人文社会系研究

【リリースしました】速報!2022年3月リリース:英国家情報機関の機密解除文書データベース 第2部 – 傍受される世界

2022.03.24
Declassified Documents Online

*本データベースは2022年3月にリリースされました。ご案内ページもあわせてご覧ください。

2022年3月リリース!Twentieth-Century British Intelligence Part II: Monitoring the World

Gale提供、Declassified Documents Online: Twentieth-Century British Intelligenceは、イギリス国家情報機関の機密解除文書を電子化して提供するデータベースシリーズです。2022年3月、本シリーズの第2部「傍受される世界(Monitoring the World)」がリリースしました。第1部に引き続き、20世紀に展開されたイギリスの情報活動を当事者である情報機関が残した一次資料を通して明らかにします。

第1部「諜報の帝国(An Intelligence Empire)」では、イギリス国家情報機関の中枢をなす“The Agencies”(情報三機関)の一角を占める情報局保安部(MI5)と、国防省、内閣府、植民地省、特殊作戦執行部の文書群(517,000ページ)を提供しましたが、第2部「傍受される世界(Monitoring the World)」ではMI5と並ぶ情報三機関の一つ、政府通信本部(Government Communications Headquarters, GCHQ)と内閣府(Cabinet Office)の情報関係機関の文書を提供します。

イギリスの暗号解読の一大拠点、政府暗号学校

陸海軍の暗号解読部門を統合して1919年に設置された政府暗号学校は創設以来、外交、軍事、通商、政治、個人に関わる暗号通信の傍受、解読を行ない、解読した暗号情報(シギント)を政府に提供し、他の情報機関と連携するのを主要な任務としてきました。戦後1946年に政府通信本部に改称しますが、1970年代にジャーナリストの調査報道によりその存在が明らかにされるまで、長く秘密のベールに包まれていました。

収録文書がカバーするのは第一次大戦の始まった1914年から1980年代半ばまでの約70年間ですが、文書の大半は第二次大戦の始まった1939年から1950年までの15年間です。第二次大戦期、政府暗号学校はイギリスの暗号解読の一大拠点となります。特にドイツの暗号解読は有名で、天才数学者アラン・チューリングが参加し、今や伝説と化したエニグマ解読作戦は政府暗号学校を拠点に行われたものです。本データベースにはエニグマ作戦を筆頭に、政府暗号学校が傍受、解読した連合国や枢軸国に関する多くの暗号文書が収録されています。カナダ、イタリア、香港、シンガポール、オーストラリア、パレスチナ、エジプト、スーダン等にも支部を設置した政府暗号学校の暗号解読作業の対象は、世界各国の政府、軍の情報に及びました。第二次大戦中にアメリカによって始められ、戦後イギリス、オーストラリア、カナダ等の西側諸国が参加して行われたソ連の暗号解読プロジェクト(ヴェノナ・プロジェクト)に関する文書が含まれているのも大きな特徴です。

内閣府の情報関係機関

政府通信本部と並び、収録文書のもう一つの柱をなすのが内閣府の情報関係機関の文書です。1936年1月、帝国防衛委員会(Committee of Imperial Defence)の傘下に陸海空三軍間情報委員会(Inter-Service Intelligence Committee)が創設され、同年7月、合同情報小委員会(Joint Intelligence Sub-Committee)に改称、三軍の情報部門の責任者と外務省等関係省庁のスタッフで構成され、様々な部門が収集した情報を一元的に管理し、政府首脳部への報告や勧告を行なう省庁間連携機関として今日に至るまで存続しています。収録ファイルは、国家安全保障と情報に関わる政府省庁の任務、情報の収集・管理と大臣、参謀本部その他の省庁への伝達に関するものです。

情報収集・管理から政府首脳への勧告まで

本データベースにより、政府暗号学校時代以来の政府通信本部で実施された暗号の傍受と解読作業、内閣における国家安全保障関係の情報の収集・管理と政府首脳への勧告の全貌が一次資料を通して初めて明らかになります。

インターフェイスと収録内容

概要

  • 収録文書の期間:1914年-1985年
  • 収録文書のページ数:699,000ページ
  • 原資料所蔵機関:英国国立公文書館

コレクション閲覧ページ(Browse Collection)

コレクション閲覧ページでは、当該コレクションに収録されるすべてのファイルが英国国立公文書館における配列順にリスト化され、ファイル内の文書がハイパーリンクされています。

コレクション閲覧ページ

文書メタデータ

各文書には、

  • Title(文書名)
  • Subcollection(英国国立公文書館のレファレンス番号とファイル名)
  • Creation Date(文書作成日)
  • Declassified Date(機密解除日)
  • Classification Level(機密レベル)
  • Regional Focus(対象地域)
  • Language(言語)
  • Manuscript Number(英国国立公文書館の文書番号)

等のメタデータが付与されています。

詳細検索画面でManuscript Numberを指定して検索することができます。

文書メタデータ1

文書メタデータ2

機密レベルと機密解除日

機密レベルについては、一点一点の文書を確認した上でメタデータを作成しています。機密解除日については、公文書館に記録がない場合は、直接文書で 確認し、メタデータを作成しています。

機密レベルと機密解除日

HW 12シリーズ

HW 12シリーズについては、各巻頭の目次をManuscripts Notesに変換し、閲覧の便を高めています。

HW 12シリーズ

【第2部収録文書】

  • HW 3: 政府暗号学校と前身の機関:個人文書、非公式文書、外務省ファイルほか
  • HW 4: 政府暗号学校:極東合同部、極東信号情報センター:記録
  • HW 7: ルーム40(イギリス海軍暗号解読部門)と後継機関:第一次大戦公式戦史
  • HW 11: 政府暗号学校:第二次大戦公式戦史
  • HW 12: 政府暗号学校:外交部とその前身:外交電信等の通信情報の傍受・解読記録(BJシリーズ)
  • HW 13: 政府暗号学校:シギントに基づく第二次大戦情報摘要
  • HW 14: 政府暗号学校;第二次大戦政策文書
  • HW 15: 政府暗号学校と政府通信本部:ヴェロナ・プロジェクト:記録
  • HW 20: 政府暗号学校:連合国総司令部へ送付された戦術的シギント:摘要
  • HW 41: 政府暗号学校:戦闘地域信号情報部門:信号傍受の報告と部門の歴史
  • HW 43: 政府暗号学校:イギリスのシギントの歴史
  • HW 44: 政府暗号学校:摘要報告、極東における第二次大戦
  • HW 49: 政府暗号学校:特別連携部門:歴史
  • HW 51: 政府暗号学校:中東合同部:記録
  • HW 52: 政府暗号学校:ブリスベーン本部:報告
  • HW 60: 政府暗号学校:連合国遠征軍最高司令部(SHAEF):信号情報:記録
  • HW 61: 政府暗号学校:英連邦と連合国信号情報組織に関する記録
  • CAB 159: 国防省と内閣府:中央情報機構:合同情報小委員会(後に合同情報委員会):議事録(JISシリーズ)、1947-1968年
  • CAB 163: 戦時内閣、国防省、内閣府:中央情報機構:合同情報小委員会(後に合同情報委員会):事務局:ファイル、1939-1986年
  • CAB 179: 国防省と内閣府:中央情報機構:合同情報委員会:週刊レビューとサーベイ(WRCI、JIC(WSI))
  • CAB 182: 内閣府:中央情報機構:合同情報委員会:小委員会、ワーキングペーパーほか:議事録、覚書、文書
  • CAB 185: 内閣府:中央情報機構:合同情報委員会:議事録(JIS(A)、JIC)
  • CAB 186: 内閣府:中央情報機構:合同情報委員会:覚書(JIC(A), JIC
  • CAB 188: 内閣府、中央情報機構、合同情報委員会(B)と海外経済情報委員会:議事録、覚書とその他の文書
  • CAB 190: 内閣府:中央情報機構:合同情報委員会:ワーキンググループとワーキングペーパー、議事録、報告(INTシリーズ)
  • CAB 191: 海外合同情報グループ:断片記録

ご利用について

Declassified Documents Onlineは、教育機関等、法人向けの有料データベース・サービスで、第一部と第二部は買い切り契約(分売)でご提供しています。
※個別にお見積申し上げます。紀伊國屋書店までお申しつけください。

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