新たな見地を開く重要な発見は、時として過去の膨大な資料の中に埋もれていることがあります。これまで革新的な発展を遂げてきた物理学も例外ではありません。AIP Publishing (アメリカ物理学協会出版局) の提供するAIP Digital Archivesでは、応用物理学分野でもっとも引用数の多い[1]Applied Physics Lettersをはじめとする有名物理学誌の創刊誌を含む過去約70年分の記事が閲覧できます。その中にはノーベル賞受賞者の初期研究論文も多数含まれます。先進的な研究者にとって、AIP Digital Archives は欠かせない資料といえるでしょう。
(画像：AIP Product Guide 2018)
日本人にとって記憶に新しいのは、2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二先生・天野浩先生・赤﨑勇先生の青色発光ダイオードの開発研究でしょう。
発光ダイオード(LED)研究の基礎となるセミコンダクターの物理学は、1940年から急速に発展しました。1962年にNick Holonyakによって赤色LEDが発明され、そこから約30年を経て青色LEDの発明へといたります。AIP Digital Archives ではNick Holonyakの論文から中村修二先生の発表論文にいたるまで、そのLED研究の発展の歴史を詳細に見て取ることができます。
AIPは2014年ノーベル賞発表後に中村修二先生らの研究をたたえて過去の関連論文を一時無料開放しましたが、現在はAIP Digital Archivesでしか閲覧することができません。
AIP Digital Archives 収録論文の一例がこちら：
・1962年Applied Physics Letters 収録
“COHERENT (VISIBLE) LIGHT EMISSION FROM Ga(As1−xPx) JUNCTIONS”
Nick Holonyak Jr. and S. F. Bevacqua
・1991年Applied Physics Letters 収録
“Novel metalorganic chemical vapor deposition system for GaN growth”
Shuji Nakamura, Yasuhiro Harada and Masayuki Seno
・1993年Applied Physics Letters 収録
“High‐power InGaN/GaN double‐heterostructure violet light emitting diodes”
Shuji Nakamura, Masayuki Senoh and Takashi Mukai
・1996年Applied Physics Letters収録
“75 Å GaN channel modulation doped field effect transistors”
Jinwook Burm, William J. Schaff, Lester F. Eastman, Hiroshi Amano and Isamu Akasaki
これらの論文はAIP Digital Archives の中に収録されている30万にも及ぶ論文のうちの一部に過ぎません。物理学のほかにも、化学、材料科学、工学、生物学に関わる研究者には欠かせない論文を収録しています。
(画像：AIP Product Guide 2018)
AIP Digital Archives 収録タイトル
AIPの誇る12タイトルの70年にわたる約30万記事をワンストップで検索・閲覧できるAIP Digital Archives。現在AIP各誌をご購読いただいているお客様でも、1998年以前の論文にアクセスするにはextended backfile付の購読形態を選択頂くか、AIP Digital Archivesを購入頂く必要がございます。
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（紀伊國屋書店 ニューヨーク事務所 中川）
[1]Data from the 2016 Journal Citation Reports® Science Edition (Clarivate Analytics, 2017).
https://www.aip.org/science-news/nobel/physics2014
[2] 買い切り価格。メンテナンスフィー等詳細についてはお問い合わせ下さい。
