幕末開国当時の日本から誕生した英字新聞
明治時代、時の政府は幕末開国当時に結ばれた不平等な国際条約の改正が最大の外交目標でした。また、日本の7つの都市に「外国人居留地」という治外法権の地域が設置され、居留地住民との間に問題が頻発しており、国民は大きな不満を抱えていました。
1899年の居留地返還を前にして「外国人との間に生じる誤解を解消し、真の日本の実情を知らせ、相互理解を促進する」ことを目的に、1897年3月22日、英字新聞として初めて日本人が経営・編集するジャパンタイムズが創刊されました。慶應義塾の創設者・福沢諭吉の遠縁である山田季治(やまだすえじ)が社長となり、明治の元勲・伊藤博文の渉外秘書であった頭本元貞(ずもともとさだ)が主筆に就任しました。
その後1918年から1940年にかけて、国内で有力だった英字各紙を吸収・合併し、日本における英字新聞の統合を実現することになります。
日本の現状と世界の動向を国内外に報道する我が国唯一の独立英字紙
占領期を経て高度経済成長期から現在に至るまで、ジャパンタイムズは、それぞれの歴史の節目において、我が国唯一の独立英字紙として、日本の現状と世界の動向を国内外に報道することを使命とし、その役割を果たしてまいりました。日本に対する確かな情報への需要は増すばかりです。
そうしたジャパンタイムズの歴史が蓄積されたジャパンタイムズアーカイブをのぞいてみれば、英語という言葉で見た120年余りに及ぶ日本や世界の姿が生き生きと蘇ります。学術研究に大いに活用できる英文資料たるゆえんがそこにあります。
刻まれた歴史の数々
明治~昭和初期
ジャパンタイムズは「日本と外国人の架け橋になる」という使命のもと、福沢諭吉の親戚の山田季治と伊藤博文の秘書であった頭本元貞の尽力によって創刊されました。昭和初期には諸外国との関係修復の呼びかけに努め、相互理解協力促進のための特別企画を発行しました。
大正天皇即位記念号(1915年9月15日付)
日本の皇室や即位の礼について紹介すると同時に、西洋と日本における権力継承方法の違いを取り上げている。
Message from Japan to America(1924年10月1日付)
米国で日本人の移民を制限する動きにより日米関係が緊張した際に、両国の関係悪化を防ぐために発行された特集号。
戦時中~占領期
第二次世界大戦中のジャパンタイムズをながめていくと、初期に勢いのあった紙面が、ミッドウェー海戦を境に、しだいに後退していく様子をうかがい知ることができます。1943年1月1日には、題号をニッポンタイムズへと変更を強いられました。ジャパンタイムズが復活するのは、連合軍による占領終了後1956年のことでした。
太平洋戦争開戦(1941年12月8日付)
真珠湾攻撃という事件の重大さに釣り合う大きさの活字がなかったため、当時の編集担当者が、急遽広告用に使用していた木製の活字を探し出した。この活字はアルファベット1文字ずつしかなかったため、同じ活字を2つ使用できないという制約があるなか、このような歴史的な見出しが作られた。
マッカーサー特集号(1946年8月3日付)
戦後の占領期はマッカーサーやマッカーサー夫人、当時の皇太子の英語教師を務めたヴァイニング夫人らを紹介する特集が組まれた。
戦後~現在
1952年に日本は主権回復を果たし、1956年に再びジャパンタイムズの題号に戻りました。高度成長を背景に、1960年代以降は経済関連ニュースの紙面が目立つようになります。現在ではジャパンタイムズは紙の新聞だけでなく、ウェブサイト、SNS等をとおして世界中の読者にニュースを届けています。
三島由紀夫自殺(1970年11月26日付)
1970年の三島由紀夫による陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地での自殺事件は社会に衝撃を与えた。国際的にも著名な作家であった三島は、1000人の自衛隊員に向かって憲法改正のクーデーターを呼び掛けた後、割腹自殺した。
オバマ大統領広島訪問(2016年5月28日付)
オバマ大統領が現職のアメリカ合衆国大統領として初めて被爆地・広島を訪問した。
生活・文化
世界に向けて発信する英字媒体として、日本の映画や音楽、アートなどを特集するページが数多く作られました。かつては歌舞伎や浮世絵、茶道など、日本のエキゾチックな側面を中心に取り上げていましたが、近年では日本文化の先端を開設する記事が増えています。坂本龍一や草間彌生など世界的に著名なアーティストのインタビュー記事は読み応えがあります。
歌舞伎の6代目尾上菊五郎(1931年12月27日付)
1931年12月に発行された写真特集号には、歌舞伎役者の6代目尾上菊五郎の写真が一面で大きく使われている。
草間彌生氏のインタビュー(2004年3月7日付)
震災
関東大震災や阪神淡路大震災、東日本大震災といった大震災でジャパンタイムズが力を入れたのは、日本語が理解できない外国人被災者にとって必要な情報を届けることでした。1923年の関東大震災では、大打撃を受けた社屋の前の路上にタイプライターを置き「号外」を発行し帝国ホテルで配りました。また、1995年の阪神・淡路大震災では避難所や支援物資の情報を連日掲載しました。2011年の東日本大震災では被災地、原発、放射能などの情報を紙面やウェブサイトで世界に発信する役割を担いました。
関東大震災直後の紙面(1923年9月7日)
東日本大震災の被害状況を伝える紙面(2011年3月13日付)
その他
幻のオリンピック(Olympics 1940)
1940年の下記オリンピックは東京で開催される予定だったが、日中戦争のために東京は開催権を返上。幻に終わった東京大会が実現したのは24年後のことだった。
新発見・戦時中に連載された吉川英治作品の英訳
吉川英治作品の翻訳は1956年の”The Heike Story”(平家物語)が一番最初とされていたが、戦時中の1942年から1943年にかけて「新編忠臣蔵」が”The Vendetta of Ako”として英訳され、前編が掲載されていた。
ジャパンタイムズアーカイブの特長
ジャパンタイムズアーカイブは、The Japan Timesを創刊号より紙面イメージでご提供するデータベースです。全文検索も可能です。
- 1897年3月の創刊から2020年12月までの約120年間分から探したい記事を検索できます(毎年最新の1年分を追加しています)。
- 創刊当時から日本の情報を英語で発信し、邦字紙とは異なる視点で海外の人にもわかりやすく日本について記述しています。
- 国内外の政治・経済・文化から生活に密着したテレビ欄・広告・読者投稿欄まで、当時の情勢が読み取れる史料価値の高いコンテンツが満載です。
- 国内外の大学・学校・図書館・研究機関に数多く導入されています。
- ジャパンタイムズアーカイブは以下のような研究に適しています。
- 東アジアの地政学・歴史研究
- 日本政治史
- 日本歴史学
- 日本研究
- 軍事史
- メディア史・ジャーナリズム
- 新聞研究 他
仕様
- 収録期間:1897年(明示30年)~2020年(令和2年)
- 新聞形態:日刊(創刊時は不定期で休刊あり)
- ご契約形態:買い切り型、購読型のいずれかをお選びいただけます。個別にお見積り申し上げます。
- 販売元:株式会社ジャパンタイムズ
- ウェブサイト: http://jtimes.jp/archives
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