OCLC News 第67号
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目次
―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより― DEI:それは目的地ではなく、旅路である
OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ「Next」よりOCLCのCEOであるSkip Prichardによるエントリー「DEI:それは目的地ではなく、旅路である」の内容を抜粋・和訳して掲載いたします。
先月、私たちはとても特別な栄誉を受けました。Computerworldが行った技術系企業の世界的な調査において、OCLCは、従業員の多様性、平等性、包括性(DEI)の推進において卓越性を示したとして、世界の中堅IT企業の中で’Best Place to Work in IT’の第一位に選ばれたのです。
私たちの長年にわたるDEIへの取り組みが評価されたことを嬉しく思います。私たちが多様で公平、かつ包括的な職場づくりを目指して旅を続ける中で、このような評価はマイルストーンや目印となり、新たな問いを考える機会にもなります。
私たちのDEIに対する取り組みは目的地に到着してはおらず、旅路の最中であると言えます。前に進み続けるためには絶え間ない反省と行動が必要です。私たちはこれまでの成果を皆様に共有し、さらには「これから何をすべきか?」「互いに何を学ぶことができるのか?」を考えていく必要があるのです。
2020年、私は「We must remember George Floyd. And we must do more」というタイトルで皆様に行動を呼びかけるブログ記事を投稿しました。キング牧師を偲ぶ本日1月16日に、私たちがこれまで歩んできた道と学びについて、あらためてお伝えしたいと思います。
■人を中心に
OCLCでは、DEIの価値を組織の中心に据えることは、人を第一に考えることを意味します。人を中心に据えるということは、私たち一人ひとりが異なる経験を持っていることを理解し、受け入れる知恵を持つことが必要です。そして、その違いを尊重し、探求する好奇心と謙虚さが必要です。こうした会話の難しさを感じることもありますが、これは私たちの現状と進むべき方向性を共有するために必要なものです。
ここでは、私たちのDEI活動における人を第一に考えた戦略をいくつかご紹介します。
フォーカスグループの開催
2022年に開催したDEIフォーカスグループは「何がOCLCへの帰属意識を生み出しているのか」を理解するのに役立ち、参加者の意見から我々は下記のような学びを得ました。
・OCLCのテクノロジーサービスと図書館に奉仕するという使命の組み合わせがやりがいに繋がっていること
・包括的な福利厚生と柔軟な労働政策によってスタッフは自分が尊重されていると感じること
・親切心を大事にする社風がスタッフ同士の協力や強い帰属意識に繋がっていること
ただ、良い点が明らかになる一方で、我々の社風である「優しさ」が深い議論を妨げていることや、パンデミックやリモートワークの影響で新しいスタッフとのつながりや会社への帰属意識が希薄になりつつあるという課題もあらわになりました。
ワーキンググループの設立
2020年に私たちはスタッフ主導で人種的平等推進ワーキンググループを設立し、文化、メンバーシップ、リーダーシップ、製品・サービス、スタッフ、研究という6つの主要分野における評価と一連の推奨事項をOCLCリーダーシップに提供しました。
このグループは現在DEIワーキンググループへと発展し、すべての人が歓迎、支援、そして評価されることを保証するために、DEIのイニシアティブをサポートする人材の育成や政策・プログラムの策定に焦点をあてて活動しています。
DEIへの理解を高める学習
全てのスタッフが無意識の偏見や不適切な行動、ハラスメントを見分けられるようになるためにOCLCでは学習の機会を設定しています。また、黒人の歴史、ネイティブアメリカンの文化、LGBTQのプライドなどに焦点を当てたコースもあり、年間を通じてスタッフが自分のペースで学習できるよう、DEIコースのカタログを充実させています。
■行動を伴わない意図は意味がない
DEIに関する活動において、行動を伴わない意図は意味を持ちません。スタッフ育成からコミュニティへの参画、図書館のためのソリューションまで、私たちはすべてにDEIの原則を適用するように努力しています。
採用
雇用の多様性を望むだけでは十分ではありません。私たちは従業員のジェンダーなどを含む多様なあり方に焦点を当てた採用目標と評価基準を設けています。地元の大学から多様で優秀な技術者を採用し、地域社会で過小評価されたグループの学生に焦点を当てた強力なインクルージョン・インターンシップ・プログラムも実施しています。卒業後や資格取得後にフルタイム勤務の機会を提供することで、多くのインターン生を確保しているのです。
人材開発
私たちは、多様な技術的人材にアピールするために、さまざまなカンファレンスやミートアップに参加・後援しています。We Can CODE IT、Color Coded Labs、Codemash、Tech Elevator、Stir Trekは地域パートナーシップの一例です。また、Black Tech Columbus、Black Data Processing Association、National Society for Hispanic Professionalsなどの社外組織にも積極的に参加するようスタッフに呼びかけています。さらにSociety for Women Engineersのイベントや、Junior League Leadership and Lattesのプログラム、更にOhio Celebration of Women in Computing (OCWiC)やgetWITit、Women in Technology Internationalのイベントを後援し、女性のテクノロジーリーダーの育成を支援しています。
コミュニティへの参加
OCLCはオハイオ州中部における男女の賃金格差の解消に取り組むColumbus Women’s Commission initiative(The Columbus Commitment)のメンバーです。また、州レベルでLGBTQを含む差別解消政策の実現に取り組み、優秀な人材の獲得やBtoBおよびBtoCの関係の強化、オハイオ州の経済成長を目指す超党派企業連合であるOhio Business Competesのメンバーでもあります。
ソフトウェアとサービス
アンドリュー・W・メロン財団の支援により実施した、Reimagine Descriptive Workflowsプロジェクトは、メタデータ記述において反差別的で包括的な言語への置換を大々的に実装するための改革と道筋を模索する機会となりました。
また、我々はAccessibility StrategistとDewey editor-in-residenceという新しい役職を用意し、データやソフトウェア体験におけるDEIを考慮した取り組みを行っています。
さらにWebJunctionプラットフォームでは、図書館職員にResources for Advancing IDEAs (Inclusion, Diversity, Equity, Accessibility)やCreating Pathways to Civil Legal Justice、“Let’s Talk Race” Toolkitなどの無料ツールを多数提供しています。
最近ではキング牧師のご子息であるマーティン・ルーサー・キング三世とその家族が監修したリーディングリストをWorldCat.orgで公開することができ、大変光栄に思っています。
■忍耐は美徳以上の価値がある
私は忍耐強いとは言えません。問題を発見したら、すぐに解決したいのです。しかし、DEIの活動をする上で大切なのは、私たちが働いている背景を忘れないことです。何世紀にもわたる差別や被害を、共感や即効性のある解決策でなかったことにすることはできません。信頼を得て行動するためには、振り返りや学習のための時間が必要で、それも前進の一部なのです。一方で私たちは具体的な行動を起こす必要もあります。OCLCでは、DEIを推進するために集団的な責任を受け入れ、あらゆる人々が、共に旅の一歩を踏み出しているのです。
リーダーシップ
私はよくリーダーシップは個人的なものであり、役職ではないと言っています。誰にでもリーダーシップの機会があります。特に、職場の多様性、公平性、包括性を推進する上では、それが分かるでしょう。確かにトップリーダーのサポートは重要ですが、真の変革は日々の交流の中で生まれます。私たちが集い、偏見について学び、自分の思い込みに気づき、生きた体験に耳を傾けたときに変革は訪れるのです。このようなリーダーシップには、勇気と忍耐が必要になるでしょう。
スタッフの参加
DEIはトップダウンの視点だけでは成功しないため、私たちは部門横断的な従業員によるワーキンググループを設立しました。このチームには、メンバーシップ、プロダクト、テクノロジー、ライブラリーサービス、リサーチ、WebJunction、マーケティング、人事、法務、シニアリーダーシップの各グループの社員が参加しています。このチームの役割は、難しい問題に挑み、提言を作成し、私たちのDEIに関する活動がすべてのOCLCスタッフのニーズと一致していることを確認し、そのニーズをサポートすることです。
コミュニティへの参加
ライブラリアンの皆様はDEIの最も熱心な賛同者の一人でもあります。私たちは幸運にも、不公平を正し、DEIにおいて真の進歩を遂げたいという願望と情熱を持ったコミュニティに奉仕することができるのです。私たちはさまざまな会合や会議、調査、研究において、OCLCメンバーの皆様の重要な声に触れる機会がありました。このことは今後の研究課題や製品強化の原動力となるでしょう。
バランスを取ること
人々はすぐに抜本的な改革を行いたくなるものですが、その場しのぎの対応では、歴史的な不公正を正すことはできません。また、この旅を進めていくと、DEIの問題がいかに複雑であるかが分かってくるのです。問題が悪化する恐れがあるときには、問題の本質とその影響を完全に理解するまで、一歩下がるか、あるいは一時停止することも必要となります。進捗が遅すぎると思われることもあるかもしれませんが、OCLCでは時には時間をかけて対話や検討を行うことでバランスを取るようにしています。Reimagine Descriptive Workflowsプロジェクトや製品やマーケティングにおける有害な言葉の削除、ソフトウェア開発プロセスにおけるDEI意識の向上などの作業は、私たちがより複雑なDEIの課題に取り組み続けるための一助となっています。
DEIの旅は、困難なものに感じられるかもしれません。希望と絶望を同時に感じることもあります。しかし、私たちは決して立ち止まることはありません。私たちの仕事の核となるのは、ライブラリーの皆さんと共有する揺るぎない価値観です。私たちは、すべての人の尊厳と価値を尊重します。政治的、社会的、歴史的な背景を超えて、この価値観が私たちをより良くし、より良くなるための原動力となっています。私たちの旅の途中のポイントをお伝えすることが、皆様のお役に立てましたら幸いです。
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マーティン・ルーサー・キング三世とその家族が、キング牧師記念日の40周年を記念して読書リストを共有。
キング牧師のご子息であるマーティン・ルーサー・キング三世とそのご家族は 、キング牧師記念日の40周年に合わせて、オンライン検索者と世界の図書館をつなぐ唯一のウェブサイトWorldCat.orgでリーディングリストを公開しました。
またWorldCat.orgは、1月16日のキング牧師記念日にちなんで、キング牧師に関する資料を集めたトピックページを公開しました。このページでは、世界中の10,000以上の図書館から、書籍、学術論文、録音、ニュース記事、写真、歴史的文書など、さまざまなリソースを利用することができます。
トピックページの詳細は以下の通りです。
・キング家の読書リスト
・6,900のオープンアクセスリソース
・論文、学位論文、アーカイブ、および百科事典の資料
・下記から厳選したリーディングリスト
Charleston Syllabus
TheArchive.com
Colleges and universities
・WorldCat.orgで人気の検索結果
これらのリソースは、教育者、保護者、学生、そして一般の方々に、キング牧師記念日に関する重要で意義のあるリソースを認識いただくためのものです。今年はロナルド・レーガン大統領がキング牧師記念日を連邦祝日とすることに署名してから40周年にあたります。また、バーミンガム・キャンペーンとワシントン大行進から60年、1968年の公民権法成立とキング牧師の暗殺から55年という記念すべき年でもあります。
非暴力と人種的平等を提唱し、ノーベル平和賞を受賞した公民権運動の指導者であるキング牧師についてより詳しく知りたい方は、是非このトピックページをご覧ください。
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(紀伊國屋書店 OCLC事業部)
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