Digital National Security Archive (DNSA)は、機密解除文書を中心にアメリカ政府の外交関連文書を収録するデータベースです。
重要な国家政策の形成・施行過程に関するアメリカ政府機関の文書を収集・公開する非営利団体、 The National Security Archive(NSA、アメリカ国家安全保障アーカイブ)とClarivate(旧ProQuest)の協力の下、NSAの所蔵文献の中から特に重要な文献を選び、学術研究向けに編纂して提供します。
データベース化に際しては、情報公開法を積極的に活用してより包括的に資料を入手し、最新の機密解除文書を多数収録しています。 収録する資料は、NSAが選抜した専門委員団が明確な選定基準に基づいて選定し、さらに、学術利用に耐えうる書誌索引情報を付与しています。(提供元:Clarivate(旧ProQuest))
カーター政権期の外交政策1977年-1981年: 政府高官による機密メモ
米国第39代大統領ジミー・カーター氏の任期中に、大統領と各政府高官との間を往来した外交関係の機密メモおよび国家安全保障会議の記録など、新たな機密解除文書を中心に2,500点・8,900ページを収録するコレクションです。それらの文書には、政府高官からの助言やカーター大統領の直筆の注釈が含まれ、外交政策制定に至るまでの、大統領の綿密な思考過程を明らかにします。
<PDF資料はこちらをご覧ください>
トピック例
- アメリカとソ連の関係性:米ソデタント、アフガン侵攻、穀物輸出規制、1980年のオリンピックボイコットなど
- アラブ・イスラエル間の対立およびキャンプ・デービッド合意
- イラン革命と人質事件
- 米中国交正常化の合意
- カーター政権による人権外交の協調
- ベトナム軍のカンボジア侵攻、中越戦争をはじめとする、東南アジアにおける軍事衝突
- ギリシャ・トルコ間のキプロス島をめぐる緊張
- 軍縮問題および軍縮会議
- NATO加盟国との戦域核兵器や中性子爆弾に関する議論
- 核兵器拡散問題
- 米国、カナダ、メキシコ間の通商交渉
- パナマ運河条約批准に向けた、議会の努力と大衆の反対
- キューバとの国交正常化
- エルサルバドルやニカラグアにおける革命および反政府運動
収録文書例
- [Panama Canal Negotiations; U.S.-Brazil Nuclear Issue; Syrian Troops in Southern Lebanon; Missions for Clark Clifford and Charlie Yost; Rhodesian Situation; Economic Help for Egypt; Includes Attachment Entitled “Statement of Principles”] (1977)
カーター大統領の就任1週間後に、パナマ運河条約における交渉とブラジルの核開発計画という、ラテンアメリカにおける2つの重要な安全保障問題に関する機密メモが、国務長官のバンス氏より送られました。そのほかには、レバノンにおけるシリア軍の駐留に対するイスラエルの反応、ベトナムの未帰還米兵、ローデシア問題、エジプトの経済危機が取り上げられています。
大統領の最も重要な外交目標として設定されたパナマ運河条約の交渉について、前米国務長官のキッシンジャー氏とパナマの外相であるタック氏の間で宣言された原則を確認するよう、国家安全保障会議の政策分析会議より助言があった旨バンス氏は記載しています。またカーター大統領の手書き注釈には「そもそもタックはキッシンジャーより優位に立っていた(”Tack outtraded Kissinger to begin with.”)」という内容もあり、前政権の外交政策に対するカーター大統領の分析も知ることができます。
またバンス氏はブラジルの外交官に宛てて、ブラジルにおける差し迫ったエネルギー需要は理解していること、そして危険性の高い核を利用せずともエネルギーの需要を満たす方法について議論する用意が出来ている旨、「私的なメッセージを送った(”sent a personal message”)」とカーター大統領へ伝えています。
- [Human Rights; Rhodesia; Warnke Nomination; the Advisory Board on Ambassadorial Appointments; Protest to the Soviets; KFIRs; Alan Boyd; U.S. Treaty Making Process; Attachment Not Included] (1977)
バンス氏からカーター大統領宛てられ、カーター大統領の手書きの注釈が入ったこの機密メモは、政権が重視するテーマである人権外交を取り上げています。1976年の大統領選挙において民主党は、ニクソン政権やフォード政権の政策に対する国民の嫌悪感を強めるためにも、人権問題を選挙活動の中心に据えていました。就任からわずか2週間しか経ずに作成されたこのメモにおいて、バンス氏はカーター大統領の韓国とインドネシアへの応対について非常に肯定的な評価を下しています。
- SALT and Other Arms Control Issues Addressed in Moscow (1977)
米ソ間の戦略核兵器制限交渉(SALT)は、カーター政権における重要な外交政策目標でした。前政権は第二次戦略核兵器制限交渉を完結させることに失敗していましたが、カーター大統領は戦略兵器を制限することは、超大国間の緊張感ひいては核兵器戦争の脅威の緩和につながると考え、重要視していました。
ついに1979年6月に、カーター大統領とソ連のリーダーであるレオニード・ブレジネフ氏がSALTに合意・署名署名しましたが、国家安全保障問題担当大統領補佐官のブレジンスキー氏は、彼が議長を務める国家安全保障会議特別調整委員会で提起された、SALTに関する論点を強調しています。ブレジンスキー氏の用心深い性格をよく表す機密メモです。
- Middle East–Camp David Summit [Alternative Version Appended] (1978)
カーター政権の最も重要な成果のひとつは、エジプトのアンワル・サダト大統領とイスラエルのメナケム・ベギン首相がキャンプ・デービッド合意を交わしたことです。この機密メモは、その16日前にカーター大統領、バンス氏、ブレジンスキー氏、CIA長官のスタンスフィールド・ターナー氏、国防長官のハロルド・ブラウン氏らによって開かれた、国家安全保障会議を経て作成されました。そこでは、各首脳の性格、顧問の役割、会談に対するサウジの見方と合意に対して起こり得る反応、合意に至らなかった場合の影響、合意に関連した安全保障における米軍の役割の可能性など、多様なトピックが議論に取り上げられています。今回新たに公開された他の文書には、アラブ・イスラエル紛争における、主要な政策決定者や合意の障害など、より詳細な内容も収録しています。
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