人文社会系研究

イラク戦争の内実を証言するアメリカ政府の機密解除文書をWebで

2017.08.09

アメリカ政府の対イラク政策に関する旧・機密文書を収録するWebコレクションが新たに刊行されました。1997年、湾岸戦争以前の協力関係から一転してフセイン打倒がアメリカの公式な政策となった時期から始まり、イラク戦争を経て2004年半ばにイラク暫定政権が発足するまでの時期の文書を採録します。戦争から14年を経た今もなお情勢不安に悩まされるイラクに関する貴重な新資料です。

新たに機密解除された文書を収録

“Targeting Iraq, Part I: Planning, Invasion, and Occupation, 1997-2004″と題するこのWebコレクションは、アメリカ政府内部で作成された対イラク政策に関する2,141点の文書を収録します。その大部分は近年新たに機密解除されたものです。国務省、国防総省、国防情報局、中央軍、CIAなど、イラクに関連するおよそすべての政府機関に対して公開請求を行い、開示に成功した文書を収録しています。

当コレクションには、ブッシュ大統領の命令で国防総省が2001年に策定したイラク戦争の計画のスライドや打ち合わせ資料などが含まれています。開戦後の資料からは、アメリカ軍駐留の長期化に伴って生じた予期せぬ事態の数々―暴力的抵抗の増加、宗派間の衝突、略奪、インフラと市民社会の崩壊、大規模な人口変動―に直面して、アメリカが頻繁に戦略を変えていたことが見て取れます。また、諜報レポートから一般公開のために用意された文書まで幅広い資料を収録しており、イラク侵攻への世論の支持を得るために、ブッシュ政権が時に恣意的に情報を採択した経緯を分析することもできます。

アメリカ政府の情報公開と公開請求

アメリカの情報公開法は、機密指定期間を終えた公文書は原則として誰でも閲覧できると定めています。しかし実際には機密解除文書を収集するのは容易ではありません。

アメリカのリベラル系の非営利団体The National Security Archive(NSA)は、ときには訴訟も駆使して組織的に機密解除文書の公開請求を行っています。1985年に設立されて以来、200以上の政府機関に対して5万件にも及ぶ公開請求を申し立てて1,000万ページ以上の文書の開示に成功しており、アメリカ政府自体を除けば機密解除文書をもっとも収集している団体です。

NSAは学術情報ソリューション企業・ProQuest社と協力して、機密解除文書を学術研究向けに編纂したデータベース、Digital National Security Archive(DNSA)を作成しています。当コレクションはDNSAの49番目の最新コレクションに当たります。詳しくはこちらをご参照ください。

※当記事で紹介したデータベースは全て学術研究機関向けの商品です。個人でのご契約はできません。

(紀伊國屋書店 データベース営業部 笠島)
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