
OCLC News 77号
商品情報をはじめ、OCLCに関する様々な情報をご案内致します。
今号はOCLC Researchから出版されたシェアードプリントに関する分析結果のご紹介、特殊コレクションのメタデータと発見可能性などの話題をお届けします。
目次
- OCLC Researchから冊子体共同管理に関する分析結果公開
- 歴史から得た洞察で特殊コレクションのメタデータを未来へと導く
- ホワイトハウスのクリスマスツリーがOCLCのリサイクルオーナメントで飾られた話
OCLC ResearchからShared print (冊子体共同管理) に関する分析結果公開
OCLC ResearchからShared printに関連した報告「Stewarding the Collective Collection: An Analysis of Print Retention Data in the US and Canada (集合的コレクションの管理: アメリカ、カナダにおける冊子体資料保存誓約データの分析)」が公開されています。
印刷資料の共同管理構想は、大きな成功を収めています。
米国およびカナダの図書館は、数百万点の資料の保存に合意し、多くの印刷資料共同保存プログラムは、その運用の歴史において重要な節目を迎えています。
とはいえ、印刷資料の範囲は広大であり まだ多くの課題が残っています。
印刷遺産を保護するというシェアードプリントの目標を達成するためには、調整すること、保存誓約 (retention commitment: WordCatローカル所蔵レコードに記録) を深く理解することが必要です。
10年以上前にシェアードプリントが始まって以来、モノグラフ資料に対するシェアードプリント保存誓約データの包括的な分析は行われていませんでした。
保存誓約データの包括的な分析なしに、また印刷モノグラフ資料のより大きな集合との比較もなしに、シェアードプリントの影響を評価し、前に進めるための優先順位を設定するとしたら、必要とされる情報を欠いています。
この溝を埋めるため、OCLC ResearchとPartnership for Shared Book Collections (以下、Partnership) は共同で、OCLC シェアードプリントレジストリに登録された印刷モノグラフ資料の保存誓約データ分析を設計・実行し、印刷モノグラフ資料に関してWorldCatに反映されているより広い周辺情報とこれらの調査結果を照らし合わせてみることにしました。この論文で提示された調査はシェアードプリントの成功を明らかにし、また戦略的成長分野を特定するものとなりました。
調査のポイントは、プロジェクトパートナーとの協議により決定され、網羅的であることや、シェアードプリントプログラムの所蔵データの現状を超えた他の関心分野を探求することは意図していません。
その結果、この分析はベースラインとなる運営上の情報を提供し、シェアードプリントのエコシステムの現状を把握し、現在のリスクと将来の好機を明らかにするものとなっています。
OCLC事業部から–WorldCatシェアードプリントにおける保存誓約データ (Retention Commitment)
ここで、WorldCatを使用したシェアードプリントの仕組みについて少し解説します。
OCLC参加館は自館所蔵資料に該当する書誌レコードに所蔵付与を行いますが、この処理により所蔵館がどこかという情報 (OCLC参加館シンボル) を表示させる事ができます。この時、所蔵「レコード」が作成されている訳ではありません。
それとは別にWorldShareユーザーはRecord Managerで書誌レコードと紐づいたLocal holdings records (以下、ローカル所蔵レコード) を作成して、個別資料の配架場所、請求記号、バーコード、個別資料のみに該当する注記などを入力する事ができます。これは主にWorldCat Discoveryユーザーが使用するレコードですが、保存誓約情報はこのローカル所蔵レコードのTag 583に入力します。WorldShare ユーザーはCollection Managerを使用して一括付与することもできます。
保存誓約データのフォーマット例
583 1b |a committed to retain |c {保存誓約開始年月日} |d {保存誓約終了年月日} |f {制約の根拠} |2 {用語のソースコード} |5 {MARC機関コード}
入力例
583 1b |a committed to retain |c 20230101 |d 20480101 |f Programme de conservation partagée des collections imprimées du PBUQ |2 pda |5 CaQMM
このローカル所蔵レコード情報はFirstSearch, Record Manager, Collection Manager, WorldCat Discovery, APIで取り扱う事ができます。
FirstSearchの場合
自館や他館の保存誓約データを確認する場合、
- 詳細検索画面で「Shared print commitments only (シェアードプリントのコミットメントのみ)」にチェックを入れて検索
- 検索結果一覧や詳細検索画面で「1758 (2 Committed to Retain) 」のように全体の内の何件に保存誓約データがあるかが表示される
- 該当図書館は「Libraries that Own Item (全世界の図書館)」から「Display All Libraries (すべての所蔵館を表示)」で「Shared Print Commitment (シェアードプリントのコミットメント)」欄に「Committed to Retain」と表示
この「Committed to Retain」をクリックすると以下のような該当館の保存誓約データを見る事が出来ます。
Record Managerの場合
Record Managerをお使いの場合、詳細検索画面からシェアードプリント機関 (sh:) インデックスを使用してOCLCシンボルで検索したり、シェアードプリントグループ (sg:) インデックスを使用してグループのOCLCシンボルで検索したりして、それぞれのローカル所蔵レコードの内容を確認できます。 また、自館のローカル所蔵レコードに対して保存誓約データの追加・修正・削除ができます。ローカル所蔵レコードに保存誓約データを入力している場合、該当書誌レコードの出力 (Export) 時にTag 583を含める事もできます。これらの操作は目録のご契約のみで可能です。
Collection Managerの場合
Collection Managerを使用する事により、以下が可能となります。
- 自館、または自館が参加するグループの保存誓約データファイルをダウンロード
- 自動化クエリをスケジュールし、シェアードプリント保存誓約データの変更を監視
- 自館の保存誓約データをWorldCatに追加
- 自館の保存誓約データを一括登録・一括削除
Collection Managerを使用して自館のシェアードプリント保存誓約データを取り扱う場合、自館設定画面で以下のように設定しておく必要があります。
- ローカル所蔵レコード付きのMARCレコード配信を可能にするために「機関の設定」内で「MARCレコードの提供を有効化」にチェックし、「レコードの提供」タブで提供スケジュールとフィルタを設定しておく
- 保存誓約データをまとめて登録するには、ローカル所蔵レコードのデータ同期 (Data Sync) コレクションを作成する
WorldCat Discoveryの場合
自館でローカル所蔵レコードにシェアードプリント保存誓約を入力したデータを検索するには、
- 貴機関のWorldCat Discoveryに移動 (https://xxx.on.worldcat.org.–xxxは貴機関の識別子)
- 検索ボックスにsh:[貴機関のOCLCシンボル (例:sh:tawms)]を入力
- 検索ボタンか、<Enter>キーをクリック
貴機関のシェアードプリント所蔵タイプフラグを含むローカル所蔵レコードを持つすべての書誌レコードが表示される - 結果リストから書誌レコードのタイトルをクリックすると、シェアードプリント保存誓約データが記載されたローカル所蔵レコードが表示される
- 書誌データ画面で、「利用可否」セクションまでスクロールダウンすると、所蔵の下に、保存誓約の注記あり
解説ここまで
今回の分析方法
ローカル所蔵レコードの所蔵データ、WorldCatの該当書誌レコード、所蔵機関データベースから取得した所在情報を使用します。ローカル所蔵レコードのテーブルがメインのリンクポイントですが、ここにOCLC番号 (OCN) が含まれていますので、WorldCat書誌レコードにリンクし、同じくローカル所蔵レコードに含まれる所蔵館の識別子が機関テーブルとリンクします。
ローカル所蔵レコードテーブルには、シェアードプリント保存誓約の以外の多くのデータが含まれています。集合を保存誓約だけに限定するため、ローカル所蔵レコードの 583 $a に 「retain」 という文字列が含まれているものを大文字と小文字を区別せずに抽出しました。また、リーダー部のType Of Recordが「x (単一パート所蔵=一冊もの)」「v (複数パートの所蔵=多巻もの)」のレコードについても抽出を行いました。
WorldCatの機関テーブルは全世界を対象としているため、米国またはカナダに存在しない機関を除外して抽出を行いました。WorldCatの書誌レコードは、印刷されたモノグラフ資料だけが残るように抽出されました。これらの選別されたデータセットを統合すると、最終的なデータセットは、米国またはカナダで所蔵されている単行本または多巻もの印刷物について登録された保存誓約データとなります。
分析結果
- 米国とカナダで所蔵されているタイトルの大半は、保存誓約情報のないコピーであり、また、保存誓約があったとしても有り余るほど持つものはほとんどない
- 1960年から1990年の間に出版されたタイトルは、保存誓約を持つ割合が最も高く、最近の数十年間は保存の割合が著しく低い
- 米国議会図書館 (LC) 分類に基づく主題分野の分析からある程度の分析はできるが、 包括的な保存を保証するには、より詳細な調査が必要である。
- 今後5年から25年の間に、何百万冊もの資料が保存期限を迎える
- 登録された保存誓約データは不完全であり、比較するのは困難である
必要とされる行動
報告書では、分析結果により以下のような行動が必要と呼びかけています。
データを提供し続けよう
- すべての保存誓約、または可能な限り多くの保存誓約を登録する
- 印刷資料保存戦略の拡張と改善を支援するための保存誓約データへのアクセス構築
データを改善し続けよう
- 大規模な分析や意思決定 (とりわけ独自性を特定するため) に不可欠なメタデータの品質向上に投資する
対象分野を広げよう
- この調査を拡大して、十分な取り組みがなされていない内容分野を特定
- この計画の一部として理解されるよう、不特定多数の所蔵資料 (つまり特殊コレクション) を許容する柔軟性を構築
- より多くの個人やグループを、保存誓約データの評価と議論に動員
この保存誓約データについて詳しく知りたい方は、是非報告書本文やシェアードプリントガイドをご覧ください。
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論文のフルテキストはこちらから>>
シェアードプリントのガイド (英文) はこちらから>>
―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―
歴史から得た洞察で特殊コレクションのメタデータを未来へと導く
2025年3月3日– ケイト・ジェームス
昨年、同僚のチェラ・スコット・ウェーバーとお互いのプロジェクトについて話をした際、彼女が2009年のOCLCの調査報告書「The Metadata IS the Interface: Better Description for Better Discovery of Archives and Special Collections, Synthesized from User Studies (メタデータこそがインターフェイス: アーカイブズと特殊コレクションをよりよく発見するための記述の改善、利用者調査からの統合)」について触れました。
私は、この報告書を読んでルイジアナ州立大学の特殊コレクションで大学院生アシスタントとしてアーカイブコレクションに携わっていた頃にタイムスリップしました(まるで銀色のデロリアンに乗ったように)。このコレクションは44リニアフィート、21本のビデオカセット、3,618本のサウンドカセットから成るもので、ルイジアナの民間伝承とその保存に尽力する州機関に関する一次資料が収められています。私がこのコレクションを担当した2002年当時は、オンライン目録レコードと、オンライン上で入手できるPDFと閲覧室設置のハードコピーの両方で利用できるファインディングエイド(ワープロソフトで書かれたもの)の両方から発見できるようにしていました。
このコレクションと発見ツールは、ジェニファー・シャフナー氏が報告書で説明したことをよく表した実例だったので、報告書を読んで2002年に私が経験したことと共鳴したのは当然の事でした。
シャフナー氏は、リソース・コンテンツに対するユーザーの関心と、従来のメタデータの慣行が利用者の期待と隔たっている事に着目しました。この報告書は数年前に書かれたものですが、廃止された製品やプログラムに関するいくつかの参照が更新されていれば、今日のアーカイブや特別なコレクションに対するディスカバリーのニーズを簡単に説明することができるでしょう。2009年当時、リンクトデータは図書館やアーカイブのメタデータに関する議論に頻繁に登場するものではありませんでしたが、メタデータに対するより利用者中心のアプローチについてのシャフナー氏の指摘は、リンクトデータの文脈でも同様に当てはまります。チェラが2025年2月5日のHanging Togetherの投稿で述べているように、この報告書は私たちの現在の仕事にも役立つものであるため、この投稿では私の心に響いた点をまとめています。
Mardi Gras float at the 1985 American Folklife Festival on the National Mall, Smithsonian, No restrictions, via Wikimedia Commons.
アバウトネスの重要性
シャフナー氏は、「約30年にわたる利用者調査の結果、特別コレクションの発見には、『アバウトネス (表現されている重要概念は何かを示すもの)』と『関連性』が最も重要であることがわかった」と結論付けています。これは当然の結論のように思えますが、現在の私の心に響く理由は、関連するリソースの発見を可能にする主題を提供することの重要性です。基本的に、リンクトデータとはセマンティックウェブ上でリソース間の関係を提供することです。OCLC のResearch Archives and Special Collections Linked Data Review Group (研究アーカイブズおよび特殊コレクションリンクトデータ検討部会) の報告書である「Archives and Special Collections Linked Data: Navigating between Notes and Nodes (アーカイブズと特殊コレクションのリンクトデータ: ノート・ノード間のナビゲーション」は、特殊コレクションにおける関係の重要性を次のように説明しています。
「関係性は特殊コレクションにとって非常に重要です。私たちは、相互に関係性があるために、また特定の話題に焦点を当てたり、主題と関連付けたりすることによって、意図的にコレクションを構築し、投資してきました。」「has subject」という関係は、一見無関係に見えるコレクション間に新たな関係を発見する機会を特殊コレクションの利用者に提供します。シャフナー氏が指摘するように、アーカイブズの記述は、コレクションの主題内容よりも、そのOfness(ジャンルや形式など)やコレクションの由来に重きを置いている場合がほとんどでした。利用者は確かに、リソースを作成したエージェント同士の関係や、作成者とジャンルの関係を組み合わせて調査したいと思うかもしれませんが、主題がなければ、アーカイブズコレクションは、機関のコレクションに詳しくない研究者や、リソースの形式に関係なく主題に関心のある利用者にとっては、隠れた存在のままになってしまうでしょう。最低限の記述は、人手不足のなかで未整理コレクションを処理するためには必要かもしれませんが、「James family papers」や 「Postcards collection」のような便宜的に付与したタイトルを持つコレクション内では、主題用語が発見可能性に大きな違いをもたらします。この前提は、2023年のOCLC研究報告書「Summary of Research: Findings from the Building a National Finding Aid Network Project (研究概要: 全米ファインディング・エイド・ネットワーク構築プロジェクトの知見)」によって次のように裏付けられています。「どのような資料がこのようなニーズに応えうるかという点では、ポップアップ調査の回答者の半数以上 (55.8%) が、自分のトピックに関連するあらゆる種類の資料に興味があると回答しています。」
利用者は関連性でランク付けされた結果を期待する
この指摘は、図書館の検索ツールに、インターネット検索ではきわめて一般的な関連度ランキングを組み込んでほしいという期待を反映していることは確かです。これはまた、S.R.ランガナタンの図書館学の五法則の1つ、「図書館利用者の時間を節約せよ。」を反映してもいます。あるアーカイブに 「Suffragists (婦人参政権論者)」という件名標目を持つ11のコレクションがあるとします。研究者がアーカイブ・コレクションを閲覧依頼した場合、箱でいっぱいのブックトラック2台分を提示されることもあるため、一次資料の調査には時間の節約が欠かせません。ファインディング・エイドによって1箱に絞られることもありますが、1箱に100点以上の個別資料が入っているかもしれません。そして、11のコレクションがあるため、研究者はこのプロセスをさらに10回繰り返す必要があります。これは膨大な時間であり、婦人参政権論者に関する情報を探すために索引付きの11冊の本を探すのに費やす時間よりもはるかに長い時間です。アーカイブ・コレクションにとって関連性が何を意味するかは特に厄介な問題で、多くのコレクションは包括的な便宜上のタイトルを持ち、一つのコレクションに固有の関連エージェントを持っているからです。そこで、主題、日付、言語、形式を含む複数の基準で結果をフィルタリングできる発見ツールを利用者に提供することで、利用者は検索ごとに独自の関連性基準を設けることができます。
ディスカバリツールの効果は自明ではない
これは図書館や 文書館に共通する結論ですが、オンライン書店やGoodreadsのようなソーシャル目録サイトでの最初の発見では効果を得られない特殊コレクションには特に当てはまります。検索タイプや索引に不慣れな利用者は、その特殊性のため、オンライン目録における特殊コレクション資料の不可視性をさらに高めてしまいます。例えば、アーカイブ・コレクションのタイトルは、キーワードによる索引付けの恩恵をほとんど得られないかもしれません。アーカイブのリンクトデータを使用する利点は、このようなアクセスの障壁を取り除くことにあります。エリザベス・ラッシー・ロークとルース・キッチン・ティルマンは、アーカイブのリンクトデータが持つ利点の一つとしてこの点を挙げています。彼女たちは論文 「Pragmatic Principles for Archival Linked Data (アーカイブ・リンクトデータの実用原則)」の中で、次のように書いています。「リンクトデータのセマンティックな構造と言語を使って、データをウェブ上でよりアクセスしやすくすることで、私たちは、利用者が私たちのところに来てくれることを期待するのではなく、利用者がいるところで出会うことができるのです。」
このように、特殊コレクションのデジタル化は、その発見可能性を大きく向上させる可能性があり、シャフナー氏の報告以降、進展が見られます。文化財の3Dデジタル化は、こうした資料へのバーチャルなアクセスの可能性を高めてくれます。また、比較的新しいツールである人工知能は、手稿の書き起こしや翻訳をより迅速に行う可能性を提供してくれます。(2024年のAI4Librariesのプレゼンテーション「Using AI Tools to Improve Access and Enhance Discovery Capabilities in Archival Collections (アーカイブ・コレクションへのアクセス向上とディスカバリー能力強化のためのAIツールの活用)」(ラトガース大学図書館デジタルイニシアティブ司書、ソニア・ヤコ氏)をもう一度見直してみるべきだと、改めて思いました。)
最後に
この報告書を読むことは、私の大学院生時代のアシスタントとしての仕事に対する個人的な回想から始まりましたが、すぐに、将来に向けた計画を立てる上で利用者の要求に重きを置くことの重要性に対する認識へと変わりました。統制された語彙は、事前調整検索にとって非常に重要であり、実体間に意味のある関係性を持つリンクトデータを作成するための基礎的要素を提供してくれます。検索エンジンとオンライン目録は、印刷版ファインディング・エイドや冊子体目録のページをめくっていた利用者の時間を節約してくれますが、利用者が活用できる情報量の総量は、ランガナタンの「図書館利用者の時間を節約せよ。」という法則を今日においても同様に有効なものにしています。ランガナタンの法則に私なりの補足をすると、「アーキビストと司書の時間を節約するために、責任を持ってテクノロジーを使うこと 」です。私たちのメタデータは、目録カードからオンライン目録、そしてリンクトデータへと変換されてきましたが、「何のために」は基本的に変わりません。すべては利用者のためなのです。
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原文はこちらから>>
シリーズ: OCLCあの時この時 (9)
ホワイトハウスのクリスマスツリーがOCLCのリサイクルオーナメントで飾られた話
今回はOCLC Newsletter No. 207 (January/February 1994) から、OCLCで廃棄した「あるもの」がリサイクルされ、華々しい第二の人生を迎えた話題を。
OCLCの新しいネットワーク設置後に廃棄されたカラフルな電話線を、バスケットを編むことで再利用しているのは、ユーザーネットワークサポートのインフォメーションコーディネーター、ドナ・ディーツさん。形も色もネイティブアメリカンの土鍋を思わせるバスケットの大きさは1.5インチから8インチ。ディーツさんは小さなバスケットをテグスでピンの背に縫い付け、襟に付けるブローチとして販売しており、大きなバスケットは自立する彫刻として州内外のギャラリーで展示されています。彼女の作品は、1992年のオハイオステートフェアの美術展で入賞を果たしています。
ディーツさんはオハイオ・デザイナー・クラフツマン (ODC) のメンバーですが、昨年の夏に彼女と他のODCメンバーへ、ホワイトハウスからクリスマスツリーにオーナメントを寄贈するよう申し入れがありました。
ツリーのサイズが大きいため(高さ20フィート=6メートル近く)、オーナメントの大きさは5インチ (≑12.7センチメートル) 以上、重さは12オンス (≑340グラム) 以下でなければなりません。ディーツさんのオーナメントは直径5インチのクラシックな丸い電球の形で、赤と緑のワイヤーで編まれており、ブルールーム (各国からの国賓や外交官を迎えるための部屋) のツリーに飾られました。
ディーツさんのバスケットはとても評判が良いですが、OCLCの仕事を辞めるつもりはないといいます。「夜や仕事の休み時間にバスケットを作るのはリラックスできます。でもフルタイムでやるとなると、楽しみとは言えなくなりますから。」
1993年クリスマス時点のアメリカ大統領は、42代 (1993-2001) ビル・クリントンでした。
同じ年のトピックは、イスラエルのラビン首相とPLO (パレスチナ解放機構) のアラファト議長の間でオスロ合意、ロシアではエリツィン大統領と反大統領勢力の対立による騒乱事件を経てロシアの新憲法採択、南アの元大統領マンデラとデクラークにノーベル平和賞などです。一方、日本は55年体制の崩壊、皇太子ご成婚、矢ガモ騒動などがあった年でした。
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No. 207 (January/February 1994) の原文はこちらから>>
(OCLC事業部)
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株式会社紀伊國屋書店 OCLC事業部
電話:03-6910-0514 e-mail:oclc@kinokuniya.co.jp