紀伊國屋書店 出版部 新刊刊行のお知らせ
愛するということ
- エーリッヒ・フロム 著 鈴木 晶 訳
- 四六判上製 212頁 本体価格1,300円 2020年8月28日発売
世界的ベストセラーの改訳・新装版!
1956年にエーリッヒ・フロムが著した「愛」についての一冊の本は、1959年に弊社より邦訳を刊行してから、あいだに新訳をはさみ、日本でも長く読み継がれています。このたびフロムの生誕120年を記念し、新しい読者に届くよう、さらに読みやすくわかりやすい訳文にブラッシュアップして、装丁もあらためました。
また、フロム著『生きるということ 新装版』(佐野哲郎 訳、四六判上製・292頁・本体価格1,900円)も同時刊行いたします。
◆各界の方々からのメッセージ
池谷裕二(脳研究者・東京大学薬学部教授)
愛について哲学し、愛の技術と理論を学び、そして、愛する練習を繰り返す。そんな本はほかにはありません。ときに手厳しい言葉も綴られますが、著者が私たち読者のことを愛してくれている証拠です。
姜尚中(政治学者)
愛に飢えながら、愛を語りえないわたしたちの不幸。それは、愛が歪んだナルシシズムと利己心の別名になっているからだ。愛するということは、自己への信頼と他人の可能性への信頼にもとづく最も人間らしい技術にほかならないことを知ったとき、愛は輝きを増し、そしてわたしの希望となった。本書によってわたしは救われたのだ。
菊地成孔(音楽家・文筆家)
「愛ってこんなに面倒くさいものなの?」と思うでしょうけれども、こんなに面倒くさいんです。あらゆる愛の実践が、歌の歌詞だけになってしまった現代に残された、今となっては喰えないぐらいにキツイ本です。「ずっとそばにいるよ」とか「声聞けないと死にそうだよ」とかいった言葉に本気でグッと来るような人は、読まない方が良いかもしれません。
岸見 一郎(哲学者)
高校生の時に初めて知ったフロムの著作の中で、もっとも大きな影響を受けたのが『愛するということ』である。「愛は技術なのか」。にわかには答えを出せないこの問いをフロムと共に粘り強く考え抜いてほしい。
小谷野敦(比較文学者・作家)
間違えてはいけない。これは「愛されるということ」ではない。この本をいくらよく読んで何かを実行しても、好きな相手から好かれるようにはならない。そういう勘違いさえしなければ、読んでもよい。
武田砂鉄(ライター)
愛というのはね……なんてアナタに語り始める人がいたとしたら(しかも偉そうに!)、この本のことを思い出しましょう。そう簡単に語れるものじゃないってことを、思い出すことができます。
谷川俊太郎
『愛するということ』を、若いころは観念的にしか読んでいなかった。再読してフロムの言葉が大変具体的に胸に響いてくるのに驚いた。読む者の人生経験が深まるにつれて、この本は真価を発揮すると思う。
出口治明(APU(立命館アジア太平洋大学)学長)
愛は幸福に生きるための技術である。学生時代に初めて本書を手にした時の感動が蘇る。愛とは信念の行為であり愛の技術を習練するには知力と努力が必要だ。ステイホームの今こそ、孤独を癒す愛の技術を学んで欲しい。
平野啓一郎(小説家)
確かに、古びてしまった点もある。しかし、それを選り分ける批評的な手作業は、却って深く、読者に、現代の愛を考えさせる。「愛の技術」を説く本ではあるが、文明論でもあり、私たちの困難を理解しつつ、鼓舞してくれる。
弘中綾香(テレビ朝日アナウンサー)
寂しい独り者が読むものだと思わないでほしい。家族がいる人や、パートナーと上手くいっている人であっても、本当に自分はその人のことを愛せているか、この本を読んだ後に自問自答してほしい。愛するということを、生まれながらに出来る人なんていないのだから。
ブレイディみかこ(ライター、コラムニスト)
本書の英題は『The Art of Loving』。ARTは芸術のほか、技術、能力などを意味する。この本は「落ちる」感情ではなく、「踏み込む」意志から始まる愛のARTを語っている。その追求こそ、これからの人間と社会の進むべき道だろう。
文学YouTuberベル
「愛なんて、学校で習っていないからわからない!」と冗談をかます私に本気でぶつかってきた一冊だった。読んだ多くの人はこう思うだろう。「自分はまだ本当の愛を知らなかった」と。
ミッツ・マングローブ(歌手、タレント)
私のように主体性や自己肯定力の低い者にとって、愛とは、とめどない勘違いと妥協と失望の連続であり、それらを乗り越える気力や相手への情があるかないかを自分に問いただす作業だった。愛というこの世でもっとも面倒くさいアクトを習練し、こなし続けることで、これまで見えなかった自分を知れるかもしれない。
森まゆみ(作家)
初読の学生時代、私はカップルの片われで、「愛されること」ばかり考えていた。結婚、出産、育児、離婚、市民運動、更年期障害、老いの自覚を経て再読し、この本が何百倍も広く深い、生きる意味を照らす鏡であると思えてきた。
(紀伊國屋書店 出版部)
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