ジャパンタイムズとは?
株式会社ジャパンタイムズは、明治30年から英字新聞を発行している新聞社です。そして、ジャパンタイムズは日本の現状と世界の動きを国内外に発信している、日本に存在する一番古い英字新聞です。
今はどの家庭からも新聞の姿は消えつつあり、デジタルに変わって皆さんもスマホ、タブレットからの情報収集に移り変わりつつあります。そんな中で、ジャパンタイムズという新聞の魅力を知っていただきたく、改めてその特長や歴史をご紹介いたします。
ジャパンタイムズの新聞の3つの特長
①読者、記事内容、訴求方法の違い
②外国人目線での発信
③編集方針の明確化
この特長をもう少し具体的にご紹介いたします。
①読者、記事内容、訴求方法の違い
まず読者層ですが、全体のうち、外国人が6割、日本人4割。大使館や在日の外国人の方を中心に、外資系のトップクラス、研究者、大学の先生方が読んでいます。出身国別で見ると北米が圧倒的に多く、次にヨーロッパ、アジアと続きます。
読者層が異なると記事の方向性、広告の訴求内容も大きく変わります。
例)2019年の大阪サミット特集。特に日本が国際会議のホスト国の場合は、各国要人、海外メディアなどの注目がいつも以上に集まることを想定した内容、訴求の仕方で発信します。
②外国人目線で伝えている
記事内容、デザインや色使い、見せ方を工夫
ジャパンタイムズの記者は、昨日成田に着いたばかりの外国人にもきちんと伝わるように=誰が読んでも記事の内容がわかるように背景も含めて詳細を書いています。
例)国技であり、伝統文化でもある相撲、「決まり手」がどのような技か、また力士の紹介をして、どこの国の方にも楽しんで知ってもらえるように工夫をした紙面作りを意識しています。
③編集方針の明確化
ジャパンタイムズではニュースメディアとして、自分たちがどのような価値を目指しているかを明確に言語化しています。
新聞ではロゴの上、オンラインではロゴの下に「タグライン」を記載しています。以前は「スローガン」、今は「タグライン」と言われるようになりました。これは他社でいえば企業理念やブランドメッセージです。65年続いていた、今までの
ALL THE NEWS WITHOUT FEAR OR FAVOR |
を今年の3月22日から
THE INDEPENDENT VOICE IN ASIA |
に新たに変更しました。今までの日本から発信しているという意識を、さらに一歩アジアに広げて、独立した発信力を高めていくという力強いメッセージを伝えたいと、全記者が誇りをもって毎日記事を発信しています。
創刊からの歴史
ジャパンタイムズが創刊されたのは明治30年。
今から124年以上遡ります。
124年前は明治後期、「文明開化」によって、西洋の文明が日本に入り、制度や習慣が大きく変わったころです。一方、外国から見た日本は、まだ侍文化が終わったばかりで、近代化が進んでいませんでした。
そのような時代に外国語の新聞を日本で発行するとは、どのようないきさつがあったのでしょうか。
当時、日本人は国の近代化につとめていましたが、7つの都市に外国人居留地(がいこくじんきょりゅうち)という治外法権の地域があり、日本人と外国人との間で問題が頻発、国民は大きな不満を抱えていました。
そして治外法権の制度もさることながら、それ以上に、障害となっているのは言葉の壁である、これを何とかしよう、というのが創刊の動機でした。
こちらはジャパンタイムズ創刊号第1面:画像一部5銭で売られ、今でいうと1,000円相当。当時では高価なものでした。題字中央はアーカイブのプラットフォームにも使用しているもので富士山が描かれています。
当時の英国タイムズ紙にならい、一面はまず広告から始まり、様々な会社の広告で埋まっています。
一面中央に掲載されている金属会社、炭鉱鉄道の広告、右上にスイス時計、中央下にたばこ、右下にピアノの広告もあり、読んでいくと色々とレトロな広告などがあります。
ジャパンタイムズ創刊
社長には慶応義塾大学創設者の福沢諭吉の親戚で写真左側の山田季治。
主筆には、初代内閣総理大臣:伊藤博文の秘書、写真右側の 頭本元貞でした。
創刊援助は、福沢諭吉、伊藤博文、資金面は、船会社のように海外に事業を展開する会社と財界などが協力していました。
様々な紙面で歴史を残す
時代と共に移り変わる新聞の一面や、日本で起きた数々の出来事を報道・発信し続けてきました。
ニュース報道というものが、日々起こった出来事の証言であるように、広告は人々がどのような生活を送っていたかを表し、その時代を映す鏡となります。
上記は、変わりゆく時代を映す多種多様な広告を5点載せています。当時のジャパンタイムズの一面は、食品、装飾品、絹、ビール、車など様々な商品、サービスの広告で埋め尽くされていました。
アーカイブオプション商品
- 幕末期のジャパンタイムズ
- ジャパンアドバタイザー
- 昭和天皇即位特集1928
- ジャパンイラストレイテッド
幕末期のジャパンタイムズ
1865年(慶応元年)にイギリス人チャールズリッカビーにより創刊。名前は同じジャパンタイムズですが、全く別の新聞です。
▶150年前の日本の様子を外国人の眼を通して社会・世相を多角的に知ることができる貴重な史料
▶日本の歴史に大きな影響を与えた「英国策論」はイギリス公使館のアーネストサトウが投稿したもので原文が掲載されている。
原文は全3回掲載されたと言われており、内2回がこのアーカイブ内で確認できます。歴史に大きな影響を与えた寄稿文を見る感動があります。
ジャパンアドバタイザー
1890年アメリカの印刷業者ロバート・メルクルジョンが横浜で創刊した新聞です。当時、新聞というものを知らなかったアジアにおいて、新聞の価値を教えた先駆者と言われています。最終的には1940年10月に日米関係悪化の中、事業売却を余儀なくされ、ジャパンタイムズに吸収合併されました。
▶極東に拠点をもつアメリカ人ジャーナリストの豊富なネットワークを活かし、極東情報を多く発信していた
▶日本の外務省の影響下にあったジャパンタイムズに対して、アドバタイザーは日本の外交・アジア大陸への進出をどうみていたかを知る事ができる重要なメディアである
メディア史、政治・経済史、ジャーナリズム研究、比較文化研究、国際関係史、日本研究、東アジア地域研究に役立つ資料
昭和天皇即位特集1928
ジャパンタイムズの特集の別冊として発行。実物の表紙は豪華絢爛な版画が施され、政府や関係者に販売・配布されていました。即位の礼、皇族、各国要人からのお祝いメッセージなども詳細に記されています。
▶昭和初期の帝国日本を垣間見ることができる資料
▶西洋社会に向けて社会発展を遂げようとしている日本の努力が強く伝わってくる資料
ジャパンイラストレイテッド
1963年〜1977年にジャパンタイムズが年4回発行していた季刊誌
▶写真英文雑誌として文化、芸術、芸能、建築、文化遺産、イベントなどを写真と英文で紹介
▶高度成長期の日本そのままをモノクロとカラーの写真で当時の瞬間を見せている
▶70年代に世界的な自動車、電子機器の製造で奮起していた日本の姿がさまざまな写真から見えてくる
近現代史、文化史、写真史、デザイン史の研究に役立つ資料。
ジャパンタイムズアーカイブの特長
①100年以上前から現在までの情報を知ることができる貴重な資料であること
② 新聞という特性により、多種多様な情報が掲載されており、さまざまな研究へ役立つ
③ 日本における英字発信という特殊な情報であるため、他にはない情報を得られること
アーカイブは情報の宝庫です。膨大な情報が収録されている中で、大きな事件や出来事はもちろんですが、当時の人々がどのように生活をしていたか、一つ一つの記事・情報が手がかりとなり、他では得られない真実も見えてきます。
多くの研究者や学生の方々の興味関心に触れ、お役立て頂けることを願っています。
(株式会社ジャパンタイムズ)
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上記でご紹介した各データベースを大学、図書館向けに販売しています。詳しくは商品案内をご覧ください。