OCLC News 第69号
商品情報をはじめ、OCLCに関する様々な情報をご案内致します。
目次
WorldCat.orgでAIが図書を推薦*
*アメリカ・カナダで英語版インターフェースを使用しているWorldCat.orgユーザーが自身のアカウントでログインした場合のみ
OCLCサービスをご契約でない方でも、世界中の図書館の所蔵資料を検索できるWorldCat.orgでは人工知能(AI)がユーザーにお勧めの資料を見繕ってくれる機能をベータテストしています。ベータテスト中は、アメリカ・カナダで英語版インターフェースを使用しているWorldCat.orgのユーザーが自身のアカウントでログインした場合のみ、AIにお勧めの紙・電子書籍をお勧めしてもらい、その資料を近くの図書館で探すことができます。AIが生成する推薦図書機能のベータ版は、WorldCat.orgとWorldCat.orgのモバイルアプリ拡張機能であるWorldCat Findで利用できるようになっています。WorldCat Findアプリのユーザーは、主題に基づいて本を探すこともできます。WorldCat.orgとWorldCat Findアプリのどちらの場合も、検索履歴を含む個人情報は推薦図書の決定に使用されません。
WorldCat.orgの図書推薦機能は、OCLCがよりサービスを充実させるためのAIの最新の利用法です。OCLCは既にAIによる機械学習をWorldCatレコードの重複検出作業に採用しており、WorldCatレコードの品質向上の為に、更にAIと機械学習の使用を拡大していく計画です。
OCLCでは、WorldCat.orgおよびWorldCat Findアプリを通じて、新しい図書推薦機能へのフィードバックをお待ちしております。
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―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―
単なるメンテじゃない: 所蔵更新4つの根拠
デビッド・ホワイトヘアー
私たちは日常生活でたくさんのメンテナンスを行っています。タイヤを交換したり、エアコンを掃除したり、屋根や雨どいを点検したり–挙げればきりがありません。通常、私たちは困ったことが起こらないようにするためにこういった作業をする訳ですが、立ち止まってそのメリットを考えたことはあったでしょうか?
所蔵のメンテナンス(貴館のWorldCatの所蔵情報が正確で最新であることを確認すること)は、メンテナンスがいかに重要であるかをよく表しています。しかし、まだ気づいていない多くのことがあります。実際、貴館にとっても、利用者にとっても、そしてより広い図書館コミュニティにとっても、大きなメリットがあるのです。
基本となる期待値
WorldCatの所蔵情報を常に最新の状態に保つことは、多くのシステムを整然といつも通りに機能させるために重要であることは皆さんご存知の通りです。所蔵資料が最新でないと、次のような問題が発生します。
- 利用者が最新の新着資料(これらは利用者にとって最も重要であることが多いです)を見つけられない
- 利用者がもう所蔵していない資料のレコードを発見してしまう
- 図書館は、蔵書構築の前提を誤ってしまう
しかし、所蔵情報を更新する理由をもっと知りたいとお考えなら、続きをお読みください。
1. リソース共有時の「間違った所蔵情報」を排除
昔からある話ですが:かつて貴館の目録に存在した資料で、今は所蔵していないものについては、WorldCatの所蔵状況が最新でないために「配架状況」をチェックする設定にしていない限り、相互貸借時にその資料が表示され続けてしまいます。エンドユーザーとILLスタッフの双方がイライラし、無駄な時間と不正確な情報に腹を立て、自館だけでなく借り手の図書館まで評判を落とすことになります。
私たちが初めて合理的所蔵更新プロセスを立ち上げた際、図書館が更新を行うとこの状況がどれほど改善されたかを目の当たりにしました。多くの場合、図書館は90%以上の「間違った所蔵情報」を排除することができ、中には95%を超えるところもありました。
つまり、迅速に更新を行うということは、ILLスタッフの時間を取り返してあげるということなのです。
2. Googleの検索結果に参加
2022年、Googleとのパートナーシップを拡大し、Google Borrow Actionsを追加しました。このプログラムは、私たちが提供するSchema.org形式のメタデータに基いて、Google検索結果に図書館目録への直接リンクを表示するものです。つまり、利用者が検索した結果にプリント版の図書のデータが含まれていた場合、検索ウィンドウの右側にある情報カード部分に、所蔵図書館の目録への直接リンクが表示されるため、利用者は図書館でその資料をより早く見つけることができるようになります。
図書館のデータをこのプログラムに組み込むにはどのようにすればよいのでしょうか?まず、WorldCatに目録を作成している事、FirstSearch/WorldCat Discoveryまたはその他のウェブ可視化サービスに加入している事が必要です。しかし、最も重要なことは、Googleナレッジパネルからローカル目録へのリンクの95%以上が、資料に直接リンクされていることです。そのため、やはり「間違った所蔵情報」が障壁になってしまうのです。
ローカル目録に関しては、リンクが正しく機能するように、WorldCatで取得した識別子をILSに戻し入れるなど、さらにいくつかのステップが必要です。ローカル目録に一貫性のある正確な識別子を持つことは、少なくとも95%のリンクを機能させるために不可欠です。WorldCatの所蔵情報を更新し、ローカル目録に識別子を追加した多くの早期導入図書館は、この目標を達成することができました。
最後に、WorldCatレジストリの情報が最新であることを確認してください。図書館の住所と名称は、Google Mapに掲載されているものと一致している必要があります。 (もしあなたの図書館にグーグルマップがまだなかったら、リクエストできます) そして、貴館のオンライン目録へのリンクが最新であることを確認してください。上記のステップを踏んだ図書館の多くは、私たちのプログラムで運用を開始し、その後、Googleから所蔵資料へのクリックが多数あることを報告しています。
(注:このプログラムは現在、米国内の図書館でのみ利用可能です)
3. 分析力をパワーアップ
私の同僚であるアンディ・ブリーディングは最近、集合知についてのブログ記事を書いたのですが、その中で彼は、私たちの新しい分析サービスであるChoreo Insightsが、「似通った図書館、参考にしたい学術プログラム、共同研究の機会、機関のデータなどを調査する一連のツール」を提供していることを紹介しています。彼は、次のように図書館スタッフがこれを使用することによって分析が可能になると述べています。
「… 出版地、言語、地理的主題記述子など、場所に基づいたデータ要素により、より大規模なコレクションプロフィールの中で代表的でないものを特定することができます。保存が必要な資料であれ、取得すべき資料であれ、これらのデータ項目は、地域の多様性、公平性、包括性(DEI)イニシアチブを支援する資料を発見するのに役立ちます。」
是非投稿全体を読むことをお勧めします。アンディは分析プロセスについて興味深い洞察をしてくれています。しかし、私が強調したいのは、所蔵データが最新でなければ、このようなことは不可能だということです。確かな分析を勝ち取るために必要なデータは、ご想像の通り、正確な所蔵情報です。そして、もしあなたの図書館が他の図書館と共同で分析を行っているのであれば、所蔵情報を管理することで、より正確にグループの所蔵情報を反映した意思決定を行うことができます。
4. 無料で所蔵を更新
昨年、私たちは無料での所蔵更新ストリームライン化を試験的に実施しました。これは非常に好評で、すぐに大きなメリットが得られたため、広く展開することにしました。このプログラムにより、FirstSearch、WorldCat Discovery、WorldShare ILL、WorldShare Record Manager、Connexionといった多くのOCLCサービスにおいて、貴館のWorldCat所蔵情報は最新のものとなります。また、最新の所蔵情報は、WorldCat.orgやGoogle Books、Wikipedia、Goodreadsのようなウェブサイトとの提携により、これらのサービス閲覧者があなたの所蔵情報内で資料を見つけることができることも意味しています。
このプロセスにより、ローカル目録で管理しているタイトルのWorldCat所蔵情報が更新されます。ファイルに電子リソースが含まれていれば、その所蔵情報が更新されますし、WorldCatのナレッジベースにローカル目録にある電子リソースを登録していただければ、その資料については送付ファイルに含めていなくても所蔵情報が更新されます。
中心となるWorldCat
WorldCatの所蔵情報の更新はそれぞれの場所で行わなければならないものですが、その結果は図書館コミュニティ全体にプラスの影響を与える可能性があることにお気づきでしょうか。それがWorldCatの「スーパーパワー」です。WorldCatは、世界中の図書館員や利用者に影響を与える形で、一人ひとりの仕事をより大きなものにするのです。
もちろん、あなたは自館のスタッフやコミュニティに適用される「メンテナンスのメリット」を求めているでしょう。しかし、そのような必要な変更によって、ウェブ上のすべての図書館の可視性が向上し、エンドユーザー体験が改善され、共同運営を改善することができるようになれば、どうでしょう?それは誰にとっても大きな勝利なのです。
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