オープンサイエンスを支援する米国非営利団体CHOR Inc.が運営する官民イニシアティブCHORUSの最近の取り組みと、CHOR Inc.が提供するCHORUSダッシュボード(資金提供を受けた研究成果論文 / オープンアクセス論文の管理ツール)の製品アップデート情報についてご案内いたします。(研究機関向けダッシュボード日本販売総代理店:株式会社紀伊國屋書店)
- CHORUS Institution Dashboardとは – 日本語でのご案内はこちら(CHOR, Inc.作成 / 下記動画は日本語字幕対応):
ジャパン・オープンサイエンス・サミットへの参加
2021年6月18日、JOSS2021:ジャパン・オープンサイエンス・サミットの1セッションとして「CHORUSフォーラム – 研究ワークフローにおけるFAIRデータ(ファンディングから論文出版まで)」を開催しました。図書館関係者のみならず、ファンディング、政府関係、出版関係、研究、研究アドミニストレーションなどパネリスト同様にマルチステークホルダーから130名にご参加いただきました。後半のパネルディスカッションでは「参加者の属性」「(参加者が研究者の場合)データを共有する意思があるか、(研究者でない場合)研究者はデータを共有する意思があると思うか」「データ共有のためにはどのリポジトリが良いか」「FAIR原則を踏まえ、FAIRのうちどれが最も実施に移すことが難しいと思うか」「FAIR原則を知っていたか、またフォーラムに参加した結果FAIR原則にさらに詳しくなったと思うか」という5つの質問について、参加者による投票が行われました。このイベント模様詳細とパネリストの講演資料はCHORUS Webサイトにてご覧いただけます。
当サイトでのイベント詳細案内はこちら(イベントは終了しています):
【資料公開中】CHORUSフォーラム「研究ワークフローにおけるFAIRデータ」のご案内
新たな技術連携とその効果:GetFTR
CHORUSはダッシュボードを通じたデータ提供をよりタイムリーに行うことを目指し、GetFTR (Get Full Text Research)との提携を開始しました。2020年の試行期間を経て、2021年より本格運用を開始しています。
GetFTRによる自動監査プロセスを経た論文データは、出版社、資金提供機関、研究機関のそれぞれのダッシュボード上の「Audit Source」フィールドに”GetFTR”と表示されます。
CHORUSは、GetFTRを利用して数百万(発表当時)もの出版論文の最終公開版(VoR: Version of Record)からのメタデータ・フィードを自動化することで、American Chemical Society、Elsevier、Springer Nature、Taylor & Francis Group、Wileyなど、最大手出版社メンバーの論文の公開状況に関する監査規模を拡大し、さらに、監査プロセスそのものを高速化することに成功しました。
下記のプレスリリース後も、AIP PublishingやRockefeller University PressといったCHORUSメンバー出版社のGetFTRへの参加が続いています。
※CHORUSのダッシュボードは自機関に所属する研究者が、外部から資金提供を受けた研究成果についてどこでオープンアクセスとなっているか~出版社サイト、機関リポジトリ、あるいは外部サイトへの寄託となっているか等~容易に特定することができます。出版社サイトでオープンアクセスと表示されているDOIについては、GetFTRに加えて、CHORUS、UnpaywallのいずれかがAudit Sourceとして表示されています。この3つのプロトコルにより、CHORUSはより多くのオープンアクセス論文を特定することができるようになりました。
出版社ポリシーインデックスをご活用ください
世界的なオープンサイエンス推進の潮流の中、出版社は、出版社レベルまたはジャーナルレベルで各種ポリシーを公表しています。ポリシーの内容は多岐に渡りますが、出版社のサイトへのリンクを含む、これらのポリシーの一元的なインデックスをCHORUSで作成しております。今後少なくとも年1回は見直しを行いますので、是非ご活用ください:
- Software Citation Policies Index
多くの出版社がFORCE11 Software Citation Implementation Working Groupが発表したガイダンスに従って、研究結果の中心となるソフトウェアを引用することを著者に求めています。
- Publisher Data Availability Policies Index
多くの出版社が著者に研究結果を再現するために必要なすべてのデータを出版時に制限なく公開することを求めています。法的または倫理的な制約によりデータセットの公開が禁止されている場合、著者は他者がデータにアクセスする方法を示さなければなりません。また、出版社に原稿を提出する際に、著者はデータ利用ポリシーに準拠していることを示すData Availability Statementを提出しなければなりません。論文が受理された場合、Data Availability Statementは論文の一部として公開されます。
CHORUS Institution Dashboard Serviceの活用事例
2020年11月5日に開催された図書館総合展で行われた「JST/CHORUS:オープンサイエンスフレームワークの広がりの可能性を探る」ではJSTとCHORUSに加えて、日本から3つの採用機関より研究成果の識別、オープンアクセスやオープンデータのポリシー管理にCHORUSダッシュボードをどのように活用しているか発表していただき、質疑応答が行われました。また、後日こちらのフォローアップセッションも開催いたしました。採用機関の皆様からの発表資料・図書館総合展での質疑応答は現在もCHORUSサイトにて公開しております。動画も含みますので、是非CHORUSサイトにてご覧ください:
CHORUSの研究機関向けダッシュボードはサブスクリプション方式でご提供しており、無料トライアルのご提供も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。商品の詳細はこちら:
CHORUS Institution Dashboard Service
今後もCHORUSの取り組みをご紹介していきますので、「CHORUSニュースレター日本版」にご注目ください。
本件についてのお問い合わせは最寄りの紀伊國屋書店営業所もしくはこちらのお問い合わせフォームからお願いいたします。
(紀伊國屋書店 雑誌部 江崎)