人文社会系研究

心理学書販売研究会 ごあいさつ

2019.12.23

心理学は、「教育」「医療・保健」「福祉」「司法・矯正」「労働・産業」といった隣接領域と幅広く関係している学問です。また、現代社会において深刻化する社会病理や、急増する心の病といった問題に対応していくことを求められている学問でもあります。

当会創立の契機は、2001年5月に京都で開催いたしました「心理学書大博覧会」というブックフェアです。京都の6書店が、「発達心理学・教育心理学」「心理一般・基礎心理学」「社会心理学」「精神医学」「臨床心理学」「精神分析」の6ジャンルのうち1ジャンルを受け持ち、そのジャンルの書籍を展示販売するという企画でした。6書店全部を巡ると、4000点にもなる心理学の全分野の書籍を見ることが出来るというもので、京都を舞台に書店の垣根を越えて、6つの点が結ばれて、ひとつの面とするフェアでした。

京都市内の6書店・取次会社3社・出版社16社によるこのフェアは、マスコミに大々的に取り上げられるなど、予想外の大きな反響と成果をあげ、また心理学の書誌リストという貴重な「財産」を残してくれました。このリストを活かして心理学専門書を広く普及し、心理学研究のさらなる発展の一助を担うことを目的に、2001年9月、有志出版社16社が集まり「心理学書販売研究会」を創立いたしました(2019年11月現在、会員社13社)。

創立当初の活動としては、この心理学書誌データをより「使える」ものにするべく、心理学と関連領域の研究動向を見据えた当会独自の書誌分類法を定め、多数の書籍を適正な分野に分類することでした。弊会ではこのデータを年2回更新しつつ、研究者をはじめとして大学生、また図書館のご担当者様にも役立つ書誌データ(2019年5月現在 6800点)として提供しております。

書誌データを利用した、もう一つの大きな活動としては「心理学新刊カタログ」の製作と配布があります。創立当初の2003年より紀伊國屋書店さまにご協力をいただき、会員社の心理学新刊をあつめた「心理学新刊カタログ」を毎年共同で製作、大学研究室・図書館への配布をしております。洋書のカタログとあわせたり、ロングセラー書をまじえたり、またトピック別カタログを作成するなど、新しい試みを加えながら続けております。

またこうした「書誌データ」「カタログ」の活用とは別に、全国8つの書店さまと「特約書店」の契約を結び、心理学書の棚の充実をはかる活動をしております。毎月の心理学新刊情報の提供、心理学書の「基本書500」の選定と必備、また店頭でのフェア開催といった活動をしております。

また弊会10周年を記念して「心理学を学ぼう!」、15周年を記念して「心理学を学ぼう! 2」という冊子を作成、特約書店店頭、心理学学会会場にて頒布しております。

昨年2018年には第一回の公認心理師試験が行われ、より一層心理学へ関心の目が向けられることと思われますが、心理学は今後ますます複雑化する社会のニーズに合わせて発展していくことが期待される学問であるといえます。弊会は、会員社の発行する心理学書を、必要としてくださるみなさまのお手元にしっかりとお届けし、お役に立つことをめざして、今後も活動を続けてまいります。

心理学書販売研究会 ブログ
http://shinpanken.blogspot.com/
会員社: 明石書店、岩崎学術出版社、金子書房、金剛出版、春秋社、人文書院、新曜社、誠信書房、創元社、ナカニシヤ出版、日本評論社、みすず書房、ミネルヴァ書房(2019年11月現在)

(心理学書販売研究会)


(紀伊國屋書店 書籍・データベース営業部 和書担当 松野)