人文社会系研究

Annual Review of Political Science:オープンアクセスへ移行

2020.05.26

米国の非営利学術出版社Annual Reviews(日本販売総代理店:株式会社紀伊國屋書店)のオープンアクセス推進のための年間購読モデル「Subscribe to Open」プログラムより、Annual Review of Cancer BiologyAnnual Review of Public Healthに加えて、Annual Review of Political Scienceも年間購読からオープンアクセスへの移行が決定、公開開始しました。

Annual Reviewsによるプレスリリースはこちら

Annual ReviewsはCOVID-19パンデミックによる在宅研究への支援として全コンテンツの開放を6月15日まで延長していますが、開放終了後もSubscribe to Open プログラムとして公開した3誌(Cancer Biology 、 Public HealthおよびPolitical Science)は引き続き公開となります。残り2誌(Environment and ResourcesNuclear and Particle Science )については刊行時にそれぞれ発表となる予定です。

Annual Review of Political Scienceについて

政治学分野の研究動向を俯瞰して把握できるレビュー・ジャーナルであり、政治研究の各領域のトップエキスパートが執筆する高品質なレビュー論文を掲載する年間誌です(1998年創刊、eISSN: 1545-1577、2018年のジャーナル・インパクト・ファクターは3.915、政治学分野で3位)。

これまでの2誌同様、発行年によりコンテンツの利用規定が異なります:

・1998~2019:free to read (公開していますが、再利用・二次配布は不可です)
・2020:CC-BYライセンスによるオープンアクセス(発行日:2020.05.11)

本誌共同編集者であるスタンフォード大Margaret Levi教授、およびハーバード大Nancy L. Rosenblum教授は「私たちの政治的生活(political life)がかつてないほど重要になっている時代に、本誌のすべてのページを公開できることは大変喜ばしいことです」と語り、本誌をオープンアクセスとすることは、政策立案者、ジャーナリスト、学者、学生、また政治に関心を持つ公衆のみなさまに貢献できるものと考えています。

Annual Review of Political Science 巻号リスト:
https://www.annualreviews.org/loi/polisci

なお、Margaret Levi教授はAnnual Reviewsによる専門家の声を聴くプロジェクト「Shot of Science」が企画する日本時間5月16日深夜2時開催の”Pandemic Politics”のウェビナーに登壇。その模様は下記で公開中です:
https://www.annualreviews.org/shot-of-science/event/covid-politics-casbs

キーワード:政治哲学・政治思想・政治理論 / 国際関係 / 政治経済 / 計量政治 / アメリカおよび比較政治 / 公共政策論・方法論 など

Annual Review of Political Science オープンアクセス化

Annual Review of Political Science, 2020年最新号はOAとして刊行 – https://www.annualreviews.org/toc/polisci/current

Annual Reviews Subscribe to Openとは

「Subscribe to Open」は年間購読を必要とする電子ジャーナルをオープンアクセス出版に移行するために、既存の図書館コミュニティからの賛同と年間購読収入に委ねるプログラムです。2020年はパイロットとして5誌から開始し、今日現在3誌のオープンアクセス化を実現しました。

Annual Reviewsでは編集委員会から執筆者を招待していることからオープンアクセスにするためのAPC(Article Processing Charge: 論文出版料)がありません。このため、オープンアクセス出版に移行するためには年間購読収入をベースとする必要がありました。

Annual Reviewsはこの年間購読収入が維持される限り当年巻号をCC-BYライセンスでオープンアクセスとします。また、バックファイルについても公開します。もし年間購読予約量がAnnual Reviewsが想定している従来通りの収入レベル(”business as usual”)を満たさなかった場合は、引き続き電子ジャーナル閲覧には年間購読契約を必要としますので、成立可否に関わらず確実に電子ジャーナルへのアクセスを継続するためには年間購読の継続を呼びかけています。

このAnnual Reviewsの取り組みについては、英国JISC、UCバークレー校、MITといった主要機関から支持コメントが出ています。詳細はこちらをご参照ください:

Annual Reviews Subscribe to Open
https://www.annualreviews.org/page/subscriptions/subscribe-to-open

本件についてのお問い合わせについては最寄りの紀伊國屋書店営業所もしくはこちらの問い合わせフォームからお願いいたします。

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Annual Review of Public Health:オープンアクセスへ移行

(紀伊國屋書店 雑誌営業部 江崎)