OCLC News 第48号
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目次
―OCLC ResearchのブログHanging Togetherより―
FAQ:コロナ禍におけるリソースシェアリングの実例、フェーズⅠ
2020年12月18日 デニス・マッシー
私は2020年4月に世界規模のパンデミックによって引き起こされた前例のない困難な状況において、資料を複写および貸借で共有するサービスを続けるILLコミュニティの驚くべき努力について書きました。その後2020年9月に、リソースシェアリングコンソーシアムSHARESが生み出した、公衆衛生の危機の最中に期限超過と貸借資料の返却を管理するベストプラクティスについてリポートしました。2020年の3月から12月にかけて50回に及ぶSHARESの対話集会が行われ、資料共有のエキスパートたちが毎週集って、互いに協力し合い、障害を取り除いて研究者たちを必要とする研究資料に繋げ続ける方法を検討し、そこからからこれらのベストプラクティスが生まれました。
今回の投稿で、初回から25回目のSHARES対話集会からハイライト Frequently Asked Questions: Resource Sharing Practice in the Time of COVID-19をお届け致します。このハイライトはFAQsの形式をとっており、著者はSHARES Best Practices Working Groupの才能と志あるボランティアたちです。
- Beth Posner, The Graduate Center, CUNY
- Lapis David Cohen, University of Pennsylvania
- Meg Massey, Pennsylvania State University
- Phoebe Walker, New York University
上記リストには名前がありませんが、the Art Institute of Chicago のAutumn Matherもまた初期の努力に貢献しました。
このドキュメントのイントロダクションは、新型コロナが急速に全世界に拡大した3月後半から6月中旬にかけてSHARESメンバーの注意を引いた、リソースシェアリングに関する緊急のトピックに触れています。
- 電子リソースから提供するだけとは対照的に、どの受付館が紙媒体から資料をスキャンできるかといったような、現行のILLインフラではトラッキングすることのできないものをトラッキングする方法の開発
- たいていの図書館が閉館しているパンデミックの間、リソースシェアリングが著作権に与える影響に対処する
- パンデミック後にアクセスを増やす交渉を行う為、一時的に出版社とコンテンツプロバイダが無料で見られるようにした資料の利用統計の活用法の戦略立案
- パンデミックが図書館、リソースシェアリング、リサーチ方法にもたらす長期間で見た影響がどのようなものになるか熟考する
- 初めてリモートワークを行うこと、及びサービスをリモートで提供することへの対処
- パンデミックに関わる健康・安全問題の対処
- スタッフのリモートワークを管理する、またリモートでも生産性を落とさないクリエイティブな方法を見つける
FAQの中には簡潔で事実のみのものもあります。一方、Beth Posnerの長期間で見た影響に関する投稿のような、エレガントな小論のようなものもあります。
多くの資料は昨日書かれたばかりのように思えますが、オペレーションに関わる資料の中には既に現在のベストプラクティスというよりは史料として役立つようなものもあります。2020年前半から状況は驚くべきスピードで進展したのです。
現在作成中のフェーズⅡの資料はSHARES対話集会の26回目から40回目の内容に関するもので、利用者への本の郵送や、パンデミックの間に利用者と効果的にコミュニケーションを取る方法、安全に紙媒体の資料を扱う方法、図書館側にも複雑な手続きが必要となるHathiTrust’s Emergency Temporary Access Service (ETAS)に利用者がアクセスしてもらう際の対処法などを扱います。(ETASにアクセスできる間は紙媒体の書籍を貸し出し対象から外す必要があります。)パンデミック最初の年を四半期ずつ全てカバーするべく、少なくとも4つのFAQが予定されています。
グローバルなリソースシェアリングコミュニティが共有しているのは、単なる図書館の資料にとどまりません。ILLを行っている図書館員たちは、何十年にもわたって熱心に互いに協力し合ってきました。また、彼らはノウハウを結集して困難に立ち向かうことに熟達しています。SHARESの対話集会から生まれたFAQは、仲良く協働する方法をよく知っているコミュニティの中で、毎日どこかで起こっている現在進行中の会話に、また一つ貢献したに過ぎません。
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―OCLCのリーダーたちが知見や経験を共有するブログ Nextより―
一緒ならもっと強くなれる:図書館と「持続可能な開発目標(SDGs)」
2020年12月2日 ロアリー・アンブリス
私はより多くの時間をOCLCグローバル評議会・地域評議会と働くにつれ、納得はいくものの、少し矛盾していることに気づいてきました。それはつまり、OCLCのプロフェッショナルたちのネットワークが広がれば広がるほど、そのローカルなソリューションが我々の状況にも有効に働く、はるか遠くで働いている同僚を見つけるようである、ということです。時には、最適な答えは近所で見つかるのでなく、地球のどこかで見つかることもあります。
これは実際、驚きというよりはむしろチャレンジです。図書館のタイプや地理的な隔絶を越えて素晴らしいアイディアを共有するメカニズムはたくさんあるわけではありません。しかし今年、世界中の図書館がベストなアイディアを更に発展させ、改善するのを支援するべく、OCLCグローバル評議会と、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」という二つの素晴らしいプラットフォームを一緒にできたことを光栄に思います。
インパクトを与える
私は「持続可能な開発目標(SDGs)」が2015年に締結されるよりも前に、汎米保健機構/WHOで働いていた時に初めてそれについて知りました。我々はGoal #3 (すべての人に健康と福祉を、Good health and well-being)について広く研究調査していました。汎米保健機構/WHOでは、健康に関するゴールが、いかに他の多くのゴールとオーバーラップし、またつながっているかを目にしました。これはまた、図書館の仕事についても当てはまります。図書館のタイプや規模、カバーするエリアに関わらず、コミュニティのニーズに応える為に我々は働いています。そしてそれは、図書館が「持続可能な開発目標(SDGs)」のいずれか、もしくは全てをサポートするにあたって、必ずや正しいことでしょう。
OCLCグローバル評議会がこれを取り扱うことを決定した時、我々は図書館が最も大きな影響を与えることができる分野に絞ることが有益だろうと考えました。よって、代表者に対しての調査とフォーカスグループインタービューが行われた結果、今年の活動として以下の五つに焦点を当てることを決めました。
- SDG 4: 質の高い教育をみんなに(Quality education)
- SDG 8: 働きがいも経済成長も(Decent work and economic growth)
- SDG 10: 人や国の不平等をなくそう(Reduced inequalities)
- SDG 16: 平和と公正をすべての人に(Peace, justice, and strong institutions)
- SDG 17: パートナーシップで目標を達成しよう(Partnerships for the goals)
貴館がSDGs に関して出来る事
図書館は、特に人々と生活の質にフォーカスした場合、ローカルの経済的で持続可能な開発イニシアチブにおける適切なパートナーです。図書館のミッションはSDGsによくマッチします。というのもSDGsは、今日の最も喫緊に迫った不平等、および社会的、経済的、環境的、ガバナンスにおける問題への対処を目的とした協力的パートナーシップを形成する為の、ステークホルダーの行動のきっかけとなるからです。図書館スタッフたちは既に、持続可能な社会を確実なものにするのに欠かせない情報と知識へのアクセスを保証する為の、これらの種類のパートナーシップの確立における重要な果たしています。
図書館にとっては、SDGsを戦略プランに落とし込むための機会だけでなく、パートナーたちに参加するよう呼びかける機会もあります。例えば、公共図書館は地方自治体の政府機構の中で、学術図書館は学内で同僚に教育することができます。そして不平等を減らし、情報と知識にアクセスし、質の高い教育を確保し、パートナーシップを確立する為に、図書館は自らの戦略の中にはっきりと、SDGsの中のいくつかを埋め込むことができます。
例えば私の図書館・機関では、持続可能な開発と責任の為の、内部及び外部とのパートナーシップを確立することで、質の高い教育を確保し不平等を減らすために、“Faculty Working Group for Equitable Learning”を立ち上げました。このグループと内部的ゴールはSDGsの為だけに設立されたものではありませんが、明確に並び立つものです。
OCLCとグローバル評議会がどのように役立てるか
ローカルでの活動に役立てられる資料と活動を提供する為に、グローバル評議会は例年のように幅広いレンジのグローバルな機関とともにこれらの活動を目的をもって行ってきました。
- グローバル評議会次期議長のPilar Martinez のビデオメッセージで全てのプログラムについてもっと知る。
- どのように図書館がSDGs を活用する(予定)か総合的でグローバルな知見を提供する為に調査を受ける。(調査は2021/1/31終了)
- 持続可能性を重要視する予定のグループや機関がどのようにこのフレームワークを具体的な出発点とするか探求する為、ウェビナーに登録する。
グローバル評議会とともに働くことは、意義ある体験であり、また私の日々の仕事にとって非常に利益あることであり続けています。幅広いプロフェッショナルたちのネットワークへのアクセスと、私たちの専門分野が直面するローカルかつ地域的な課題に対するより深い理解を得ました。このSDGに対する調査とこれらのセッションを図書館コミュニティに持ち込むことは、私にとって、個人的にも、仕事としても、エキサイティングで重要な仕事でした。
あなたも我々と一緒にアイディアを共有し、SDGsに関する知識を築き上げてくれることを願っています。一緒なら、大きなインパクトを与えることができます。
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コロナ禍における取り置き資料受け取りを助ける新アプリ:CapiraCurbside
2020年7月にOCLCの傘下に入ったCapira Technologiesは、2012年の設立以来、カスタマイズ可能なモバイル図書館アプリを開発してきました。
コロナ禍にあり、多くの利用者が図書館に入ることなく資料を入手したいと考えている今、Capira Technologiesの提供するCapiraCurbsideがあれば、それが可能になります。
CapiraCurbsideを貴館の図書館システムと連携させることで、利用者に予約した資料が用意できたことを知らせ、また資料をドライブスルーのように受け取ってもらうことができます。
2021年1月時点でCapiraCurbsideの日本での提供予定は未定ですが、OCLCのデモ動画から使い方をご紹介します。
ログイン画面
ログインと同時に以下のメニューから選択。
Book a Pickup: ピックアップの予約
Manage Existing Pickup:予約済みピックアップの管理
Check-in For Pickup:ピックアップに来たことを図書館側に連絡できる
ログインすると、取り置きされている資料が表示される
分館がある場合は、取り置き資料が分館ごとに表示される
ピックアップの日時を指定
図書館への移動手段を選択
徒歩、自家用車等が設定できる。
受け取り場所の設定
予約資料の置き場所の設定
車のトランクに入れる、運転席側に手渡し(マスクをしていることが必要)、助手席側に手渡し、図書館ロビーでピックアップなどが選択できる設定になっている。(変更可能)
連絡先の記入
図書館側管理画面:予約されているピックアップ
用意出来たら「Mark Ready」を選択。
図書館側管理画面:受け取り手段設定画面
この例では主に車での移動を想定し、後部座席に置く、トランクに入れる、エントランスまで歩いていくなどが設定されている。
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(紀伊國屋書店 OCLCセンター)
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電話:03-6910-0514 e-mail:oclc@kinokuniya.co.jp