OCLC News 第55号
商品情報をはじめ、OCLCに関する様々な情報をご案内致します。
目次
- OCLC Community engagement特設ページができました
- -OCLC ResearchのブログHanging Togetherより–
アーカイブアグリゲーションサイトの利用者を知るために
- シリーズ:OCLCあの時この時 (4)
OCLC専用端末機の時代
- 2021年OCLCグローバル評議会・地域評議会選挙速報
OCLC Community engagement特設ページができました
OCLC Community engagement特設ページ
https://www.oclc.org/en/community-engagement.html
OCLCでは、図書館スタッフに利用者サービスや様々な図書館主体の活動といったコミュニティエンゲージメント(community engagement)の成功例を共有してもらう、新たなソーシャルメディアキャンペーン、#EngagedLibrariesを行っています。
そしてこの度、コミュニティエンゲージメントの特設ページが公開されました。
特設ページでは、コミュニティエンゲージメントとは何か、また多くの館がコミュニティエンゲージメントを行う、または予定しているというアンケート結果の紹介から始まり、主にアメリカの公共図書館を例に以下のようなことが紹介されています。
- コミュニティエンゲージメントの実例紹介(動画)
- 人種間の平等と社会正義の為の勇気あるコミュニティ対話(Courageous Community Conversations for Race and Social Justice)
Richland Library Edgewood
- オピオイド中毒からの回復と図書館:オピオイド危機対応の為に(Recovery and the Library: An Opioid Epidemic Response)
Blount County Public Library
- 学校との大規模なパートナーシップ:図書館との繋がりが子どもの一生を変える(School Partnerships with Impact: Changing Lives at Scale)
the Chesapeake Public Library
- 町の広場としての図書館(The Library as Town Square)
Anythink Libraries
- バンクシー*効果:コミュニティエンゲージメントにまつわる物語(The Banksy Effect: A Community Engagement Story)*英国を拠点とする匿名アーティスト
Kokomo-Howard County Public Library
- 利用者の生活を大きく変えるような優れた活動を行ったことを称えるthe OCLC Community Engagement Awardの実例(OCLC News 43号の記事)
- 最新のコミュニティエンゲージメントの例
この他、自館の活動を投稿する方法の指南なども掲載されています。
是非貴館の活動に取り入れ、また貴館の活動を世界の図書館とシェアして下さい。
関連する記事
OCLC News 52号の記事「#EngagedLibrariesでコミュニティエンゲージメント活動をシェア」はこちらから≫
当記事の詳細はこちらから≫
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-OCLC ResearchのブログHanging Togetherより–
アーカイブアグリゲーションサイトの利用者を知るために
レスリー・ランガ
以下の記事は、OCLC Researchの「Building a National Finding Aid Network (NAFAN)=全国的アーカイブ資料の検索支援ネットワーク基盤構築に向けた研究・実証」プロジェクトへの取り組みを紹介するシリーズの1つとして投稿されたものです。
テーブルに座ってノートパソコンを入力する人: 写真提供Cytonn Photography (UnSplashのフリー画像)
NAFANプロジェクトが抱える大きな悩みは、アーカイブアグリゲーションサイトの利用者に関する情報が足りないことです。過去の研究は、1回限りの調査が中心です。この点については、本シリーズの過去のブログ記事で詳しく説明しています。
利用者とその行動に関するデータが不足しているのは、アーカイブの収集を持続させるだけでも大変な作業であることを考えると、当然のことかもしれません。アーカイブ収集を維持するには、資料提供元ネットワークに常に注意を払い、アーカイブ資料の検索支援データを正規化する必要があり、老朽化したインフラのメンテナンスが必要になることも少なくありません。OCLC Researchは、これらの課題を念頭に置き、異なるアグリゲータにおける利用者の幅広さと検索行動の深さを理解するための包括的なアプローチをとる研究を企画しました。このプロジェクトは単なる回顧的研究ではありません。このプロジェクトを通じて収集した情報は、利用者が収集されたアーカイブ情報にアクセスするための新しい全国的ポータルを設計するための重要な要素となります。今回の調査では、ポイント・オブ・サービス型のポップアップ調査、アーカイブ資料を扱い、検索支援を作成する文化財の専門家との仮想フォーカスグループインタビュー、アーカイブ集約サイト利用者との詳細な個別インタビューなど、さまざまな方法で情報を収集しています。この記事では、ポップアップ調査から得られた情報を中心にご紹介します。以降のブログでは、異なる質的手法で収集したデータから得られた知見を紹介していきます。
方法
サイト内の利用者とその行動に関する情報を収集するために、助成金に参加している13のアーカイブアグリゲータすべてに、サイト上でポップアップアンケートを実施するよう依頼しました。
データ収集の戦略を立てる際には、いくつかの課題がありました。その中でも特に重要だったのは、サイトを訪れて調べものを行う一般集団のサンプルをどのように集めるかということでした。参加したアグリゲータのうち、アクセスの少ない8つのサイトでは、利用者すべてにポップアップアンケートが表示され、アンケートに参加するかしないかを自由に選択することができました。一方、利用頻度の高い5つのサイトでは,そのサイトの2人に1人の割合でポップアップアンケートが表示されました。この方法を選んだのは、幅広い層の利用者に回答してもらうためです。私たちは当初、対象を絞った確率論的なサンプリング方法を検討していました。しかし、アーカイブアグリゲーションサイトの利用者の母集団についての詳しい先行研究がなく、サンプル選択のための確率論的方法を策定する術がなかったので、便宜的なサンプリングを行いました。データから推論することができないという問題はありますが、それでも便宜的サンプルから得られるデータには、多くの重要な用途があると考えました。例えば、複数のアグリゲータを対象とした初期研究として、このデータは、新しい研究仮説を立てたり、回答の一般的な傾向や範囲を定義したりするのに役立つでしょう。また、複数のアグリゲータの利用者の反応に注目することができる類まれな機会でもありました。
私たちは当初、全国で1,000件の回答を目標にしていました。しかし、アグリゲータの利用率が月に20件から141,000件と幅が大きいことから、同じ回収期間ですべてのサイトから同等の回答数を得ることは不可能であると判断し、ほとんどのサイトで回答者を一律に集める戦略を取ることで、その後の調査に最大限の柔軟性を持たせることができると結論づけました。その結果、すべてのサイトで3,300件の回答が得られ、予想をはるかに上回る結果となりました。
データ収集は2021年3月19日に開始しました。一部のアグリゲータは、ポップアップアンケートリンクを少し後になってから実施しました。データ収集期間は2カ月間で、各アグリゲータは少なくとも6週間、アンケートを公開しました。ポップアップアンケートは、アグリゲータのポータルのホームページ、検索結果ページ、およびアグリゲータシステム内で公開されている各検索支援のランディングページで表示されました。
アーカイブアグリゲーションサイトの利用者は誰ですか?
以下は、調査から得られた結果です。これらは、ポップアップアンケートの回答者の説明に役立つ重要ポイントですが、すべてのアーカイブユーザーを一般化するために使用されるべきではありません。
以下の図1は、報告されたすべての職業を、多い順に並べたものです。「フルタイムの雇用から退職した」と回答した人は20.8%と最も多くなりました。その次の図2では、回答者の56.8%が55歳以上であることを示しており、多くの回答者が退職していると回答していることと一致しています。
図1. NAFANポップアップアンケート: 利用者の職業別ランキング
興味深いことに、次に多いのは情報系の職業で、図書館員とアーキビストが回答者の13.5%を占めています。アーキビストや図書館員は、利用者への参考業務や蔵書構築など、日々の仕事に関連した責務を果たすためにアグリゲーションサイトを訪れていることが、質問文から読み取れます。回答者の約3分の1は、教員や学術研究者、大学院生、系図学者、学部生など、一般的に文書館での研究を行っている様々な職業に就いています。
回答者の5%未満の職業には、ジャーナリスト、作家、アーティスト、映画製作者、博物館関係者、K-12 (幼稚園から高等学校までの)教育者、歴史家、独立研究者などが含まれます。
報告されている年齢分布(図2)を見ると、回答者の割合が最も高いのは、やはり回答者の中での最高齢者(65歳以上)であることが分かります。55歳以下では、45-54歳の回答者が14.5%と最も多く、次いで35-44歳の回答者が10.6%となっています。また、「学部生」と回答した人(5.9%)と「19-25歳」と回答した人(6.2%)はほぼ同じ割合でした。
図2. NAFAN ポップアップアンケート: 年齢別利用者数ランキング 注:回答者の2.1%が年齢未回答
アーカイブアグリゲーションサイトを利用する目的を回答者に尋ねる際には、複数のトピックやテーマを選択できるようにしました。以下の図3では、アグリゲーションサイトを利用した理由として、個人的な利用と仕事上の利用が混在していることが報告されています。これらの用途の中には、学校の宿題、新聞記事寄稿、論文執筆など、短期的なものもあります。他の用途は、長期に渡る性質のもので、何度かサイトを訪問する必要があるかもしれません。これらの用途はより頻度が高く(それぞれ19%以上)、書籍の企画、家族史、地方史の研究などが含まれます。図1の職業と比較すると、これらの長期的なプロジェクトのいくつかは、学術関係者、専門家、アーキビスト、系図学者の仕事と容易に結びつけることもできます。
図3. NAFANポップアップアンケート: 利用目的ランキング
複数回答可のため、合計は100%にはなりません。長期に渡る課題には、書籍刊行やドキュメンタリー製作など、数ヶ月から数年を要するプロジェクトがあります。短期的プロジェクトは、ニュース記事やテレビ番組の企画など、数日から数週間かかるものです。
回答者の半数近く(42.7%)は、「オンライン資料の方が好ましいが、対面で提供される資料も利用したい」と回答しました。回答者の約4分の1(23.6%)は、オンラインと対面による資料のどちらでもよいと答えました。オンラインのみを強く希望する回答者(14.4%)と、対面式のみを希望する回答者(14.7%)(訳者注: 原文の誤り;正しくは「対面式の方が好ましいが、オンラインで提供される資料も利用したい」)はほぼ同数でした。
図4. NAFANポップアップアンケート: オンライン、対面式どちらの資料を好むか
OCLC Researchがこのシリーズでお届けする「Building a National Finding Aid Network (全国的アーカイブ資料の検索支援ネットワーク基盤構築に向けた研究・実証)プロジェクト」のその他の活動について、ご覧下さい。
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シリーズ:OCLCあの時この時 (4)
OCLC専用端末機の時代
OCLC News 50号で取り上げたCJKシステムを利用するためだけでなく、OCLCのサービスを利用するために専用の端末機、ワークステーションを使用しなければならない時代がありました。以下は専用端末機の変遷について紹介したOCLC Newsletter, no. 182 (Nov./Dec. 1989)の記事です。
OCLCの端末とワークステーションの歴史的変遷
OCLCの最初の端末機である「Irascope LTE」は、SPIRAS Systems, INC.製で、1971年に発売されました。96台が製造され、1981年後半になっても一部がオンラインシステムに使用されていました。これらを使っていたのは主にオハイオ州の図書館です。この端末機の内、1台は、「初期のコンピュータ端末」の一例として、スミソニアン博物館に寄贈されています。1973年にNELINETが作成したユーザーマニュアルには、この端末機のことを「SPIRAS LTEは、CRT (cathode ray tube=ブラウン管) 端末と呼ばれるテレビのような箱と、タイプライターのキーボードとよく似た付属キーボードの2つの部品で構成されています。」と記しています。
OCLC「モデル100型」は1974年に発売された端末機です。ユタ州ソルトレイクシティのBeehive Medical Electronics社が製造したもので、1978年には、オンラインシステムに2,100台が導入されました。現在、そのうち361台はまだオンラインに接続しています。
同じくビーハイブ社製のOCLC「モデル105型」は1978年にオンライン利用を開始しました。3,350台が導入され、そのうち915台がオンラインシステムに使用されています。
1980年発売のRAMTEK社のOCLC「モデル110型」は、650台製造されましたが、1981年にはすべてオンラインシステム利用をやめています。
1984年に発売されたIBM社製の「M300」ワークステーション。現在、5,385台がオンラインシステムを利用しています。
1987年に発売されたWYSE Technology社製の「M310」ワークステーション。現在、オンラインシステムには3,114台のM310が接続しています。
最近発売されたWYSE Technology社製の「M386/16」は、OCLCが提供する最も強力なワークステーションです。16 MHz Intel 80386 32ビットマイクロプロセッサを搭載しています。
歴代のOCLC専用端末 (OCLC Newsletter no. 182 (Nov./Dec. 1989) より
筆者の記憶にあるのはM300からです。昔のPCはディスプレイが小さく、白黒でしたね。ブラウン管ディスプレイの奥行が懐かしい… 最も古いSPIRAS LTEが50年前という事は、アメリカでは既に半世紀前にはコンピュータを利用した図書館業務が行われていたのですね。
OCLCの専用ワークステーション販売は1999年で終了し、各サービスのシステム要件に合ったPCを使用する現在の使用法に変わりました。
当記事の元となった記事はこちらから≫
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2021年OCLCグローバル評議会・地域評議会選挙速報
10月25日に2021年のグローバル評議会・地域評議会の選挙結果が発表されました。
南北アメリカ地域評議会(ARC)、ヨーロッパ、中東、アフリカ地域評議会(EMEARC)、アジアパシフィック地域評議会(APRC)の3つの評議会を合わせて23名の評議員が選出され、2021年11月1日より3年間の任期が始まります。
日本が所属しているアジアパシフィック地域では、以下3名が選出されました。
- 褚樹青(Shuqing Chu)浙江図書館 図書館長(中国)
- 唐牧群(Muh-Chyun Tang)国立台湾大学 アソシエイト図書館員(台湾)
- Khasiah Zakaria マラヤ大学 図書館長(マレーシア)
新たな評議員が選出されたことに加え、各評議会のリーダーも11月1日より変更になります。
- グローバル評議会会長及び南北アメリカ地域評議会会長(Global Council Chair & ARC Chair): Earl Givens Jr.、カトーバ大学 図書館長(アメリカ・ノースカロライナ州)
- グローバル評議会副会長及びヨーロッパ、中東、アフリカ地域評議会新副会長(Global Council Vice Chair & EMEA Vice Chair/Chair-Elect): Evi Tramantza、アナトリア大学 図書館長(ギリシャ)
- 南北アメリカ地域評議会新会長(ARC Vice Chair/Chair-Elect): Hong Yao、クイーンズ公立図書館 技術部門長(アメリカ・ニューヨーク州)
- ヨーロッパ、中東、アフリカ地域評議会会長(EMEA Chair): Sarah Hurter-Savie、ニース大学 図書館長(フランス)
- アジアパシフィック地域評議会会長(APRC Chair): Constance Wiebrands、エディスコ―ワン大学 図書館員(オーストラリア)
- アジアパシフィック地域評議会新会長(APRC Vice Chair/Chair-Elect): 唐牧群(Muh-Chyun Tang)、国立台湾大学 アソシエイト図書館員(台湾)
OCLCの運営体制の詳細については、以下HPからご覧になれます。
OCLC事業部HPより OCLCの運営体制
https://mirai.kinokuniya.co.jp/catalog/oclc-governance/
OCLC Global and Regional Councils(OCLCグローバル評議会及び地域評議会)
https://www.oclc.org/en/membership/councils.html
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(紀伊國屋書店 OCLC事業部)
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