人文社会系研究

ジャパンナレッジLib「大漢和辞典」、待望の語彙(熟語)検索機能を実装!

2023.04.04

写真提供:諸橋轍次記念館

大漢和辞典とは

『大漢和辞典』は、古今の辞書・文献を渉猟し、親字5万字、熟語53万語を収録した、“漢字文化の一大宝庫”と謳われる漢和辞典です。詩経・論語など先秦時代の古典から、史記・漢書を始めとする歴代史書、文選、さらに唐・宋の詩文から明・清の小説にいたるまで、あらゆる時代の語彙を網羅し、博捜した文献の範囲は、仏典・医書・本草学・法制・地誌・日本の漢詩文にまで及びます。発刊以来、大学や研究機関での研究はもちろん、寺社での戒名選定や祝詞作成など、さまざまな場で活用されるとともに、日本の文字コードの策定にあたって、文字を同定するための参考図書として大きな影響を与えた、日本を代表する大辞典です。

デジタルの海へ

その膨大な収録内容から「デジタル化は不可能」とも言われてきましたが、大修館書店の創業100周年記念企画としてデジタル化し、2018年11月に初のデジタル版がUSBメモリで発売されました。デジタル版は主に個人利用で広くご愛顧頂いておりますが、USBメモリ1本につきパソコン1台のみインストールできる仕様のため、教育・研究機関や図書館でより広く活用したいという声を受けて、2021年4月にジャパンナレッジLibセレクトコンテンツ(オプショナルコンテンツ)としてもリリースしました。

リリース当時、親字のみでの検索が可能でした(詳しくは、『大漢和辞典』公開!親字5万字の検索がジャパンナレッジLibで可能にをご参照ください)。さらなる利便性を図るため電子データの作成を進め、2023年4月3日(予定)にご要望の多かった語彙(熟語)検索機能を実装します。

語彙索引をデジタル化

新機能の実装により、親字に加えて語彙(熟語)の検索が可能となります。図1はジャパンナレッジLib「大漢和辞典」の本文です。例えば、【米菴(べいあん)】という言葉について調べたい時、今までは「米菴」と直接検索してもヒットしなかったので、まず親字【米】を検索して、親字【米】の説明の中から語彙である「米菴」を探す必要がありました。

図1:ジャパンナレッジLib「大漢和辞典」の本文

親字【米】 の語彙には、米菴・米飲・米運・米塩・米塩博弁(辯)・米価・米鰕・米糠・米餻・米泔・米奇・米気・米麴・米錦・米禾・米果・米課・米国・米穀などがあり、親字【米】から一つずつ見ていくことは時間がかかりました。今後は最初から語彙である「米菴」が検索できるようになります。

図2:左=2021年リリース時の情報(大漢和番号、部首/内画、総画数、字音、字義、ユニコード)、右=新たに語彙(熟語)索引をデジタル化

ただし、検索可能な語彙は巻14「語彙索引」に掲載されている約 37 万 5000 語をデジタル化したものです。大漢和辞典の語彙(約 50 万語彙)すべてのデジタル化ではないので、ご注意ください。

基本検索メニュー

ジャパンナレッジLibには、基本検索メニューと詳細(個別)検索メニューという2つの検索メニューがあります。

基本検索メニューは「日本国語大辞典」や「日本大百科全書」など、ジャパンナレッジLibに収録されているたくさんの辞事典と横断検索することができるメニューで、どのような項目が存在しているか把握できます。「大漢和辞典」は他の日本語辞書と同じく部分一致でヒットし、検索結果の見出し一覧は【語彙】(よみ)で表示されます。

以下は書帷(しょい)で全文検索した例です。日本国語大辞典、大漢和辞典、字通、東洋文庫などの記述がヒットしています。

図3:基本検索の検索結果

なお、親字と語彙で表記が違う場合があります(例:親字は「兔」と表記されているが、語彙は「兎」と表記されている)。これらは元となる大漢和辞典本文ではいわゆる旧字体が採用されているのに対し、巻14「語彙索引」で新字体が採用されているケースで、「語彙索引」の方針にそのまま従っています。

詳細(個別)検索メニュー

詳細(個別)検索メニューでは、「大漢和辞典」に特化した専用の検索ページを2つご用意しています。

2021年4月リリース時にすでに実装されている「大漢和辞典」の親字検索では、検索範囲を「親字(見出し字)」「音」「訓」「音訓」「大漢和番号」「ユニコード番号」に限定して検索することができます。また親字の部首や総画数、部品(漢字の字形の一部)を指定して検索することができます。

図4:詳細検索「大漢和辞典<親字>」の検索画面

2023年4月に追加される「大漢和辞典<語彙>」では、語彙の文字数で絞り込むことができ、固有名詞は人名・地名・書名で絞り込むことが可能になります。「大漢和辞典<語彙>」と「大漢和辞典<親字>」はワンクリックで簡単に切り替えることができますので、まずは「大漢和辞典<語彙>」で語彙(熟語)を検索をしてみてヒットしたらその項目を調べる、ヒットしなかったら今度は「大漢和辞典<親字>」へ切り替えて、親字で検索してみるといった使い方ができるようになります。

図5:詳細検索「大漢和辞典<語彙>」の検索画面

語彙(熟語)検索が実現し、さらに便利になったジャパンナレッジLibセレクトコンテンツ「大漢和辞典」についてご紹介しました。1カ月無料トライアルも承っておりますので、ご希望の場合はジャパンナレッジLibトライアル申込書をお送りください(ジャパンナレッジLibは法人向け商品です)。

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(紀伊國屋書店 デジタル情報営業部)