提供元

Brill

Advisor: Dr. S.Ishakov

概要

ロシア在住のイスラーム教徒の歴史上、最もダイナミックな時代にあたる19世紀後半から20世紀初頭にかけてロシア帝国内で刊行された資料コレクションで、イスラーム教徒が書いた、もしくはイスラーム教徒について書かれた資料11点をページイメージで収録します。帝国内のイスラーム教徒の生活の様子を描き出し、公人・政治家の立場を反映します。本コレクション収録資料は、ユニークかつ多彩、そして海外の研究者にはほとんど知られていなかったもので、ロシアのイスラーム教徒の歴史が見直されている今、価値を持ちます。

※本データベースは、全文検索には対応していません。

収録タイトル

• Golos tatar:ezhenedelʹnyĭ organ Vremennago krymsko-musulʹmanskago ispolnitelʹnago komiteta. (1917)
• Inorodcheskoe obozri͡enīe (1913)
• Izvi͡estīi͡a Vremennago t͡sentralʹnago bi͡uro Rossīĭskikh musulʹman (1917)
• Izvi͡estīi͡a Vserossīĭskago musulʹmanskago voennago shuro (1917)
• Kaspīĭ (1881)
• Mīr islama (1912)
• Musulʹmanin:Moussoulmanine. (1908)
• Musulʹmanskai͡a gazeta (1912)
• Musulʹmanskīĭ mīr (1917)
• Turkestanskīĭ kraĭ:gazeta obshchestvennai͡a, politicheskai͡a, literaturnai͡a i ėkonomicheskai͡ (1916)
• V mīri͡e musulʹmanstva:ezhenedelʹnai͡a, literaturnai͡a, politicheskai͡a i obshchestvennai͡a gazeta. (1911)

ロシアの歴史とイスラーム教徒

イスラーム教徒は、多民族国家ロシアの形成に重要な役割を果たしました。その過程には数世紀を要し、1860年代の中央アジアの併合により完成します。ロシアは巨大なイスラーム世界と対峙することになり、イスラーム教徒は帝政ロシアの内政・外交政策における主要なファクターとなりました。1897年の第1回国勢調査によると、19世紀末にはイスラーム教徒の人口は約1,400万人に達し、帝政ロシアの総人口の約11パーセントを占めました。

イスラーム教徒関連の出版物

第一次ロシア革命（1905-1907）まで、ロシアの出版物においてロシア国内のイスラーム教徒に関わる問題はほとんど取り上げられず、イスラーム教徒の公人たちは、幾度も彼ら自身の新聞や雑誌を発行する許可を得ようとしました。Kaspij（1881年）はロシア語で印刷された最初のイスラーム教徒の新聞で、アゼルバイジャンの政治家で、国家院第一副議長、ロシアのイスラーム教指導者の一人Ali-Mardan Topchibashevが創刊しました。

ロシア革命により、様々な思想を背景とした定期刊行物が多数刊行されましたが、イスラーム教関連の出版物は、ロシア国内のイスラーム教関連の問題をロシアやヨーロッパの人々に知ってもらうことを目的とし、イスラーム社会の様々な集団の利益を代弁しました。これらの出版物には、イスラーム教徒関連の命令、文書、決議、訴え、イスラーム教徒組織の会議報告、イスラーム教徒にとって最も差し迫った問題を取り上げた資料、レビュー、投稿等が掲載されました。

1917年3月の帝政崩壊後、多数のイスラーム教徒の新聞や雑誌が登場し、中にはロシア語で刊行されたものもありました。

資料の価値

十分に研究されておらず、海外の研究者にはほとんど知られていないこれらの出版物は、ロシア革命前後の異質かつ知られざる世界に触れることを可能にします。

本コレクションは、イスラーム教徒によって書かれた、またはイスラーム教徒について書かれた資料を収録、イスラーム教徒関連の出版物に対する外部の視点を反映した出版物も含まれます。Inorodcheskoe Obozrenie（”Foreigners’ Overview”、Pravoslavnyj Sobesednik ( Orthodox Collocutorの補遺)は、ロシアにおけるイスラーム教徒関連の出版物です。イスラーム教徒に関する布教的性格を帯びた記事に加え、多数のイスラーム教徒の書籍、雑誌、新聞の翻訳や解説が掲載されています。これらの出版物は、イスラーム教徒が持つ古い宗教的・国家的な孤立から脱却する過程に貢献し、科学、文化、産業、農業分野におけるイスラーム教徒の業績を知らしめる必要性や、民族間の相互理解、文化的和解を支持する知的な議論を展開しました。

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