センゲージ・ラーニング社Gale提供、19世紀から20世紀半ばまでを対象に、中国と西欧の関わりを記録した文書群を提供するデータベースシリーズ、China and the Modern Worldより、新たに2つのデータベースが登場します。
英国公文書館の英植民地省ファイルCO 129「香港一般文書(War and Colonial Department and Colonial Office: Hong Kong, Original Correspondence)」を収録するChina and the Modern World: Hong Kong, Britain and China 1841-1951の続編です。
※China and the Modern World: Hong Kong, Britain and China 1841-1951のご紹介記事はこちら
- リリース時期:2023年6月(リリース済)
- 収録文書の種別:手稿、タイプ打ち原稿(いずれもフルテキスト検索に対応)
- 収録資料の期間:1965年-1993年
- 収録資料のページ数:約40万ページ
- 収録資料の言語:英語
- 原資料所蔵機関:英国公文書館
- 20世紀後半の植民地香港、冷戦後期における香港と東アジア情勢、21世紀の香港問題の起源を記録
外務・英連邦省ファイルFCO 40と、FCO 21の香港関係の機密解除文書群
本データベースは、外務・英連邦省ファイルFCO 40「香港局:登録ファイル、香港、英領ホンジュラス、インド洋英領地域とセーシェル諸島(Commonwealth Office and Foreign and Commonwealth Office: Hong Kong Departments: Registered Files, Hong Kong, British Honduras, British Indian Ocean Territories and the Seychelles (HW and HK Series))」とFCO 21「極東局:登録ファイル(Foreign Office and Foreign and Commonwealth Office: Far Eastern Department: Registered Files (F and FE Series))」から、1965年から1993年までの香港関係の機密解除文書約40万ページを提供します。
収録文書のほとんどは(ファイル数で98%以上)FCO 40の文書です。また前編同様、手稿文書をフルテキスト検索する手書文字認識(Handwritten Text Recognition, HTR)を実装しています。
収録文書は香港並びに香港と周辺地域(中国本土や台湾、日本等の東アジア地域)や英国、米国との関係を扱うものです。カバーする時代は約150年に亘る香港の英領植民地時代の末期に相当しますが、1972年には香港の法的地位が直轄植民地(Crown Colony)から属領(Dependent Territory)に代わり、1980年代初頭には返還後の香港に関する英中間の協議が始まるなど、既にこの時代に政治家や政府高官の間では返還後の香港が視野に収められていました。その意味で収録文書は20世紀後半の植民地香港を記録するとともに、21世紀の香港問題の起源を明らかにする一次資料でもあります。加えて、ベトナム戦争、文化大革命、中国の改革開放、台湾海峡での緊張等、20世紀後半の冷戦後期における香港と東アジア情勢の資料としても貴重なものです。
収録年代と関連データベースについて
本データベースの収録対象年1965-1993年と前編が提供する1841-1951年の間の時期、すなわち1950年代から1960年代前半にかけての香港は、植民地省ファイルCO 1030「極東局と後継機関:登録ファイル(Colonial Office and Commonwealth Office: Far Eastern Department and successors: Registered Files (FED Series))」とCO 1023「香港と太平洋局文書(Colonial Office: Hong Kong and Pacific Department: Original Correspondence)」で扱われています。
CO 1023とCO 1030は英植民地省東アジア関係文書を提供するアーカイブシリーズState Papers Online Colonial: Asia Part1: Far East, Hong Kong, and Wei-Hai-Weiに収録されています。
China and the Modern World:Records of Shanghai and the International Settlement, 1836-1955
中国と近代世界:上海と共同租界 1836-1955年
上海と共同租界に関する文書を収録します。
英国国立公文書館が所蔵する外務省、陸軍省、大蔵省、森林・土地収入局(Office of Woods, Forests, Land Revenues, Works and Buildings and successors)、公文書館地図・建築プラン集(Public Record Office: Maps and plans)、労働省の文書から、上海と共同租界に関する約27万ページの文書群を収録します。大半は外務省の文書で占められています。
- リリース時期:2023年12月(予定)
- 収録文書の種別:手稿、タイプ打ち原稿(いずれもフルテキスト検索に対応)
- 収録資料の期間:1836年-1955年
- 収録資料のページ数:約27万ページ
- 収録資料の言語:英語
- 原資料所蔵機関:英国公文書館
小さな港町から国際都市に変貌する上海と共同租界
揚子江河口のデルタに位置する上海は、アヘン戦争後の南京条約により開港させられると、外国人居留地(租界)が置かれ、1863年には英米による共同租界が形成されます。
アヘン戦争の頃までは小さな港町に過ぎなかった上海は共同租界の誕生に伴い、欧米人による製造業や貿易活動を通して20世紀初頭には中国有数の商業都市に発展する一方で、ロシア革命やポグロムを逃れた白系ロシア人やユダヤ人をはじめとする亡命者や難民が流入する国際都市に変貌しました。ロシア革命後のソ連の影響下でコミュニストの活動も活発になり、1921年にはフランス租界で中国共産党が創設、労働組合とストライキを精力的に組織化します。
外国資本の工場では劣悪な労働条件の改善を求める中国人労働者によるストライキ、労働争議、デモが多発し、1925年には日系紡績工場での労働組合指導者殺害に抗議する大規模デモに端を発する民族的排外運動が発生しました(五・三〇事件)。
その後も、蒋介石による共産党指導者の逮捕と粛清と国共合作の破綻(四・十二クーデター)、中国の抗日運動を抑えるために日本軍が仕組んだ謀略に端を発した日中両軍の衝突(第一次上海事変)、日中戦争の勃発後の日本軍の中国人居留地域への攻撃(第二次上海事変)、日米開戦後の日本軍の共同租界占領など、上海は歴史の大事件の舞台となりました。
センゲージ ラーニング社GaleのChina and the Modern Worldを通じて19世紀から20世紀半ばにかけての中国と西欧の複雑な関わりを辿ることができます。
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