OCLC News 76号
商品情報をはじめ、OCLCに関する様々な情報をご案内致します。
今号はAIによる書誌レコードの重複排除、国際ILL、オープンアクセス資料の発見可能性向上などの話題をお届けします。
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目次
AI 導入により、WorldCat の重複排除範囲がさらに拡大、高速化
2025年2月4日
OCLCメタデータ品質管理チームは、WorldCatデータの品質と有用性を向上させるため、手作業と自動化の両面から様々な対策を実施しています。このような幅広く継続的な取り組みにより、WorldCatのデータは、OCLC会員や、多岐にわたるサービスをご提供している何千もの図書館からなる私たちのグローバルネットワークのニーズを確実にサポートしています。この重要な作業を可能にする技術やツールが進化するにつれて、私たちはWorldCatのレコード、すなわち図書館資料の世界的な発見と共有の原動力となるデータを充実させ、修復し、重複を排除するための新しい方法を常に模索しています。
OCLCでは、人工知能 (AI) は人間の専門知識によって指導されるときに最高の力を発揮すると考えています。私たちのAIへの取り組みはまさにパートナーシップであり、図書館専門家の洞察力と価値観によって、AIがどのようにコミュニティに貢献できるかが形成されます。多くのAIシステムの中核をなすのは機械学習であり、明示的なプログラミングなしに予測や決定を行えるようにするため、データに基づいてアルゴリズムのトレーニングが行われます。
2023年8月、私たちはWorldCatにおける重複書誌レコード数の軽減・削減のための継続的な取り組みの一環として、重複書誌レコードを検出するための初の機械学習モデルを導入しました。この実施に先立ち、私たちは目録コミュニティにデータラベリング演習への参加を呼びかけ、WorldCatにおける重複レコードに関して私たちの機械学習モデルが正しく理解しているかを検証するため、約3万4千件の重複レコードについて300人以上のユーザーからフィードバックを得ました。この取り組みにより、WorldCatから英語およびフランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語などの冊子体図書資料の重複が約540万件削除されました。
私たちは現在、WorldCatの全てのフォーマット、言語、文字での重複を排除するために、AIモデルを強化・拡張しました。コミュニティの参加から収集されたラベル付きデータを活用し、AI機械学習アルゴリズムの調整と最適化を行い、大規模な内部テストを完了し、WorldCat Member Merge図書館 (重複書誌マージプロジェクトに参加したPCC図書館)にアルゴリズムの性能を外部から検証してもらうことにしました。
2025年2月11日、WorldCatの英語冊子体図書資料の書誌レコードのみを対象とした50万重複レコードペアのテスト運用を行い、50万件の重複レコードをマージします。英語の冊子体図書資料は、WorldCatにおける重複の最大のカテゴリーであり、これまでの機械学習による重複排除活動において最も厳密にテストされ、改善されてきたフォーマットです。この最初の実行の後、結果を評価するための一時中断を経て、WorldCatの重複排除をさらに繰り返して、冊子体英語図書資料の残りの重複ペアに対処する予定です。このカテゴリーの重複排除が完了した後は、すべての非図書資料書誌レコード、非英語資料書誌レコードについて重複排除を行う予定です。さらなる重複排除を開始する際には、最新情報をお知らせいたします。
WorldShare Management Servicesを使用していない図書館は、WorldShare Collection Managerで「MARCレコードの提供を有効化」を有効にし、貴館所蔵の書誌レコードについてマージ後のOCLC番号を受け取るようにすることをお勧めします。誤ったマージが疑われる場合は、bibchange@oclc.orgにご報告ください。WorldCatメタデータ品質管理スタッフは、マージされた書誌レコードの履歴を閲覧し、必要であれば復元することができます。
重複レコードを一掃することは、WorldCatの質を向上させる最も効果的な方法の一つです。WorldCatは大規模なため、様々な情報源、異なる目録作成慣習、多様な言語によるデータという課題をもたらします。メタデータの専門家による手作業の努力を最新のAI技術で増幅することで、重複レコードの数を減らすことに大きな成功を収めています。この取り組みは、私たちの品質への強い意志を示すものであり、AIは図書館が利用者に対して正確で合理的な体験を提供するのに役立てることができます。
これまでこの取り組みに参加してくださったコミュニティメンバーの皆様、ありがとうございました。皆様のご協力により、WorldCatにおける重複レコードの自動解決機能に磨きがかかり、その規模が拡大されることで、世界中の図書館の専門性と使命が向上し、膨大な時間を節約し、図書館コミュニティ全体の利用体験を改善することができます。
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過去の関連OCLC News記事 70号「機械学習とWorldCat:目録作成と発見のための書誌レコード重複排除」>>
―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―
国境を越えるILL: 国際的な物理的資料の共有に関するSHARES*からの洞察
*OCLC Research Library Partnershipのリソース共有コンソーシアム
2025年1月29日 デニス・マッシー
パンデミック初期の2020年3月、SHARESリソース共有コンソーシアムのメンバーは、非公式な仮想対話集会として週1回の会合を始めました。それから5年近くが経過した今週、私たちは30人の参加者を集め、事前にアジェンダを設定することなく、238回目のSHARES対話集会を開催しました。このようなセッションで培われたコミュニティ意識は、参加者から歓迎され、革新的で楽しいと評されています。これは、図書館で最も外部と接する部署のスタッフが、仲間との絆を深め、協力し合い、教え合い、学び合い、成長できる理想的な環境なのです。
以前、SHARESのボランティアによる国際ILLツールキットの作成や、図書館間の貸出返却と延滞の処理に関する望ましい実践方法のクラウドソース化など、対話集会から得られた重要で具体的な成果をご紹介しました。今回は、長年にわたって明確な解決策を見いだせない課題に対処するために、信頼できるコミュニティが一丸となることの価値を探ってみましょう。
国境を越えて物理的な図書館資料を共有する
図書館の図書やその他の物理的資料を国際的に相互貸借することは、常に困難がつきまとい、私がILLに携わり始めた1983年以来、国境を越えて共有することの障害はほとんど変わっていません。
- 高騰し続ける輸送コスト
- 非効率な貨物追跡
- 税関の複雑化
- 資料に対するリスクの増大
- 好意的な貸し手の特定が困難
- 言語の問題によるコミュニケーションの複雑化
- 効果的で国際的に利用可能な支払い方法の欠如
- 長くて予測不可能な依頼のライフサイクル
- 環境への悪影響
長年にわたり、国際的な共有は一歩一歩前進してきました。例えば、海外提供館の精査された連絡先や貸し出しポリシー情報、十数ヶ国語の依頼テンプレートをまとめた国際ILLツールキットの開発などですが、その一方で、欧州連合 (EU) 加盟国すべてに対する新しい関税規則が不規則に施行されるなど、大きな後退もありました。課題は相変わらず根強く残っています。
コミュニティは、不確かな点を洗い出し、戦略を共有し、望ましいやり方を特定するために集結
SHARESの運営組織であるSHARES執行グループ (SEG) は、2024年を通して国際ILL問題が常に対話集会で取り上げられていることに注目し、以下の互いに関わり合う一連の活動を開始しました。
- 2024年11月に、国境を越えた現物貸借について話し合う2つの特別対話集会を開催し、SHARES会員を招いて、課題、成果、質問を共有する場を設定
- 2023年と2024年のSHARESの国際ILL活動を比較した統計分析を作成
- SHARESの参加者から、現在の国際的な発送慣行、問題点、要望に関する情報を収集、共有
- 望ましい慣行と緩和策を文書化し、SHARESの行動指針のウェブページに近日中に追加される新しい国際ILLセクションの草稿を作成
これらの活動から得られた主な洞察は以下の通りです。
- 2024年、SHARES図書館の60%以上が、2023年と同じ返却可能な資料を海外に貸し出しした (注: 25年前、SHARES図書館のうち返却可能な資料を海外に貸し出していたのはわずか10%であった)
- FedEx、UPS、DHLなどの輸送手段を使用した場合の海外発送費用は高騰しており、1冊の本で70ドルという報告も珍しくないが、これらの輸送手段は通常、税関をきちんと通過させている
- 米国郵政公社と英国のロイヤルメールは安価だが、海外では追跡能力に劣る
- 通関手続きは、特に欧州連合 (EU) 諸国では、最大のトラブル要因である。すべてを正しく行っても、荷物が税関で滞留し、遅延や追加料金が発生したり、場合によっては荷物が未着で送り主に返送されたりすることもある
- 世界中のILL担当者は、国境を越えて研究資料を共有することの価値を認識しており、困難を解決するために非常に忍耐強く、親切に対応する傾向がある
最大のヒント: 抑制
国境を越えて物理的資料を共有することで発生する余計な出費とリスクを考えると、利用者の情報ニーズを満たす唯一の方法でない限りそのような資料が国外の提供館に依頼されないように図書館は抑制策を講じるべきであるという意見に、対話集会参加者は強く同意しました。
依頼館が行うべき事
- 海外に現物貸借を依頼する前に、国内のILL提供先をすべて調べ尽くすこと
- 著作全体が手元にあることが絶対必要なのか、あるいは索引や目次をスキャンすることで、要求を充足するためにどの部分をコピーすべきかを特定することができるのか、利用者に尋ねること
- 著作全体が必要な場合、依頼する前に、利用者が必要な資料が他国から到着するのを待つ意思があるかどうかを確認すること
- 自館の蔵書充実や利用者のため、既刊タイトルの購入を検討すること
その方が、海外貸出のための貸出料や送料を支払うよりも安く済むかもしれない (そのタイトルの新しい国内貸出先となることができます!)
受付館が行うべき事
- ライセンスと著作権が許す限り、電子版複製を提供すること
- 発送できない、あるいは発送したくない作品は目次や索引のスキャニングを申し出ること
不確実性が仲間を大切にさせる
SHARESコミュニティは、国境を越えた現物資料の共有にまつわる厄介な問題をすべて解決したわけではありません。しかし、私たちは多くのヒントやコツ、データを共有し、望ましい慣行についてコンセンサスを得、図書館利用者が必要とする世界中の研究資料を提供することの大きな価値を確認し、ILLがもたらす魔法のような体験を実現するという共通の使命において互いに支え合ったのです。
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過去の関連OCLC News記事 56号「国際ILLツールキット: 相互貸借コミュニティの協力が生んだ名作」>>
―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―
出版社との協力関係を築き、OAディスカバリー・ギャップを解消
2025年2月6日 クレア・ホロウェイ
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Hortus Botanicus Amsterdam, Bridge 233. Agnes Monkelbaan, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons.
私と同僚は、OCLCの 出版社担当チームのメンバーとして、出版界における図書館のニーズを代弁し、またその逆も行う仲介役を務めています。これは、いがみ合うルームメイトの仲を取り持つような感覚になることもあれば、紛失した手袋を再び組み合わせるような感覚になることもあります。私たちは、図書館と出版社の間の共通の側面に焦点を当て、ギャップにこだわるのではなく、つながりを築くことを重視しています。
言うは易く行うは難し
最近のOCLC Researchの報告書「Improving Open Access Discovery for Academic Library Users」で行ったように、私たちの理想主義的な考え方を検証し、一見図書館特有の問題に出版社の視点を持ち込む機会が時折あります。私は調査過程を通じて報告書の著者と相談し、図書館以外の立場から別の視点を提供しました。このプロジェクトは、共通の課題に光を当て、巨大なオープンアクセスディスカバリーに単独で取り組むことはできないことを強調しました。その成果は、図書館以外のオープンアクセス (OA) 関係者にとっても価値のある報告書となりました。
図書館、出版社、システムプロバイダー、アグリゲーターはすべて、OA出版物のライフサイクルで役割を果たしています。これらの多くのOAコンテンツのワークフローと責任は、窓のないサイロの中に存在するのではなく、むしろ互いに統合し、補強し合っています。図書館の役割だけに焦点を当てれば、他の組織が図書館に提供する支援や効率性を失うことになります。報告書の最後の行にあるように、「OA出版物の発見可能性を真に改善するには、関係者全員がライフサイクル内の他の関係者のニーズを考慮する必要がある。」のです。
前述のレポートは主に図書館員を対象としていますが、著者らは、調査から得られた重要な発見を慎重に特定し、出版社やその他の非図書館関係者にとっての重要なポイントを強調しています。これらの重要なポイントは、報告書全体を通して赤色のボックスで視覚的に強調されています。しかし、この特定の読者にさらに分かりやすく伝えるため、メタデータ、アクセス、信頼性のカテゴリーで最も関連性の高いポイントをいくつか抽出し、その重要性を簡単に説明しました。
メタデータ
メタデータの作成、共有、収集、表示方法の改善可能性を特定する際に、 図書館スタッフがOA出版物の発見可能性にとって重要であると特定したメタデータを考慮に入れる。 |
私たちは皆、メタデータがすべてのコンテンツ発見にとって重要であることを知っています (そのはずです)。著者名、タイトル、抄録、キーワード、ジャーナルタイトル、巻、号、出版年、主題など、従来の出版物を発見するために使用されるメタデータは、OA出版物の発見可能性にとっても重要です。しかし、図書館員たちは、ISSN、ISBN、DOI、ISNI、ORCID、RORのような永続識別子 (Persistent Identfier : PID) がさらに必要になると述べており、図書館システムがリソース間のリンクを潜在的に作成できるようにすることで、さらに発見を助け、「利用者の混乱を減らす」ことができるとしています(Improving Open Access Discovery, 13)。さらに、米国の国家PID戦略を推奨する最近の報告書が記述しているように、あらゆるタイプのコンテンツのメタデータに永続識別子を追加することは優れた方法です。PIDは発見性を向上させるだけでなく、相互運用性と自動化をサポートし、管理負担を軽減し、研究評価と研究の完全性への取り組みを改善し、広く採用されれば経費を節約することができます。もしまだお持ちでなければ、PIDを取得し、追加してください。
利用者は、リソースを検索しアクセスする際に、それらを同時的かつ反復的に評価する。メタデータとシステム機能の両方が、このような発見、評価、利用の同時進行プロセスをサポートする必要がある。 |
メタデータの有無は、発見の上での差別化要因です。図書館員は、システムがコンテンツを差別化し、利用者が選択するリソースをより適切に評価できるようにするため、出版社に対し、査読の利用、出版物のバージョン、OAステータスに関するメタデータを含めるよう要請しました。OA出版物には複数のバージョン(最終公開版、査読を通った段階の原稿、査読前原稿など)が存在し、これらのバージョンが様々なリポジトリに集約されている場合がありますが、検索結果でそれらを区別するために利用できるのはメタデータのみです。提供されるメタデータの完全性は、利用者がバージョンを選択する際に影響します。例えば、あるバージョンが、そのコンテンツが査読を受け正式に出版されたOAバージョンであることを明確に示している場合、ユーザーは、コンテキストが最小限の結果よりも、そのバージョンを選択する傾向があるでしょう。
発見されないOAコンテンツは利用されず、利用されないOAコンテンツは図書館に支援を得られません。従って、出版社はOAコンテンツについて可能な限り完全なメタデータを提供すべきであり、また図書館スタッフと提携して、彼らがどのようなメタデータを受け取りたいかを理解し、「著作の発見において質の高いメタデータが果たす役割を著者が理解する」のを助けるべきです。(Improving Open Access Discovery, 35)。
出版社がオープンアクセス図書のメタデータをより効果的に作成する方法については、EDItEURのアプリケーションノート「Open Access Monographs in ONIX (ONIXにおけるオープンアクセスモノグラフ)」(テキストとビデオあり)をご覧ください。
出版社の規模にかかわらず、すべての出版社から論文レベルのメタデータが提供されるようにする。これにより、図書館スタッフが利用者のニーズを満たすためにこれらのOA出版物をコレクションに追加することが容易になる。 |
小規模な図書やジャーナルのOA出版社であっても、そのメタデータが完全なものであり、DOABやDOAJのような信頼できるアグリゲーターと共有されていることを確認すべきです。これらのオープンアクセスプラットフォームなどは、システムプロバイダーがコンテンツを効率的にインデックス化できるように、標準化されたフォーマットで図書館に集約されたメタデータを提供します。これらのアグリゲーターは、リポジトリにメタデータとコンテンツを追加する前に、出版社に申請し、受理されることを要求するかもしれませんが、高品質のメタデータを作成するための一般的なアドバイスをすべての出版社に提供しています。そのアドバイスを探して、それに従いましょう。このようなアグリゲーターは、日々あらゆるレベルのメタデータを見ており、何が有効かを知っていますから。
ナレッジベースのコレクションにOA出版物を追加する際は、コレクションに分かりやすい名前を付け、そのコレクションにどのような種類のOAリソースがあり、そのうちのどれだけがOAであるかを明確にすること。図書館が重複する可能性のあるレコードの中から探しているコンテンツを特定できるよう、この情報を一貫性を持って提供すること。 |
ナレッジベースは、KBART、すなわちKnowledge Base and Related Toolsファイルを使用することで広く管理されています。NISOはKBARTフォーマットについてより詳細な情報を提供していますが、一般的に、KBARTファイルはメタデータレコードをホストされたコンテンツと図書館の目録に接続するための特別な情報源です。この非常に図書館中心のデータフォーマットは、タイトルレベルまたは記事レベルのメタデータに重点を置く出版社にとって、時に不可解なものとなることがありますが、図書館にとってコレクション開発と管理ワークフローを円滑に進める上で極めて重要です。
KBARTを理解するために、物理的図書のコピーを倉庫に送る輸送コンテナを想像してください。コンテナの外側には、中にどんな本が入っているかが記載された出荷明細書が貼られています。この明細書がなければ、倉庫のスタッフはコンテナを開けたときに何を扱っているのか見当がつかず、チェックイン・プロセスが非効率になり、スタッフも不機嫌になります。 KBARTはこの出荷明細書の役割を果たし、出版社のデジタルコレクションの内容を項目化し、図書館がそれを迅速に目録へ追加できるようにします。
OAディスカバリーの報告書が指摘するように、図書館目録にOAコンテンツを追加するという選択は必ずしも単純ではありません。図書館員は、この作業を検討する際に多くの要素を考慮します。ですから、完全で一貫性のあるKBARTファイルを提供し、コレクションにできるだけ明確な名前を付けることで、その仕事を容易にしましょう。コレクションがオープンアクセスコンテンツのみを含む場合は、コレクション名にその旨を明記してください。そうでなければ、そのコレクションは検討の対象として見落とされるかもしれません。不明瞭なラベリングは、図書館員を不幸にする可能性があり、誰も望まないことです。
アクセス
ペイウォールの向こう側にあるコンテンツにシームレスな認証を提供することで、利用者と図書館スタッフの時間と労力を節約する。 |
情報探索行動に関する調査結果はいつも図書館員を興奮させますが、Open Access Discoveryの報告書も期待を裏切りません。詳細は報告書をご覧いただくとして、特に、利用者は学術的な査読付きコンテンツを検索エンジンで最初に検索する可能性が最も高く、図書館目録は第3位であることが明らかになりました。出版社のウェブサイトはさらに下の5位です。つまり、出版社に直行するのは一般的ではないのです。
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Improving Open Access Discovery for Academic Library Users, Figure 4, p. 14. OCLC News 76号用に和訳
利用者が検索結果をたどり、探しているデジタルフルテキストにアクセスしようとした後で、利用者の体験に悪影響を及ぼす障壁にしばしば直面しました。これらの障壁には、支払いが必要であること、図書館を通じて利用できないこと、ログインする必要があることなどがあり、これらは学術出版物の従来の有料アクセスモデルに直接関係する3つの障壁です。
出版社は、障壁にぶつかったときのユーザーの最も一般的な反応が、そのコンテンツのOA版を求めることであったことに注目すべきです。ログインしてペイウォールの内側にあるコンテンツにアクセスすることはわずかな差で2番目でしたが、利用者がその代わりにコンテンツの別のバージョンに切り替えることを選択したことは重要です。もちろん、利用者が図書館員に助けを求めたり、物理的なフォーマットのコンテンツを探したりするよりも、コンテンツを完全に諦める傾向が強かったことも注目に値します。
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Improving Open Access Discovery for Academic Library Users, Figure 10, p. 29. OCLC News 76号用に和訳
出版社は、利用者と図書館員の時間と労力を節約するだけでなく、自社がホストするコンテンツが利用され、価値が見出されることを保証するために、有料コンテンツへのシームレスな認証をサポートすべきです。利用者は、コンテンツを支えるビジネスモデルには関心がありません。ただ、求めているコンテンツにすぐにアクセスしたいだけなのです。コンテンツを発見可能にする努力をした後、出版社はラストワンマイルの接続を可能にし、コンテンツがどのように資金提供されているかに関わらず、コンテンツへの認証をサポートする必要があります。
信頼性
この結論は図書館スタッフ向けに強調されたものですが、出版社にも関係があります。
学術出版物が信頼できるかどうかを評価する方法について、利用者により多くの手引きを提供する。これには、その出版物が査読を受けているかどうかに加えて、ジャーナル、出版社、著者の評判を考慮することが重要である理由も含まれる。 |
信頼性と評価は重要です。出版社の皆さんはご存知でしょう。図書館員は、自分たちのコレクションにどのようなOAコンテンツを取り入れるかについて選択します。ただドアを開けていればいいというわけではありません。もしあなたが、質の高いオープンアクセスコンテンツの出版と発見可能性を支援するのであれば、以下の3つの推奨事項に従って、OAに関する図書館のコレクション開発プロセスもしっかりと支援してください。
透明性を保つこと。評価を受けやすくしましょう。評価者をあなたの意図から遠ざけるようなマーケティング用語は避けましょう。メタデータには、PID、資金提供者情報、査読情報を可能な限りすべて記入しましょう。
役に立つこと。オープンアクセスディスカバリーの報告書では、図書館に対し、OA出版方法について利用者を教育するとともに、「出版ライフサイクル全体を通してライセンスとバージョニングがどのように機能するか、OA出版物がどのように作成され、資金が提供されるかについて、さまざまな出版モデルがどのような意味を持つか、どのOA出版物が信頼に値するかをどのように判断するか」など、OAについてより包括的な指導を行うよう求めています(Improving Open Access Discovery, 31)。OAの取り組みについてより広く伝えることで、図書館を支援しましょう。OA に関するやり取りは、変革的な契約の交渉にとどまらず、出版者の OAに対する取り組みを利用者に知ってもらうための情報を含むべきです。そうすることで、OAに関する図書館全体の会話を促進し、出版者の信頼性を高めることができます。
信頼されること。信頼を確立する必要性は、この報告書の中で繰り返し述べられています。信頼は獲得されるものであり、図書館は目に見える行動を分析することで、この無形の感情に基づいて行動を起こします。透明性を保ち、有益な情報を提供し、図書館のパートナーとの信頼を築くことで、貴社のOAコンテンツが図書館目録にすんなりと追加される可能性が高まります。
最終的な考察
出版社、図書館員、ディスカバリー・パートナーが、オープンアクセスの進化する状況をこれからも進んでいく中で、コンテンツを発見するための無数の出版モデルや方法は、図書館と出版社の、時として希薄な絆を緊張させ続けるでしょう。しかし、協力が重要であることに変わりはありません。すべての関係者が、適切な情報を適切なタイミングで適切なユーザーに届けることに集中しているのです。最終的には、メタデータを改善し、アクセスを効率化し、信頼を築くことが、OAコンテンツが発見され、評価されるための基礎となります。
しかし、このような努力の効果をどのように測定すればよいのでしょうか?利用データは、OA出版物がどのようにアクセスされ、利用されているかを理解する上で重要な役割を果たします。次の投稿では、利用状況レポートの重要性を掘り下げ、より良い分析が出版社および図書館が発見可能性と関与を強化するため、情報に基づいた意思決定を行う上でどのように役立つのかを探っていきます。
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過去の関連OCLC News記事 74号「OCLC Researchがオープンアクセス出版物の発見可能性に関する論文を公開」>>
シリーズ: OCLCあの時この時 (8)
ユーザーお助け雑誌「Bits & Pieces」
Bits & PiecesはOCLC製品やサービスをユーザーが有効利用する助けになるような情報を提供するため1978年から発行されています。
初期のBits & Piecesはデジタルアーカイブコレクションで閲覧可能ですので、今回はLC (アメリカ議会図書館) が英米目録規則第2版 (AACR2) の採用を開始した1981年発行号からいくつかの記事をご紹介いたします。
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本タイトル内で使用されている省略記号
AACR2の1.181に対する米国議会図書館の新しい細則は以下の通りです。
本タイトル内の「…」を「–」に置き換える際は、それが冒頭にない限りは「–」の後に1スペースを付ける。例えば、
Getting around– in Gennany のように
以下は誤り
Getting around–in Gennany
ただし、
–and then there were none
OCLCユーザーは、本タイトルの適切な索引付けを確実にするため、この慣行に従うこと。–グレン・パットン
いきなりEllipsesがEllipisesとなっており、誤植のようですが、目録の記述規則解説です。
「…」は目録規則上、目録作成者による省略を表すというルールのため、記述対象に「…」がある場合にはダッシュ「– (入力上はハイフン2つ)」に置き換えるというのが、AACR2の1.181でした。
この情報だけでは、実際に入力しようとすると「前後にスペースは必要?」と疑問に思うのが人情。米国議会図書館のAACR2適用細則であるRule Interpretations 1.181では上記のように説明されており、OCLCユーザーもこの指示に従うようにとの事が記載されています。
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シリーズの扱いと「DESC」
AACR 2(すなわち、Desc: a)に従って目録が取られた書誌レコードを入力する場合、レコード全体が AACR 2 および LC の慣行に準拠していなければなりません。何人かのユーザーから、これにはシリーズのトレーシングの扱いや形式も含まれるのかという質問がありました。これは、AACR 2 以前の慣行に関係なく、シリーズを含みます。–リッチ・グリーン
これには少し解説が必要です。そのシリーズタイトルを「副出する」「副出しない」のトレーシングの扱いで入力方法が異なりますが、それを決定するのがシリーズ典拠です。以下のシリーズ典拠では、このシリーズタイトルがLCによるAACR2適用 (1981年1月1日) の前後で「副出しない」から「副出する」に変更された事を示しています。(645に「t」とあるのが「副出する」、「n」とあるのが副出しない)
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1981年以降というのは、出版年とは無関係にそれ以降にLCが作成する目録で、このシリーズは副出される事を示しています (それ以前のものは副出しない扱いとなっているが、LCは遡って修正しない事も示す)。
これに従い、AACR2に準拠した目録を入力するなら、LCの1981年以降の慣行に従いましょうというのが、この記事の趣旨です。
まだインターネットがなかった1980年代、「Bits & Pieces」のような冊子体の情報が重宝されていたようです。
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No. 21 (March 13, 1981) の原文はこちらから>>
No. 22 (April 3, 1981) の原文はこちらから>>
(OCLC事業部)
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株式会社紀伊國屋書店 OCLC事業部
電話:03-6910-0514 e-mail:oclc@kinokuniya.co.jp