動:平信者の視点(The Ecumenical Movement, a Layman’s View)』(1963)
- Selected Pamphlets from the American Congregational Library(アメリカ会衆派教会図書館所蔵パンフレット選集)
- 年代:1801年-1908年
- 収録資料:モノグラフ1,913点、新聞
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館
収録資料の一例
- 『アメリカ国内伝道協会と奴隷制(The American Home Missionary Society and Slavery)』
- 『アメリカ東洋協会会議録(American Oriental Society. Proceedings)』
- 『貧窮母子への支援報告(Report of Aid Given to Destitute Mothers and Infants)』
- 『New England Watch and Ward Society年次報告』
- 『Boston Industrial Home年次報告』
- 『ボストンイタリア系移民保護協会年次報告』
- 『ボストン高齢者療養所報告』
- 『ボストン港湾船員支援協会理事報告(Reports of the Managers of the
- Boston Port and Seamen’s Aid Society)』
- 『Channing Home報告』
- 『ボストンワシントン市民療養所年次報告』
- 『貧窮防止のための産業支援協会年次報告(Annual Report of the Industrial Aid Society for the Prevention of Pauperism)』
- 『ボストンノースエンド伝道報告』
- 『ボストンサウスエンド産業学校年次報告』
- Selected Religion Manuscript Collections from the British Library(大英図書館所蔵宗教関係手稿コレクション)
- 年代:1780年-1923年
- 収録資料:マニュスクリプト170点
- 原本所蔵機関: 大英図書館
各種協会関係資料
- American Education Society(アメリカ教育協会)
- 年代:1815年-1894年
- 収録資料:書籍 75点、マニュスクリプト60点
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館(Congregational Library & Archives)
- Annual Reports, 1815-1890/Office of the Secretary Subseries A.Secretary’s Incoming Correspondence, 1819-1894
1815年、敬虔な若者の教育を目的としてボストンで創設されたアメリカ教育協会は、経済的に困窮している若者に教育の機会を提供しました。協会の創設者たちは、「貧しい人々に道徳・宗教教育を提供する協会」(その後、City Mission Societyと改名)との結びつきが強かったと言われています。1830年代末には、協会が支援する若者の数は年間1,000名以上に及びました。19世紀後半になると、地域や宗派単位で若者の教育に携わる協会が多数創設され、中には女性によって運営される協会もありました(代表例がCorban SocietyとGraham Society)が、アメリカ教育協会は地域や宗派に限定されないという方針を掲げていました。本コレクションは、同協会が残した様々な資料の中から、年次報告書と事務局が受信した書簡を提供するものです。
- American Home Missionary Society(アメリカ国内伝道協会資料集成)
- Boston City Mission Society Records(ボストン市伝道協会記録集成)
- 年代:1820年-1944年
- 収録資料: 書籍165点、マニュスクリプト20点
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館(Congregational Library & Archives)
ボストン市伝道協会は家族福祉の向上を目的とした慈善団体としては全米で2番目に古い団体です。1816年に創立された同協会は、アメリカ社会における移民の増加、南北戦争による一家の働き手の戦死などの原因が重なり、充分に教育を受けられない児童が増加する中で、貧困家庭への訪問、日曜学校の設立や児童への衣服の支給を通して、ボストンの児童への教育支援に大きく貢献しました。また、南北戦争の頃、鉄道建設や工場労働に移民が携わるようになると、移民も支援の対象に含まれるようになります。本コレクションは、年次報告書、理事会議事録、財務報告、会員リストなど、ボストン市伝道協会の活動を伝える資料を収録します。
- Boston Seaman’s Friend Society Records(ボストン船友協会記録集成)
- 年代:1827年-1961年
- 収録資料:書籍58点、マニュスクリプト20点
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館
19世紀初頭、船乗り人口が増加したアメリカでは、船乗りたちが直面した苦難に社会の関心が集まりました。船友協会は航海中の禁酒を推進、船員の幸福に関心を払うことがひいては事業の成功につながると説きました。
本コレクションは、理事会や年次総会の記録、年報、記事の切抜きやチラシを集めたスクラップブックなどを収録しますが、その中でも注目すべきは協会が発行した定期刊行物Sea Breezeです。同誌は、海難事故、水夫の反乱、新しい灯台建設等の海事関連ニュース、海事関連法の制定、協会から支援を受けた個々の船乗りに関するエピソードなど、ニューイングランド地方の船乗りに関する情報を提供する資料として、社会史的にも興味深い内容を持っています。渡米した新島襄を支援したボストンの資産家ハーディ夫妻とのつながりから、新島襄に関する記事も収録されています。
新島襄に関する記事。左は1904年10月号、右は1923年1月号。
- Brook Farm Records(ブルック・ファーム記録)
- 期間:1842年-1901年
- 収録資料:マニュスクリプト5点
- 原本所蔵機関:マサチューセッツ歴史協会(Massachusetts Historical Society)
ブルック・ファームは、ユニテリアン派牧師、ジョージ・リプリーによりマサチューセッツ、ウェスト・ロクスベリーに1841年に創設されたユートピア共同体です。超絶主義の影響を受けたブルック・ファームは当初経済的にも順調に運営されていましたが、フーリエ主義の影響を受け共同体を再編するようになると、財政的危機に陥り、最終的に破綻しました。ナサニエル・ホーソーンはブルック・ファームでの体験を下に『ブライズデイル・ロマンス(Blithedale Romance)』を書いています。理事会の議事録、会員が外部の友人や賛助会員と交わした書簡、売買、収支等を記録する会計原簿、会員リスト等を収録します。
- Congregational Home Missionary Society Records(会衆派国内伝道協会記録集)
- 年代:1827年-1916年
- 収録資料:書籍25点
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館
会衆派国内伝道協会はアンドーヴァー神学校の卒業生により1826年に創設されたアメリカ超宗派国内伝道協会に遡ります。ニューイングランドの会衆派伝道協会がアメリカ国内伝道協会の支部となり、1893年に会衆派国内伝道協会となりました。本コレクションは、年次報告書、都市別宣教師リスト、改宗者や供給される牧師館に関する統計、財務情報など、国内伝道の実態を伝える資料を収録します。
- Congregationalist Records, 1872-1906
- 年代:1872年-1906年
- 収録資料:書籍1点、マニュスクリプト56点
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館(Congregational Library & Archives)
Congregationalist Recordsは多数の線画による肖像画を収録している。
左は新島襄、右は元奴隷の奴隷制廃止運動家フレデリック・ダグラス。
- Corban Society Records(コーバン協会記録集)
- 年代:1811年-1850年
- 収録資料:書籍2点、マニュスクリプト49点
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館
コーバン協会は、将来宣教師になるマサチューセッツの神学生を支援するために1811年に設立された女性を会員とする共済組織です。この組織の設立は、アメリカにおける第二次大覚醒を特徴づける宗教系慈善団体の叢生の一環をなすものです。この時代、慈善団体が女性の指導の下に運営されたことは議論を呼びました。コーバン協会の記録は、他の女性により運営された慈善団体の記録と同様、アメリカの宗教史において女性が果たした役割を記録する重要な資料です。コーバン協会の支援を受けたのは、主としてマサチューセッツのアンドーヴァー神学校の学生です。
本コレクションは、メアリー・バウアーズ(Mary Bowers)、ドーカス・ホームズ(Dorcas Homes)、エリザベス・ハスキンズ(Elizabeth Haskins)、マーサ・コルホーン(Martha Colhoun)ら、会費、寄付、縫物サークルの活動を通して、基金を調達したコーバン協会初期に活躍した女性たちの著作のほか、支援者や協会が支援した学生からの書簡、会員リスト、会議録など、協会の運営の実態を伝える資料を収録します。
- Graham Society Records(グラハム協会記録集)
- 年代:1817年-1831年
- 収録資料:マニュスクリプト2点
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館
グラハム協会は、ニューイングランドの慈善協会やキリスト教伝道協会の歴史の中でも第一次興隆期と言われる時期にボストンに設立された女性共済団体で、フィリップス・アカデミーやアンドーヴァー神学校で学ぶ学生に衣類を提供しました。
協会の会員が支援した学生は、当時興隆しつつあったユニテリアン思想と対峙する立場にあった伝統的なカルヴァン思想の信奉者でした。創立14年の1831年にグラハム協会は、同じ女性共済団体であるコーバン協会と合併しました。
- Papers of the Christian Faith Society(キリスト教信仰協会文書集)
- 期間:1800-1899
- 収録資料:マニュスクリプト97点
- Pine Street Church Records
- 年代: 1827年-1907年
- 収録資料:マニュスクリプト53点
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館
- Presbyterian Fund Board
- 期間:1800年-1899年
- 収録資料:マニュスクリプト16点
- Religious Union of Associationists Records(協同組合主義者の宗教連合の記録集)
- 期間:1847年-1850年
- 収録資料:マニュスクリプト1点
- 原本所蔵機関:マサチューセッツ歴史協会
協同組合主義者の宗教連合は、ユニテリアン教会派の牧師でキリスト教社会主義者ウィリアム・ヘンリー・チャニング(William Henry Channing)(ユニテリアン教会の神学者ウィリアム・エラリー・チャニングの甥)の指導の下、フランスのユートピア社会主義者シャルル・フーリエの思想の普及を目的として、1847年に設立されました。メンバーには、ジョージ・リプリー(George Ripley)、ジョン・ワイト(John S. Dwight)、フランシス・ショー(Francis G. Shaw)、アルバート・ブリスベーン(Albert Brisbane)ら、ブルック・ファームのメンバーや自由主義の宗教思想家や自由思想家がいました。本コレクションには、事務局に保管されてきた会議議事録など、本団体の運営の実態を伝える様々な資料が収録されています。
個人文書
- Papers of the Prime Ministers of Great Britain: Selections from the Papers of William Ewart Gladstone(イギリス首相文書: グラッドストーン文書選集)
- 年代:1843年-1898年
- 収録資料:マニュスクリプト77点
- 原本所蔵機関:大英図書館
- Catherine Brown Papers(キャサリン・ブラウン文書)
- 期間:1818年-1824年
- 収録資料:マニュスクリプト1点
- 原本所蔵機関:会衆派教会図書館・文書館(Congregational Library & Archives)
- Charles Turner Torrey Collection(チャールズ・ターナー・トーリーコレクション)
- 年代:1837年-1846年
- 収録資料:マニュスクリプト6点
- 原本所蔵機関:改宗派教会図書館・文書館
チャールズ・ターナー・トーリーは奴隷制廃止運動に生涯を捧げた人物で、すでに学生時代に反奴隷制学友協会を組織しました。後に、保守的な奴隷制廃止論者が結成したマサチューセッツ奴隷制廃止協会の代理人に、後に通信員になりました。奴隷保有者の大会を取材中、逮捕されたことを契機に、全国に名前を知られるようになります。その後、新聞の編集者や実業家になりましたが、州を越境する奴隷を支援する活動にも携わる中で、再び逮捕され、6年間の重労働の刑を宣告されました。本コレクションは、トーリーの書簡のほか、トーリーが残した様々な文書を収録します。
- Papers of George Ripley(ジョージ・リプリー文書)
- 期間:1802年-1880年
- 収録資料:マニュスクリプト1点
- 原本所蔵機関:マサチューセッツ歴史協会(Massachusetts Historical Society)
- Caroline Wells Healey Dall Papers(キャロライン・ヒーリー・ドール文書)
- 期間:1811年-1917年
- 収録資料:マニュスクリプト478点
- 原本所蔵機関:マサチューセッツ歴史協会
キャロライン・ヒーリー・ドールは19世紀アメリカを代表する社会改革家、フェミニストで、奴隷制廃止運動と女性参政権運動において指導的役割を果たしました。また、アメリカ社会科学協会の創始者でもあります。ユニテリアン教会の日曜学校の教師、慈善活動家、超絶主義への関心、チャールズ・ヘンリー・ドールとの結婚、奴隷制廃止運動や女性参政権運動への関与、社会科学普及への取組み、作家、教師としての活動など、キャロライン・ドールの広範囲に亘る活動の背景を伝える書簡と日記などを収録します。
キャロライン・ドールの交友範囲の広さを示す書簡集。明治のお雇い外国人で帝国大学でも教鞭を取ったバジル・ホール・チェンバレンもドールと書簡を交わした一人で、チェンバレンがドールに宛てた多数の書簡を収録する。
- Catharine Maria Sedgwick Papers(キャサリン・セジウィック文書)
- 期間:1798年-1908年
- 収録資料:マニュスクリプト313点
- 原本所蔵機関:マサチューセッツ歴史協会
19世紀アメリカの作家キャサリン・セジウィックは『ホープ・レスリー』『クラレンス』等の作品により、同時代の人気作家の地位を固めました。両親が信奉するカルヴァン派からユニテリアン派に転向したセジウィックの生涯と作品の根底には、ユニテリアン教会の寛容の思想と自由の精神が貫いています。奴隷制廃止運動やニューヨーク女性刑務所協会への関与も、思想的背景にはユニテリアン派の自由の精神がありました。本コレクションは、セジウィックの日記や覚書のほか、家族や芸術家、宗教家、社会改革家と交わした書簡を収録します。
エマーソンのパーカー宛書簡
- William Ellery Channing Papers(ウィリアム・エラリー・チャニング文書)
- 期間:1791年-1892年
- 収録資料:マニュスクリプト51点
- 原本所蔵機関:マサチューセッツ歴史協会
1817年、ボルティモア市民が宗教団体を設立し、大きなドームで覆われた寺院を建立しました。この寺院で1819年に行われた説教こそ、アメリカのユニテリアン主義を規定し、1824年のアメリカユニテリアン教会の形成を促したものです。今日「ボルティモアの説教」として知られる説教は、有名なユニテリアン派の牧師であるウィリアム・エラリー・チャニングによって行われたものです。この説教で、チャニングは自由と理性と寛容をユニテリアン主義の教義の核心であると定め、生は象徴よりも良く信仰を照らし出すとして、社会の公正と神学の多様性への関与を説きました。
本コレクションは、チャニングがワシントン・アルストン(Washington Allston)、ジェームズ・バーニー(James G. Birney)、ジョン・キャルホーン(John C. Calhoun)、キャサリン・コッドマン(Catharine Codman)、エズラ・スタイルズ・ガネット(Ezra Stiles Gannett)、ジョン・カークランド(John T. Kirkland)、ホーレス・マン(Horace Mann)、フランシス・パークマン(Francis Parkman)、エリザベス・パーマー・ピーボディ(Elizabeth Palmer Peabody)、キャサリン・マリア・シジウィック(Catharine Maria Sedgewick)、サミュエル・シーウォル(Samuel E. Sewall)、ジョージ・ティックナー(George Ticknor)らと交わした書簡のほか、説教、講義、演説、日記、覚書を収録します。
- Papers of John Ettwein(ジョン・エトワイン文書)
- 収録資料:マニュスクリプト102点
- 原本所蔵機関:Moravian Archives
ジョン・エトワインは、ドイツ敬虔主義の伝統から生まれた最も重要な宗教団体の一つ、モラヴィア兄弟団(Moravian Brethren)北米支部を率いた人物です。ドイツ生まれのエトワインは、北米のモラヴィア兄弟団の活動に影響を受け、アメリカに渡り、先住アメリカ人への伝道に携わりました。伝道が効果的になるよう、進んで先住アメリカ人の捕虜になったと言われています。独立革命のときは、当初王党派を支持したため、独立派によって投獄されるも、最終的には新政府と和解、伝道活動に励みました。
本コレクションは、財務記録、書簡など、北米におけるモラヴィア兄弟団の伝道活動の実態を伝える資料集です。
- Papers of C. J. Blomfield, 1828 – 1855(チャールズ・ジェームズ・ブロムフィールド文書)
チャールズ・ジェームズ・ブロムフィールドは、19世紀国教会が幾多の論争の渦中にあった時代、ロンドン主教を務めた人物です。ロンドン主教の任期中、ブロムフィールドは、1834年のコレラ流行、1835年の新救貧法、1850年の国民教育論争、アイルランド国教会への十分の一税をめぐる論争、教会内の虐待をめぐる議会の動き、都市ロンドンの急成長、植民地の国教会の問題、オックスフォード運動をめぐる論争、牧師ゴラムの牧師就任をめぐる裁判など、様々な難題、論争への対応を迫られました。
本コレクションはロンドン主教時代のブロムフィールドの書簡を収録します。これらの書簡は、産業革命による大きな社会的変動の下にあって、改革を唱える宗教家や社会改革家に対して、国教会の指導者がどのような見解を持ち、実践しようとしたのかを明らかにする貴重な資料です。
- Papers of Guy Aldred, 1888-1963(ギー・アルフレッド文書)
- 収録資料:モノグラフ 24点、マニュスクリプト44点、新聞
ギー・アルフレッドは、グラスゴーを拠点に活動したアナーキスト系共産主義者で、アナーキスト団体やロシア革命を支持する団体を創設し、産児制限、言論の自由、インドのイギリスからの独立、良心的兵役拒否の問題にも積極的に発言しました。本コレクションはアルフレッドが執筆したパンフレットや刊行した定期刊行物を収録します。少年時代、説教師として鳴らしたアルフレッドの著作は、19世紀イギリスにおいて福音主義と政治的急進主義が共棲関係にあったことを証言する格好の資料です。
- Charles Bradlaugh Pamphlets(チャールズ・ブラッドローパンフレット集成)
- 期間:1853年-1891年
- 収録資料:モノグラフ287点
チャールズ・ブラッドローは19世紀イギリスの自由思想家、社会改革家です。ほとんど独力で無神論を組織的運動に成長させたブラッドローは、1860年に”National Reformer”を世に問い、1866年には全国世俗協会を設立、アニー・ベザント(Annie Besant)とともに、検閲や産児制限に反対し、宗教的でない形で議会において宣誓する権利を目指して活動を行ないました。
本コレクションはブラッドローが蒐集したパンフレットで構成されています。収録されているパンフレットは、歴史的聖書批評、マーカス・クラーク(Marcus Clarke)ら世俗主義者の作品、フランシス・ニューマン(Francis Newman)ら学者の宗教論から、労災補償を論じた政治改革論、労働組合の会議報告、参政権、死刑制度、女性のための労働保護法制、鉄道の国有化、教育改革、植民地政策を批判する議会の演説、国際平和会議の議事録、協同組合の急進的実験、さらにはワクチン接種、生体解剖を論じたものまで広範囲に及びますが、全体を通してみると、ヴィクトリア朝の世俗主義と社会改良が交差した時に生まれた関心から蒐集されたものであることが分かります。
左から:アニー・ベザント『イングランドにおける女性奴隷制の法制化』
グラッドストーン『イングランドの使命』
フランシス・ニューマン『プロテスタンティズムの宗教的脆弱性』、ヘンリー・クロスキー『国民教育における世俗主義』
- Jeptha H. Wade Family Papers(ジェプサ・ウェイド家族文書)
- 期間: 1771年-1957年
- 収録資料:マニュスクリプト128
- 原本蔵機関:Western Reserve Historical Society
定期刊行物
19世紀の宗教が置かれた状況を理解するには、当時発行された自由思想家の定期刊行物を参照することが不可欠です。19世紀初頭、大学に入学する新入生に国教会の教義を遵守することが要求され、国会議員にプロテスタント派の宣誓が求められたイギリスでは、無神論が公共の場で容認される余地は全くありませんでした。そのような状況にあって、チャールズ・ブラッドローは、イギリスに無神論が社会的に受容されるのに重要な役割を果たしました。その際、ブラッドローが思想の普及の手段としたのが、アニー・ベザントを共同編集者として発行したNational Reformerです。同紙は、しかしながら、自由思想の唱導に止まらず、アフリカでの戦争、議会での法律制定などを詳しく報じ、労働者階級の状況や市民的自由に関する社説、書評、世俗協会支部の会議録などを掲載し、新聞としての体裁を十分に兼ね備えたものでした。また、19世紀の合理主義的な聖書批評に基づく論説は同紙の看板記事として有名です。
- The Christian Statesman
- 期間:1867年-1897年?
- 原本所蔵機関:長老派歴史協会(Presbyterian Historical Society)
Christian Statesmanは、アメリカの改革長老教会に連なる教会関係者や学界関係者が運営する全米改革協会(National Reform Association)の機関紙として、フィラデルフィアで月2回発行されました。これらの改革者は、17世紀スコットランドの長老派の盟約者(カヴェナンター)の名前を取って、盟約者とも呼ばれていましたが、南北戦争後の時期にあって、憲法のいわゆる「キリスト教修正条項」「宗教修正条項」を通過させることに関心を払いました。Christian Statesmanの記事は、キリスト教婚姻法、安息日、禁酒、参政権、犯罪の防止と刑罰など、協会が関心をもつテーマに関する出来事を掲載しました。
新島襄の半生を紹介する1885年6月18日の記事
- Home Mission Monthly
- 期間:1886年-1924年
- 原本所蔵機関:長老派歴史協会
1878年、女性国内伝道会議(Women’s Board of Home Missions)の前身となる機関が創設された時期は、アメリカのキリスト教史の中では「女性の10年(Church Women’s Decade)」と呼ばれるほど、女性が積極的に伝道活動に携わっていました。19世紀の後半、南欧や東欧からの移民が増加し、南西部のヒスパニック系住民が合衆国に編入されるなど、カトリック系住民が増加する中で、キリスト教会は伝道に携わる男性が不足するという重大な問題に直面します。このような状況の中で長老派教会内部では、国内の非プロテスタント系住民の改宗を目的として、女性宣教師を育成する機関が設立されるようになります。国内に伝道する女性宣教師は、非プロテスタント系住人を改宗する役目を担ったほか、学校の設立にも貢献しました。
Home Mission Monthlyは、19世紀後半から20世紀前半にかけてのアメリカの国内伝道の実態を克明に伝えています。
- United Methodist Church Periodicals(統一メソジスト協会定期刊行物集成)
- 期間:1789年-1897年
- 原本所蔵機関:General Commission on Archives & History, United Methodist Church
- 収録タイトル:
- The Arminian Magazine
- The Highway of Holiness
- The Itinerant
- Rocky Mountain Christian Advocate
- Tennessee Methodist
- The True Believer
- The United Brethren Observer
- The United Brethren Tribune
- The Methodist
- 期間:1860年-1882年
- 原本所蔵機関:長老派歴史協会(Presbyterian Historical Society)
The Methodistは、19世紀半ばメソジスト監督教会が奴隷制の問題を巡り南北に分裂した後、1860年にリチャード・クルークス(George Richard Crooks)とジョン・マッキントック(John McClintock)により創刊された、メソジスト教会の中でも保守的な傾向をもつ新聞です。明治期日本における布教活動など、日本関連の記事が多数収録されています。
左:津田梅子ら5人の日本人女子が米国留学することになったことを伝える1872年7月27日の記事
右:渡米3年後の津田梅子を報じる1875年9月25日の記事。
左、中:日本での布教活動を報じるロバート・マクレイ(Robert S. Maclay)の記事。マクレイは青山学院大学の前身、美會神学校の創設者。
右:代理行使森有礼の英語公用語化論を報じる1873年1月25日の記事。
- Unity with God Magazine, The Unity Magazine and Ladies Companion, The Christian Repository, 1853-1859
- 原本所蔵機関:General Commission on Archives & History, United Methodist Church
キリスト同胞教会(United Brethren in Christ)は、ドイツ生まれのアメリカ人宣教師フィリップ・ウィリアム・オッターバイン(Phillip William Otterbein)を主導者とするドイツ改革教会内部の敬虔主義派の系譜に属します。オッターバインの教義は、精神的な経験を重視するところにその特徴がありました。
本コレクションは、オハイオ州デイトンを拠点としたキリスト同胞教会の出版部から刊行されたThe Christian Repository, The Unity Magazine, Unity with God Magazineという3つの定期刊行物を収録します。
- Voice, 1914–1922
- 原本所蔵機関: General Commission on Archives & History, United Methodist Church
- Bulletino di Archaeologica Cristiana, 1863-1922
- The Christian Express, Vol. 6-14
Christian Expressは南アフリカ、ケープ植民地のラヴデール(Lovedale)のラヴデール・インスティテューション・プレスから発行されたキリスト教宣教師系の新聞です。ラヴデールでの伝道は、グラスゴー伝道協会により1824年に始められ、1841年、植民者だけでなくアフリカ人をも対象とする教育機関、ラヴデール・インスティテューションがウィリアム・ゴヴァンの指導の下に設立されました。ゴヴァンの後任のジェームズ・ステュアートの時代、月刊紙Kaffir Expressを創刊、1876年1月号からChristian Expressに紙名が変更しました。
新島襄の死後、同志社を紹介する1890年9月1日の記事。
- The Expository Times
- Friends’ Quarterly Examiner, 1867-1926
- The Friend, 1843-1923
The Friendはイギリスキリスト友会(フレンド派)、いわゆるクウェーカーの福音主義派の機関紙として1843年にロンドンで創刊されました。福音主義フレンド派は伝統的なフレンド派の教義から徐々に離れ、同時代の社会と緊密な関係を保つことを志向しました。その際に指導的な役割を果たしたのが、慈善団体の設立に積極的に携わった事業家、銀行家、商人など富裕なクウェーカー教徒です。選挙制度改革を経て政治参加への道が開かれると、クウェーカー教徒はホイッグ、後の自由党に接近します。19世紀末、アイルランド自治をめぐり自由党が分裂すると、クウェーカー教徒の指導的政治家は自由統一党に合流しました。
The Friendは、死刑制度、刑務所改革から、西インド諸島における奴隷制度や徒弟制度、穀物法、工場法、禁酒法、公衆衛生改革、ボーア戦争まで、19世紀から20世紀にかけてのイギリス政治史の主要問題に積極的に関与したクウェーカー教徒の活動の実態を克明に伝えます。
日本におけるフレンド派の宣教活動を伝える記事。
ジョゼフ・コサンド、サラ・コサンド、W.N. ホイットニー、メアリー・M・へインズ、メアリー・モリス、アイザック・シャープらの名前が見られる。
一番右は、ジョージ・ブレスウェイトによって翻訳された佐倉惣五郎の伝記『惣五郎の生涯』の広告。
- Christliches Kunstblatt, 1859-1905(キリスト教芸術新聞)
- Organ für Christlichen Kunst, 1857-1914(キリスト教芸術誌)
- Revue de l’art Chretien, 1857-1914(キリスト教芸術誌)
- Zeitschrift fur Christliches Kunst, 1888-1921(キリスト教芸術誌)
Religion, Reform, and Societyは、19世紀英米におけるキリスト教会諸派の宣教活動を伝えると共に、その自己改革の試みや信仰が社会改革への志向を帯びていた様相をも記録します。
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