自然科学

Wiley Digital Archives – 英国科学振興協会による科学史コレクション-19世紀~20世紀の化学

2021.02.26
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前回、前々回に続き、Wiley Digital Archives – British Association for the Advancement of Scienceの収録コンテンツをご紹介しながら、現代科学の形成に至る道のりを辿ります。

19世紀~20世紀の化学

活用分野

英国史、化学、一般科学研究、一般史の研究、科学史、科学への出資、社会学

歴史的背景

自然科学の中では一番歴史を持つ分野の1つです。18世紀後半にその基礎が築かれ、ありふれた化学変化、つまり火または燃焼についての説明は、その中でも最も顕著なものでした。

19世紀の化学は、原子論の原子と分子の相違から、新たな元素と化合物の発見まで、現代化学を徐々に形作ってきた途切れることのない発見の連続である、と描写されることがしばしばあります。

20世紀の化学は、劇的な進展、進歩を特徴とし、革命的な理論と実験による重大発見が活性剤となっていました。しかし、この急速な発展にもかかわらず、この科学的学問分野の歴史が、現代世界の科学やテクノロジー文化に及ぼす化学の影響を理解する上で必要であると認められたのは、ようやく近年になってからのことです。

HENRY FLINT

Flint, Henry. “Manuscript & 3 Lectures on the Chemical Elements.” Henry Flint Papers, No Date. Wiley Digital Archives.

ウィリアム・ラムゼー(Sir William Ramsay)

1904年にノーベル化学賞を受賞しました。

ラムゼーが有名な理由

1852年にグラスゴーで生まれたラムゼーは、1872年チュービンゲンのフィティッヒ研究所にて哲学博士の学位を取得しました。1871年、スコットランドに帰郷し、グラスゴーのアンダーソン・カレッジにて化学科の助手となり、その後、ブリストル大学ユニバーシティ・カレッジの教授となりました。1887年、ラムゼーはロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの無機化学の学部長に任命され、1913年に退職するまで同職を務めました。

ラムゼーの初期の研究は無機化学分野でしたが、1980年代には、ほとんどが化学量論と熱力学の物理化学となる活動をメインとしていました。この化学の支流でラムゼーは多大な貢献をしています。

しかし、ラムゼーの一番有名な発見といえば、無機化学の研究にまつわるものです。早くも1885年~1890年に、窒素酸化物について注目に値する論文を数本発表し、これらの後に、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンの発見をしました。

1894年8月に開催されたBAASの年次総会で、ウィリアム・ラムゼーとレイリー卿は共同でアルゴンの発見を発表しました。ラムゼーは鉱物界でアルゴンの発生源を探す一方、1895年にはヘリウムを発見しました。メンデリーブの周期系に基づく理論考察に従い、新たな元素グループで失われたつながりを体系的に探求した結果、1898年にネオン、クリプトン、キセノンの発見に至りました。

1904年、ウィリアム・ラムゼーは「空気中の希ガス元素の発見とその位置決定」においてノーベル化学賞を受賞しました。

OLIVER LODGE

Lodge, Oliver. Theories of Electrolysis. 1886–1895. Wiley Digital Archives.

英国科学振興協会アーカイブに含まれる関連コンテンツ&特別コレクション

ラムゼー・コレクションには化学研究に関する論文、委員会への報告書、会議議事録、化学的記述など、研究書、論文、講義、書簡が含まれています。

Papers of committees

Papers of Committees, 1896-1912. 1896–1912

annual meeting

Printed Material for the 1910 Annual Meeting Held in Sheffield. 1910–1911

minute-book

Minute-Book, 1905-1923. 1905–1923

(資料提供Wiley)

Wiley Digital Archivesシリーズ

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