高等教育をひらく

CHORUSニュースレター日本版 : Vol.2

2022.06.23
CHORUSとは何か

オープンサイエンスを支援する米国非営利団体CHOR Inc.が運営する官民イニシアティブ「CHORUS(コーラス)」の最近の取り組みと、CHOR Inc.が提供するCHORUS Institution Dashboard Serviceの製品アップデート情報についてご案内いたします。(研究機関向けダッシュボード日本販売総代理店:株式会社紀伊國屋書店)

CHORUSの取り組みについては、日本農学図書館協議会誌 206号(2022年6月発行)の「加速する学術雑誌のオープンアクセス化と紀伊國屋書店の取り組み」でもご紹介しております。併せてご参照ください。(2022.07.01追記)

CHORUSニュースレター日本版:Vol.2 目次

  1. 【イベント報告】CHORUS/JST JOSS2022フォーラム:研究の健全性・公正性
  2. 【製品アップデート】CHORUSダッシュボードより研究データセットレポートが出力可能に
  3. 【プレスリリース】CHORUS と ChemRxiv がプレプリントダッシュボードサービスの試験運用を開始
  4. 【プレスリリース】米国航空宇宙局(NASA)がCHORUSメンバーに正式に参加を表明
  5. 資金提供機関向けCHORUSダッシュボードについて
  6. CHORUSの2021年度日本国内の研究機関のアンケート調査結果について

【イベント報告】CHORUS/JST JOSS2022フォーラム:研究の健全性・公正性

2022年6月8日、JOSS2022:ジャパン・オープンサイエンス・サミットの1セッションとして「CHORUS/JST JOSS2022フォーラム:研究の健全性・公正性」を開催しました。昨年のJOSSフォーラムではFAIRデータをテーマに研究機関、資金提供機関、学会出版の立場から議論しましたが、オープンサイエンス時代を反映した研究の健全性・公正性のあり方について、研究倫理教育、プレプリント、著者最終稿、出版社版といったバージョンによる違い、取り下げ論文の扱い、データ活用における技術的な視点も加わり、幅広く議論が行われました。多彩なパネリストの講演資料はCHORUS ウェブサイトおよび過去記事よりご覧いただけます(資料には日本語訳が付与されています)。

CHORUSは、研究の健全性・公正性をテーマとしたフォーラムを先んじて2022年2月に米国で開催しており、その成果がこちらでまとめられています。また、パネリストの講演は動画で公開されていますので、是非ご覧ください(動画1)(注:JOSS2022の動画はこちらから6/8セッション動画をお選びください):

(動画1:CHORUS Forum: What Article Version Best Supports Research Integrity?(研究の健全性・公正性を最も確保できる論文のバージョンとは)概要欄にパネリスト別タイムスタンプあり/  2022年2月22日開催)

【製品アップデート】CHORUSダッシュボードより研究データセットレポートが出力可能に

研究成果物の根拠となるデータセットは、研究エコシステムの重要な構成要素です。データセットを論文にリンクさせることで、データセットの可視性を高め、さらなる調査や利用を促進することができます。CHORUSダッシュボードのご採用機関はこのデータセットレポートについて、ダッシュボードから直接ダウンロードできるようになりました(図1)。

(図1:CHORUS Institution Dashboard Service: Dataset Report / 右上Reportsタブより出力)

CHORUSダッシュボードは、一度設置するとその後は自動的にデータ収集が行われます。研究機関、出版社、資金提供機関それぞれのメンバー向けにデータを提供しており、このうち資金提供機関向けのダッシュボードは、アクセス拡大の理念のもと公開されています。

データセットレポートとはDataCiteのデータセットに関連するメタデータを表示するもので、以下のような特徴があります。

  • データセットが保存されているリポジトリ名
  • データセットがそのリポジトリに登録された日付
  • そのデータセットに関連する分野
  • そのデータセットに関連する他の研究成果
  • データセットに割り当てられた資金提供者の名前と賞(支援プログラム等)の詳細
  • データセットの再利用ライセンス情報

データセットのメタデータが改善され、レポートがどのように利用されているか、またデータセットと関連する研究との関連性が発見されるにつれて、このレポートは改良され進化していきます。

  • CHORUSによるプレスリリースはこちら

【プレスリリース】CHORUS と ChemRxiv がプレプリントダッシュボードサービスの試験運用を開始

ChemRxiv_CHORUS

CHORUSとChemRxivは、プレプリントダッシュボードサービスの試験運用を目的とした1年間のMOU(覚書)に調印しました。

試験運用は2022年末までを予定しており、CHORUS は、永続的識別子をハーベストしてChemRxiv のダッシュボードを作成し、プレプリントを資金提供機関やデータセットに結びつけ、さらに一般公開に関する情報や他の重要なメタデータを後から追加する予定です。プレプリントダッシュボードサービスにより、プレプリントと研究成果物、さらにその資金源の発見性を高めることを支援します。

  • CHORUSによるプレスリリースはこちら

【プレスリリース】米国航空宇宙局(NASA)がCHORUSへの参加を正式に表明

米国航空宇宙局(NASA)は、NASAが資金提供した研究成果への一般公開を拡大するため、CHORUSと参加契約を締結しました。CHORUS により、NASA が資金提供した研究の根拠となるデータセットや著者プロフィールへのアクセスも容易にします。

CHORUSのデータは相互運用が可能で、確立されたインフラ上に構築され、資金提供された研究に関するコンテンツの持続可能なオープンアクセス、共有、発見性、報告、および保存を促進します。CHORUS は現在、NASA が資金提供した研究について報告する 33,000 以上の論文を捕捉しています。CHORUS から得られる NASAが資金提供した研究成果論文のメタデータは、NASA STI Repository 内の新しい PubSpace プラットフォームに統合される予定です。

  • CHORUSによるプレスリリースはこちら
  • NASAによる研究者向け関連情報はこちら

資金提供機関向けCHORUSダッシュボードについて

CHORUSのダッシュボードサービスにより、資金提供機関、研究機関・研究者、出版社、および私たち一般市民は、オープンアクセスの遵守状況を把握することができます。2022年3月に日本語と英語に対応しているプレプリントサーバーを立ち上げ同4月にオープンサイエンス方針を更新した国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)を含む資金提供機関別ダッシュボードのリンクは、実際にCHORUSが集計したデータと実際の記事へのパスの両方を提供しています。機関名をクリックするとダッシュボードをご利用いただけます。

  • CHORUSの資金提供機関向けダッシュボード一覧はこちら

CHORUSの2021年度日本国内の研究機関のアンケート調査結果について

CHORUS は 2022 年 2 月上旬に、同社のサービスと日本国内の研究機関のニーズとの関連性をさらに深く理解するためオンライン調査を実施いたしました。この調査は 2022 年 2月 5 日から 2 月 21 日までの間、76 機関を対象に行われました。CHORUSの代理店として、ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

CHORUSではこの調査結果をレポートにまとめて、2022年4月12日にメールで共有させていただきました。今回実施したアンケート調査の結果またはCHORUSのサービスについてご質問がございましたらお気軽に弊社担当までお問い合わせください。

 

今後もCHORUSの取り組みをご紹介していきますので、「CHORUSニュースレター日本版」にご注目ください。

本件についてのお問い合わせは最寄りの紀伊國屋書店営業所もしくはこちらのお問い合わせフォームからお願いいたします。

(紀伊國屋書店 雑誌部 江崎)