英国外務省中国関係文書を電子化し、手稿の全文検索を実装するデータベース第二弾

人文社会系研究

英国外務省中国関係文書を電子化し、手稿の全文検索を実装するデータベース第二弾

学術情報販売促進本部 2021.08.11

China and the Modern World – Imperial China and the Westパート２リリースへ

2021年12月、センゲージラーニング社Galeが提供するデータベース・シリーズChina and the Modern Worldより、清朝が西洋世界へと門戸を開いていく経過を詳述した壮大なコレクションImperial China and the Westのパート2が登場します。

※2021年9月にリリースされました。

China and the Modern World: Imperial China and the Westは清朝が西洋世界へと門戸を開いていく経過を詳述した壮大なデータベースで、英国立公文書館所蔵、19世紀初頭から2度のアヘン戦争を経て清朝末期の1905年までの90年間における、最も重要な英中外交資料である英外務省記録FO17シリーズ文書を完全に収録します。

中国および東アジア（朝鮮、日本）の歴史や、19世紀を通じての外交、交易、経済、政治、軍事その他さまざまな側面において英中関係を研究・教育する上で必要な英語の歴史資料を収録する最大かつ最も重要なコレクションの１つです。2021年3月にリリースされたPart Iでは、FO17/1からFO17/872まで（1815年から1881年）をカバーしていました。

2021年12月リリース予定のPart IIではFO17/873からFO17/1769/6まで（1865年から1905年）をカバーします。また、Part IIでは、中国との条約等に関する英国法務官の報告書を集めたFO83/2247-2253も収録します。Part II収録文書は日清戦争（1894-95年）や義和団の乱（1900年）など、中国史上、重要な出来事を多数記録しています。

資料所蔵元：英国立公文書館
収録量：610,000ページ
収録資料の種類：手稿、地図、切抜他
収録年代：1865-1905年
言語：英語。一部中国語、フランス語を含みます。

なお本データベースの製作には、Part Iに続き、日本の研究者も加わった国際的な編集諮問委員会が参画しています。

編集諮問委員

※アルファベット順

デヴィッド・フォーア David Faure （香港中文大学歴史学教授）
黃克武Huang Ko-wu（中央研究院近代史研究所教授）
イザベラ・ジャクソン Isabella Jackson（トリニティ・カレッジ・ダブリン中国史准教授）
本野英一 Eiichi Motono（早稲田大学政治経済学部教授）
村上衛 Ei Murakami（京都大学人文科学研究所准教授）
スティーヴン・R・プラットStephen R. Platt（マサチューセッツ大学アマースト校歴史学教授）
ハンス・ヴァン・デ・ヴェン Hans van de Ven（ケンブリッジ大学近代中国史教授）

コンテンツ・ハイライト

中国系移民

ヨーロッパのアジア、オセアニア、南北アメリカ植民地では、特にアフリカ奴隷貿易禁止後、外部の労働需要を生み出しました。苦力や契約労働者はマカオや香港から、ペルー、キューバ、メキシコ、オーストラリア、シンガポール、マレー、ペルー、キューバ、メキシコ、オーストラリア、シンガポール、マレーなどに輸送されました。本データベースはアジア系アメリカ人研究や中国系ディアスポラ研究に魅力的な情報を提供します。

条約港

中国は西洋諸国との交易のために多数の条約港の開港を強いられました。中でも上海は重視され、英米仏等の西洋列強が租借地や租界を設置、後には日本も加わりました。これらの租借地・租界は、入植者が工部局を運営し、土地の登記や取引など、生活・行政のあらゆる側面を規制しました。上海、天津、漢口他の条約港関連の様々なファイルを収録します。

朝鮮

ソウルの英国総領事館は、中国における外交システムの一部として運営されていました。領事館ファイルは、西洋の植民地拡大の文脈において中国、日本、朝鮮の複雑な関係を研究する上で価値ある情報を提供します。

外国人排斥暴動

1870年代に始まった中国の外国人排斥・反キリスト教運動は義和団の乱で頂点に達します。本データベース収録の急送文書には悪化する中国内情勢が記録されています。

隣国との関係

中国南西には、コーチシナ（ベトナム、カンボジア、ラオス）、シャム（タイ）、ビルマ、インドなどの南アジア諸国があり、その中には中国の保護国、朝貢国や、後に英仏の植民地となる国もありました。本データベースでは、交易、外交、国境画定等の中国とこれらの国々との関係を記録した報告書が収録されています。

中国近海の海賊

19世紀の中国近海では、しばしば中国との貿易に従事する外国籍商船が中国系海賊に襲われました。欧米および中国の海軍が関与した海賊取締や損害賠償を求める法的・外交関連の多数の資料が収録されています。

鉄道

中国では1890年代から1900年代にかけて鉄道建設が頂点に達します。英国他西洋列強は中国政府から土地の割譲を受けて、鉄道を建設しました。収録資料から、中国国内での鉄道システムの発展と影響を辿ることができます。

2パート構成で提供する英外務省、対中文書FO17シリーズ

1905年以前の海外諸国関連の英外務省記録は、国毎にまとめられています。”FO17 – Foreign Office: Political and Other Departments: General Correspondence before 1906, China”（FO17-政治その他部局:対中一般外交文書　1905年以前）は1815年から1905年にかけての英中関係を記録したシリーズで、1890年から1905年にかけてソウル総領事から送られた急送文書も含まれます。China and the Modern World: Imperial China and the Westでは、FO17シリーズを2パートにわけてご提供します。

2021年3月に刊行されたパート1はFO17/1からFO17/872まで（1815年から1881年）、2021年12月に刊行予定のパート2はFO17/873から FO17/1769/6まで（1865年から1905年）をカバーします。FO17シリーズ全体で1,769巻、約100万ページ分の文書を収録し、外交から交易、経済、政治、軍事、中国からの移民、法律にいたるまで、この時期の英中関係のあらゆる側面を伝えます。

本データベースは、FO17に加え、中国との条約等に関する英国法務官の報告書を集めたFO83/2247-2253も収録します。さらに、FO17の1815年から1890年までの巻については、発信者名、受信者名、巻号、送信番号、内容を記載する目次情報（FO 605/44からFO 605/51までの25巻）をメタデータとして各文書に追加することにより、検索の利便性を高めるとともに、FO 605の25巻の原本を画像データとして収録しています。

手書文書の全文検索を実現。手書き文字認識（HTR）

本データベース収録コンテンツは大多数が手書文書です。Galeは、本データベースで手書き文字認識（HTR）を採用しています。膨大な手書文書集成を自動的にテキスト化することで、手書文書の全文検索が実現します。

手書き文字認識

※China and the Modern World: Hong Kong, Britain and China 1841-1951より。

検索効率の向上

迅速に関連資料へと誘導し、短時間でより大きな可能性を秘めた調査経路への道をひらきます。

多くの文書の評価が容易に

古書体学のスキルの有無に関わらず、簡単に読解が可能な逐語記録は、文書の概要を把握する手段として有用です。同じ時間を使って、より多くの情報源を評価することができるようになります。

デジタル人文学での活用

デジタル人文学に手書文書を組み入れるためには、これまでは手書文書を手作業で書き起こす必要があり、このことがデジタル人文学プロジェクトで手書文書を利用する上での大きな障壁となっていました。HTR技術によって膨大な手書文書集成を自動的に書き起こすことができるようになった結果、手書文書はデジタル研究においてより強固な役割を果たすことができるようになりました。特に、Galeが提供するテキストマイニングツールGale Digital Scholar Labの活用で効率性が向上します。

関連データベースとあわせてご検討ください。