2022年9月よりJKBooksの新商品として『WEB版 天皇皇族実録』(ゆまに書房)の提供を開始いたしました。WEB版公開にあたり、「天皇皇族実録」の魅力を三回にわたってご紹介いたします。第一回目の「天皇皇族実録とは?」、第二回目「Web版製作にあたっての苦労したこと」に続く今回の第三回目は、Web版の機能や利便性についてご紹介させていただきます。
第三回 Web検索でできること
JKBooks「Web版 天皇皇族実録」はデータ化された綱文テキストを人名・事項・書名・地名・元号・肩書(皇后など)で検索できます。書籍版では天皇ごとにご覧いただいていた実録を、Web版では歴代の天皇を通して検索することが出来るようになります。検索結果を絞り込むときに使うファセットなどのWeb版の機能や、検索する際に気を付けていただきたいことなどをご紹介します。
人名検索
歴代天皇や著名な皇族はもちろんのこと、後宮の人物や皇玄孫など一般的にはそれほど名前が知られていない人物の生誕から薨御・薨去までが、人名を検索するだけで簡単にたどれます。著名な人物であれば、JapanKnowledgeに収録されている他のコンテンツと一括検索することで、専門辞典での記述を調べたり、他の史料と比較したりすることもできます。
書誌情報のページには、人物ページへのリンクがあり、表示されている人物名とともに、その人物が他の名前で記載されている場所をガイドするようになっています。例えば、天武天皇の書誌事項を見ると、天武天皇の人物ページの下に、舒明天皇皇子の人物ページが載っています。ここをクリックすると、天武天皇実録から舒明天皇実録へ飛び、舒明天皇皇子である大海人皇子が後の天武天皇であることがわかります。
「白」とかいて「あお」と読む?
新嘗祭、蹴鞠、歌合、など、宮廷儀式・年中行事の記録を見ていくと、儀式や行事の実態や変遷がわかります。例えば、白馬の節会という年中行事があります。「あおうま」の節会と読みますが、現在は「白馬」の節会と書きます。「白」と書いて「あお」と読むのは不思議ですね。天皇皇族実録を紐解いていくと、昔は「青馬」の節会と記述されていたにも関わらず、表記が変わっていったことがわかります。こういった変遷から、当時の人々の考え方を辿っていくことができるかもしれません。
色々な検索例
宮廷儀式・年中行事以外にも、地名や災害に関すること、「乱」「虜」「廃帝」など事件に関わる用語、歌合、ライフイベントに関すること、外国の地名などを入れてみて結果を見るのもお勧めです。
例えば、「崩御」「薨去」「葬」「陵」などを入れてみると、天皇や皇族が亡くなった時の記述を調べることができます。天皇や皇族のみに対して使う用語がありますが、どういった用語があるか、また本文中にでてきた用語がどういった意味なのかは、JapanKnowledge内に収録されている多様な国語辞典、歴史辞典で意味を確認しながら読み進めていくと、正確な知識が得られます。。
また、地震についての記録を検索する場合、「地震」と検索しても出てこない場合があります。「地、震フ、」「国地大ニ震フ」といったように、「地震」という熟語ではなく、「地」を主語「震」を述語とした文章で記述されている場合があるためで、「地」と「震」で検索語を分割するなど工夫が必要です。下記の図は検索例ですが、「地震」で検索をすると68件でしたが、「震」で検索をすると123件の結果が得られました。
年月日検索での絞り込み
実録掲載順や年月日(西暦・和暦)で絞り込み、昇順・降順で表示することが可能です。例えば、「1156年7月」又は「保元1年7月」と年月日を指定して検索し、昇順で表示すると、保元の乱に関して、鳥羽天皇・崇徳天皇・後白河天皇・近衛天皇の各実録内の記述を、年月日順に並び替えすることができます。
出典検索
天皇皇族実録には、綱文の記述の根拠となった史料が「出典」として1期だけでも1185件あり、出典を指定して検索することができます。中には、現在では原本を簡単に見られない史料も多くあります。
本棚のコーナー
天皇ごとの実録を電子書籍のようにじっくりご覧頂くことも可能です。
WEB版の発売により、貴重な史料である「天皇皇族実録」が、今まで以上に活用しやすくなります。2022年には第1期として神武天皇実録~安徳天皇実録を発売しましたが、来年に第2期、再来年に第3期のリリースを予定しており(全3期)。これらがそろえば、より多くの検索結果も得られることになります。
また、「新編国歌大観」や「群書類従」、「新訂増補 国史大系」など、JapanKnowledge内のコンテンツと横断検索することによって新たな発見も得られるかもしれません。ゆまに書房では引き続きデータの製作に取り組んでおりますので、是非ご期待ください。
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(紀伊國屋書店 デジタル情報営業部)