前回に続き、Wiley Digital Archives – British Association for the Advancement of Scienceの収録コンテンツをご紹介しながら、現代科学の形成に至る道のりを辿ります。
科学と政策
活用分野
英国史、政治的科学、世界的な健康方針、一般史研究、保健教育、公衆衛生、科学史、健康の社会的要因、科学への資金提供、国際関係、社会学、産業デザイン史
歴史的背景
公共事業と科学への資金提供は長きにわたり政策によって左右されてきました。歴史を通して、科学者とその研究を経済的に支援するシステムは、科学研究の特性と速度を決定する重要な要因となっています。かつて、科学のための基金は哲学の追究と同様に、まず実践的で宗教的な関心によって推し進められてきました。数学・天文学・工学などの分野は、農業のためのカレンダー制作といったような、実践により重点を置いた直近の目標の副産物としての進歩が初期の頃の特徴でした。
産業革命前、また、そのさなかでの技術的進歩が増してきた頃は、多くの科学研究が個人自ら資金を投じて行われてきました。しかし、18世紀と19世紀には多くの学問分野が職業化され、科学的調査が政府や組織的な資金提供と結びつくことが圧倒的に多くなってきました。科学が職業化されたため、多くの学会や科学組織が創設され、科学研究と発見を可能にし、情報の拡散を容易にし、政策決定に影響を与えることができるようになりました。
“The Advancement of Science Vol. II.” BAAS Monographs, Printed in England at the Ballantyne Press Spottiswoode, Ballantyne & Co. Ltd., 1942–1943. Wiley Digital Archives.
組織
科学者協会（The Association of Scientific Workers）
科学者協会が有名な理由
1918年、英国科学者全国組合の創立から始まりました。1927年、労働組合を起源とする全国科学者組合 (the National Union of Scientific Workers) は、科学者協会(Association of Scientific Workers, AScW) に名称を変更しました。
科学者協会は主として大学、国民医療サービス、化学・金属製造業の研究所および技術者を代表するものでした。同協会は「良識ある」科学者の組合で、五指に余るノーベル賞受賞者が会員から輩出されました。1930年代、第二次世界大戦のさなか、科学者協会はBAASと協力して、科学者たちの連携、科学者の新卒雇用に関する多岐にわたる調整、国際的な科学の出先機関、科学的取組における外国人雇用が増加したことに伴い、ロビー活動を行いました。
若い世代や多様性に富んだ会員を得て成果をあげた協会は、世界中の多くの国々に強い印象を与えました。それによって、1946年の世界科学者連盟の創設が導かれたのです。
“British Association for the Advancement of Science Annual Meeting Dublin September 4th-11th 1957 Programme.” BAAS Monographs, Printed in Great Britain by Spottiswoode, Ballantyne & Co. Ltd., 4–11 Sept. 1957. Wiley Digital Archives.
英国科学振興協会アーカイブに含まれる関連コンテンツ&特別コレクション
科学者協会、英国科学ギルド、 インド科学会議協会など様々な機関の科学および政策に関する論文、ファイル、報告書、議事録。
Files of Correspondence, 1937-1944. 1937–1944
Minutes of Meetings of the General Committee, Signed by the President, 1922-1945. 1922–1945
Association of Scientific Workers. File Concerning the Association of Scientific Workers. 1938–1953
Indian Science Congress Association. Printed Material Relating to the Meeting of the Indian Science Congress Association. 1914–1938
（資料提供Wiley）
Wiley Digital Archivesシリーズ
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